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召喚されちゃいました

354★つけ込まれたというコトを………

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 しみじみと、先代陛下は、なるほどなるほどと頷きながら、私に向かって言います。

 「良くそんな存在を
  思いついたな」

 お褒めの言葉、ありがとうございます。
 でも、今言った『影』の設定は、私が考えたモノではありません。

 ちゃんと説明して、これ以上の高評価を下げなければ。
 にしても、本当に、そういう存在って居ないんですね。

 いや…でも、考えたらアルファルーラ帝国の人達って、上から下まで、たぶんに脳筋ですよね。

 そして、女性達の大半は、お花畑のキャッキャウフフ達なんですね。
 残念なコトに、フレデリカ達のような、ちゃんと考えられる者達の方が、少ないみたいですね。

 取り敢えず、私の考えたコトでは無いコトだけは言わないとね。

 「いいえ、これらのコトは
  私が考えたんじゃなくて

  昔から、そんな存在が
  え~と…隠密同心とか

  隠密とか忍者とか
  色々な者達がいたんです

  また、それを題材にした
  映画やテレビドラマ

  アニメ、マンガ、ゲーム
  小説があったので
  知っていたんです

  このぐらいの知識は
  彼女達にもありますよ」

 無いはずないからね、出す機会がないだけで………。
 あのキラキラ皇子(仮)達が、その機会を奪っただけですからね。

 「だが、実際に我等に
  提案したのはシオンだ」

 いや、確かに、私が提案しましたけどね。
 それは、アラン様が、無視された私の手を取ってくれたからです。

 あのキラキラ皇子(仮)達が、私も数の内って囲い込まなかったから、今があるんです。
 はぁ~…あんなキラキラ皇子(仮)達に、連れて行かれなかったら、彼女達だって、活躍できたはずです。

 「あの花嫁候補達も
  アレ等に連れられて
  行かなかったら

  ここまで違う扱いに
  ならなかった等と
  思う必要は無い

  アレ等の手を取ったのは
  あの花嫁候補達だ」

 いやいやいやいや……それは違うからね。
 そこだけは違うよ、絶対に……ああ常識の違いがキツイ(疲)。

 「いいえ
  知らない場所というか
  異世界召喚されて

  不安な状態だったのだから
  差し出された手に縋るのは
  当然だと思います」

 大事に、何不自由なく育ったお嬢様育ちなら、当然のコトなんですよ。
 私は、姉のセイで、雑草育ちなんです。
 その違いに気付かせるには、どうしたら良いのでしょうかね。
 ちゃんとした、正当な評価をもらえるようにしないと、不味いです。 

 「シオン、貴女は
  ひとりで立ち
  歩きはじめましたよ

  誰かに頼る等とは考えず
  自立を目指しました

  彼女達もそれをするコトが
  出来たんです

  それをしなかったのは
  彼女達です」

 ああ、やっぱり、彼女達の評価が低いのは、私のセイもあるんですね。
 でも、彼女達を、あんなクズなキラキラ皇子(仮)達に、好きにさせたコトは、棚上げさせませんよ。 

 「でも、私は、偶々(たまたま)
  ランドール様の番として
  大切に扱われました

  運が良かっただけです

  皇子(仮)達、私のセイで
  彼女達の評価が低いんですね」

 さも、残念そうに言っても、アラン様は、私以外を放置したという自覚は無いようです……そこは、嬉しくもありますが、残念です。

 「あれだけ警戒心で
  ハリネズミのように
  なっていたのに?

  今でも、私の愛を疑って
  何かと自分の立場を
  確立する為に

  色々な提案をしているのに?」

 嗚呼、私の猜疑心が拍車をかけていましたか………。

 「うっ………」

 だって、私は常にお姉ちゃんと比べられ続けたから………。
 何時だって、ママ達はお姉ちゃんのことばかりで………。

 ああ、暗くなりそう(哀)。
 忘れていたかったのに………。

 幸せに生きて来た、彼女達の未来を奪ったって気付いて欲しいのに………。
 彼女達は、呼ばれたくて、この世界に来たわけじゃないのに………忘れてますね(怒)。

 「あの少女達も
  この帝国の情報や

  自分達の本当の立場や
  今の状態がどうなのかを

  アレ等に尋ねるコトが
  出来ないならば

  側にいる侍女や侍従や
  騎士達に聞くという
  選択肢があるんですよ。

  それをしないで
  アレ等に言われた
  とおりのコトしかしない

  その上で
  側にいる近衛騎士達の
  仕事量が増えていると

  想像出来ない程度の
  人間達なんですよ」

 はぁ~…本当に、脳筋なんですよねぇ……。
 さらったってコト、自分達で気付いてほしいのになぁ(涙)。

 「彼女達は、私と同じく
  平民なんですから

  騎士に守ってもらう
  というコト事態の
  経験が無いんです

  だから近衛騎士達に
  勤務上の負担が
  掛かっているって

  気が付かないと
  思いますけど………」

 はぁ……本当に、ハッキリ言わないと、ダメかなぁ(哀)。
 こういうところは、やっぱりラノベあるあるなんですね。

 アラン様のコトは大好きだけど。
 私という存在のセイで、彼女達が不利益を被るのは違うよね。

 「シオンは
  私が騎士達にガッツリと

  訓練して負傷者を
  多数出した時に

  騎士達や魔法使い達の
  勤務時間の変更をする
  必要があるとか

  治療用の予算が増える等で
  私の業務が増えると

  一緒にいれないから
  嫌だと言って

  怪我をした彼らに
  特殊な治癒魔法を
  掛けましたよね

  貴女とほぼ同じ教育を
  受けていた彼女達なら

  近衛騎士達の負担に
  気が付くはずですよ」

 「うっ………でもぉ……
  お世話になっている
  皇子達に気を使って………」







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