〔仮〕悪役令嬢は婚約破棄で自由を謳歌する

ブラックベリィ

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020★婚約破棄に、誓約破棄で、終わりじゃないんです

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 優雅さを心がけながら、私は一見ゆったりとした動作にみえるように、それでいて何時もより少し歩幅を増やした足取りで、神殿の出入り口へと向かう。

 その背後で、私の誓約破棄の意味を理解しない上、今の誓約破棄によって、自分がどういう立場に置かれているかなど意識もせずに、ヒューズ殿下とキャルロット男爵令嬢が、セシリアを呼び止め暴言を吐く。
 もちろん、その取り巻き達も呆然としてからハッとして、セシリアへと言いたい放題する。
 が、定番のセリフだろうコトは予想が付くので、セシリアは一切気にも留めずに、廊下へと向かって歩く。
 
 (私の誓約破棄の意味
  本当に、あの場にいた者達は
  理解していないのね

  まぁ‥‥‥この国を去る
  私には、すでになんの
  関係ないコトだけれども

  ああ‥‥それにしても‥‥遠いわ
  どうしてこう、神殿って
  無駄に広いのかしら‥‥‥

  流石に、あの祭壇の前から
  廊下へは距離があるわねぇ

  幸い、今日のこの日の為に
  選ばれて、誓約の神殿に
  つめている護衛騎士達は
  今のところ動いていない

  というか、ゼルダ公爵が
  護衛騎士達に、動くなと
  指示してくれたのかしらね?

  流石に、建国より連綿と続いた
  12公侯家の魔力多き娘を
  生贄を差し出すという

  長き苦渋の誓約を破棄した
  私を捕らえ

  守護《結界》の
  再度生贄にするという
  考えはないようね
  ほっとするわ

  けれど、神殿勤めの
  神官戦士達が
  私を捉えようと
  動き始めている

  ああ、本当に
  この良く言えば、豪華絢爛
  悪く言えば、ゴテゴテした
  ドレスって歩きにくいわぁ

  控え室までも、控え室から
  祭壇の前までも
  そうしみじみ思ったけど

  こういう、急ぐ時には
  本当に困るわ
  動きにくいこと
  この上ないもの

  だからって
  こんなに人目が有るのに
  両手でドレスを摘んで
  神殿内を走るなんて
  絶対に無理だし‥‥‥)

 セシリアは、騎士達や直接神殿の支配下にある神官戦士達の動きを窺いながら、それでも最後まで優雅さを損なわないように歩く。
 そう、到底走るなんてコトのできるドレスではないので、ただしずしずと、急ぐこころを宥めながら誓約の神殿の廊下へと向かう。

 そんな中、ボローウズ伯爵家三男ファイが場所をわきまえずに、魔術を使おうとする。

 ヒューズ殿下と、その取り巻きの監視を、父親より言い渡されていた、ラインダ侯爵家長男ネスドは、セシリアを追おうとする、バルト公爵家次男キアラと、セシリアの義弟アンリを慌てて殴り、ボローウズ伯爵家三男ファイを最後に殴り倒す。

 幸いなコトに、魔術は発動される前だった。
 が、ネスドが3人を殴り倒したコトに驚き、ヒューズは叱責する。

 「何をしている、ネスド
  キアラ、アンリ、ファイを
  何でお前がなぐるんだっ

  あの性悪な、セシリアが
  逃げてしまうではないかっ」

 自分で身分剥奪の上、国外追放を言い渡したコトをすっかり忘れたかのような発言に、ネスドは溜息を吐く。

 「ヒューズ殿下
  ここは、誓約の神殿です

  ファイは、場所もわきまえず
  魔術を放とうとしました

  現在、この神殿には
  12公侯家の方々を含む

  おもだった貴族達の当主
  当主夫人、次期当主候補が
  いらしてます

  こんな、大勢の視線が
  あるようなところで
  淑女に、暴行に及べば
  未来はありません」

 そう言われて、ヒューズは自分へと注がれる冷たい視線の数々に気付き、やっと今自分が置かれてている状態に気付くのだった。













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