先生、死に場所を探しています。

第1章

1話：再会

榊悠馬(さかきゆうま)side…

「ほら、皆さん席ついてください。」
ガヤガヤうるさい教室にため息をつきたい気分になっても、俺の作った笑顔は壊れない。
この学校での俺のイメージは、こうだ。
・カッコイイ
・優しい
・言葉遣い丁寧
・頭いい
・仕事のできる大人。
これらを見事に俺は、演じきる。
「出席取りますよ。」
四十人の名前を一人一人呼んでいく。
「林田…」
「はい。」
林田は、クラスで苛められている少女だ。多分だが、俺が22歳の時に出会った少女だ。
「林田は、放課後俺のところに来てください。」
「はい。」 
林田という名前を高校に入ってから知った。最初、再開した時俺は嬉しく思った。だが、林田は相変わらずイジメにあっていたのだ。虐待されているのかは、分からないが。

放課後…
「この問題は、こうすると解けますよ。」
「わあっ！わかりやすい！先生、ありがとう！」
「いえいえ、役に立てて何よりです。」
生徒が、いなくなると俺は、ドカッと椅子に座りつぶやく。
「ったく、この俺がおしえてやってんのに理解できねーとかあり得ねーから。」
「榊先生、私に用事ってなんですか？」
俺は、俺の横に座る少女に目をやる。
「林田、お前イジメにあってるだろ。」
少女は、笑う。
「その程度のことで私を呼び出したんですか？バカバカしい。それに、先生さっきから性格悪いっていうボロが出てますよ。」
少女の目は、笑っていない。
「あ？お前の前で、さらけ出したところでお前のこと信じるやついねーだろ？」
林田は、俺を睨む。
「…それで、先生は苛められている可愛そうな私を助けてくれるんですか？」
「お前が、助けてって言うならな？」
「アハハっ、先生…性格悪いですね？超上から目線です。」
「まあ、俺様だしな？」
林田は、急に笑わなくなり、言った。
「大丈夫です。私には、〖辛い時、俺のところに逃げてこい〗って言ってくれた相手がいるんです。」
どうやら少女は、俺の顔を忘れてしまっているようだ。その言葉は忘れていないのに。
「そっか。じゃあ、辛い時、俺のとこに来いよ？」
「なんで私が、あなたの所に行かないといけないんですか？！失礼しました！」
林田は、怒りながら走り去っていく。その背中を見つめながら俺は、呟いた。
「敬語、上手くなったな。」