異世界初の悪役令嬢に転生しました~悪役令嬢語しか話せないなんて!どなたか正確に翻訳してくださいまし~

めしめし

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第3章 思春期

第28話 ヘンリー殿下とワルツを踊りますわ

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ホールでは軽快な音楽が流れ、オープニングダンスのカドリールを陛下や王妃、公爵家のペアなど王族や上級貴族たちが踊る。
カドリールは4組の男女ペアがそれぞれのペアを変えながらスクエアになって踊る、集団ダンスの一種。
他の社交ダンスとは全く違うフォークダンスの一種だ。
アイゼンベルグ王国では、カドリーヌから踊るのが定番となっている。

軽快に踊る陛下たちをよそに、私はウイリアム殿下とヘンリー殿下、護衛のヨゼフィスお兄様、それらを取り巻くピーチクパーチクうるさい取り巻きの女たちに囲まれていた。

「父上の誕生日に来てくれて嬉しいよミレーヌ、メリー嬢。本日の装いも相変わらず・・・・、ど、毒々しいね。」
ウイリアム殿下、私を褒めようと言葉を選んだつもりでしょ?でも全く褒めてないですわ。

「兄上、それは誉め言葉になってないぞ。ここは、痛々しいっていうんだ。」
あんたもね。
兄弟そろって私を馬鹿にしに来たのかしら?

「メリー嬢、カドリールの次のワルツ、僕と踊ってくれるかい?」

えっ、ウイリアム殿下のオープニングダンスの相手を私が…?
ちょっと、ミレーヌの明らかな不機嫌そうな顔が恐いんですけど。

「あ、兄上、メリーのオープニングダンスは俺がするって言ったじゃないか!」
ヘンリーは即座に噛みつく。

「きー、なんであの悪役令嬢が!」
「ウイリアム殿下は、あの性悪女に慈悲をかけてるのよ。」
「ヘンリー様をも、たぶらかしているんだわ。」
「ナンダテメーコノヤロー」
取り巻きの女たちも一斉にさえずり始める。

「僕はメリー嬢に聞いてるんだ。」
ウイリアム殿下がキッと睨むと、ヘンリー殿下や女たちは即座に黙ってしまった。
あのヘンリー殿下を一発で黙らせるなんて、ウイリアム殿下の目力は半端ない。

公式の場で王族の提案を堂々と断るなど、一回の貴族令嬢に出来るわけがない。
ウイリアム殿下は断ることが出来ない、と分かっての確信犯なのだ。

ワルツは私が苦手とするダンスで、ウイリアム殿下に好意を寄せるミレーヌの手前もある。
いかに上手く、角が立たないような断り方を考えている最中に、悪役令嬢語が暴走した。

「ホーッホッホッホッ、私ごときをダンスにお誘い頂き恐悦至極ですわ。
ただ、私は既にヘンリー殿下とダンスのお約束をしておりますの。
ヘンリー殿下と踊った後ならば、いつでもお受けいたしますわ。」

「えっ、俺?」

暴走した悪役令嬢語は、私の意志とは別に嘘をでっち上げる。
困惑するヘンリー殿下。
ウイリアム殿下はあからさまに不快な表情をした。

「この僕がヘンリーの後だと?」

たった一瞬であるが、文武両道・眉目秀麗と評判のウイリアム殿下と同一人物とは思えない顔が現れたのだ。

護衛のヨゼフィスお兄様が、そっとウイリアム殿下に近づき耳打ちする。
すると吊り上がった目が下がり、いつもの殿下の表情に戻った。
ナイスお兄様!でも、何を耳打ちしたのかしら。

「ヘンリーと先約があるならば仕方がない、メリー嬢の初めてを頂くのは次回としよう。」
諦めてくれてよかった。
でも聞きようによってはいやらしいセリフですわよ。

ウイリアム殿下は、ミレーヌをダンスに誘いホールの中央へと向かった。

残された私とヘンリー殿下、と取り巻きの女たち。

「あー、じゃあ取りあえず俺らも踊っとくか?ただ、俺はワルツは苦手だぞ?」
「そうですわね。私もワルツは苦手ですわ。取りあえず参りましょうか?」

「キーッ、取りあえず殿下と踊るって何よ!貴方身分をわきまえなさいよ。」
「両殿下ともあの女にたぶらかされているんですわ。」
「侯爵令嬢がなんぼのもんじゃい!」

貴族令嬢たちの鳴き声をバックミュージックに、私たちもウイリアム殿下に続いてホール中央に向かって歩き出した。


・・・・・・・・・・・


カドリールが終わり、楽隊は優雅なリズムな音楽に曲調を変える。
そろそろワルツの始まりだ。

ホール中央には、ウイリアム殿下ペアと私たちの他、10数組のペアが開始を待っている。
あっヨゼフィスお兄様もいる。
誰よ、そのペアの女の人は?

ウイリアム殿下はちらちらと何度も私の方を見ているようだ。
しっかりミレーヌに向き合ってあげて。

公爵令嬢のドリアーヌは衣装を代えての登場だ。
あれ、あのドレス私に話しかけてきた爆乳貴族のドレスですわ。
ねぇ、胸のサイズが全然合っていませんわよ。

音楽が始まり一斉にみんな踊り出す。
優雅なワルツは社交界でも最も人気のダンスだ。

4分の3拍子のワルツ。
ステップ自体は難しくはないが、私の性格上すごくゆっくりに感じてしまう。
私のステップの速さにペアの男性が追い付かず、いつも足を踏んづけてしまうのだ。
一緒に踊るヘンリー殿下も同様。
彼も優雅なダンスは得意では無いようだ。

しかし、私も殿下も武術は達人クラス。
攻撃される前に(足を踏まれる前に)その攻撃をかわし(足をよけて)、かわした勢いを利用してくるりと回転する。
リズム感だけは良い私たち。
イレギュラーな動きでも音楽に合わせることはお手のものだ。
結果としてワルツの動きとなり、曲の流れにそったダンスになっていた。

下手くそ同士が足を踏み合っているだけなのだが、周りの目にはベテランダンサーが様々な技を駆使しているように見えるらしい。
ゲストたちから大きな歓声が上がり、他の参加者たちも自分たちのダンスを止め、私たちの戦い(ワルツ)を見惚れていた。

曲が終わると割れんばかりの拍手がホールを揺らす。
えっ、何なのこの拍手?
私とヘンリー殿下は拍手の意味が分からず、きょとんとしていた。

それが私たちに向けられたものだとわかると、急に恥ずかしくなってくる。
私は鳴りやまぬ拍手を背に、ヘンリー殿下の手を引きながらホールから逃げ出した。
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