異世界初の悪役令嬢に転生しました~悪役令嬢語しか話せないなんて!どなたか正確に翻訳してくださいまし~

めしめし

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第3章 思春期

第30話 イケメン指揮者ジェラールですわ

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今度はイケメン指揮者のジェラールが私をダンスに誘ってきた。
確かにダンスを受けると言ったけど、あれは社交辞令ってやつでしょ?

「約束」と言われては私も断ることができない。
ジェラールは自分の右腕を脇腹に当て、私に腕を持てとばかりのアピール。
私は後ろからジェラールの右腕に左手を添え、彼と共にホールの中央へと歩いて行った。

ホール中央では、ワルツはすでに終了し別の種目に移行していた。
タンゴだ。
ダンスが苦手な私にとって唯一好きな種目だ。

タンゴは4拍子のリズムの中で、1拍目と3拍目を強調する独特なテンポのダンス。
ワルツのような優雅なスイングは存在せず、スタッカート調の切れ味の鋭い動作を必要とする。
武術をたしなむ私には演武をしているようなものなのよ。

ホールの中央に位置し、ジェラールの右手は私の背中に手を回す。私は左手でジェラールの手に合わせ、右手をジェラールの肩に回す。

「あの悪役令嬢、今度はジェラール様をたぶらかしたわ!」
「だめぇ!ジェラール様はみんなのものなのよ!」
「オイコラてめぇ。ええ加減にさらせよ!」
しかし、外野たちの騒音も私たちが踊り始めると一瞬で消えてしまった。

ラテン系の音楽が始まり、私たちのダンスが開始。
スロー&クイック。
私たちのキレの良いダンスは、ゲストたちを魅了する。
ジェラールのリードは独特だ。
私に主導権を委ねていると思いきや、肝心な所では彼が巧みにリードする。
切れ味の鋭い部分は私に委ねながらも、全体の流れをコントロールしているのは彼の
リードなのだ。
それはまるで、コンサートに似ている。
ソロパートと全体のパートと上手く使い分けている。

ウイリアム殿下の自分本位なリードでも、お互いに挑み合うヘンリー殿下とのダンスでもない。
彼のリードは言わば二人の共同作業。
二人で踊っている感が半端なく、ダンスが楽しいということに改めて気づかされる。

もちろんそれはゲストたちにも伝わる。
私たちのダンスは2人だけのものではない。
その場にいる人全てを魅了するダンスへと昇華していた。

私たちのダンスに合わせ、楽隊もリズムや強弱を変化させる。
いや、楽隊が合わしているのではない。
ジェラールが身振りや表情で楽隊をも操作しているのだ。
まるでコンサートホールのように、会場全体が調和している。
その中心となっているのは、まぎれもなくジェラールなのだ。

彼が私を活かし、私たちのダンスが会場中を魅了する。
私はダンスの間中、今まで感じたことのない高揚感が湧き上がる。
出来るだけ長くこの高揚感を味わっていたい。一体なぜ?

ダンスが終了すると、本日一番の拍手が会場中を揺らした。
ヘンリー殿下と王妃様も席を立って拍手をしている。

私たちは殿下のいる階上に一礼し、ゲストたちにも一礼する。
「メリー嬢、楽しかったです。一緒に踊れてよかった。」
彼は私にそう囁くと私にも一礼し、人ごみの中へと消えていった。

彼が去った後も私の胸の高鳴りは止まらない。
まるで今もダンスを踊っているようだわ。

私は母とミレーユの所に戻ると、母はニヤニヤしながら私を見ていた。
「メリー、あなた耳まで真っ赤よ。」
母の油まみれの口からそう告げられた。

「えっ」
私が顔に手を当てると確かに熱い。
胸のドキドキも未だに止まることが無かった。

「そうそう、メリー。さきほど陛下のお使い様がお越しになられて、あなたに陛下のところへ伺うよう仰せつかったわよ。」

えっ?陛下が私を!?一体どうして?


・・・・・・・・・・・・


階上に向かう階段には衛兵が2人立っており、階上に向かう人間を厳しくチェックする。

「メリー様でいらっしゃいますね。陛下が階上でお待ちかねでございます。」
衛兵たちはにこやかに挨拶をしてくれた。
私は衛兵に一礼し、階上に上がろうとすると衛兵たちに止められた。

「一応規則ですので」
と衛兵たちは私にボディチェックを求めたのだ。

彼らがボディチェックをすると、ゴトッ、ゴトッといくつかの危険物が床に落下した。
「メリー様これは?」
衛兵たちはメリケンサックを持ち上げて質問する。
メリケンサックとは、鉄製の拳に付ける武具で、四つの空いた穴に親指以外の指を通して使う。
これを使うとパンチの威力が格段に上がる。
この世界には存在しないもののため、特別に作らせたものなのだ。

「これは、全指対応の指輪ですのよ!わたくしには普通の指輪は合わないのですわ。」

「では、これは何でしょうか?」
別の衛兵が持ち上げたのは痴漢撃退スプレーだ。
レモン、唐辛子、ピクルスのつけ汁、胡椒などを調合した私特製のスプレーだ。
スプレー容器は、モリーヤ商会で作らせた特注品。プラスチックを作る技術はないので、銅製なので少々重い。

「これは、香水よ。私のような高貴な者にピッタリの刺激的な香りでしょ。」

「それではこれは何でしょう?」
フォークとナイフがゴロゴロ出てきた。
どうやら食事の最中に呼び出されたので、無意識的にドレスの中に仕込んで締まったようだ。
よっぽどミートローフが食べられなかったのが悔しかったらしい。

「これは、あれですわ。あなた達がお食事の最中に呼び出したからですわ。」

衛兵の1人が陛下の下に走る。
陛下に耳打ちするやいなや、陛下はお腹を抱えて笑い出した。

戻ってきた衛兵も笑いがこみ上げてきたらしい。
「通っていいぞ。」という言葉が1オクターブほど上ずっていた。

私は衛兵に案内され、私は陛下と王妃の前に立ったのだ。
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