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第5章 内戦編
第60話 イノシシなんて目じゃないですわ
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私たちの前に現れたのは、5メートルはあろうかというイノシシ型のモンスター。
思わず、足がすくみそうになる。
「あれは、ワイルドボアですね。」
オットーが私の隣にぬうっと現れた。
「デルエルの森に生息するモンスターで、体長3~5mのものが多いですね。
キノコや雑草だけでなく、小動物や大型の爬虫類、森に入る人間も食べるとされています。
食欲が旺盛で、一旦食事が始まるとお腹が満たされるまで手当たり次第に食べ漁るそうです。
好きなカラーは赤色。赤色を見るとついつい壊してしまうほど、じゃれてくるようですね。」
動物図鑑のような説明ありがとう。
あら、今日の私のファッションは赤を基調としているわ♡
モンスターにも好かれるほど、今日の私は魅力的なのね♬
「どうやらお嬢様をロックオンしたようですね。さすがおモテになりますね。」
と軽口を叩くオットー。懐からナイフを取り出す。
「お嬢様の魅力はモンスターにも分かるのね。マーサは感無量です。」
マーサも鞭を片手にワイルドボアを睨みつける。
「キューッ」
子ぎつねも腰を低くして、唸り声を上げる。
その声もなんとも愛らしい。
「戦うしかないようですわね。」
私も両手にメリケンサックを装備し、イノシシと対峙する。
「お嬢様は離れていてください!」
オットーが叫ぶと同時に、ワイルドボアは私に向けて突進してきた。
まるで何の障害物もないように、木の幹や木の枝などを踏み潰しながら一直線に迫ってくる。
「積極的な方は嫌いじゃなくてよ。」
私も負けじとワイルドボアに向かって突進する。
ドン!
鈍い音を立てて、私とワイルドボアは衝突した。
ワイルドボアと私の力はほぼ互角。
ミシミシと音を立てながら、相撲でいうがっぷり四つの体勢で押し合っていた。
「あら、なかなか押しが強いのね。でももう少しお上品にしてくださいませ。」
ワイルドボアの唾液がべっとりと私の服にこびりつく。
その野生の悪臭が私の鼻をツーンと刺激するのだ。
「あなたあまりろくな者を食べていらっしゃらないのね。少し匂いますわよ。」
どうやら私の方が力は少し上のようだ。組み合いながらもワイルドボアは後退させられている。
ワイルドボアはぐっと地面を踏みしめ、より強い力で私を押そうと力を込めた。
しかし、それが私の狙い。
私はふっと押す力を弱めると、ワイルドボアは力の限り私を押し倒そうとした。
次の瞬間、5メートルものワイルドボアの体がくるくると回転しながら宙を舞う。
私の豪快な巴投げが見事に炸裂したのだ。
回転しながら地面に激突する肉の塊。
どうやらワイルドボアは意識を失ったようだ。
ガッツポーズを決める私に、マーサとオットーの辛辣な言葉が降り注ぐ。
「お嬢様、どうして魔法をお使いにならないんですか!」
「イノシシと力比べするご令嬢、どこにいらしゃいますか!」
凄い剣幕で迫ってくる二人。
銀ぎつねは私を見つめ、キューンと鳴き声を上げた。
かわいい♡
怒りをぶつけるマーサとオットーはそっちのけで、私はこの可愛い子ぎつねを見つめていた。
しかし次の瞬間、銀ぎつねは茂みの方を振り返り、ウウウと威嚇し始めたのだ。
ドドドドドドッ
銀ぎつねが睨みつけている茂みの奥から、地鳴りのような振動が鳴り響いていた。
ドドドドドドッ
徐々にその轟音が近づいてくる。
これってヤバいやつじゃ…。
「お嬢様、急いで逃げますよ!」
オットーが私の手を引き走り出した。マーサと銀ぎつねも続く。
私たちは森の中を懸命に走った。
幹につまづき、枝で皮膚や服を傷つけながらも必死で走った。
それでも轟音は近づいてくる。
ブヒブヒと鳴き声をあげ、ドン、ミシッと鈍い音が静かな森中に響く。
間違いなくワイルドボアの大群だ。
音から判断すると50匹以上はいるだろう。
木がなぎ倒され、住処を失った鳥たちの甲高い鳴き声も段々と近づいてくるのだ。
あっ。
ビタン。私は木の幹に躓き転んでしまった。
急いで立ち上がろうとするも、木の幹が引っかかってうまく立ち上がらない。
「お、お嬢様ぁ!」
オットーの声もむなしく、私は先頭を走るワイルドボアに跳ね飛ばされる。
うつぶせに倒れたところに、何十匹ものワイルドボアたちが私の背中を走り抜けた。
思わず、足がすくみそうになる。
「あれは、ワイルドボアですね。」
オットーが私の隣にぬうっと現れた。
「デルエルの森に生息するモンスターで、体長3~5mのものが多いですね。
キノコや雑草だけでなく、小動物や大型の爬虫類、森に入る人間も食べるとされています。
食欲が旺盛で、一旦食事が始まるとお腹が満たされるまで手当たり次第に食べ漁るそうです。
好きなカラーは赤色。赤色を見るとついつい壊してしまうほど、じゃれてくるようですね。」
動物図鑑のような説明ありがとう。
あら、今日の私のファッションは赤を基調としているわ♡
モンスターにも好かれるほど、今日の私は魅力的なのね♬
「どうやらお嬢様をロックオンしたようですね。さすがおモテになりますね。」
と軽口を叩くオットー。懐からナイフを取り出す。
「お嬢様の魅力はモンスターにも分かるのね。マーサは感無量です。」
マーサも鞭を片手にワイルドボアを睨みつける。
「キューッ」
子ぎつねも腰を低くして、唸り声を上げる。
その声もなんとも愛らしい。
「戦うしかないようですわね。」
私も両手にメリケンサックを装備し、イノシシと対峙する。
「お嬢様は離れていてください!」
オットーが叫ぶと同時に、ワイルドボアは私に向けて突進してきた。
まるで何の障害物もないように、木の幹や木の枝などを踏み潰しながら一直線に迫ってくる。
「積極的な方は嫌いじゃなくてよ。」
私も負けじとワイルドボアに向かって突進する。
ドン!
鈍い音を立てて、私とワイルドボアは衝突した。
ワイルドボアと私の力はほぼ互角。
ミシミシと音を立てながら、相撲でいうがっぷり四つの体勢で押し合っていた。
「あら、なかなか押しが強いのね。でももう少しお上品にしてくださいませ。」
ワイルドボアの唾液がべっとりと私の服にこびりつく。
その野生の悪臭が私の鼻をツーンと刺激するのだ。
「あなたあまりろくな者を食べていらっしゃらないのね。少し匂いますわよ。」
どうやら私の方が力は少し上のようだ。組み合いながらもワイルドボアは後退させられている。
ワイルドボアはぐっと地面を踏みしめ、より強い力で私を押そうと力を込めた。
しかし、それが私の狙い。
私はふっと押す力を弱めると、ワイルドボアは力の限り私を押し倒そうとした。
次の瞬間、5メートルものワイルドボアの体がくるくると回転しながら宙を舞う。
私の豪快な巴投げが見事に炸裂したのだ。
回転しながら地面に激突する肉の塊。
どうやらワイルドボアは意識を失ったようだ。
ガッツポーズを決める私に、マーサとオットーの辛辣な言葉が降り注ぐ。
「お嬢様、どうして魔法をお使いにならないんですか!」
「イノシシと力比べするご令嬢、どこにいらしゃいますか!」
凄い剣幕で迫ってくる二人。
銀ぎつねは私を見つめ、キューンと鳴き声を上げた。
かわいい♡
怒りをぶつけるマーサとオットーはそっちのけで、私はこの可愛い子ぎつねを見つめていた。
しかし次の瞬間、銀ぎつねは茂みの方を振り返り、ウウウと威嚇し始めたのだ。
ドドドドドドッ
銀ぎつねが睨みつけている茂みの奥から、地鳴りのような振動が鳴り響いていた。
ドドドドドドッ
徐々にその轟音が近づいてくる。
これってヤバいやつじゃ…。
「お嬢様、急いで逃げますよ!」
オットーが私の手を引き走り出した。マーサと銀ぎつねも続く。
私たちは森の中を懸命に走った。
幹につまづき、枝で皮膚や服を傷つけながらも必死で走った。
それでも轟音は近づいてくる。
ブヒブヒと鳴き声をあげ、ドン、ミシッと鈍い音が静かな森中に響く。
間違いなくワイルドボアの大群だ。
音から判断すると50匹以上はいるだろう。
木がなぎ倒され、住処を失った鳥たちの甲高い鳴き声も段々と近づいてくるのだ。
あっ。
ビタン。私は木の幹に躓き転んでしまった。
急いで立ち上がろうとするも、木の幹が引っかかってうまく立ち上がらない。
「お、お嬢様ぁ!」
オットーの声もむなしく、私は先頭を走るワイルドボアに跳ね飛ばされる。
うつぶせに倒れたところに、何十匹ものワイルドボアたちが私の背中を走り抜けた。
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