異世界食レポ!~現地の料理店を冒険しながら紹介~トラ顔紳士の食レポブログ

めしめし

文字の大きさ
18 / 25

18店目「場末の天才シェフ」

しおりを挟む
こんばんは、熱いものは熱いうちに食べるトラ顔紳士です。
本日はウメーディから徒歩1時間ほどにあるジュウジュウという街にやって来ました。

街自体はさほど大きくはないのですが、ダンジョンに隣接しているので冒険者の出入りが多い街ですね。
今回やって来たお店は、冒険者ギルドの中にある人気の酒場「スタンディング」です。

実はこの酒場にはカウンターだけで椅子が無く、客は座ることなく立ったままお酒を飲んだり、料理を食べたりというスタイルですね。
メニューなどといったものはなく、マスターがその時ある食材を、お客さんの希望を聞きながら目の前で調理をしてくれます。
しかもその料理がうまい!
その気軽さと、料理の旨さで連日おおぜいの人で一杯のようです。

マスターは片目に眼帯を付けた、筋肉隆々の逞しい男性。
彼の低くて大きな声は、少し離れたところからでもはっきりと聞こえてきますね。
見た目の豪快さに反して、マスターの料理は繊細でオリジナル料理の宝庫。
マスターの料理を食べようと、遠路はるばるこの店来る人も多いらしいです。

実はこのマスター、数々の賞を獲得している凄腕料理人。

2つ以上の別々のタスクを、左右の手で同時に行えるという才能の持ち主のようです。
例えば右手で肉を切りながら、左手で野菜を切る、右手で食器を洗いながら、左手でお客さんに料理を出すという感じですね。

料理の工程を同時進行することはよくありますが、左右の手で別々の工程を行う人は珍しいです。
どうやら彼は【並列思考】というスキルの保持者。
2つ以上の物事を同時に考え、処理をすることが出来るようです。

本日の料理は、

・ジャイアントリザードのグリル 二銀貨
・ダンジョンディアーのワイン煮込み 一銀貨+五銅貨
・キラーシェルのガーリックバター焼き 一銀貨

ジャイアントリザードは、ダンジョンに住む体長二メートルはある巨大な爬虫類系の魔獣。
刃物を弾く、デコボコとした硬い鱗と強靭な牙を持っています。
ギョロッと大きな目と短い手足が特徴ですね。

ただその見た目とは裏腹に、性格は臆病で滅多に人前には現れないようです。
そのため捕獲するのが困難で、店でもあまり出ない貴重な食材とのことですね。

その貴重なジャイアントリザードのももの部分を骨付きのままグリルしたもの。
見た目はチキンレッグに似ていますが、それよりもずいぶん大きくて食べ応えは十分。
脂身はほとんどなく、うっすらピンク色をした綺麗な肉質です。

それでは早速食べてみましょう。

おお、旨い!

見た目はチキンレッグですが味わいはまったく別物。
濃厚そうな見た目にもかかわらず、味わいは意外なほどあっさり。
ささみ肉に近いかもしれません。

強い弾力のある肉で、大きなままだと少々噛み切るのが大変です。
ナイフで一口大に切り分ける方が良いでしょう。

肉からは香草のような爽やかな香りが口中に広がりますね。
味付けは塩味のみですが、別に用意してくれてある茶色のソースを使うと味変ができます。
あっさりとしたもも肉が、ソースを絡めれば複雑な風味に早変わり。
どちらも美味しいですが、個人的にはソースを絡める方が好きですね。

もちろんエールとの相性も抜群。
好みによりますが、僕はソースを絡めた肉の方がよりエールを美味しく感じましたよ。

続いて登場したのが、【ダンジョンディアーのワイン煮込み】です。
お皿には一口大にカットした肉が盛られており、その上から真っ赤なソースがかけられています。
付け合わせはマッシュポテトのようなものと、ハーブが添えられています。
これもうまそうだ。

ダンジョンディア―は、ダンジョンの五階層に住む鹿型の魔獣です。
頭から生えた大きな角が特徴で、敵が現れると相手に角を向けて突進します。
その突進力は驚異的で、まともに受けると熟練の冒険者でも重傷を負うほど。

料理の素材としても人気の食材で、焼いたり・煮たり・刺身でも食べられることがあるようです。

この料理は一体どんな味がするのでしょう。
ワクワクしてきますね。

早速手前の肉にナイフを入れると、スッと何の手ごたえもなく切れてしまいました。
口に入れると少しの獣臭の後に、赤ワインのふくよかな香りが鼻孔を突き抜けていきました。
味わいは濃厚。赤ワインの風味が濃厚なソースも美味しいですが、ダンジョンディアー自体の味も凄い!

赤み肉本来の味わいが濃縮しているといった印象で、噛めば噛むほど旨味と甘みが溢れてくるようです。
肉は見た目よりもずっと柔らかく、前歯でも簡単に噛み切れてしまうほどの柔らかさ。
脂身も無いのにこの柔らかさは、しっかり手間暇かけて煮込んでいるからなのでしょう。
これはエールよりもワインですね。

もちろん赤ワインとはベストマッチでしたよ。

続いての料理は、【キラーシェルのガーリックバター焼き】です。

キラーシェルはダンジョンの7階層の湖に生息する貝型の魔獣で、湖を渡ろうとする冒険者の脚に吸いつき、その部分を捕食します。
一匹では大した脅威にはならないですが、集団で襲われると脚や手などはあっという間に食べられてしまいます。

そんな危険な貝類ですが、料理の素材としては一級品。
旨味の濃いプリプリの肉厚は、油を使った料理と特に相性が良いようです。
ガーリックとバターが僕の考えうる最高の組み合わせ。
ガーリックの風味とバターの味わいが、キラーシェルの味わいをさらに高めてくれるようです。

もちろんエールのおつまみとしても最高!
美味しすぎて飲みすぎるので注意が必要ですね。

ごちそうさまでした。

店名:立ち飲み居酒屋「スタンディング」
予算:二銀貨~三銀貨
店の雰囲気 ★★★☆☆
店員の対応 ★★★★☆
料理の味  ★★★★★
コスパ   ★★★★★
バラエティ ★★★★☆
総合評価  ★★★★☆
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。

馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。 元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。 バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。 だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。 アイドル時代のファンかも知れない。 突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。 主人公の時田香澄は殺されてしまう。 気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。 自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。 ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。 魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

処理中です...