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7 パーティーの夜3*
しおりを挟む「で、スゥはどうしたい?」
リスベスは手にしたワイングラスを弄びながら小さく答えた。
「……見ず知らずのあなたにこの話をして大分スッキリしていて、このまま帰ってもいいとも思うし、でも何もなかったらなかったで少し、少しね。寂しい気もするし……」
「では、スゥが今でも想う他の男の話をおとなしく聞いた報酬をもらおうかな?」
そう言うとコードはワイングラスを取り上げテーブルに置きリスベスを抱き寄せると軽いキスをした。
「震えているね。怖い?」
「怖いわ。初めてだもの。でも……私の初めては報酬になる?」
「なるよ。充分すぎて余るくらいだ、これでお預けを喰らったらしばらく眠れなくなりそうだよ?」
コードがいたずらっぽく笑った。その笑顔は少年のようでリスベスの胸がきゅんとした。
「じゃあ、よろしくお願いします」
遠慮がちにコードの肩に両手を回すと形の良い唇が近づいてきた。コードの息が唇にかかる。
「スゥ、体の力を抜いて。今だけでいいから、僕を信じて」
言われるがまま体の力を抜くとコードはリスベスの唇を舐めそれから歯列と口蓋ひだをリズミカルに舐める。貪るような深い深いキスに背筋がゾクッとして一瞬体を固くしたが、コードに促されるまま、何が何だかわからないまま、夢中でキスを返す。
無意識に息を止めていたリスベスにコードは唇を離すと、
「キスはね。鼻で息をするか、頭をずらして口で息をするんだよ? その息でさえ僕達には甘いんだからね? 今は虚勢を張る必要はないんだよ?」と微笑む。
そのままコードはリスベスの顔にキスの雨を降らせ、耳のひだに舌を這わせ耳に熱い息を吹き込んだ。今度は体の奥がゾクッとしてリスベスの全身が小さく跳ねる。
その反応が心底嬉しいように微笑むコードは首筋に舌をゆっくり這わせながら慣れた様子でリスベスのドレスを脱がしにかかる。
あっと言う間に一糸まとわぬ姿にされてしまったリスベスが羞恥に体を隠すとコードも服を脱ぎだす。
「見て、スゥと一緒だよ? 恥ずかしくないでしょ?」
羞恥のあまりコードの細身のわりには筋肉の付いた引き締まった体を直視できずリスベスはコードの顔を見る事しかできない。
「いえっ、あの……その……」
そんなリスベスの両手を掴みコードはゆっくりベットに導いていき二人で横になる。
片肘をついて上半身を起こしたコードはリスベスの片方の胸を掌で包みゆっくり大きく揉み、もう片方の胸の頂を口に含み周りを舌で愛撫する。
しかし、リスベスにはくすぐったさしか感じられず、戸惑う表情をコードに向けた。
それに気づいたコードが笑みを含んだ声でからかう。
「初めてだから、くすぐったいだけなんだね?」
「ごめんなさい」
「謝ることはないよ。これからの準備だと思えばいいよ」
そのままコードはリスベスの首筋から胸、お腹、お臍へ舌を這わせる。舌が下腹部に来た時また背筋がゾクッとしたが今度は陰部の辺りに何かふわっとした熱いものが下りてきた。自然と足に力が入り小さな吐息が洩れてしまう。
そんなリスベスの反応にコードはまた嬉しそうに口角を上げると今度は下腹部に舌を這わせながら、足の付け根に片手を伸ばし陰核を探し始める。
「これからスゥが一番気持ち良くなるところを探すからね? イイ所に来たら遠慮なく教えてね?」
イイ所って? とコードに聞き返す前に、指先で陰核にリズミカルな愛撫が与えられ吐息でしか答えることができない。またお腹に熱いものが下りてきてしまう。リスベスは小さくコードの名を呼ぶ事しかできなかった。
いつの間にかコードの声が耳元で聞こえる。
「スゥ、それがイイということだよ。もっと自分の体の声に集中して」
「んっんっ! コード!」
「そうそう、その調子。スゥが気持ちよくなっている顔を見せて?」
「コード! 気持ちイィの!
「うれしいよ、スゥ」
「んっ、あっコード!」
必死にそれを伝えようとコードを見つめるリスベスの目にコードの細められた双眸に光が反射して見つめ合った瞬間、リスベスの足先がピンと伸ばされ小さく痙攣した。
リスベスが熱い息を吐いてゆっくり弛緩すると、また愛撫が始まる。
何度その感覚を味わっただろう。最後のそれは大きな波だった。
リスベスは抗うこともできず、呼吸も忘れ、頭の中が真っ白になるのを止めることもできず、ただ小さく震えながらその波に身を任せるしかなかった。
目を閉じてしばらくその波の満ち足りた余韻を味わう。傍にはコードの滑らかな肌とぬくもりがあり安堵で満たされる。
目を開けると目の前にコードの顔があり、その満足気な微笑みに見とれているとコードの手が上がり胸の先端を中指でゆっくり転がした。
その途端、電撃が走ったように全身が強張りまたお腹が熱くなる。先程と同じような愛撫なのに自分の反応が違ってコードの肩に手を回す。
「大丈夫だよ。これが達するって事だから。スゥの体が喜んでいるんだよ」
「何だか自分の体じゃないみたいで怖い……」
「怖がらないで、僕を受け入れる準備ができているって事だから。じゃあもう少し準備を続けよう」
コードはリスベスの足の間に移動し中指の第二関節をまげて陰部に差し入れぐるっと回す。指がある位置に当たるとリスベスが息をのみ声にならない声が漏れたのでそのまま小さく左右に振れば大量の愛液が溢れ出す。
指を二本に増やし上下左右に動かすとリスベスの体が大きくはねた。我慢しきれず子犬が甘えたような声で啼くリスベスにコードの理性が飛びそうになるが必死に堪えつつ手を止めず赤く色づいた胸の先端を舌で転がすと、すぐにまた大きな波がリスベスを襲い体が硬直する。
「もう少し気持ちよくしてあげたいけど、僕が限界。奥までは行かないようにするから、ごめんね、スゥ」
リスベスの両足を上げてコードと一つになる。メリメリと硬い楔が押し込まれて無理やり広げられる感覚にリスベスの体がすくんでしまうが、コードに抱きかかえられるようにキスされると安心してキスを返す。痛みは想像するほどなかった。
それを合図にコードがゆっくりと動き始め、その原始的なリズムに体を合わせると、二人に何とも言えない一体感が生まれる。
コードの背に両手を回し、この感情が愛なのかもしれないとリスベスは思ったが、それを口にすることはなかった。呼吸を合わせ、ただコードの腕の中にいる事が幸せにも思えて微笑む。
そんなリスベスを見てコードが嬉しそうに微笑むとまた軽く唇にキスをして、つながったままその場所に手を差し込んでリスベスの陰核を愛撫する。途端に収まったはずの波が押し寄せ、二人同時に絶頂を迎えた。
全身に汗が吹き出し荒い息を吐き、どちらかの心臓の音が聞こえるのか判らないほどぴったり寄り添い合う。
リスベスは心地よい満足感と気怠さに包まれコードの背中を撫でる。自分のそれと違うなめらかな肌が気持ちいい。思わず「ありがとう、コード」とつぶやいた。
しかしその言葉に傷ついた様にコードが息をのみ何故か悲しそうに目を閉じる。
が、すぐに微笑んでリスベスに囁く。
「色々疲れたでしょ? 少し眠っていいよ? おやすみ、リスベス」リスベスをシーツにくるんで額にキスを落とす。
どうしてあんな顔をしたのか、もう少しこうして寄り添ってコードの事を色々聞きたかったが、朝から気負っていた分、確かに眠い。
「ごめん、眠い……でも……」言い終わらないうちにリスベスはストンと眠りに落ちてしまった。
寝息を立てるリスベスの額にもう一度キスをすると、コードは起き上がりガウンを羽織ってワインボトルを持って庭に続くポーチに出る。
一気にボトルを飲み干す。見上げた夜空には星が瞬いていた。
自分を見下ろす星達にイラ立ちを覚えたコードは空のボトルを空に向かって投げつけるが、額に拳を当てつぶやく。
「違う……最低なのは僕だ……」
◇◆◇◆◇◆
実を言うとR18シーンより書きたかったのは、コードの懺悔シーンです。落ち込むイケメンはイイです。
はーうぅ、ここまで長かったわぁ!
応援ありがとうございます!
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