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領都フルネンディク
14 契約獣2
しおりを挟むはい、こちら悪役令嬢のマリアンネです。
只今私は、フェルセンダール領の領都フルネンディクにある領主館の庭に出ております。時間は宵の口、夕日の名残がまだ空を染めています。
目の前には「微笑みの筆頭魔術師」ことノート兄様が防御効果が付いたローブを羽織り立っています! そして小さく息を吸うと目を閉じて小さい声で詠唱を始めました。
ノート兄様を中心に足元から青白い光と共に魔法陣が浮かび上がります。おおっと! これは!? 最初に杖を出すようですね。
ノート兄様が右手を掌を上にしてゆっくりと水平に差し出すと、掌から少し上の空間からエメラルドグリーンの大きな魔石が付いた杖がゆっくり姿を現します。
何という中二心をくすぐる光景なのでしょう! これができるのは、ステンベルヘン広しと言えどノート兄様だけなのです。
この杖は賢者の杖と呼ばれ使用する人間を選ぶのだそうです。そして杖に選ばれた者は王宮筆頭魔術師として将来を約束されるのだそうですよ。流石ノート兄様! 弱冠十一歳にしてスーパーエリートです! 素敵です。 イケメンです!
賢者の杖は今はノート兄様の身長より長いのですが、もう少しすればゲームのスチルのように杖が肩ぐらいになるまで身長が伸びて、長く伸ばしたハニーブロンドを緩い三つ編みにまとめ前にたらし、蔦の意匠を金糸で刺繍した真っ白なローブを着て優しく微笑むのでしょうね。眼福ですね。楽しみです。
「アンネ、こちらに」
ノート兄様に呼ばれ、二、三歩離れた場所にノート兄様と向かい合って立ちます。
「じゃ、アンネの波長に合うドラゴンを召喚するよ。いつも循環させている魔力を鳩尾に 集中させて頭の中で自分の言葉でドラゴンを呼ぶんだ。補助は僕がするから信用してね?」
「もちろん、ノート兄様の事は信用しています! 呼びかける言葉に言っていけないモノとかありますか?」
「特にないよ。アンネの自由でいい」
「解りました」
「じゃあ向こうを向いて、魔力循環の感覚で鳩尾に魔力を集中させて。始めるよ」
「はい」
背中、鳩尾の裏側にノート兄様の温かい手が添えられます。私は目を閉じて血液の流れと同じように魔力が流れていくのを想像します。心臓から始まり動脈を通って手足へ、その後静脈を通って鳩尾に集まるのを感じた時、鳩尾がふわっと温かくなった気がしました。
「召喚呪文の詠唱を始めるよ。アンネの足元を中心に魔法陣が開かれるから、そうしたら呼びかけを始めるんだよ」
「はい」
ノート兄様の声が小さく聞こえます。なんて言っているのかわかりませんが、緊張しますね! と、足元に魔法陣が現れました! 緑かかった白色に光っています。さあ、呼びかけますよ!
「私は私と一緒に歩み、笑い、空を駆ける友を望みます。私の夢の実現に協力して欲しい。代わりに私の作る料理を好きなだけ食べていい。たまに感想を言ってくれると嬉しいけれど、多くは望みません。笑顔で食べてくれればいいです」
後ろで吹き出したような音が聞こえたけど、そう言えば口に出してたわ。私。ええぃ無視だ無視。
「私と友達になってくれるドラゴンさん! いたら私に応えて!」
「はーい!」
「連れてきたわよ! ノル!」
今、二人分声がしなかった?
目を開けると魔法陣の光は止み、そこにはノート兄様と同い年位のシンプルなノースリーブの白いワンピースを着た白銀の髪とエメラルド・グリーンの瞳の女の子と私と同い年くらいの白いシャツと黒いズボンに黒のローブを羽織った黒髪と黄金の瞳を持つ少年が立っていました。
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