転生悪役令嬢は悪魔王子をスルーしてカフェオーナーになりたい

和気 藹

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領都フルネンディク

17 変なのに絡まれる

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 ――君は? ――
 ――どうして? ――
 ――ここに居るの? ――
 ――あなたは? ――
 ――どうして? ――

 ――君は? ――
 知らないよ。raison d'etreレゾン・デートルなど、自分が生きていれば必要ない。

 ――どうして? ――
 私に対して語れるのは私の一面を知る私以外の人間なのだから。私を語られるその時間さえも有限なのだから。

 ――ここに居るの? ――
 私が知りたいよ。ここにあるのは、全てに等しくある自由と責任と不条理のはずだから。

 ――あなたは? ――
 あなたは私に責任以外の何を求めてるの? 不条理?

 ――どうして? ――
 私に責任を求めるなら、等価交換で私の望む自由をください。


 ――へぇ、自由ね。そんなもので腹が膨らむとでも? 人は獣だよ。腹が一杯になって安心する寝床があって初めて理性を持つ獣だよ? ――
 それが? 何? 生きる為に生きるモノを糧とするモノは全て獣だわ。いるかどうかは解らないけど、神とやらの下には精霊だって元素だかマナだか人間の魔力だかを取り込んで存在している獣なのだから。

――へぇ、そんな事言われたの初めてだよ――
 その「へぇ」って人を馬鹿にしたような言葉使いやめてくれないかな? 誰かを思い出して、不愉快だわ。

――誰か? ――
 私の夢と自由を奪う不条理の象徴。

――それは無理だろうね――
 そうかもね。不条理を受け入れるのに人間はそれを愛とか情とか神の心にあてはめるけれどね。私はそんな言い訳はしたくないかな。
 ところで、あなたの宿主は私の何を知りたいの?

――! 目覚めていたのか! ――
 自由をください、辺りからかな。あなたが何なのか追及する気はないけれど、あなたの宿主に伝えて。他人の本質を知りたかったら自分の本質をさらけ出す覚悟で来なさい。と。

――了解した――



 意識が、ゆっくりと先程までいた処から自分の体に戻るような、浮上するような、そんな覚醒の感覚とともに、目を開けると自室の天蓋ベッドの天井が目に飛び込んで来ます。
 気怠い上半身を起こし、しばし茫然と記憶を手繰ると、ファフニールと契約した後に気を失ったことを思い出しました。

 廻りを見渡しても窓に分厚いカーテンが引かれ、外の様子はわかりません。
 今何時なんだろう? そろそろとベッドから足を下ろし立ち上がってみると、まだフワフワした感覚が残っていますが、他に異常はなさそうです。

 若い丈夫な体っていいわね。前世の体なら寝すぎで関節がギシギシいって痛くて寝れなかったのに。
 大きく伸びをしてからベッドサイドテーブルにある呼び鈴を鳴らすと、ノート兄様とメイド長のヨハンナが部屋に飛び込んできました。
「アンネ! 大丈夫?」
 ノート兄様にギュウギュウ抱きしめられ、安堵のため息が出ます。
「ノート兄様、ご心配をおかけしました。マリアンネ復活しました」
「心配したよ! 二日も目が覚めないんだから!」
 おおぅ、私そんなに寝てましたか。結構危なかったんですね。夢の中で変なのに絡まれていたしね……。
「ノート兄様! 次は寝込まないようにもっと修行したいです! 色々教えてくださいませ!」
 抱きしめられながらノート兄様を見上げてにっこりと微笑むと、ノート兄様も笑い返してくれました。
「お安い御用だよ、がんばろうね、アンネ。でも無理は禁物だよ?」
「はい! 大好き! ノート兄様!」

 ヨハンナが私達を交互に見て「やれやれ……」とため息をつきました。


◇◆◇◆◇◆

 ひいぃ……いきなり梅雨が明けてしまいましたね……。溶けそうです……。皆様ご自愛を。
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