転生悪役令嬢は悪魔王子をスルーしてカフェオーナーになりたい

和気 藹

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領都フルネンディク

18 カフェスイーツ必須のアレ2

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 魔力切れを起こした後に魔法の練習をすると魔力量が上がるとノート兄様のアドバイスをもらい、復活してから一週間、魔法の練習を急遽することになりました。正しくは違うけど充電池のメモリー効果みたいだな……と心の中で思いつつ、魔法の勉強はしたかったので二つ返事で行うことになりました。

 本当は簿記の講習を行う予定だったのですが……イザークの明らかに落胆した顔に少し罪悪案を覚えましたが、あらかじめ作っておいた勘定科目一覧を渡し、最もよく使われる費用だけでいいので覚えておくように、と指示を出したところ、喜んで帰って行きました。
 宿題を喜ぶ大人。
 大人でも子供でも向学心のある人は好きですよ。はい。

「……で、なんで厨房で魔法の練習を?」
「NYカップケーキを作りたいので風の魔法でイタリアン・メレンゲを使ったバタークリームを作りたいからです!」
「……魔法を使いたいのは料理の為?」
「はい! あと材料を冷やす冷却魔法が使えるようになりたいです!」
 ノート兄様ががっくりと項垂れています。どうしたのでしょうか?
「魔法の修行を料理でって……どれだけ予想外なんだ……まぁ、物騒なものでもないから良いか……」
 ノート兄様立ち直り早いです! 流石です! 褒めてるんだよ? ホントに。
 水と黒砂糖を火にかけシロップを作り熱いまま一旦インベントリに収納した後、卵を黄身と白身に分けて白身に砂糖と一緒に小さなボウルに分けて入れていきます。

「じゃあ、手本を見せるね」
 ノート兄様が手のひらを下に向け卵白が入ったボウルの上にかざすと、ふわんと強めの風がボウルから吹きだしたと思ったらもうメレンゲができてました。ちょっと、早すぎではありませんか? まぁ、高速で作った方が滑らかで泡がつぶれにくく溶けにくいメレンゲができるんですがね。
「申し訳ありませんが、よく見えなかったのですが……?」
「あぁ、ごめん、いつもの癖で……」
 そう言ってニヤリと笑うノート兄様。あっ、からかわれた? まぁいいや、笑ってスルーしておこう。そんなことより魔法だ。魔法。
「ゆっくり説明しながらお願いしますね?」
 そう微笑んで、さっさと完璧な出来のメレンゲのボウルをインベントリに収納し新しい卵白と砂糖が入ったボウルを取り出します。
「わかったよ、降参。まず、魔力循環の容量で、利き手の掌に魔力を集め、魔力の渦を作ってボウルの中に入れて卵白と砂糖が混ぜるんだ。濃厚卵白は後でダマになるから切るように混ぜる。その後小さな魔力の渦をいくつも作ってボウルの中に入れると、完成。だから最初に掌に魔力を集めて魔力の渦を作る練習だね」
「解りました! じゃあバターを練るようにしますね!」
「えっ?」
「イタリアン・メレンゲのバタークリームはバターを練っておかないとメレンゲとうまく混ざりませんから!」
「……やってごらん……」
「はい!」
 室温に戻しておいたバターを切り分けいくつかの小さなボウルに入れ準備完了。
 そして、魔力循環の要領で集めた魔力を掌に移動して、渦を作ってボールに入れる!

 ビシャン!

 大きな音がしてバターがはじけ飛びました。咄嗟にノート兄様が風魔法でしぶきを抑え込んでいてくれたので周りは大惨事にならなくて済みました。ありがとうございます。
「魔力の集める量が多すぎたね。今の半分以下でやってごらん」
「はい!」
 よし、次だ次。

 今度はさっきより魔力を少なくして小さな渦を……
「……今度は少なすぎだね?」
 空気を含んて白っぽくなったところと、バター色のところに分かれてしまいました。
「うう、難しい。今日中にメレンゲは作れるようになるのかな?」
「頑張るしかないね。今回は魔力切れ前にストップをかけるから、安心していいよ」
「はい……はい! 頑張ります!」



 用意したバターと卵白が全て上手く撹拌できるようになった頃、やっぱり私は魔力切れで気を失ったのでした。
 やっぱり、このオチでしたか……。


◇◆◇◆◇◆
 よく聞くけどよくわからないビジネス用語

 勘定科目;取引の内容を端的に表した名前のこと。勘定科目は、「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」に分類される。

 費用;期中最もよく使われる科目。会社が収益を得るためにかかる必要経費のこと。役員報酬(役員の給与)、従業員給与(社員の給与)、通信費(電話・携帯電話代)、水道光熱費(水道・電気・ガス代)、接待交際費(取引先との会食他)などがある


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