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恋
002・・・輝緑
しおりを挟む懐かしい曲が耳をくすぐる。
まだ未来を信じていたあの頃、お気に入りの曲に何度も胸を締め付けられた。
「いい歌あるよ、聴く?」
渡されたイヤホンから流るる音に耳を澄ます。
「この歌、知ってる。いいよね」
「なんだ、知ってたのか」とさりげなく外された片方のイヤホン。
青空の眩しさ舞う芝生の上で二人、音を分け合った。
優しく甘い繊細なウィスパーボイスが、切ない不安を揺さぶってくる。
ふと触れてしまった指先を急に離すのは意識し過ぎてるみたいだから、そのまま瞼を閉じた。
そよぐ風にのった輝く緑の香りが、惑わしの儚い恋の痛みを癒してくれる。
不意に瞼の向こう側の淡い光の中へ影が落ちてきたので、気付かれないように躰を硬くした。
チャイムが時を切り裂くように鳴り響く。
何も無かった振りして教室へ走った。
ひたむきな囁きよりも嘘の恋が叶うと信じていたあの頃。
もう未来を諦めた眠れぬ夜の瞼の裏へ浮かぶのは、触れずに透り抜けたためらう唇。
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