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07 泡沫の月夜
その2
しおりを挟む首筋から広がるように熱くなったカラダはベッドの上へ誘われる。
押し倒されたカラダが白いシーツの上で軽く跳ね上がり、淡い光に照らされた白い波をつくりだす。
少しまくり上げた白いワイシャツの袖口から伸びたたくましい腕がゆっくり影をつくりだし、大きな手のひらが火照る頬を柔らかい羽で撫でるように触れてくる。
ヒヤリと冷たい手のひらが、なんだか淋しい。
それでも見降ろしてくる瞳をジッと見つめ返すと、男はちょっと照れたような困ったような顔で微笑むものだからお腹の下の方がキュンと切なくなってくる。
頬をなぞっていた指先が顎先まで達するとふわりと飛び立ち、ブラウスの胸元の一番上のボタンへ降りついた。
嵐の中の白波のようにブラウスが浮かんでは沈み沈んでは浮かびとせからしく揺れ動いているというのに、たわいもなく一つ目のボタンは外される。
鼻先まで近づいた煙草とお酒の混じり合った香りをもっと深く感じたくて瞼を閉じていたとしても、額へ軽く触れてきたのは男の唇だと分かる。
二つ目のボタンへ男の指先が触れたとき、夜を切り裂くようなけたたましい音が鳴り響いた。
そっと開けた瞼の隙間には、ボタンへかけていた指を止めた男が身体をくるりと転がし仰向けになって枕元に置いてある電話へ腕を伸ばす姿がどこか空々しく映る。
「はい」
「ああ……、今日はちょっと仕事がゴタついていて遅くなりそうだから、泊まりになると思う」
「は~い。は~い」
ついさっきまでイルナの額に置かれていた唇から発せられる陽気な声によって、カラダの熱はずるずるとひいてゆき、代わりにザラついたものがまとわりついてくる。
憂いに侵食されてしまう前に「誰から?」と何でもないことのように平静を装い尋ねた。
あるのかないのか分からないような刹那の沈黙の後、「家から」とボソリと呟くような返事が返ってきた。
「大丈夫なの?」と勝手に出てしまった言葉を自分の耳で聞きながら、棘を含んだしらじらしい響きになっていなかったかと不安が揺れる。
「大丈夫だよ。今日はイルナと泊まるから……」と何が大丈夫だと言いたいのか分からないが、男の指先はブラウスのボタンの下へ下へと伸びてゆく。
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