ばあちゃんの豆しとぎ

ようさん

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葬儀後の招かれざる珍客 2

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 突然、驚いたように飛び起きたその人に、こっちの方がびっくりした。至近距離でおじさんおばさんが大騒ぎしているのにも関わらず、マイペースで爆睡後に目覚めたその男の人は、髪の毛はボサボサで無精髭だらけだったが、思ったより若そうに見えた。

「あんたぁ誰だ。なぁしてこっただどごさいんばどうしてこんな所にいるんだ

 ホッとした叔父もプレハブ小屋の中に入り、その人に聞いた。

 その人は怯えたような、申し訳なさそうな表情で代わる代わる私達の顔を見比べては目を泳がせているーー予想外の相手の存在に、どちらも距離と間合いを計りかねている感じだ。

「地元の方ですか?どうしてこんな所にいるんですか?」

「いえ……その」

 私が見かねて追加質問をすると、その人は初めて合点したように頭を下げた。

「ご迷惑をかけてすみませんでした」

 と言い、荷物をまとめて出て行こうとする。言葉は標準語だった。

「いやいや、『ご迷惑』も何も、なぁしてこつただどござ寝でだがどうしてこんなとこに寝ていたのか聞いでんだ」

下手ぁせぇば死ぬんでえ下手をすれば死ぬんだよなぁしたが喋ってげ何があったか話していきなさい

 散らばっていた物を手際よくリュックにまとめる手を止め、その人は困った表情で私の方を見たーーえ、通訳必要?

「あの、私達、昨日が祖母のお葬式だったんです。今朝はお墓参りに来てて……あなたがこんな場所で……ええと、あっ、この小屋は共同墓地の物置小屋で、この人達は私の父と叔父なのですが……凍死してもおかしくない場所で人が寝泊りしていたのに驚いて、心配しています」

 私までしどろもどろ、挙動不審全開で文章が上手くまとまらない。

「それは、ごしゅうしょうさまです」

 青年はボソリと呟いて頭を下げた。何だか少しズレている感じは否めないし、通訳を要請する時以外誰とも目を合わせようとしないーーが、そこまで悪い人では無さそうな気はする。

「地元の方ですか?」

 下を向いたまま首を横に振る。

「もしかして、ホームレスさんだが?」

 父……もう少し他に言い方……

「いいえ。旅行中で……北海道に……」

 果たして青年はそれだけ言うと下を向いたまま黙り込んでしまい、リュックを抱えたまま何も話さなくなってしまった。
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