7 / 30
心の変化
しおりを挟む
歓迎会から数週間。
「ねぇ、勇気。」
「あー?
なに?」
「寝よ?」
「美咲さー。
俺には愛美がいるって知ってるだろ?」
「愛美から聞いたよー。
最近やってないって。
飽きたんでしょ?」
「ウゼーよ。
俺の勝手。」
「最近変よ、勇気。
チャラ男が今さらー。」
「話終わり?
俺帰る。
じゃ。」
「えっ?
勇気っ!」
勇気はその場から離れた。
*
「ただいまー。」
「やだー。
優馬ってばー。」
「これしないとダメなの。」
「なんだ?
賑やかだな。」
「あ。
勇気。」
「おかえり。
勇気。
最近早いな。」
優馬とあたし、笑顔で勇気を迎える。
「それより手握り合って何やってんだよ。」
勇気は何故かちょっと怒ったように言う。
「可憐が包丁で指切ってそれの消毒してるんだ。」
「痛ーっ!」
「ばんそうこう貼れば終わり。」
「包丁?」
「うん。
晩飯の準備手伝うってきかねーから。」
「ふーん。
そ。
で?
飯は?」
「今から作る。
勇気手伝えよな。」
「分かったよ。」
「あたしも。」
「ダメ!
可憐は待ってな。」
「はーい。」
あたしはしょんぼり待つことになった。
*
「きゅうりも切れないって。」
勇気はサラダをつまみながら言う。
「だって、やったことないんだもん。」
あたしはほうを膨らます。
「明日から教えてやる。」
勇気は仏頂面で言った。
「えー!
勇気が?
優馬の方がいい。」
「なんだよ?
貴重な時間をお前にさくんだ。
優馬は忙しいの。
教えてやるだけありがたいと思え!」
「分かったわよ。」
「きちんと教えてね?」
「分かってるよ。」
「きちんとだよ?」
「しつけーな!
料理は優馬より俺の方が得意なの!」
「えー?
本当?」
あたしは笑う。
「あのなー!
きゅうりも切れない奴に言われたかない。」
あたしと勇気の会話を聞いて優馬は笑っている。
*
「じゃ、俺は出掛けてくるから。
可憐を頼む。」
優馬は19歳。
あたしよりは年上だが、生活費を稼ぐため、あの歓迎会をしたバーで働いている。
「ねぇ、勇気?」
「なんだよ。」
「優馬は19歳って言ってた。
勇気は何歳なの?」
あたしはいたづらっぽく聞いてみた。
「あー?
18かな。」
「かなってなによ?」
「丁度今日18になったから。」
「え?
じゃあ今日誕生日なの?」
「まーな。」
「愛美さんと会わなくていいの?」
「、、、。」
「あたし大丈夫だよ?
記念日は愛する人と一緒にいたいんじゃ?」
「俺、可憐に愛美のこと言ったっけ?」
「夢見はなんでもお見通し!
優馬にもいつみさんって言う愛する人がいるもんね。」
「お前ってさ、、、。」
「なによ?」
「まーいいけど。」
「なによ?
言いたい事があるなら言いなさいよ。」
「今日は愛美には会わなくていい。」
「え?」
「昼飯の買い出し行くぞ。」
「う、うん。」
あたしは戸惑いながら返事をした。
*
「うわぁー。
賑やかぁー。
人がたくさん!」
あたし達は市場に来ている。
「お前が貿易しろって言ったんだろが。」
「うーん。
そうなんだけど。」
ここは商人達が舟で来ていろいろなものを売っている。
「だいたい買い出し済んだな。
帰るぞ。」
「うーん。」
あたしは生返事。
「お嬢ちゃん、どうだい?」
「うわぁー。
かわいい!」
1人の商人があたしに声をかけた。
髪止めがたくさん並んでる。
「可憐!
もう帰るって、、、。」
「うーん。」
あたしにまたもや生返事。
「かわいいなー。
欲しいなー。」
「あのなー。」
「分かってるよ。
帰ろ。」
あたしは一つの事を決めていた。
*
「違う違う!
左手は猫の手にして包丁は前に動かすの!」
「うー。」
あたし達は家に帰ってお昼の準備。
「あーもう!
まどろっこしい!」
いきなり勇気はあたしの後ろにまわり、あたしの手に触れた。
「なっ!」
「こうしてこう。」
「、、、っ!
ちょっと近いよ!」
「こうしないと覚えないだろ?」
「だって、、、!」
「うるさい。
集中しろ!」
「こう?」
「そうそう。」
「ねぇ。」
「あー?」
「あたし働きたい。」
「違う違う!
猫の手だって。」
「分かってるわよ。
それより、、、。」
「働くのはダメ!
だいたい料理すらまともにできない奴に何ができるんだよ。」
「それは、、、。
そうだけど。」
「ほら出来た。
食ったら寝ろ。
俺出掛けてくるから。」
今日のお昼は冷やし中華。
きゅうり切っただけ。
あーあ。
あの髪止め欲しかったのに。
いい考えだと思ったのにな。
勇気は食べると出掛けて行った。
なんだかんだ言って愛美さんと会うんじゃない。
さーて。
寝よう。
夢見は普通の人より寝る時間が多い。
よくよく考えてみれば働くのは難しい。
あたしはため息をついて眠りの世界へ落ちて行った。
「ねぇ、勇気。」
「あー?
なに?」
「寝よ?」
「美咲さー。
俺には愛美がいるって知ってるだろ?」
「愛美から聞いたよー。
最近やってないって。
飽きたんでしょ?」
「ウゼーよ。
俺の勝手。」
「最近変よ、勇気。
チャラ男が今さらー。」
「話終わり?
俺帰る。
じゃ。」
「えっ?
勇気っ!」
勇気はその場から離れた。
*
「ただいまー。」
「やだー。
優馬ってばー。」
「これしないとダメなの。」
「なんだ?
賑やかだな。」
「あ。
勇気。」
「おかえり。
勇気。
最近早いな。」
優馬とあたし、笑顔で勇気を迎える。
「それより手握り合って何やってんだよ。」
勇気は何故かちょっと怒ったように言う。
「可憐が包丁で指切ってそれの消毒してるんだ。」
「痛ーっ!」
「ばんそうこう貼れば終わり。」
「包丁?」
「うん。
晩飯の準備手伝うってきかねーから。」
「ふーん。
そ。
で?
飯は?」
「今から作る。
勇気手伝えよな。」
「分かったよ。」
「あたしも。」
「ダメ!
可憐は待ってな。」
「はーい。」
あたしはしょんぼり待つことになった。
*
「きゅうりも切れないって。」
勇気はサラダをつまみながら言う。
「だって、やったことないんだもん。」
あたしはほうを膨らます。
「明日から教えてやる。」
勇気は仏頂面で言った。
「えー!
勇気が?
優馬の方がいい。」
「なんだよ?
貴重な時間をお前にさくんだ。
優馬は忙しいの。
教えてやるだけありがたいと思え!」
「分かったわよ。」
「きちんと教えてね?」
「分かってるよ。」
「きちんとだよ?」
「しつけーな!
料理は優馬より俺の方が得意なの!」
「えー?
本当?」
あたしは笑う。
「あのなー!
きゅうりも切れない奴に言われたかない。」
あたしと勇気の会話を聞いて優馬は笑っている。
*
「じゃ、俺は出掛けてくるから。
可憐を頼む。」
優馬は19歳。
あたしよりは年上だが、生活費を稼ぐため、あの歓迎会をしたバーで働いている。
「ねぇ、勇気?」
「なんだよ。」
「優馬は19歳って言ってた。
勇気は何歳なの?」
あたしはいたづらっぽく聞いてみた。
「あー?
18かな。」
「かなってなによ?」
「丁度今日18になったから。」
「え?
じゃあ今日誕生日なの?」
「まーな。」
「愛美さんと会わなくていいの?」
「、、、。」
「あたし大丈夫だよ?
記念日は愛する人と一緒にいたいんじゃ?」
「俺、可憐に愛美のこと言ったっけ?」
「夢見はなんでもお見通し!
優馬にもいつみさんって言う愛する人がいるもんね。」
「お前ってさ、、、。」
「なによ?」
「まーいいけど。」
「なによ?
言いたい事があるなら言いなさいよ。」
「今日は愛美には会わなくていい。」
「え?」
「昼飯の買い出し行くぞ。」
「う、うん。」
あたしは戸惑いながら返事をした。
*
「うわぁー。
賑やかぁー。
人がたくさん!」
あたし達は市場に来ている。
「お前が貿易しろって言ったんだろが。」
「うーん。
そうなんだけど。」
ここは商人達が舟で来ていろいろなものを売っている。
「だいたい買い出し済んだな。
帰るぞ。」
「うーん。」
あたしは生返事。
「お嬢ちゃん、どうだい?」
「うわぁー。
かわいい!」
1人の商人があたしに声をかけた。
髪止めがたくさん並んでる。
「可憐!
もう帰るって、、、。」
「うーん。」
あたしにまたもや生返事。
「かわいいなー。
欲しいなー。」
「あのなー。」
「分かってるよ。
帰ろ。」
あたしは一つの事を決めていた。
*
「違う違う!
左手は猫の手にして包丁は前に動かすの!」
「うー。」
あたし達は家に帰ってお昼の準備。
「あーもう!
まどろっこしい!」
いきなり勇気はあたしの後ろにまわり、あたしの手に触れた。
「なっ!」
「こうしてこう。」
「、、、っ!
ちょっと近いよ!」
「こうしないと覚えないだろ?」
「だって、、、!」
「うるさい。
集中しろ!」
「こう?」
「そうそう。」
「ねぇ。」
「あー?」
「あたし働きたい。」
「違う違う!
猫の手だって。」
「分かってるわよ。
それより、、、。」
「働くのはダメ!
だいたい料理すらまともにできない奴に何ができるんだよ。」
「それは、、、。
そうだけど。」
「ほら出来た。
食ったら寝ろ。
俺出掛けてくるから。」
今日のお昼は冷やし中華。
きゅうり切っただけ。
あーあ。
あの髪止め欲しかったのに。
いい考えだと思ったのにな。
勇気は食べると出掛けて行った。
なんだかんだ言って愛美さんと会うんじゃない。
さーて。
寝よう。
夢見は普通の人より寝る時間が多い。
よくよく考えてみれば働くのは難しい。
あたしはため息をついて眠りの世界へ落ちて行った。
0
あなたにおすすめの小説
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
卒業パーティーのその後は
あんど もあ
ファンタジー
乙女ゲームの世界で、ヒロインのサンディに転生してくる人たちをいじめて幸せなエンディングへと導いてきた悪役令嬢のアルテミス。 だが、今回転生してきたサンディには匙を投げた。わがままで身勝手で享楽的、そんな人に私にいじめられる資格は無い。
そんなアルテミスだが、卒業パーティで断罪シーンがやってきて…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる