蓮華の花言葉

kinmokusei

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武道大会

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雲の上。

何故か勇気と優馬が戦っている。

民達は歓声を上げ、それを見ている。

勝者には、、、。

あたしはそこで目が覚めた。


「あー。
もうそんな時期か。」

優馬が笑う。

「そんな時期?」

「頭領決めの大会だよ。
1年に一度やるんだ。

去年は俺が負けた。
だから今の頭領は勇気。」

「ふーん。

それでその勇気は夕食にも帰って来ないで何やってるのかしらね?」

「今までが珍しかったんだよ。

2日、3日帰って来ないことの方が多いくらいだったから。」

「せっかくの誕生日祝いなのに。」

「さみしいか?」

「は?
そ、そうじゃないわよ!

あたし寝る。」

あたしは慌てて自分の部屋に戻った。





この村は、だいたい14歳から20歳位の若者しかいない。
父王が奴隷として大人をみんな売ってしまったからだ。

武道大会かー。

村人は100人くらい。
そのうち半分が女の子だ。

武道大会に参加できるのは男だけ。
でも反乱で勝っただけのことはあり、みんな強い。

その中で勇気と優馬は飛び抜けて強い。

2人の真剣勝負。

ちょっと興味がある。

でも夢見だからあたしはその結果を分かってしまうかもしれない。

今日の夢では分からなかったけど。

でもあれは多分決勝戦。

勇気と優馬が戦っているところだった。

あーあ。
夢見ってつまらない。
未来が先に分かってしまうんだもの。

それに。

あたしの死。

それは10歳の時の初めての未来予知だった。

人を愛した時それは訪れると。

その時は近い。





人を愛するとはどういうことなのだろう。

始めは自分の予知が当たるとは思ってなかった。

でも当たっていくにつれ怖くなっていった。

父王は自分の王座を守りたいがためにあたしを監禁した。

でもそれもあたしの予知で自由になった。

あたしは死ぬ。

誰かを愛した時に。

できれば幸せでありたい。

人を愛するとは幸せなことなのだから。





ガッシャーン!!!

え!?

凄い物音であたしは飛び起きた。

あたしは階段を駆け下りて物音がした方に走った。

「何事?!」

植木鉢が割れている。
それにぶつかったのか、優馬が倒れている。

この音か。

しかし。

「兄貴、殺す気でかかってこないと俺は
倒せないぜ?」

優馬は起き上がり勇気を睨む。

「のようだな。
本気でいく!」

剣と剣のぶつかり合う金属の鈍い音が響く。

「何やってんのよ!」

「可憐か、今は声をかけないでくれよ!」

勇気がそう答えると、優馬は勇気に奇襲をかける。

勇気は倒れ、優馬の剣が襲いかかる。

「勇気!」

あたしは勇気をかばい優馬の前に立った。

「やめてよ!」

そこで優馬がやめた。

「朝から何なの?!」

「あーあ。
お前のせいだぞ?
可憐が声をかけるから。」

「だから何でこんなこと。
ケンカ?」

「違うよ、可憐。
武道大会の練習。」

それにしても派手にやったわね。

あたしは呆れ顔。
庭はめちゃくちゃ。

「可憐が起きるくらいだからな。」

優馬が笑った。





「まーたお前2日間寝てたんだぞ?」

「え。
そうなの?」

「なんかの予言か?」

勇気が気怠そうに言う。

「うーん。
ちょっとね。」

夢は見なかった。
ただ昔の予知で自分の死に方を誰かに言うとダメらしいという事は見ていた。

「未来が分かるっつーのもつまんねーだろ?」

そう。
悪ければ悪いほど。

あたしはは思ったが、口にしなかった。

「なんだよ、黙っちゃって。」

「勇気には分からないのよ。
夢見として生まれこれまでどんな思いであたしが生きてきたのか。」

「あー、分からないね。
いじけて自分の殻に閉じこもって。
周りがどれだけ分かろうと努力したってお前が心を開かなければ何も解決しない。
その努力した事あるか?
ないだろ?
甘えるのもいい加減にしろ。」

「、、、。」

「勇気!
言い過ぎだぞ。」

優馬がため息をついた。

「可憐。
自分だけが辛いと思うな。
俺らは親を売られ、生きていくのもままならない、そんな中で育った。
生きる希望も意味も考えたって答えがでなかった。
それでも空腹で生きていかなければならなかったんだ。
だから、、、。」

「父と母のせいだものね。」

あたしは優馬の言葉を最後まで聞かずさえぎった。

それを夢見で見ては父と母に告げこの村をこんなにしてしまうことになった。

「あたしだって好きで夢見をしている訳じゃない。
だからー」

死に方だって悪いのよ。

最後の言葉は言えなかった。

優馬が困った顔をする。

「決して責めている訳じゃないだよ?
ただ生きていかなければならない。
どんなに辛くても。」

あたしはたまらなくなった。

「あたしは死ぬわ。」

もうどうでもよかった。

「愛を知る時に死ぬの。

優馬や勇気に恋愛感情がなくても、それだけが愛じゃない。
あたしは心を閉ざしている訳じゃない。
ただ愛を知るのが怖い、、、。

もう16歳。
あたしに優しくしないで!
愛を教えないで!
あたしは、、、
あたしは死ぬのよ!」

カウントダウンが始まる。

言ってしまったもの。

もうとまらない。





「可憐。
俺らは可憐が好きなんだ。」

優馬が言った。

「恋愛感情としてだ。」

「え、、、?」

「兄貴!」

勇気が慌てる。

「可憐の気持ちは?」

優馬は優しく笑った。

「あ、あたしは、、、。」

いきなりのことで頭がついていかない。

その時勇気があたしに小さな箱を押し付けた。

「何?」

「欲しがってたから。
開けてみろよ。」

あたしは恐る恐る包みを開ける。

「これ、、、!」

髪止めだった。

「別に物でつろうってゆーわけじゃないけどな。」

あたしはいきなり睡魔に襲われた。

どサッ!

意識が遠のいていく。

「人を好きになるってどういうこと?」

あたしは呟いた。





「可憐!
可憐!」

「いつもと様子が違う。

少し熱があるようだ。

勇気!
医者の智也を呼んでくれ!」

「あ、あぁ、わかった!」

まさか死ぬ?
愛を知ったのか?

勇気はどうしようもなく動揺している自分にうろたえる。

初めて人を殺した時もこうだった。

落ち着け。
落ち着け。

勇気は自分に言い聞かせた。





「智也!」

「なんだぁ?」

勇気は黒ぶちメガネのマイペースな智也に少し苛立ちを感じる。

「急患だ!
今すぐ来てくれ!」

「ずいぶんと慌てているみたいだけど何かあったのかぁ?」

「いいから早く来い!」

智也は20歳。
この村最年長者だ。
そして唯一の医者。

「待て待て。
往診用のバッグがなきゃ。」

「早く!」

「はいはーい。」

勇気達の家から智也の家までは走って20分くらい。

可憐。
無事でいてくれ。

勇気は心から願った。





「兄貴!」

「あぁ!」

「可憐は?」

「ベッドに寝せて、、、。」

「智也!
こっちだ!」

帰るなり勇気や優馬は慌てている。

智也はあたしの状態をみる。

「今夜がやまかな、、、。」

「や、やま?」

勇気はしゃがみこむ。

優馬は厳しい顔をくずさない。

「、、、。」

すると。

「嘘だよ。」

智也が言った。

「あんまり真剣なんでさ、つい。」

ゴンっ!

「いてっ!」

優馬が智也にゲンコツをかました。

「真面目にやれ!」

「痛いなもう。
軽い冗談じゃないかー。」

「智也!」

勇気が怒鳴る。

「ハイハイ。
知恵熱だな。
なーに3日もすりゃ治る。」

「本当か?」

勇気と優馬は真面目な顔をして聞く。

「あぁ。
大丈夫。」

「本当に本当か?」

「しつこいな。
大丈夫だよ。
俺はこう見えて名医な事は知ってるだろが。

なんでそんな2人して慌てているんだ?
命に関わるみたいな、、、。」


勇気と優馬は顔を見合わせる。
そしてあたしの死の事について話した。





「愛を知ると死ぬか。」

智也は真面目な顔をして

「夢見とは、数千年に一度現れるか現れないかのとても珍しい人間なんだ。」

そう言った。

「その為夢見は天の子とも呼ばれている。
覚醒する時に自分の運命を告げる。
それが可憐の場合自分の死の事だったのだろうな。
夢見について知ってることはこれと、、、。」

「他にも何かあるのか?」

勇気が言った。

「夢見は未来を予知する。
悪用する奴が多い。
それを止めることができるのはもう一人の天の申し子。
そいつが現れているはずなんだが。

それと気になるのは熱。
そういう時には悪い未来予知があると言われているんだ。

あと夢見は殺すと呪いがかかるとか。

まー夢見については調べてもこれ以上は分からないと思う。
俺が調べてこれ以上の事は分からなかったんだから。」

智也はため息をついた。





カタンッ。

その物音に勇気、優馬、智也の3人が一斉にあたしの方を見る。

「可憐、、、。」

「武道大会は中止になる。
王との連絡が取れなくなって王族がこの村に現れる。
あたしをすぐに引き渡して。
そうしなきゃ死者が出る。」

「え、、、?
何だよ、急に。
それより体大事なんか?」

勇気が戸惑いながら言った。

「優馬が死ぬかもしれないのよ?」

「え、、、?!」

とにかくあたしをすぐに引き渡して。

「ちょっ、待てよ。
兄貴が死ぬって何だよ。
可憐?」

あたしはそれだけ言うと倒れた。

優馬はすかさずあたしを受け止める。

智也と一緒にあたしをベッドへ運ぶ。

「夢見だ。
未来予知だよ。」

リビングに戻ると智也が言った。


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