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聖なる宝玉の隠された力
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「相馬様からの連絡が途切れてから約二週間くらいになります!殺されたのでは?」
「相馬の力を忘れたか?奴は不死だ。死ぬ訳がない。」
「それでは捕まったのでは?」
若い兵士の言葉にバトラーは少し間を空けてから言った。
「ミイラ取りがミイラになるとい可能性もある。相馬、、、俺を怒らせることがどういうことになるかわからない訳ではないだろうに。」
バトラーの言葉にエイリアが付け加える。
「相馬も馬鹿な男。捕まったにしろ裏切ったにしろあたしたちには関係ないわよ。夢見さえ手に入れられれば聖なる宝玉で、、、ね?」
「そうだ。聖なる宝玉は願い石とも言われている。どんな願いも叶うと言う。ただ夢見だけしか扱えないがな、、、。まーいい。そのうち向こうからやって来るのだろう?待とうじゃないか。なぁ?」
「はっ!!」
若い兵士はお辞儀をしてバトラーの部屋から出て行った。
「いいの?」
エイリアが笑う。
「なにがだ?」
「聖なる宝玉の秘密バラして?」
バトラーも笑う。
「さっきの兵士はラバースから来た奴だ。裏切りには裏切りで返す。夢見に伝わればそれは争いの火種になる。人間とは汚い生き物だからな。」
若い兵士は聖なる宝玉の力を知った。
罠か?
忠誠の試しか?
ラバース王妃を守るために俺はいる。
バトラーからの直接の呼び出し。
そして聖なる宝玉の力の秘密を明かされた。
動き過ぎたか?
バトラーは俺を試している。
どこまでも狡猾で恐ろしい男なんだ。
若い兵士は颯爽と歩いて行く。
咲歩様。
待っていて下さい!
*
ラバースまであと二週間くらい。
勇気とは何かぎこちない。
愛美に悪いようで、あたしはあまり勇気に近づかないようにしていた。
「可憐。」
え。
「あたしは美咲。相馬とはどう?」
あー、そういえば相馬のことを勧められたっけ。
相馬の裏切りでなんだかあやふやになってたけど。
確か歳は18歳。
ウェーブがかった髪が肩まで伸びて、可愛らしい女の子である。
歳上だが、童顔のせいか見た目はあたしと同じくらいの歳に見える。
あたしがまじまじと見ていると。
「あたしの顔に何かついてる?」
なんて聞くもんだからあたしは慌てる。
「い、いえ。別に。」
「相馬は男にするなら優しくしてくれると思うよ?」
「はぁ。」
あたしは何か気が進まない。
「相馬に言って来てあげようか?可憐が好きだって言っているって。」
「い、いえ!いいです!!」
あたしは即座に答えた。
「可憐?勇気に恋したって不毛よ?愛美と付き合いながらあたしとも関係があるんだから。浮気性なのよ。苦労するだけよ。」
「別に、そういうわけじゃ、、、」
「相馬の方が絶対お勧めだからねー。」
そう言って美咲は去った。
勇気、、、。
浮気性か。
まぁそんな気はしてたけど。
ショックなのかな?
分からない。
勇気は何を考えているのか?
愛美と別れたのはあたしが好きだから?
ちょっと自意識過剰だったかな?
勇気の言葉を信じるか、美咲の言葉を信じるか、、、。
*
「可憐!」
呼びかけられてドキッとする。
あたしはそのまま背を向けて気付かないフリ。
「可憐?」
颯爽と現れとびきりの笑顔を見せる勇気。
ドキドキと心臓がうるさい。
「どうした?愛美のこと気にしてるのか?」
「別に、、、。」
あたしは勇気の笑顔に心臓が飛び出しそうだ。
「そう気にすんなって。俺はお前を嫁にする男だ!」
この言葉、、、。
夢見で見たとおりだ。
何が嬉しいのか勇気は笑顔を絶やさない。
「嫁なんて、、、」
あたしは真っ赤になってうつむく。
「もちろん聖なる宝玉を手に入れて母さんを助けてからだけどな。今の俺には怖いものなんてない!可憐が居てみんなが居て成功する未来しか見えない。」
こんなに嬉しそうな勇気は初めて見る。
だからマイナスのことを言うことはできなかった。
「成功したら結婚してくれよな!」
あまりに真っ直ぐであたしは、、、。
「な?」
コクリとうなずいてしまった。
結婚がどういうものかとかあたしの意思とかまるで考えていないように思えたが、勇気の笑顔が消えてしまうのが悲しくて。
それにあたしも勇気と結婚して幸せな家庭を築いていくのも悪くないなんてことを考えてしまって。
勇気の浮気性のことは完全に頭の中にはなかった。
美咲の見た勇気像と今の勇気は掛け離れている。
本気で好き?
聞いてみたいが、聞けない。
あたしは勇気の笑顔からその答えを見つけるのである。
これが恋と言うものなのだろうか?
*
「前方にラバース王国が見えます!」
「いよいよか。可憐は?」
「お休みになられております!」
勇気はそれを聞いてラバースの兵に見つからないように近くの島に船をつけるよう命じた。
「夢見を聞いてから行動に移す!」
「はっ!!」
その頃あたしは夢を見ていた。
ルテイン兵がたくさん。
捕まる。
兵の数では全然敵わない。
あっという間に捕まる。
咲歩様はどこ?
とても高い塔がある。
きっとあそこの最上階。
あたしは勇気と引き裂かれてしまう。
嫌だ!
あたしはそこで目が覚めた。
起きると側には勇気と相馬がいた。
「勇気!相馬!ラバースは危険だよ!みんな捕まえられちゃう。あたしみんなと引き離されちゃう!」
あたしは起きてすぐに夢見を伝えた。
「あぁ。聞いてた。作戦を練ろう。」
勇気はそういうけど。
「ダメ。この夢は避けられない。あたしはルテインに連れて行かれてしまう。1人は嫌!みんなも危険な目にあう。どうしよう、、、どうしよう。」
勇気はあたしの動揺をなだめるかのように言った。
「別行動をとるんだ。可憐は聖なる宝玉を手に入れること。俺たちは母さんを助けること。安心しろ。大丈夫だから。」
「そんな、、、あたしに出来るわけ、、、」
「大丈夫!離れていても俺たちは仲間だ。必ず助けに行く!信じろ!」
「でも、、、。」
不安だ。
あたし1人でできるだろうか?
「可憐。最初から諦めていたらうまくいく作戦もうまくいかない。諦めず立ち向かうんだ!」
勇気、、、。
強い眼差し。
大丈夫って言ってる。
あたしは、、、その眼差しを信じるしかなかった。
*
ラバース王国に船をつけるとたくさんの兵たちが矢を放ってきた。
矢の雨。
それをみんな剣で防ぐ。
あたしは危ないということで相馬と2人船の中に隠れていた。
「俺たちは闘いをしに来た訳ではない!!」
大きな声で勇気が怒鳴っているのが聞こえた。
程なくしてラバース兵たちが船の中まで押し寄せてきた。
夢見通りみんな捕まった。
あたしと相馬を見た瞬間、ラバース兵たちは驚いたようだった。
「リテール王、相馬様ではありませんか!それにそこの女。似顔絵通りだ。」
よく見ると手になにやら紙を持っている。
「お前夢見だな?」
夢見通りだったからかこういう時あたしは夢見を告げた時のように慌てることなく凛として答える。
「そうです。あたしは夢見です。」
「相馬様といいあいつらに捕まっていたのか?」
「いいえ。仲間です。」
兵たちはあたしの強い眼差しに少し動揺したようだったが、あたしは物怖じせずに言った。
「ラバース王妃を救いに来ました。」
「と、とにかく仲間というならば捕まえるぞ?相馬様、どういうことですか?」
相馬も同じく仲間だと言った。
「謀反だ!!捕らえろ!!」
こうしてあたしたちはみんなバラバラになってしまった。
でもみんなとは心で繋がっている。
臨機応変に対応して必ずルテインを撃つのだ。
みんなもそう思っているはず。
そうこうして半日が過ぎ、あたしは1人船の中。
船といってもあたしたちの乗ってきた船ではない。
あたしはルテイン王国へ連れて行かれるのだ。
まさに夢見通りの展開だった。
*
可憐、、、。
無事だろうか?
俺たちがいるのはやはり牢屋。
助かったのは勝が一緒だったことだ。
「勇気さん!待ってて下さいっす。鍵開けてみせるっすから。」
「あぁ。」
勝は可憐が渡した髪止めを作り変えている。
相馬も連れて行かれてしまった。
謀反人ということで。
拷問が待っているかもしれない。
大事なのはこれからどうやってラバース兵たちを味方につけるかだ。
可憐が言っていた。
母さんは高い塔の最上階に捕まっていると。
ここが何処なのか。
それすら分かっていない俺たち。
皆んなにはこうなることは伝えておいたからきっとみんななりに高い塔へ向かうことだろう。
離されたって俺たちは1人じゃない。
まだラバースに着いたばかり。
焦ったって仕方ない。
じっくりと調べて絶対母さんを助けてみせる。
そして可憐のところへ。
ただ気になっているのは何故可憐を狙うのかだ。
夢見とはいえ少し違和感を覚える。
何か理由があるのか?
それも調べる必要があるな。
あまり長居はできない。
だけど焦ってもいいことはない。
ラバース兵が母さんを助けようとしないのも気になる。
人質がいるのかもしれないな。
ルテインのやり方は気に入らない。
「おい!」
勝は髪止めをさっと隠して答える。
「なんすか?」
「飯だ。」
「これはこれはどうも。」
俺は気になっていたことを聞く。
「お前、ラバース兵か?」
「だったらどうだというんだ?」
兵は苛立ちながら言った。
「何故ラバース王妃を助けない?」
その質問に兵は更に苛立ちを露わにした。
*
「お前に答える義務はない!!」
兵は声を荒げた。
「本当にこのままでいいと思っているのか?ルテインは、、、」
勇気の言葉を遮ってラバース兵は怒鳴った。
「うるさい!!俺たちだってこのままでいいとはおもってない!みんな人質を取られているんだ!王妃の付き人がルテインにいる。夢見も捕まえた。聖なる宝玉を使って必ずラバース王国を再建させる!」
聖なる宝玉?
(あれは可憐の運命を変えられるだけじゃないのか?)
まさか!?
「聖なる宝玉の力とは何だ?」
「最近入ってきた情報だ。別名願い石とも言われ、どんな願いも叶えられるらしい。分かっただろ?俺たちはこの時を待っていた。ラバース復興も近い。」
ラバース兵はそのまま去っていった。
しかし。
願い石か、、、。
確か聖なる宝玉を扱えるのは夢見だけだ。
これで分かった。
どうして可憐を狙うのかが。
ラバース復興も大切だがそんないくつも願いが叶うとは思えない。
もしも願いが一つしか叶えられないのなら可憐の運命はどうなるんだ?
それに。
聖なる宝玉の秘密をこんなに早くラバース兵に漏れるなんて。
嫌な予感がする。
ルテインの手の上で踊らされているかのようだ。
ラバース兵だってバカじゃないだろうが、罠なのではないか?
まさか!?
俺たちとラバースを敵対させるのが目的か?
俺たちの願いとラバースの願いは違う。
それを嘲笑っているのか?
ラバースと同盟を結ぶ為には聖なる宝玉の力でラバース復興を願うしかない。
でもそれじゃあ可憐が、、、。
どうすれば、、、。
*
「大変だ!勝!ルテインの罠にまんまとはまって、、、って、おい!!」
勝はご飯にがっついていた。
「へ?ッゴホッゴホ。」
いきなり声をかけられ噎せる勝。
「飯食ってる場合か!」
「美味しくてつい、、、。すんません。」
「あのなー。」
やれやれという感じで勇気はため息をつく。
「で?罠ってなんすか?」
「あぁ。聖なる宝玉の力なんだよ。聞いてただろ?」
途端に真面目な顔をする勝。
「そうっすよね。俺たちと願いが違うっすよね。」
「なんだ。分かってるんだな?」
勇気が驚いた表情をすると。
「おいらだってそんなバカじゃないっすよ。」
顔にお弁当を付けて話す勝に、勇気はため息をまたつく。
「で?どうします?」
「今考えている。ようはラバースをルテインから救えばいいんだろ?タイムリミットは、、、1か月だな。」
可憐がルテインに着くのが1カ月後。
ラバースを味方につけ、ラバースを復興させたとルテインにいるという兵につたえてもらう。
勇気はいろいろ考えをめぐらせる。
「1ヶ月の間にラバース王妃を救うぞ!」
「鍵できたっす。」
「そうか。それならラバース兵が寝静まる夜に現在地の情報集めだ!」
勝は強くうなずき、
「とりあえず飯を食いましょう。」
そう言って笑う。
食べてみると確かに美味しい。
豊富な自然がそうさせるのか?
「酒も美味しいっすかね?」
「多分な。」
この王国。
豊かで科学が発展していた国。
それをルテインは台無しにした。
(許さない!!)
勇気は心の中でそう思った。
「相馬の力を忘れたか?奴は不死だ。死ぬ訳がない。」
「それでは捕まったのでは?」
若い兵士の言葉にバトラーは少し間を空けてから言った。
「ミイラ取りがミイラになるとい可能性もある。相馬、、、俺を怒らせることがどういうことになるかわからない訳ではないだろうに。」
バトラーの言葉にエイリアが付け加える。
「相馬も馬鹿な男。捕まったにしろ裏切ったにしろあたしたちには関係ないわよ。夢見さえ手に入れられれば聖なる宝玉で、、、ね?」
「そうだ。聖なる宝玉は願い石とも言われている。どんな願いも叶うと言う。ただ夢見だけしか扱えないがな、、、。まーいい。そのうち向こうからやって来るのだろう?待とうじゃないか。なぁ?」
「はっ!!」
若い兵士はお辞儀をしてバトラーの部屋から出て行った。
「いいの?」
エイリアが笑う。
「なにがだ?」
「聖なる宝玉の秘密バラして?」
バトラーも笑う。
「さっきの兵士はラバースから来た奴だ。裏切りには裏切りで返す。夢見に伝わればそれは争いの火種になる。人間とは汚い生き物だからな。」
若い兵士は聖なる宝玉の力を知った。
罠か?
忠誠の試しか?
ラバース王妃を守るために俺はいる。
バトラーからの直接の呼び出し。
そして聖なる宝玉の力の秘密を明かされた。
動き過ぎたか?
バトラーは俺を試している。
どこまでも狡猾で恐ろしい男なんだ。
若い兵士は颯爽と歩いて行く。
咲歩様。
待っていて下さい!
*
ラバースまであと二週間くらい。
勇気とは何かぎこちない。
愛美に悪いようで、あたしはあまり勇気に近づかないようにしていた。
「可憐。」
え。
「あたしは美咲。相馬とはどう?」
あー、そういえば相馬のことを勧められたっけ。
相馬の裏切りでなんだかあやふやになってたけど。
確か歳は18歳。
ウェーブがかった髪が肩まで伸びて、可愛らしい女の子である。
歳上だが、童顔のせいか見た目はあたしと同じくらいの歳に見える。
あたしがまじまじと見ていると。
「あたしの顔に何かついてる?」
なんて聞くもんだからあたしは慌てる。
「い、いえ。別に。」
「相馬は男にするなら優しくしてくれると思うよ?」
「はぁ。」
あたしは何か気が進まない。
「相馬に言って来てあげようか?可憐が好きだって言っているって。」
「い、いえ!いいです!!」
あたしは即座に答えた。
「可憐?勇気に恋したって不毛よ?愛美と付き合いながらあたしとも関係があるんだから。浮気性なのよ。苦労するだけよ。」
「別に、そういうわけじゃ、、、」
「相馬の方が絶対お勧めだからねー。」
そう言って美咲は去った。
勇気、、、。
浮気性か。
まぁそんな気はしてたけど。
ショックなのかな?
分からない。
勇気は何を考えているのか?
愛美と別れたのはあたしが好きだから?
ちょっと自意識過剰だったかな?
勇気の言葉を信じるか、美咲の言葉を信じるか、、、。
*
「可憐!」
呼びかけられてドキッとする。
あたしはそのまま背を向けて気付かないフリ。
「可憐?」
颯爽と現れとびきりの笑顔を見せる勇気。
ドキドキと心臓がうるさい。
「どうした?愛美のこと気にしてるのか?」
「別に、、、。」
あたしは勇気の笑顔に心臓が飛び出しそうだ。
「そう気にすんなって。俺はお前を嫁にする男だ!」
この言葉、、、。
夢見で見たとおりだ。
何が嬉しいのか勇気は笑顔を絶やさない。
「嫁なんて、、、」
あたしは真っ赤になってうつむく。
「もちろん聖なる宝玉を手に入れて母さんを助けてからだけどな。今の俺には怖いものなんてない!可憐が居てみんなが居て成功する未来しか見えない。」
こんなに嬉しそうな勇気は初めて見る。
だからマイナスのことを言うことはできなかった。
「成功したら結婚してくれよな!」
あまりに真っ直ぐであたしは、、、。
「な?」
コクリとうなずいてしまった。
結婚がどういうものかとかあたしの意思とかまるで考えていないように思えたが、勇気の笑顔が消えてしまうのが悲しくて。
それにあたしも勇気と結婚して幸せな家庭を築いていくのも悪くないなんてことを考えてしまって。
勇気の浮気性のことは完全に頭の中にはなかった。
美咲の見た勇気像と今の勇気は掛け離れている。
本気で好き?
聞いてみたいが、聞けない。
あたしは勇気の笑顔からその答えを見つけるのである。
これが恋と言うものなのだろうか?
*
「前方にラバース王国が見えます!」
「いよいよか。可憐は?」
「お休みになられております!」
勇気はそれを聞いてラバースの兵に見つからないように近くの島に船をつけるよう命じた。
「夢見を聞いてから行動に移す!」
「はっ!!」
その頃あたしは夢を見ていた。
ルテイン兵がたくさん。
捕まる。
兵の数では全然敵わない。
あっという間に捕まる。
咲歩様はどこ?
とても高い塔がある。
きっとあそこの最上階。
あたしは勇気と引き裂かれてしまう。
嫌だ!
あたしはそこで目が覚めた。
起きると側には勇気と相馬がいた。
「勇気!相馬!ラバースは危険だよ!みんな捕まえられちゃう。あたしみんなと引き離されちゃう!」
あたしは起きてすぐに夢見を伝えた。
「あぁ。聞いてた。作戦を練ろう。」
勇気はそういうけど。
「ダメ。この夢は避けられない。あたしはルテインに連れて行かれてしまう。1人は嫌!みんなも危険な目にあう。どうしよう、、、どうしよう。」
勇気はあたしの動揺をなだめるかのように言った。
「別行動をとるんだ。可憐は聖なる宝玉を手に入れること。俺たちは母さんを助けること。安心しろ。大丈夫だから。」
「そんな、、、あたしに出来るわけ、、、」
「大丈夫!離れていても俺たちは仲間だ。必ず助けに行く!信じろ!」
「でも、、、。」
不安だ。
あたし1人でできるだろうか?
「可憐。最初から諦めていたらうまくいく作戦もうまくいかない。諦めず立ち向かうんだ!」
勇気、、、。
強い眼差し。
大丈夫って言ってる。
あたしは、、、その眼差しを信じるしかなかった。
*
ラバース王国に船をつけるとたくさんの兵たちが矢を放ってきた。
矢の雨。
それをみんな剣で防ぐ。
あたしは危ないということで相馬と2人船の中に隠れていた。
「俺たちは闘いをしに来た訳ではない!!」
大きな声で勇気が怒鳴っているのが聞こえた。
程なくしてラバース兵たちが船の中まで押し寄せてきた。
夢見通りみんな捕まった。
あたしと相馬を見た瞬間、ラバース兵たちは驚いたようだった。
「リテール王、相馬様ではありませんか!それにそこの女。似顔絵通りだ。」
よく見ると手になにやら紙を持っている。
「お前夢見だな?」
夢見通りだったからかこういう時あたしは夢見を告げた時のように慌てることなく凛として答える。
「そうです。あたしは夢見です。」
「相馬様といいあいつらに捕まっていたのか?」
「いいえ。仲間です。」
兵たちはあたしの強い眼差しに少し動揺したようだったが、あたしは物怖じせずに言った。
「ラバース王妃を救いに来ました。」
「と、とにかく仲間というならば捕まえるぞ?相馬様、どういうことですか?」
相馬も同じく仲間だと言った。
「謀反だ!!捕らえろ!!」
こうしてあたしたちはみんなバラバラになってしまった。
でもみんなとは心で繋がっている。
臨機応変に対応して必ずルテインを撃つのだ。
みんなもそう思っているはず。
そうこうして半日が過ぎ、あたしは1人船の中。
船といってもあたしたちの乗ってきた船ではない。
あたしはルテイン王国へ連れて行かれるのだ。
まさに夢見通りの展開だった。
*
可憐、、、。
無事だろうか?
俺たちがいるのはやはり牢屋。
助かったのは勝が一緒だったことだ。
「勇気さん!待ってて下さいっす。鍵開けてみせるっすから。」
「あぁ。」
勝は可憐が渡した髪止めを作り変えている。
相馬も連れて行かれてしまった。
謀反人ということで。
拷問が待っているかもしれない。
大事なのはこれからどうやってラバース兵たちを味方につけるかだ。
可憐が言っていた。
母さんは高い塔の最上階に捕まっていると。
ここが何処なのか。
それすら分かっていない俺たち。
皆んなにはこうなることは伝えておいたからきっとみんななりに高い塔へ向かうことだろう。
離されたって俺たちは1人じゃない。
まだラバースに着いたばかり。
焦ったって仕方ない。
じっくりと調べて絶対母さんを助けてみせる。
そして可憐のところへ。
ただ気になっているのは何故可憐を狙うのかだ。
夢見とはいえ少し違和感を覚える。
何か理由があるのか?
それも調べる必要があるな。
あまり長居はできない。
だけど焦ってもいいことはない。
ラバース兵が母さんを助けようとしないのも気になる。
人質がいるのかもしれないな。
ルテインのやり方は気に入らない。
「おい!」
勝は髪止めをさっと隠して答える。
「なんすか?」
「飯だ。」
「これはこれはどうも。」
俺は気になっていたことを聞く。
「お前、ラバース兵か?」
「だったらどうだというんだ?」
兵は苛立ちながら言った。
「何故ラバース王妃を助けない?」
その質問に兵は更に苛立ちを露わにした。
*
「お前に答える義務はない!!」
兵は声を荒げた。
「本当にこのままでいいと思っているのか?ルテインは、、、」
勇気の言葉を遮ってラバース兵は怒鳴った。
「うるさい!!俺たちだってこのままでいいとはおもってない!みんな人質を取られているんだ!王妃の付き人がルテインにいる。夢見も捕まえた。聖なる宝玉を使って必ずラバース王国を再建させる!」
聖なる宝玉?
(あれは可憐の運命を変えられるだけじゃないのか?)
まさか!?
「聖なる宝玉の力とは何だ?」
「最近入ってきた情報だ。別名願い石とも言われ、どんな願いも叶えられるらしい。分かっただろ?俺たちはこの時を待っていた。ラバース復興も近い。」
ラバース兵はそのまま去っていった。
しかし。
願い石か、、、。
確か聖なる宝玉を扱えるのは夢見だけだ。
これで分かった。
どうして可憐を狙うのかが。
ラバース復興も大切だがそんないくつも願いが叶うとは思えない。
もしも願いが一つしか叶えられないのなら可憐の運命はどうなるんだ?
それに。
聖なる宝玉の秘密をこんなに早くラバース兵に漏れるなんて。
嫌な予感がする。
ルテインの手の上で踊らされているかのようだ。
ラバース兵だってバカじゃないだろうが、罠なのではないか?
まさか!?
俺たちとラバースを敵対させるのが目的か?
俺たちの願いとラバースの願いは違う。
それを嘲笑っているのか?
ラバースと同盟を結ぶ為には聖なる宝玉の力でラバース復興を願うしかない。
でもそれじゃあ可憐が、、、。
どうすれば、、、。
*
「大変だ!勝!ルテインの罠にまんまとはまって、、、って、おい!!」
勝はご飯にがっついていた。
「へ?ッゴホッゴホ。」
いきなり声をかけられ噎せる勝。
「飯食ってる場合か!」
「美味しくてつい、、、。すんません。」
「あのなー。」
やれやれという感じで勇気はため息をつく。
「で?罠ってなんすか?」
「あぁ。聖なる宝玉の力なんだよ。聞いてただろ?」
途端に真面目な顔をする勝。
「そうっすよね。俺たちと願いが違うっすよね。」
「なんだ。分かってるんだな?」
勇気が驚いた表情をすると。
「おいらだってそんなバカじゃないっすよ。」
顔にお弁当を付けて話す勝に、勇気はため息をまたつく。
「で?どうします?」
「今考えている。ようはラバースをルテインから救えばいいんだろ?タイムリミットは、、、1か月だな。」
可憐がルテインに着くのが1カ月後。
ラバースを味方につけ、ラバースを復興させたとルテインにいるという兵につたえてもらう。
勇気はいろいろ考えをめぐらせる。
「1ヶ月の間にラバース王妃を救うぞ!」
「鍵できたっす。」
「そうか。それならラバース兵が寝静まる夜に現在地の情報集めだ!」
勝は強くうなずき、
「とりあえず飯を食いましょう。」
そう言って笑う。
食べてみると確かに美味しい。
豊富な自然がそうさせるのか?
「酒も美味しいっすかね?」
「多分な。」
この王国。
豊かで科学が発展していた国。
それをルテインは台無しにした。
(許さない!!)
勇気は心の中でそう思った。
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