悪魔を惑わす喪女の甘言

南野うり

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「えー……それから、どうすれば……精気ってどう食べるの? とりあえず、えっちぃ事すればいんかな? それってどう…………まずは脱がすか」

 ぶつぶつと独り言を言いながら、紫色の毛に覆われた下半身に巻いてある布を解く。布を取り払い露わになったそこは、生殖器らしき部分とその周辺のみ体毛が生えていなかった。

「うおっ、ここだけツルツル……」

 何と無く手を伸ばし、そっと撫でてみる。人間の男であれば陰毛が生えているであろうその場所は無毛で、きめ細かく滑らかな手触りだ。

「ん……っ」

 くすぐったかったのか、人外の男の青い唇から僅かに声が漏れる。色を含んでいる訳でも何でも無いその声は、つむぎの肌をざわりと粟立たせた。

「っ……何これ……こいつが悪魔だから? それとも淫魔か……」

 紬はドクドクと早鐘を打ち始めた心臓を抑えるように、ぎゅっとパーカーの胸元を握り締めた。
 吸い寄せられるように顔を近付け、先ほど手で撫でた場所を舌でなぞる。そこはまるで風呂上がりのように無味なのに、何故か酷く甘美な味わいに感じられた。
 子猫がミルクを舐めるように、ぺろぺろと白い肌に舌を這わす。

「なんだこれ……なんだ、これ……ん……ちゅ……」

 自分の行動に戸惑いながら、彼女は気が付けば人ならざる美しき男の中心を口に含み、無我夢中で味わっていた。

「……っふ…………ぁ……は……」

 なすがままの男は朦朧もうろうとした意識の中でも快感を拾っているらしく、最初は柔らかかった部分も徐々に大きく硬く立ち上がり、悩ましげに顔を歪め時折甘い吐息を漏らしている。
 紬も、口の中で感じる弾力のあるスベスベした起立の感触と、耳から入ってくる水音や男の微かに喘ぐ声に刺激され、下腹部の奥が熱くなるのを感じていた。頭が沸騰しているかのように熱い。

「……う……うぅ……? ぁっ、うぁ……な、なんだ? 何が起きっ……あっ」

 紬に襲われている男が目を覚ましたらしい。状況が分からず混乱し、戸惑いと快感の声を上げている。

「ぁああ……っ、何をして……やめっ、ふぁ……」

 名残惜しそうに吸い上げ、先端から滲み出た塩気のある液体をゴクリと飲み込んだ紬は、ゆっくりと唇を離した。
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