2 / 4
2
しおりを挟む
スカートを捲ろうとした看守の指が太腿を掠めた瞬間、女は艶めかしい声を上げた。
この場に似つかわしくない甘ったるい声に、看守の手がピタリと止まる。
その隙きをつき、女が看守にしがみついて強引に唇を奪った。
「?!」
「は、は、あ、熱いの……お腹が、んっ」
白銅色はくどういろの目を見開く看守に、今度は深く口付ける。固まって動かない男の舌に舌を絡め、唾液を流し込む。彼がそれを飲み下したのを確認し、彼女は唇を離した。
「……虫の毒にやられたか」
看守の言葉に、女は内心ほくそ笑む。虫のせいと思わせられれば、たった今飲まされた物が何かを悟られずに済むからだ。
「医者か薬師を呼んでくる。待っていろ」
「あっ」
逃げられるかと焦った女だが、杞憂だった。立ち上がった看守は、牢を出ると鍵を閉め階段の方へ身体を向ける。いや、向けようとしたが出来なかった。
見る見るうちに彼の頬は上気し、汗が滲み始める。
「ぐっ……どういう、事だ……感染、するのか?」
力の抜けていく身体を支えるため牢の格子を握り締めるが、抵抗も虚しくズルズルと崩折れ、その場に膝をついてしまった。
「看守さんも、辛いの? はぁ、私も、なの……」
女は、我ながら迫真の演技だと思った。彼女は格子の隙間から手を伸ばし、看守の男の不自然に盛り上がった中心部を撫で上げる。
「うっ、ぐ……やめろ」
「だって、我慢できないのっ……おねがい……」
ファスナーのつまみ部分を細い指でつつくと、看守の分身がビクリと動き、勝手につまみが下がってきた。
追い打ちをかけるように女が膨らみに頬を寄せ、布の上から赤い舌を這わせる。
「っあぁ……」
更に質量を増した中身が、ついにファスナーを全開にさせ、ブルンッと飛び出す。
背は高く、それなりに身体に厚みはあるものの看守にしては細身な男だが、出てきたものはなかなかに立派であった。
女は水色の目を大きく見開く。一瞬にして顔を朱に染めた彼女は、ごくりと生唾を飲み込んだ。肩で切り揃えた薄茶の髪を耳にかけ、おずおずと舌を伸ばす。
「ンッ……は……」
初めてではないが、慣れてもいない。経験の少なさを物語る舌使いだ。しかし、強制的に性的興奮が高まった状態の男は、そんなぎこちない愛撫にも簡単に反応し、声を漏らす。
次から次に透明な液体が湧き出る先端の窪みに、女が舌先を押し付けた途端、白濁した悦楽の印が勢いよく噴射した。
「あ゛……ぐ、ぅ……っっ」
低く呻きながら、男は幾度かに分けて精を吐き出す。口を開いていた女は、喉に叩きつけられた粘液にむせて咳き込んだ。口内が、青い匂いで満たされる。
「げほっ、ゴホッゴホッ……」
「っ……はっ……はぁ……大丈夫、か?」
「だいじょぶ……はぁ、でも、まだ全然だね……私も苦しいの……触って?」
気遣う看守に、彼女の胸が僅かに甘く疼く。堪らず女は彼の手を取り、スカートの中へ導いた。
「ぁ……は……」
男の指が触れたそこは、既に布の上からでもハッキリ分かるほどに熱い。彼女自身は発汗作用のある薬以外飲んでいないが、無愛想な看守の乱れる姿に、つい本当に感じてしまったのだ。
今も、別に自分の身体を触らせる必要はないにも関わらず、我慢出来ずに男に触らせている。
「はぁ……ん、もっと……」
女はそのまま格子越しに、看守が精魂尽き果て気を失うまで容赦なく搾り取った。
横たわる看守の腰から鍵の束を取る。彼女は記憶を頼りに、鍵を選んで牢から出る事に成功した。
「……出し過ぎで死なないよね? 水くらい飲ませとくか」
ピクリとも動かない男が流石に心配になった彼女は、奪還した自分の鞄から水筒を取り出し、少し考えてから自らの口に含む。そして眠る男の薄く開いた唇に、口付ける。
水を流し込み、男の喉が動くのを確認した彼女は、飲み込みきれずに口の端から漏れた水をペロリと舐め取る。
「はぁ……それにしても、すっっごい相性良かったな……素敵だった……もう会う事もないでしょうけど」
女は寂しげに目を細めて男の唇を指でなぞる。
「名残惜しいけど行かなきゃ。ごめんね? 看守さん……」
この場に似つかわしくない甘ったるい声に、看守の手がピタリと止まる。
その隙きをつき、女が看守にしがみついて強引に唇を奪った。
「?!」
「は、は、あ、熱いの……お腹が、んっ」
白銅色はくどういろの目を見開く看守に、今度は深く口付ける。固まって動かない男の舌に舌を絡め、唾液を流し込む。彼がそれを飲み下したのを確認し、彼女は唇を離した。
「……虫の毒にやられたか」
看守の言葉に、女は内心ほくそ笑む。虫のせいと思わせられれば、たった今飲まされた物が何かを悟られずに済むからだ。
「医者か薬師を呼んでくる。待っていろ」
「あっ」
逃げられるかと焦った女だが、杞憂だった。立ち上がった看守は、牢を出ると鍵を閉め階段の方へ身体を向ける。いや、向けようとしたが出来なかった。
見る見るうちに彼の頬は上気し、汗が滲み始める。
「ぐっ……どういう、事だ……感染、するのか?」
力の抜けていく身体を支えるため牢の格子を握り締めるが、抵抗も虚しくズルズルと崩折れ、その場に膝をついてしまった。
「看守さんも、辛いの? はぁ、私も、なの……」
女は、我ながら迫真の演技だと思った。彼女は格子の隙間から手を伸ばし、看守の男の不自然に盛り上がった中心部を撫で上げる。
「うっ、ぐ……やめろ」
「だって、我慢できないのっ……おねがい……」
ファスナーのつまみ部分を細い指でつつくと、看守の分身がビクリと動き、勝手につまみが下がってきた。
追い打ちをかけるように女が膨らみに頬を寄せ、布の上から赤い舌を這わせる。
「っあぁ……」
更に質量を増した中身が、ついにファスナーを全開にさせ、ブルンッと飛び出す。
背は高く、それなりに身体に厚みはあるものの看守にしては細身な男だが、出てきたものはなかなかに立派であった。
女は水色の目を大きく見開く。一瞬にして顔を朱に染めた彼女は、ごくりと生唾を飲み込んだ。肩で切り揃えた薄茶の髪を耳にかけ、おずおずと舌を伸ばす。
「ンッ……は……」
初めてではないが、慣れてもいない。経験の少なさを物語る舌使いだ。しかし、強制的に性的興奮が高まった状態の男は、そんなぎこちない愛撫にも簡単に反応し、声を漏らす。
次から次に透明な液体が湧き出る先端の窪みに、女が舌先を押し付けた途端、白濁した悦楽の印が勢いよく噴射した。
「あ゛……ぐ、ぅ……っっ」
低く呻きながら、男は幾度かに分けて精を吐き出す。口を開いていた女は、喉に叩きつけられた粘液にむせて咳き込んだ。口内が、青い匂いで満たされる。
「げほっ、ゴホッゴホッ……」
「っ……はっ……はぁ……大丈夫、か?」
「だいじょぶ……はぁ、でも、まだ全然だね……私も苦しいの……触って?」
気遣う看守に、彼女の胸が僅かに甘く疼く。堪らず女は彼の手を取り、スカートの中へ導いた。
「ぁ……は……」
男の指が触れたそこは、既に布の上からでもハッキリ分かるほどに熱い。彼女自身は発汗作用のある薬以外飲んでいないが、無愛想な看守の乱れる姿に、つい本当に感じてしまったのだ。
今も、別に自分の身体を触らせる必要はないにも関わらず、我慢出来ずに男に触らせている。
「はぁ……ん、もっと……」
女はそのまま格子越しに、看守が精魂尽き果て気を失うまで容赦なく搾り取った。
横たわる看守の腰から鍵の束を取る。彼女は記憶を頼りに、鍵を選んで牢から出る事に成功した。
「……出し過ぎで死なないよね? 水くらい飲ませとくか」
ピクリとも動かない男が流石に心配になった彼女は、奪還した自分の鞄から水筒を取り出し、少し考えてから自らの口に含む。そして眠る男の薄く開いた唇に、口付ける。
水を流し込み、男の喉が動くのを確認した彼女は、飲み込みきれずに口の端から漏れた水をペロリと舐め取る。
「はぁ……それにしても、すっっごい相性良かったな……素敵だった……もう会う事もないでしょうけど」
女は寂しげに目を細めて男の唇を指でなぞる。
「名残惜しいけど行かなきゃ。ごめんね? 看守さん……」
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が
和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」
エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。
けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。
「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」
「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」
──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。
「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)
透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。
有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。
「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」
そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて――
しかも、彼との“政略結婚”が目前!?
婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。
“報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。
真面目な王子様と私の話
谷絵 ちぐり
恋愛
婚約者として王子と顔合わせをした時に自分が小説の世界に転生したと気づいたエレーナ。
小説の中での自分の役どころは、婚約解消されてしまう台詞がたった一言の令嬢だった。
真面目で堅物と評される王子に小説通り婚約解消されることを信じて可もなく不可もなくな関係をエレーナは築こうとするが…。
※Rシーンはあっさりです。
※別サイトにも掲載しています。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
婚約破棄ブームに乗ってみた結果、婚約者様が本性を現しました
ラム猫
恋愛
『最新のトレンドは、婚約破棄!
フィアンセに婚約破棄を提示して、相手の反応で本心を知ってみましょう。これにより、仲が深まったと答えたカップルは大勢います!
※結果がどうなろうと、我々は責任を負いません』
……という特設ページを親友から見せられたエレアノールは、なかなか距離の縮まらない婚約者が自分のことをどう思っているのかを知るためにも、この流行に乗ってみることにした。
彼が他の女性と仲良くしているところを目撃した今、彼と婚約破棄して身を引くのが正しいのかもしれないと、そう思いながら。
しかし実際に婚約破棄を提示してみると、彼は豹変して……!?
※『小説家になろう』様、『カクヨム』様にも投稿しています
【完結】愛されないと知った時、私は
yanako
恋愛
私は聞いてしまった。
彼の本心を。
私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。
父が私の結婚相手を見つけてきた。
隣の領地の次男の彼。
幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。
そう、思っていたのだ。
【完結】初恋の彼に 身代わりの妻に選ばれました
ユユ
恋愛
婚姻4年。夫が他界した。
夫は婚約前から病弱だった。
王妃様は、愛する息子である第三王子の婚約者に
私を指名した。
本当は私にはお慕いする人がいた。
だけど平凡な子爵家の令嬢の私にとって
彼は高嶺の花。
しかも王家からの打診を断る自由などなかった。
実家に戻ると、高嶺の花の彼の妻にと縁談が…。
* 作り話です。
* 完結保証つき。
* R18
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる