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交わる月と暁の光
2
火曜日、通勤再開の初日。
久しぶりに電車に乗り、亜夜果は会社に赴いた。
と言う一文で表せる行動ではあったが、これが予想以上にツラかった。
ずっと引きこもっていたし、生理の余波もあって、決して体調が万全とは言えなかったことも、原因のひとつかもしれないが、何より。
……人混みが、怖かった。
特に、男性に近付くのが、怖くて仕方なかった。
あの事件の後、身近にいた男性はほぼ尭司だけで。
買い物にも出掛けたけれど、電車内ほど距離が近付くことはなかったので。
まさか、ここにきてあの事件の影響が出るとは考えていなかった。
本当ならば、考えておかなければならないことだったのかもしれない。
背中にヒヤッとした汗が伝う。
ホームに電車が停まりドアは空いたが、亜夜果の足は動かない。
「おはよう」
聞き慣れた声に、すがるような気持ちで亜夜果は振り向いた。
満員よりは少しだけ余裕のある車内であったが、ドアの前で硬直している亜夜果の様子に、絵巳子は状況を察したのだろう。
何も言わず、亜夜果の手を引いて、ホームを移動する。
亜夜果の手はひどく冷たく、湿り気を帯びていた。
それを気にする様子を見せず、絵巳子はしっかりの手を握り、移動していく。
その間に、今まで目の前に停まっていた電車は発車してしまったが。
「ここなら、大丈夫、かな?」
絵巳子が手を離す。ほんの少しだけ、指先に熱が戻っていた。
ホームに示された「女性専用車両」の表示に目を見開き、亜夜果は大きく息を吐いた。
亜夜果はなぞるように再度表示の文字を目で追った。
「知らなかった? 1両だけ、こういう車両があるのよ」
「知ってました。でも、乗ったことなかったです」
幸いそれといった被害に遭うこともなかったのと、乗車区間も、短いし、それに何だか自意識過剰な気がして。
けれど、今は、ありがたかった。
「もしかしたら、こういうこともあるかなって、ちょっと待ち伏せしちゃった」
「ありがとうございます。私、ここに来るまで、こんな気持ちになるなんて思ってみなくて」
そんな不安を感じないほど、尭司や絵巳子が助けてくれていたのだ。
今さらながらに、その存在をありがたく感じていた。
「そうなんだ。例の彼って、本当にあなたを大切にしてくれていたのね。男が怖いものだって忘れさせてしまうくらいに。だから、余計に、彼の中の『男』が怖くなったのかな?」
「かもしれません。私、勝手に、彼に私の理想を当てはめていたのかも」
女性専用車両は他の車両に比べて空いていたが、座れるほどではなかった。
もっとも、絵巳子と会話しながら、あっという間に会社の最寄り駅に到着したため、疲労はなかった。
出勤すると、課長や係長といった直属の上司が心配して声をかけてきてくれた。
左頬のあざは、化粧の下で言われなければわからないほど薄くなってはいたが、決して消えたわけではなかった。
痛ましい眼差しを亜夜果に注ぎ、必要な手続きや仕事の打ち合わせをして体を慣らしたら、午後は帰るように言われた。
一度は固辞したが、今日は人手が足りているからと説得され、ありがたく休ませてもらうことにした。
確かに、半日働いただけで、何となく体が重だるくなってきた。
動いているようでも、引きこもっていたことで体が萎えてしまっているらしい。
帰りは通勤ラッシュの混雑はなかったが、女性専用車両を利用して、帰途に着いた。
明日からフルで働くためにも、少しは鍛えないと、と座席は空いていたが立って乗車した。
おかけで疲労感は増したが、達成感も感じられた。
家に帰り着くと時計は13時を回っていた。
……尭司、もう家に帰ったかな?
今日はもらったシフト表によれば、夜勤明けのはずだ。
この間も、昼近くまで帰ってこなかったし、帰ってから食事をして休めば、あっという間に夜だろう。
想像しただけで、目が回りそうだ。そんな大変な状況で一眠りしたくらいで疲労回復出来たとは思えない。
亜夜果のために無理をしていたのかもしれない。
……そんな尭司の望みくらい、叶えてもよかったのかも。
例え尭司が表だって望まなくても。
怯えるようなあんな反応を見せなければ、よかった。
きっと、傷ついたはずだ。
私が、受け入れてしまえば。
……気を抜くと、つい自分を責めてしまう。尭司を思いやる風を装いながら、自分を卑下する方向に逃避してしまう。その方が、立ち向かうより楽だから。
久しぶりの通勤と仕事の疲労のために、体だけでなく心も弱ってしまったのかもしれない。
昨日、決意したはずだ。
尭司を思う心とは別に、亜夜果自身の矜持と誇りは、決して損なわないと。
毅然と尭司に向き合い、その上でお互いに歩み寄ると。
そのためには。
キチンと整えよう、体も、心も。
そして、尭司以外のことにも、向き合おう。
亜夜果は、教えてもらった電話番号を入力すると、発信ボタンに触れた。
「間宮、昨日、例の彼女から連絡もらった。必要な事情聴取や裁判の証言にも応じるって」
夜勤明けの翌日。非番だったが、落ち着かない気持ちを振りきろうと、本署の道場にきて、一人で稽古をしていた。そんな尭司を見つけた刑事の重井に声をかけられた。
「まだ不安定だって言ってたけど、大丈夫か?」
「とりあえず、まだしばらくは彼女の出番はないでしょう? 最初の被害届の時に、ある程度聴取出来ているし。裁判まではまだ時間がかかりますよね?」
あれほど忌避していたのに、自分から連絡をしてくるなんて。
亜夜果の変化に戸惑いつつも、その根底に、決意のようなものを感じた。ならば、自分は、誠心誠意、そのサポートをするだけだ。
「まあな。診断書もお前の目撃証言もあるし、前科もボロボロ出てきたから、それほど負担になるような証言は求められないと思うが……内容的に裁判員裁判になるだろう。対面での証言は精神的にはキツいかも知れないから、早めに弁護士を探しておいた方がいい」
裁判になれば、どれほど心配しても当事者以外が関わることは難しくなる。
「ありがとうございます」
次の昇進でおそらく係長になるだろうと噂されているまだ若いが切れ者の刑事のアドバイスに、尭司は感謝する。
「彼女のこと、本気なんだな」
唐突に問われ、尭司は反射的にうなづいた。
「なら、ちゃんと守ってやれよ。今の社会は、被害者の方がツラい思いをすることが多い」
事件そのものでなく、その後の興味本位な取材噂話、お門違いな誹謗中傷に心を痛める被害者が多いのが現実である。
特に、性犯罪の被害者は、本人の危機管理の甘さを責められることすらある。
残念なことに、警察内部にすら、そのような対応をすると人間がいるのも事実だ。
今回の担当が、重井でよかった。犯人に対しては冷徹だが、誰に対しても公平正大な態度で接する一方、思い込みや決めつけで被害者を追い込むこともない。
重井といい合川といい、自分の周りには尊敬できる上司や先輩がいて、恵まれている。
こんな警察官になりたい。
そして。
亜夜果を守れるように、強くなりたい。
心も、体も。
昨日から仕事に行っているはずだ。
次に会えるのは、土曜日。
それまでに、もっとしっかり、自分を見つめ直して。
こんな、破れかぶれに自分を痛め付けるような稽古ではなく。
重井が立ち去ったあと、尭司は深く呼吸をして、気合いを整える。
自分の中の、暗部を振り払うのではなく。
キチンと、見つめて。
自信を持って、亜夜果に向き合うために。
………………約束の日は、そこまで迫っていた。
久しぶりに電車に乗り、亜夜果は会社に赴いた。
と言う一文で表せる行動ではあったが、これが予想以上にツラかった。
ずっと引きこもっていたし、生理の余波もあって、決して体調が万全とは言えなかったことも、原因のひとつかもしれないが、何より。
……人混みが、怖かった。
特に、男性に近付くのが、怖くて仕方なかった。
あの事件の後、身近にいた男性はほぼ尭司だけで。
買い物にも出掛けたけれど、電車内ほど距離が近付くことはなかったので。
まさか、ここにきてあの事件の影響が出るとは考えていなかった。
本当ならば、考えておかなければならないことだったのかもしれない。
背中にヒヤッとした汗が伝う。
ホームに電車が停まりドアは空いたが、亜夜果の足は動かない。
「おはよう」
聞き慣れた声に、すがるような気持ちで亜夜果は振り向いた。
満員よりは少しだけ余裕のある車内であったが、ドアの前で硬直している亜夜果の様子に、絵巳子は状況を察したのだろう。
何も言わず、亜夜果の手を引いて、ホームを移動する。
亜夜果の手はひどく冷たく、湿り気を帯びていた。
それを気にする様子を見せず、絵巳子はしっかりの手を握り、移動していく。
その間に、今まで目の前に停まっていた電車は発車してしまったが。
「ここなら、大丈夫、かな?」
絵巳子が手を離す。ほんの少しだけ、指先に熱が戻っていた。
ホームに示された「女性専用車両」の表示に目を見開き、亜夜果は大きく息を吐いた。
亜夜果はなぞるように再度表示の文字を目で追った。
「知らなかった? 1両だけ、こういう車両があるのよ」
「知ってました。でも、乗ったことなかったです」
幸いそれといった被害に遭うこともなかったのと、乗車区間も、短いし、それに何だか自意識過剰な気がして。
けれど、今は、ありがたかった。
「もしかしたら、こういうこともあるかなって、ちょっと待ち伏せしちゃった」
「ありがとうございます。私、ここに来るまで、こんな気持ちになるなんて思ってみなくて」
そんな不安を感じないほど、尭司や絵巳子が助けてくれていたのだ。
今さらながらに、その存在をありがたく感じていた。
「そうなんだ。例の彼って、本当にあなたを大切にしてくれていたのね。男が怖いものだって忘れさせてしまうくらいに。だから、余計に、彼の中の『男』が怖くなったのかな?」
「かもしれません。私、勝手に、彼に私の理想を当てはめていたのかも」
女性専用車両は他の車両に比べて空いていたが、座れるほどではなかった。
もっとも、絵巳子と会話しながら、あっという間に会社の最寄り駅に到着したため、疲労はなかった。
出勤すると、課長や係長といった直属の上司が心配して声をかけてきてくれた。
左頬のあざは、化粧の下で言われなければわからないほど薄くなってはいたが、決して消えたわけではなかった。
痛ましい眼差しを亜夜果に注ぎ、必要な手続きや仕事の打ち合わせをして体を慣らしたら、午後は帰るように言われた。
一度は固辞したが、今日は人手が足りているからと説得され、ありがたく休ませてもらうことにした。
確かに、半日働いただけで、何となく体が重だるくなってきた。
動いているようでも、引きこもっていたことで体が萎えてしまっているらしい。
帰りは通勤ラッシュの混雑はなかったが、女性専用車両を利用して、帰途に着いた。
明日からフルで働くためにも、少しは鍛えないと、と座席は空いていたが立って乗車した。
おかけで疲労感は増したが、達成感も感じられた。
家に帰り着くと時計は13時を回っていた。
……尭司、もう家に帰ったかな?
今日はもらったシフト表によれば、夜勤明けのはずだ。
この間も、昼近くまで帰ってこなかったし、帰ってから食事をして休めば、あっという間に夜だろう。
想像しただけで、目が回りそうだ。そんな大変な状況で一眠りしたくらいで疲労回復出来たとは思えない。
亜夜果のために無理をしていたのかもしれない。
……そんな尭司の望みくらい、叶えてもよかったのかも。
例え尭司が表だって望まなくても。
怯えるようなあんな反応を見せなければ、よかった。
きっと、傷ついたはずだ。
私が、受け入れてしまえば。
……気を抜くと、つい自分を責めてしまう。尭司を思いやる風を装いながら、自分を卑下する方向に逃避してしまう。その方が、立ち向かうより楽だから。
久しぶりの通勤と仕事の疲労のために、体だけでなく心も弱ってしまったのかもしれない。
昨日、決意したはずだ。
尭司を思う心とは別に、亜夜果自身の矜持と誇りは、決して損なわないと。
毅然と尭司に向き合い、その上でお互いに歩み寄ると。
そのためには。
キチンと整えよう、体も、心も。
そして、尭司以外のことにも、向き合おう。
亜夜果は、教えてもらった電話番号を入力すると、発信ボタンに触れた。
「間宮、昨日、例の彼女から連絡もらった。必要な事情聴取や裁判の証言にも応じるって」
夜勤明けの翌日。非番だったが、落ち着かない気持ちを振りきろうと、本署の道場にきて、一人で稽古をしていた。そんな尭司を見つけた刑事の重井に声をかけられた。
「まだ不安定だって言ってたけど、大丈夫か?」
「とりあえず、まだしばらくは彼女の出番はないでしょう? 最初の被害届の時に、ある程度聴取出来ているし。裁判まではまだ時間がかかりますよね?」
あれほど忌避していたのに、自分から連絡をしてくるなんて。
亜夜果の変化に戸惑いつつも、その根底に、決意のようなものを感じた。ならば、自分は、誠心誠意、そのサポートをするだけだ。
「まあな。診断書もお前の目撃証言もあるし、前科もボロボロ出てきたから、それほど負担になるような証言は求められないと思うが……内容的に裁判員裁判になるだろう。対面での証言は精神的にはキツいかも知れないから、早めに弁護士を探しておいた方がいい」
裁判になれば、どれほど心配しても当事者以外が関わることは難しくなる。
「ありがとうございます」
次の昇進でおそらく係長になるだろうと噂されているまだ若いが切れ者の刑事のアドバイスに、尭司は感謝する。
「彼女のこと、本気なんだな」
唐突に問われ、尭司は反射的にうなづいた。
「なら、ちゃんと守ってやれよ。今の社会は、被害者の方がツラい思いをすることが多い」
事件そのものでなく、その後の興味本位な取材噂話、お門違いな誹謗中傷に心を痛める被害者が多いのが現実である。
特に、性犯罪の被害者は、本人の危機管理の甘さを責められることすらある。
残念なことに、警察内部にすら、そのような対応をすると人間がいるのも事実だ。
今回の担当が、重井でよかった。犯人に対しては冷徹だが、誰に対しても公平正大な態度で接する一方、思い込みや決めつけで被害者を追い込むこともない。
重井といい合川といい、自分の周りには尊敬できる上司や先輩がいて、恵まれている。
こんな警察官になりたい。
そして。
亜夜果を守れるように、強くなりたい。
心も、体も。
昨日から仕事に行っているはずだ。
次に会えるのは、土曜日。
それまでに、もっとしっかり、自分を見つめ直して。
こんな、破れかぶれに自分を痛め付けるような稽古ではなく。
重井が立ち去ったあと、尭司は深く呼吸をして、気合いを整える。
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