12 / 15
人間と鬼③
しおりを挟む
翌朝、鬼たちは人間の村に行こうと話し合った。
なぜ理不尽に我々の家族や仲間が殺されたのか、その説明を人間にしてもらおうと思った。
そして、人間の村に向かった。
そこには以前の暗い空気がなくなっており、活気溢れた人間たちの声で賑わっていた。みんな大声で話し合い、笑っている。なんとも幸せそうな風景だった。
まるで何事も無かったかのように、人間たちは生活をしていたのだ。
鬼たちの中で何かがふっ切れた。
辺りは一瞬にして血の海に染まった。
人間たちは尻もちをつき、恐れながらこういった。
「お…鬼だ…」
人間たちから見たら、まるで鬼そのものの化け物が目の前に居たようだ。
鬼は、涙を流しながらそこに立っていたという。
その場がその後、どうなったかは誰も詳しく語らなかったという。
鬼と人間が殺しあっただの、人間が鬼に皆殺しにされただの、様々な憶測だけが飛び交った。
その出来事からしばらくして、鬼と人間は話し合いをし、別々に暮らすこととなった。鬼たちが島を離れ、新たな島に住むことになった。
今後、お互いの島に手出しはしない。一切関わらないことを条件に、人間と鬼は全てを無かったことにした。
村長と長老はその時に離れ離れになった。
「これが、わしらが体験した話じゃ」
「そ、そんなことが…」
「つまり…鬼は冤罪をかけられ、仲間を殺され、挙句の果てに島を追い出されたということですか…」
「…その通りじゃ、鬼之進」
「そんなの!許せるはずありません!長老様!我々はやられっぱなしでいいのですか!」
「まあ落ち着くのじゃ鬼之進。これはあくまでもずぅっと前の話じゃ。昔のことを言い合っても仕方なかろう」
「しかし…」
「我々も村長や長老などと呼ばれるほど歳をとった。我々がこの争いを止めなければならん。村長や、わしらでみなを説得するのじゃ。協力してくれるな?」
「もちろんじゃ。わしら人間の犯した罪はわしら人間が償う。その覚悟はある」
「村長様…」
「まあみなが納得できないもの無理はない。わしらとて過去のことに納得などしておらん。残された我々人間も鬼もどちらも悪くない。だか、わしらでこの争いを止めなければならない。それだけじゃ」
「ですが長老様、人間と鬼が別々に暮らし始めてから争いは起こらなかったのですよね?なぜまたこのような事になったのですか…?」
「…桃太郎じゃ」
「桃太郎?」
「そうじゃ。何を考えたのかは分からんが、彼が我々を襲いに来たのじゃ」
「桃太郎は、我々と同じ人間であり、そうではないとも言える。責任逃れの発言かもしれんが、桃太郎とわしら人間は別々の生き物なのじゃ。わしらは桃太郎のしたことと全く関わりがないんじゃ」
「何言ってるんだ…?あんたたちが桃太郎に俺らを襲わせたんだろ!」
「いいや、残念じゃがそれは違う。我々と桃太郎はそもそも住んでいる世界が違う。我々は桃太郎を見かけることすらなくなった。桃太郎を操っているのは他にいる。あの山のてっぺんに…」
「桃太郎を操るもの…?」
「ああ。実に恐ろしい奴らじゃ…」
「村長様、それはいったい…?」
「そうじゃな。お前たちが知らないのも無理はない。では説明してやろう。山のてっぺんにどんな怪物がいるのかを…」
村長はそう言ってまた話し始めた。
なぜ理不尽に我々の家族や仲間が殺されたのか、その説明を人間にしてもらおうと思った。
そして、人間の村に向かった。
そこには以前の暗い空気がなくなっており、活気溢れた人間たちの声で賑わっていた。みんな大声で話し合い、笑っている。なんとも幸せそうな風景だった。
まるで何事も無かったかのように、人間たちは生活をしていたのだ。
鬼たちの中で何かがふっ切れた。
辺りは一瞬にして血の海に染まった。
人間たちは尻もちをつき、恐れながらこういった。
「お…鬼だ…」
人間たちから見たら、まるで鬼そのものの化け物が目の前に居たようだ。
鬼は、涙を流しながらそこに立っていたという。
その場がその後、どうなったかは誰も詳しく語らなかったという。
鬼と人間が殺しあっただの、人間が鬼に皆殺しにされただの、様々な憶測だけが飛び交った。
その出来事からしばらくして、鬼と人間は話し合いをし、別々に暮らすこととなった。鬼たちが島を離れ、新たな島に住むことになった。
今後、お互いの島に手出しはしない。一切関わらないことを条件に、人間と鬼は全てを無かったことにした。
村長と長老はその時に離れ離れになった。
「これが、わしらが体験した話じゃ」
「そ、そんなことが…」
「つまり…鬼は冤罪をかけられ、仲間を殺され、挙句の果てに島を追い出されたということですか…」
「…その通りじゃ、鬼之進」
「そんなの!許せるはずありません!長老様!我々はやられっぱなしでいいのですか!」
「まあ落ち着くのじゃ鬼之進。これはあくまでもずぅっと前の話じゃ。昔のことを言い合っても仕方なかろう」
「しかし…」
「我々も村長や長老などと呼ばれるほど歳をとった。我々がこの争いを止めなければならん。村長や、わしらでみなを説得するのじゃ。協力してくれるな?」
「もちろんじゃ。わしら人間の犯した罪はわしら人間が償う。その覚悟はある」
「村長様…」
「まあみなが納得できないもの無理はない。わしらとて過去のことに納得などしておらん。残された我々人間も鬼もどちらも悪くない。だか、わしらでこの争いを止めなければならない。それだけじゃ」
「ですが長老様、人間と鬼が別々に暮らし始めてから争いは起こらなかったのですよね?なぜまたこのような事になったのですか…?」
「…桃太郎じゃ」
「桃太郎?」
「そうじゃ。何を考えたのかは分からんが、彼が我々を襲いに来たのじゃ」
「桃太郎は、我々と同じ人間であり、そうではないとも言える。責任逃れの発言かもしれんが、桃太郎とわしら人間は別々の生き物なのじゃ。わしらは桃太郎のしたことと全く関わりがないんじゃ」
「何言ってるんだ…?あんたたちが桃太郎に俺らを襲わせたんだろ!」
「いいや、残念じゃがそれは違う。我々と桃太郎はそもそも住んでいる世界が違う。我々は桃太郎を見かけることすらなくなった。桃太郎を操っているのは他にいる。あの山のてっぺんに…」
「桃太郎を操るもの…?」
「ああ。実に恐ろしい奴らじゃ…」
「村長様、それはいったい…?」
「そうじゃな。お前たちが知らないのも無理はない。では説明してやろう。山のてっぺんにどんな怪物がいるのかを…」
村長はそう言ってまた話し始めた。
0
あなたにおすすめの小説
ナナの初めてのお料理
いぬぬっこ
児童書・童話
ナナは七歳の女の子。
ある日、ナナはお母さんが仕事から帰ってくるのを待っていました。
けれど、お母さんが帰ってくる前に、ナナのお腹はペコペコになってしまいました。
もう我慢できそうにありません。
だというのに、冷蔵庫の中には、すぐ食べれるものがありません。
ーーそうだ、お母さんのマネをして、自分で作ろう!
ナナは、初めて自分一人で料理をすることを決めたのでした。
これは、ある日のナナのお留守番の様子です。
【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。
しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。
そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。
そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。
【奨励賞】おとぎの店の白雪姫
ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】
母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。
ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし!
そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。
小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり!
他のサイトにも掲載しています。
表紙イラストは今市阿寒様です。
絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。
少年イシュタと夜空の少女 ~死なずの村 エリュシラーナ~
朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
イシュタは病の妹のため、誰も死なない村・エリュシラーナへと旅立つ。そして、夜空のような美しい少女・フェルルと出会い……
「昔話をしてあげるわ――」
フェルルの口から語られる、村に隠された秘密とは……?
☆…☆…☆
※ 大人でも楽しめる児童文学として書きました。明確な記述は避けておりますので、大人になって読み返してみると、また違った風に感じられる……そんな物語かもしれません……♪
※ イラストは、親友の朝美智晴さまに描いていただきました。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる