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犬と狼
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「(ペコ…大丈夫か…)」
上手く歩けない。足が折れているかもしてない。今にも気を失いそうだ。
「ペコ…大丈夫か…?」
「タル…」
ペコは俯いて震えていた。
「タルこそ大丈夫?」
「…ごめんな…ペコ」
「タル、タルって狼なの…?」
「……」
「やっぱりそうなんだ。」
ギクッとした。俺はもうペコとは仲良くできないだろう。ペコは狼が嫌いなのだから。
「ペコ…黙っていてすまない。お前が狼を嫌っていると知らなかったんだ。最初に言うべきだった。すまない。」
ペコは黙っていた。何かを考えているかのようにも見えた。
「今日は帰ろう」
「ああ、そうだな」
帰り道、俺たちは何も話せなかった。俺はフラフラと歩き、ペコはとぼとぼと着いてきていた。
家までの道のりが永遠に感じる。もう既に1時間近くは歩いているだろう。
するとペコが口を開いた。
「タル、さっきは守ってくれてありがとう」
「いや、俺はお前を守れなかった。すまない。」
「ううん、タルかっこよかったよ」
「かっこよくなんてない。俺はやられてばかりでやり返せなかった。おかげでこのザマだ。全く情けない。俺は負け狼だ」
タルの頬に冷たい涙が流れた。
2人はまた、沈黙の中を歩き続けた。
ようやく桃の木が見えた。木の下に何かがいる。
「ペコ、ここからはもう帰れるだろ?家まで真っ直ぐ走って帰れ。止まらずにな」
「え?う、うん。わかった。」
「気をつけてな。」
「ありがとう、ばいばい、タル」
ペコは家まで走っていった。俺はペコを見送り、木の方にもっと近づいてよく見て見た。バルクだ。
「こんなところで何してる!」
「こっちのセリフだ。お前こそ何してる。あんな小さな犬っころを連れてるなんて」
「あいつは…」
「答えろ。なぜあんなやつを連れている。」
「…あいつは友達だ。」
バルクは、一瞬驚いた顔をして、ペコを見た。
「…友達か。あいつ、目が見えないんだろ?」
「なぜ分かる?」
「あいつは俺と目を合わせない。すぐ気づいたさ」
やはりバルクは賢い。
いや、そんなことより、バルクの考えが読めなかった。こいつはなぜここで俺たちを待っていたんだ?ペコを食べるためなら納得できるが、ペコを襲うような様子もない。最初は警戒したがそれはすぐ否定できた。
バルクは、真剣な顔をしてタルの方を見た。
「タル、悪いことは言わねぇ。あいつとは離れろ。」
「な、なんでだよ」
急にそんなことを言われても意味がわからなかった。なぜそんなことをバルクに決められなければならないのか。
「狼と犬は共存できないんだ。お前にあいつを食う気がなくても、あいつらはお前を敵とみなす。あいつがお前を敵とみてなくても、あいつの家族や友達はお前を敵として見るだろう。」
「そ、そんなこと…」
そんなことない。そう言いたかったが、バルクの言っている事は正しい。ペコはもう俺の事を友達だと思ってないだろう。ペコの家族に好かれることだって一生ない。
「いいか、タル。俺たち狼には狼の世界がある。犬にも犬の世界がある。食うか食われるかの関係にある俺たちが仲良くすることは難しいんだ。分かるだろ?」
「……」
何も言い返せない。俺は友達との仲までも守れないのか。情けない自分に苛立った。
「俺の言いたいことはそれだけだ。ここからはお前が決めることだ。じゃあな。」
「まってくれ!バルク。お前はなぜペコを襲わなかった!あの時ペコを見てただろ!」
「ふっ、情けないお前を見て食う気が無くなっただけだ」
バルクはそう言い残し、去っていった。
俺はしばらく動けずにいた。
帰り道、バルクとの会話を思い出しとぼとぼ歩いてかえった。
上手く歩けない。足が折れているかもしてない。今にも気を失いそうだ。
「ペコ…大丈夫か…?」
「タル…」
ペコは俯いて震えていた。
「タルこそ大丈夫?」
「…ごめんな…ペコ」
「タル、タルって狼なの…?」
「……」
「やっぱりそうなんだ。」
ギクッとした。俺はもうペコとは仲良くできないだろう。ペコは狼が嫌いなのだから。
「ペコ…黙っていてすまない。お前が狼を嫌っていると知らなかったんだ。最初に言うべきだった。すまない。」
ペコは黙っていた。何かを考えているかのようにも見えた。
「今日は帰ろう」
「ああ、そうだな」
帰り道、俺たちは何も話せなかった。俺はフラフラと歩き、ペコはとぼとぼと着いてきていた。
家までの道のりが永遠に感じる。もう既に1時間近くは歩いているだろう。
するとペコが口を開いた。
「タル、さっきは守ってくれてありがとう」
「いや、俺はお前を守れなかった。すまない。」
「ううん、タルかっこよかったよ」
「かっこよくなんてない。俺はやられてばかりでやり返せなかった。おかげでこのザマだ。全く情けない。俺は負け狼だ」
タルの頬に冷たい涙が流れた。
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ようやく桃の木が見えた。木の下に何かがいる。
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「え?う、うん。わかった。」
「気をつけてな。」
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ペコは家まで走っていった。俺はペコを見送り、木の方にもっと近づいてよく見て見た。バルクだ。
「こんなところで何してる!」
「こっちのセリフだ。お前こそ何してる。あんな小さな犬っころを連れてるなんて」
「あいつは…」
「答えろ。なぜあんなやつを連れている。」
「…あいつは友達だ。」
バルクは、一瞬驚いた顔をして、ペコを見た。
「…友達か。あいつ、目が見えないんだろ?」
「なぜ分かる?」
「あいつは俺と目を合わせない。すぐ気づいたさ」
やはりバルクは賢い。
いや、そんなことより、バルクの考えが読めなかった。こいつはなぜここで俺たちを待っていたんだ?ペコを食べるためなら納得できるが、ペコを襲うような様子もない。最初は警戒したがそれはすぐ否定できた。
バルクは、真剣な顔をしてタルの方を見た。
「タル、悪いことは言わねぇ。あいつとは離れろ。」
「な、なんでだよ」
急にそんなことを言われても意味がわからなかった。なぜそんなことをバルクに決められなければならないのか。
「狼と犬は共存できないんだ。お前にあいつを食う気がなくても、あいつらはお前を敵とみなす。あいつがお前を敵とみてなくても、あいつの家族や友達はお前を敵として見るだろう。」
「そ、そんなこと…」
そんなことない。そう言いたかったが、バルクの言っている事は正しい。ペコはもう俺の事を友達だと思ってないだろう。ペコの家族に好かれることだって一生ない。
「いいか、タル。俺たち狼には狼の世界がある。犬にも犬の世界がある。食うか食われるかの関係にある俺たちが仲良くすることは難しいんだ。分かるだろ?」
「……」
何も言い返せない。俺は友達との仲までも守れないのか。情けない自分に苛立った。
「俺の言いたいことはそれだけだ。ここからはお前が決めることだ。じゃあな。」
「まってくれ!バルク。お前はなぜペコを襲わなかった!あの時ペコを見てただろ!」
「ふっ、情けないお前を見て食う気が無くなっただけだ」
バルクはそう言い残し、去っていった。
俺はしばらく動けずにいた。
帰り道、バルクとの会話を思い出しとぼとぼ歩いてかえった。
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