孤児院のドロボーさん

いい人の、ドロボーさん 5話

一通り話し終えた子供たちは、壊された我が家に向き合った。
思い出の詰まった子の家と、そしてドロボーさんに対して手を合わせた。

すると、ジャックはいいことを思いついた。

「もしかしたら、まだ色んなものが残されているかもしれない。みんなの思い出探しをしよう。」

みんな賛成した。
瓦礫の上を転ばないように、慎重に入っていった。

木の破片や、大きな岩をどかすと、思い出の品が沢山出てきた。
みんなで使った食器たち。お気に入りの布団。毎日囲んだテーブルの破片。
手に取ると、今でもその風景が目にうかぶ。

しばらく捜索していると、ジャックはあるものを見つけた。

「ドロボーさんから、みんなへ…？」

それは、ドロボーさんから子供たちへ向けたお手紙だった。

「みんな、こっへ来て」

ジャックはみんなを集め、手紙を声に出して読み始めた。




数年後、町にたくさんの孤児院ができた。
ドロボーさんに集められた子供たちは、今は大人になり、ドロボーさんの遺志を継いだ。
虐待を受けている子、捨てられた子を集め、その子たちの親となった。
世界中を周り、孤独な子供たちに笑顔を与えた。

さらにその子供たちも、親の意志を継いで、世界中の子供たちに笑顔を与えた。

何年かかっても、何十年かかっても、ドロボーさんの願いを叶えようと頑張った。


ドロボーさんは、子供たちの成長をとてもよろこんだ。ずっと子供たちを見守っていた。
気づけば子供たちだけでなく、ドロボーさんも笑顔になっていた。


あの頃の子供たちも、その子供も、さらにその子供たちも、ドロボーさんはずっとそばで見守った。