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第1章「まず、キスから始めよう 」~佐江×清春 編
第17話「きみは、おれなんかよりもっといい男を捕まえられる」
しおりを挟む第17話「きみは、おれなんかよりもっといい男を捕まえられる」
(UnsplashのErke Rysdauletovが撮影)
「いちど始めたら、途中で止まれるの?」
清春にキスされながら佐江は、つぶやいた。十九歳の少女にしては低い声が、あまくかすれ始めている。
佐江にそう言われて、清春は軽いキスを重ねながら笑った。
「止まれるよ。そこだけはおれを信用しろ。ただ、他の男がそう言っても信じるな」
「なぜ?」
あまりにあどけなく佐江が尋ねるので、清春はもう笑いが止まらない。
「おれ以外の男が途中でやめると言っても、そいつは絶対にやめない。
きみの中に入って、きみをめちゃめちゃにするまでやめないに決まっている。
きみ自身が寝たいと思う男以外の言葉は、信じるな」
「好奇心では、だめなんですか?」
佐江がキスの合間にささやく。清春はすこし厳しい声で、
「止めておけ。つまらない好奇心は、身を亡ぼすもとだ。きみが好奇心で知りたいことは、今からおれがぜんぶ教えてやる――それで満足してくれ」
清春はささやいた。
うん、と佐江がうなずいた。
「じゃあまず、キスから始めよう」
清春は手の中におさめた佐江の顔じゅうにキスを浴びせ始めた。
「佐江ちゃん、きみはきれいな女だ。その気になればどんな男だって手に入れられる。だから、一つだけ覚えておいてほしいことがある」
「何です?」
「きみを、大事にしない男とは寝るな。女性をリスペクトしない男なんてクズだ。きみを守って、大切にしてくれる男とだけ寝るようにしろ」
「その人があたしを大事にしてくれるかなんて、どうやったら分かるんです」
清春は佐江のこめかみにキスをしていった。
「きみが嫌がることをする男はダメだ。きみがためらっているのに、無理に力で押してくるような奴は最低だな。
女性を気持ちよくさせて、もっと欲しいとせがむまで自分をコントロールできる男とは、寝てもいい」
「あなたみたいな?」
岡本佐江は首をかしげて清春を見た。清春はもう苦笑するしかない。
「きみは、おれなんかよりもっといい男を捕まえられる女だよ。目標は高く持て。これはリハーサルにすぎないんだ」
「努力するわ」
「いい子だ」
清春は佐江の髪に唇を滑らせ た。佐江は清春に髪を好きにさせながら尋ねた。
「普通じゃないキスは、いつできるの?」
「いつでもいい。してほしい?」
清春が低い声で尋ねると、佐江は息を吐いて目を閉じた。
「してみたい」
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