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始まり始まり
ヒラメイタし!!
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蕪木萌香19歳。
ミディアムの髪の長さにウェーブが入っていて、ハーフアップで片側をお団子にしている。
異世界行きを断固拒否な彼女は、今日も今日とて必死に生きている。
どうすれば異世界行きを阻止出来るかと。
彼女にとっては死刑宣告にも等しい『異世界行き』を命じられるが一年の猶予を与えられた。
どうにかして、この世界に居なきゃいけない事を証明してみせる必要がある。
あれから留年は免れ高校は無事卒業した。
医大生は諦め、ならば福祉関係へとも思ったが、やはり学生の身分では「弱さ」が否めないと思い、世のため人のためと、在学中にボランティア活動に励んでみたりした。
「萌香ちゃんが居て良かったわ~」なんて嬉しい言葉を貰えたりした。だがそれでもまだまだ「弱い」気がし、もっと何か……と、常に思案していた。
進学はしておこうとしたが受験は全て落ちた。高熱で受験さえ出来ない所もあった。
流石に自身のついて無さに心挫けそうになったが、こうしてはいられないと進学は諦め、一先ずボランティア活動に精を出すが、刻々と迫るリミットに焦りを感じている。
――もぉ時間もない……。 もっと……。もっと何か……。アタシの事を必要としてくれる……
いっとき、愛する人がいればこの世界に留まれるのではと、恋人を作ろうと躍起になった事もあるが、異世界行き阻止の為にという不純な動機の為か長続きもせず不発に終わった。
恋人作りはボランティア活動よりも大変で、時間も労力も無駄に費やすと判断し、恋人作りは止めにした。愛し愛されオシドリ夫婦となるには一年間では厳しそうであった。
そしてまた閃く。
――そうだ! 子供作ろう!!
これならばと確信を得、自身に満ち溢れた顔つきになる。
――恋人作りより無駄がなさそう! 出産は間に合わないけど、流石に妊婦さんを勇者として異世界に送る事はないよね!? ヨシ! ヨシ!!
――さて、そうなると問題はパパをどうするか……。まぁ、ベイビーにはパパは死んだと話すけど……。
精子バンクを検索してみたが、なかなか難しそうだとなり、どこか手頃な子種はないかと思い耽る。
焦る心がまたしても判断力を失わせていたのであろうか。
――そうだ。パパ活しよ。
早速『パパ活』で検索する。
――そか、女子高生の方がイイのか……
クローゼットから高校時代の制服を取り出し鞄に詰める。流石に家から着ていくのは憚られ、現地で着替える事にした。
――制服とっといて良かったー
いそいそとパパ活が盛んな地域へ向かい「さぁさぁ!ドンと来い!」と待ち構える。
程なくして声を掛けられる。子種さえあれば誰でもと思っていたが、いざとなると値踏みしてしまう。
――流石にこの人とは……
――生まれてくるベイビーの為にも顔が整っている方がいいなぁ……
――脳みそも優秀な方が……
結構声を掛けられるが、なんやかやと断る理由を探してしまう。
「覚悟がなかったかぁ……」と思い至るが「いやいや」と頭を振り発奮する。
――もお次で決める!!
すると二の腕をじんわりと掴まれた。
ビクッと振り向くと中年の小太りの男性が指を4本立ててニンマリと「どお」と言ってくる。
先程の決意と疲れてきたいうのもあり、もうどうでもイイやとコクリとうなづく。
「じゃあ」と腰に手を回され抱き寄せられ、携帯電話の画面を見せてくる。
「まずはここで食事でいいね」顔も近づけられ、流石に身震いしそうになったがグッと堪える。
――これでいいのかな……
自身の判断に迷いが生まれるが、なんだか抗う力もなく、なすがまま歩を進める。
すると今度は後ろから肩をガッと力強く掴まれた。
「何をやってるんですか!!」
その声は怒気をはらんでいた。
「流石にっ 見過ごせません!!」
その女性は急いで駆けつけたのであろう。ゼイゼイと息が上がっている。
萌香は暫し状況が飲み込めずにいたがハッと気付く。
「め、眼鏡さん……っ」
そう。現れたのは異世界行きの時に女神と一緒にいた『異世界行き課』の職員だ。
「な、なんで……」
萌香は動揺している。
「……あなたは、監視対象ですから、女神様に、管理されて、いるんでっ」
息を整えつつ何とか伝えようとする。
「エ、エ~……」
何となく理解する萌香。
「まぁ、何でもお見通しというわけですよ。神様ですからね……」
ふぅと眼鏡さんは息をつく。
「あ、あの…… あ、っと……」
何を言うべきかとマゴマゴしていると「ちょっと落ち着きましょう」と、近くにあったファミレスへと移動を促される。
パパ活のパパはいつの間にやらいなくなっていた。
ミディアムの髪の長さにウェーブが入っていて、ハーフアップで片側をお団子にしている。
異世界行きを断固拒否な彼女は、今日も今日とて必死に生きている。
どうすれば異世界行きを阻止出来るかと。
彼女にとっては死刑宣告にも等しい『異世界行き』を命じられるが一年の猶予を与えられた。
どうにかして、この世界に居なきゃいけない事を証明してみせる必要がある。
あれから留年は免れ高校は無事卒業した。
医大生は諦め、ならば福祉関係へとも思ったが、やはり学生の身分では「弱さ」が否めないと思い、世のため人のためと、在学中にボランティア活動に励んでみたりした。
「萌香ちゃんが居て良かったわ~」なんて嬉しい言葉を貰えたりした。だがそれでもまだまだ「弱い」気がし、もっと何か……と、常に思案していた。
進学はしておこうとしたが受験は全て落ちた。高熱で受験さえ出来ない所もあった。
流石に自身のついて無さに心挫けそうになったが、こうしてはいられないと進学は諦め、一先ずボランティア活動に精を出すが、刻々と迫るリミットに焦りを感じている。
――もぉ時間もない……。 もっと……。もっと何か……。アタシの事を必要としてくれる……
いっとき、愛する人がいればこの世界に留まれるのではと、恋人を作ろうと躍起になった事もあるが、異世界行き阻止の為にという不純な動機の為か長続きもせず不発に終わった。
恋人作りはボランティア活動よりも大変で、時間も労力も無駄に費やすと判断し、恋人作りは止めにした。愛し愛されオシドリ夫婦となるには一年間では厳しそうであった。
そしてまた閃く。
――そうだ! 子供作ろう!!
これならばと確信を得、自身に満ち溢れた顔つきになる。
――恋人作りより無駄がなさそう! 出産は間に合わないけど、流石に妊婦さんを勇者として異世界に送る事はないよね!? ヨシ! ヨシ!!
――さて、そうなると問題はパパをどうするか……。まぁ、ベイビーにはパパは死んだと話すけど……。
精子バンクを検索してみたが、なかなか難しそうだとなり、どこか手頃な子種はないかと思い耽る。
焦る心がまたしても判断力を失わせていたのであろうか。
――そうだ。パパ活しよ。
早速『パパ活』で検索する。
――そか、女子高生の方がイイのか……
クローゼットから高校時代の制服を取り出し鞄に詰める。流石に家から着ていくのは憚られ、現地で着替える事にした。
――制服とっといて良かったー
いそいそとパパ活が盛んな地域へ向かい「さぁさぁ!ドンと来い!」と待ち構える。
程なくして声を掛けられる。子種さえあれば誰でもと思っていたが、いざとなると値踏みしてしまう。
――流石にこの人とは……
――生まれてくるベイビーの為にも顔が整っている方がいいなぁ……
――脳みそも優秀な方が……
結構声を掛けられるが、なんやかやと断る理由を探してしまう。
「覚悟がなかったかぁ……」と思い至るが「いやいや」と頭を振り発奮する。
――もお次で決める!!
すると二の腕をじんわりと掴まれた。
ビクッと振り向くと中年の小太りの男性が指を4本立ててニンマリと「どお」と言ってくる。
先程の決意と疲れてきたいうのもあり、もうどうでもイイやとコクリとうなづく。
「じゃあ」と腰に手を回され抱き寄せられ、携帯電話の画面を見せてくる。
「まずはここで食事でいいね」顔も近づけられ、流石に身震いしそうになったがグッと堪える。
――これでいいのかな……
自身の判断に迷いが生まれるが、なんだか抗う力もなく、なすがまま歩を進める。
すると今度は後ろから肩をガッと力強く掴まれた。
「何をやってるんですか!!」
その声は怒気をはらんでいた。
「流石にっ 見過ごせません!!」
その女性は急いで駆けつけたのであろう。ゼイゼイと息が上がっている。
萌香は暫し状況が飲み込めずにいたがハッと気付く。
「め、眼鏡さん……っ」
そう。現れたのは異世界行きの時に女神と一緒にいた『異世界行き課』の職員だ。
「な、なんで……」
萌香は動揺している。
「……あなたは、監視対象ですから、女神様に、管理されて、いるんでっ」
息を整えつつ何とか伝えようとする。
「エ、エ~……」
何となく理解する萌香。
「まぁ、何でもお見通しというわけですよ。神様ですからね……」
ふぅと眼鏡さんは息をつく。
「あ、あの…… あ、っと……」
何を言うべきかとマゴマゴしていると「ちょっと落ち着きましょう」と、近くにあったファミレスへと移動を促される。
パパ活のパパはいつの間にやらいなくなっていた。
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