ハイヒールでの激闘

ラムライ

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私服警官 結城ちひろ登場(勝手に設定変えて)

第三話

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路地裏の湿ったコンクリートの上、結城ちひろは絶望の淵にいた。犯人の卑劣な指がスカートの奥深く、彼女の最後の尊厳であるショーツを奪い去ろうとしたその時。

「動かないで! 現行犯で包囲したわ!」

鋭い声と共に、暴力的なほどの白い光が路地を照らした。犯人の男が顔をしかめて腕で目を覆う。同時に、けたたましいパトカーのサイレン音が路地裏に鳴り響いた。

「チッ、察知されたか……!」

男は奪い取ったばかりの結城のショーツを、戦利品としてポケットに突っ込むと、信じられないほどの身軽さで壁を蹴り、闇の中へと消えていった。

「ちひろ! 大丈夫!?」

駆け寄ってきたのは、スマホのライトを掲げた望月みずきだった。サイレン音は、彼女が最大音量で流していた動画の音だった。

「みずき……どうして……」

「いつも夜中に寮を抜け出すから、心配でスクーターにGPSを付けておいたの。……ごめん、間に合わなくて」

結城の顔は、口紅は頬まで引き伸ばされ、服ははだけ、震えていた。望月はその震える肩を、自分の上着で強く包み込んだ。




「どうしたの?大事な話って?」

数日後の深夜。結城は望月に呼び出され、二人は警察署専用の体育館に立っていた。
結城は、犯人と対峙した時と同じスーツ、同じヒール姿で来るように言われていた。

「……体調は?もう万全?」

望月が静かに問いかける。

「ええ。もう万全よ」

結城が答えた瞬間だった。望月が風のように踏み込み、結城の顎を強引に掴み上げた。

「なっ、何……!?」
驚く結城の唇を、望月の親指が力任せに押し潰す。入念に引いたオレンジレッドの口紅が、望月の指によってグチャグチャに引き摺られ、白い頬を汚していく。

「何よこれ。全然なってない。……一回触られただけで、そんなに動揺して、腰が浮いてる。そんなんじゃ、またあいつに『おやつ』にされるだけよ」

望月の瞳には、いつもの温厚な面影はなかった。冷徹な一人の教官の目となり、手錠を結城の足元に投げつけた。

「今から私が犯人役をやる。……あの夜と同じ、それ以上の辱めを与えるわ。それに耐えて、完璧なタイミングで私を逮捕してみなさい!さあ、メイクを直して!最初からよ!」

特訓が始まった。結城は戸惑いながらメイクを直して手錠を拾うと、望月は心を鬼にし結城を壁に追い詰めた。

「まずは、唇よ!」

望月は、あの犯人を想像し、結城の顔を両手で挟み込み、乱暴に唇を重ねて舌も入れ始めた。結城の口紅はたちまち崩れ、悲惨なピエロのようになっていく。

「嫌……やめて、みずき……!」

「声が小さい! 犯人にもそうお願いするの!? ほら、次はここよ!」

望月の手が、結城の薄いブラウスの上から胸を執拗に揉みしだき、さらにはスカートを捲り上げて太ももを乱暴に撫で回す。

「んぐぅ..,あぁぁん!」

結城の脳裏に、あのタバコ臭い男の感触がフラッシュバックする。ヒールを履いた足がガクガクと震え、平衡感覚が狂う。

「ちひろ、集中して! 目を閉じない! 指先まで神経を研ぎ澄ませて。……あんたの体は今、犯人を捕まえるための最高級の『罠』なのよ!」

望月の叫びに、結城の瞳に再び火が灯った。
何度も、何度も繰り返された。メイクを塗り直し、それを望月が剥ぎ取り、体を弄ぶ。結城は涙を流しながらも、次第にその不快な感触を「外部からのノイズ」として処理し始めた。

そして、夜が明ける頃。
望月が結城の首筋に顔を埋め、最後の一線を越えようと手を伸ばした瞬間。結城の体が、吸い付くような動きで望月の腕を巻き取った。

「――そこッ!!」

完璧な一本背負い。望月の体が空を舞い、畳の上に叩きつけられた。

「...よし。合格。やればできるじゃん!ちひろ!」

望月の髪も乱れて汗で顔につき、その顔もファンデーションまみれの汗であった。しかし、ハンカチで拭うと、素肌といつもの笑顔が戻っていた。


「ありがとう、みずき。特訓の成果、今度みせてやるわ!」


その頃、繁華街では、再び「接吻泥棒」の被害が度々報告されていた。

「速報です。昨夜、帰宅途中の女性が何者かに突然キスをされ、そのまま逃亡する情報が入りました。今年に入ってから繁華街を中心に同様の被害を訴える女性が相次いでいますが、詳しい犯行像はわかっておらず、警察は逃げた男について、詳しく調べています。以上、速報でした。次のニュースは...」


結城はTVを見ながら一本の口紅を取り出した。
あの日、望月によって何度も汚され、塗り直された、戦いの色。
彼女は丁寧に、一点の曇りもなく紅を引く。

「……準備はいいわね、みずき。私も、後から向かうわ」

物陰から無線で応える望月の声。

「いつでも。……GPS、オン。バックアップは完璧よ」

結城は、夜の繁華街へスクーターを走らせた。
今度も、わざとフラフラと隙を見せ、しかし芯の通った足取りで歩く予定だ。
あのタバコ臭い影が、再び自分に牙を剥くのを、静かに待ちながら。
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