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1章
二人でモデルを<イオリス視点>
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ミュリカが俺に紹介すると連れてきたのは、髪の短い眼鏡を掛けた少女だった。ミュリカと違って細っこく、背も低い。
しかし、彼女には妙な圧があった。
「こんばんは初めまして王子様! 私は相賀舞子といいます! 師匠さんと接触したいんでしょ? むふー、そういうことなら大得意、私に任せて!」
「あ、ああ。……俺はイオリス・アイネルだ。……よろしく頼む」
何だろう、このテンションの高さ。ちょっと引く。
そんな俺に、ミュリカが補足をした。
「ええと、舞ちゃんは何というか……絵を描く子なのよ。だから彼女に頼んで殿下と師匠をモデルにしてもらうことにしたの。その……基本的に男の人二人が密着する系の絵描きさんだから、それを口実に師匠から燃料もらえばいいかなって」
「私的には、ただの口実じゃなくてマジ描きなのでよろしくです! 王子様と師匠さんの体格差は萌えなので、いくつかのポーズをお願いしたい!」
やたら鼻息の荒い彼女に気圧されて、思わずミュリカを見る。
「おい、大丈夫なのかこいつ……」
「……まあ適当なところで私が止めるから平気よ。舞ちゃんはこうなるとすんごいぐいぐい来るの。師匠は絶対断り切れないわ」
「それは頼もしい……と言っていいのか……」
「さあ王子様! 師匠さんのところに行きましょう!」
こちらが話をしている間に、舞子はすでに扉を開けて待っている。俺のために来てもらったはずなのに、明らかに俺よりやる気満々だ。
「……何の打ち合わせもせず、このまま行っていいのか?」
「そういうのどうせ無駄だからいいわ。……ただ、殿下の理性が試されるから、自制心を総動員して耐えてちょうだいね?」
「お、おう……?」
どういうことだろう。こちらをじっと見上げたミュリカに、俺は曖昧な返事を返すことしかできなかった。
「え? 俺と殿下で舞子ちゃんの絵のモデルに?」
「そうなんですぅ。私絵描きなんですけど、こっちの世界に来てしばらく描ける環境になかったから……。できれば手慣らしに少し描きたいので、モデルになってもらえたら嬉しいなって」
「それなら俺みたいなおっさんじゃなく、もっと若くて殿下と並んで絵になる人がいると思うけど……」
部屋に入った途端、特に俺やミュリカが何を言うまでもなく、舞子は直接巧斗と交渉に入った。それに巧斗がすぐに後込みする、が。
「何をおっしゃる! 師匠さんは腰が細くて私のモデルとして理想のスタイルですよ! おまけに大人の色気がある美人さんですし! 王子様との体格差もばっちりですし! それに、何かあったら力になるって言ってくれたじゃないですかぁ」
「そ、それはまあ、確かに言った、けど……」
この女、恐ろしく押しが強い。ミュリカと違う意味で勝てる気がしない。
巧斗もすっかり気圧されて、少したじたじしながら俺の方に視線を向けた。
「……殿下は、彼女のモデルを了承したんですか?」
「あ、ああ、まあな。どうせ暇だったし……」
そこで横からミュリカに肘で小突かれる。ちらりと彼女を見ると、じとりと睨まれた。俺の気のないそぶりの答えが駄目だったらしい。慌てて言葉を付け足す。
「ええと、まあ、俺は巧斗が相手なら構わないし……」
「王子様は、師匠さんが相手だったらモデルになってくれるんですって。だから師匠さんに断られると辛いなぁ」
すかさず舞子のフォローが入った。
「……そうなの? でも俺相手だと……いや、殿下が気にしないならまあいいか……。分かった、やるよ」
「やった! ありがとうございます、師匠さん!」
彼女はまんまと巧斗を丸め込む。そして目を輝かせて、すぐに俺を呼んだ。
「じゃあ王子様、こっち来て師匠さんをお姫様だっこしてくれる?」
「「お姫様だっこ!?」」
思わず巧斗と二人でハモってしまった。男二人が密着するモデルって、そういうことか。
しかし驚く俺たちを余所に、舞子は平然と紙とペンを用意して正面に座った。
「ポーズを変えなければ普通に話とかしてて大丈夫だから。はい、よろしくどうぞ!」
こっちの心の準備ができてないのに勝手にキューを出すな。よろしくどうぞじゃねえよ。
そう文句を言おうとして、けれど隣から眉尻を下げた巧斗におろおろと見上げられて、のどまで出かかった言葉を引っ込めた。
「で、殿下、やっぱりやめます? 俺女の子みたいに軽くないですし、恥ずかしいし……」
……ああもう、その表情、くっそ可愛い。俺より一回りも歳上のくせに。
しかし、彼女には妙な圧があった。
「こんばんは初めまして王子様! 私は相賀舞子といいます! 師匠さんと接触したいんでしょ? むふー、そういうことなら大得意、私に任せて!」
「あ、ああ。……俺はイオリス・アイネルだ。……よろしく頼む」
何だろう、このテンションの高さ。ちょっと引く。
そんな俺に、ミュリカが補足をした。
「ええと、舞ちゃんは何というか……絵を描く子なのよ。だから彼女に頼んで殿下と師匠をモデルにしてもらうことにしたの。その……基本的に男の人二人が密着する系の絵描きさんだから、それを口実に師匠から燃料もらえばいいかなって」
「私的には、ただの口実じゃなくてマジ描きなのでよろしくです! 王子様と師匠さんの体格差は萌えなので、いくつかのポーズをお願いしたい!」
やたら鼻息の荒い彼女に気圧されて、思わずミュリカを見る。
「おい、大丈夫なのかこいつ……」
「……まあ適当なところで私が止めるから平気よ。舞ちゃんはこうなるとすんごいぐいぐい来るの。師匠は絶対断り切れないわ」
「それは頼もしい……と言っていいのか……」
「さあ王子様! 師匠さんのところに行きましょう!」
こちらが話をしている間に、舞子はすでに扉を開けて待っている。俺のために来てもらったはずなのに、明らかに俺よりやる気満々だ。
「……何の打ち合わせもせず、このまま行っていいのか?」
「そういうのどうせ無駄だからいいわ。……ただ、殿下の理性が試されるから、自制心を総動員して耐えてちょうだいね?」
「お、おう……?」
どういうことだろう。こちらをじっと見上げたミュリカに、俺は曖昧な返事を返すことしかできなかった。
「え? 俺と殿下で舞子ちゃんの絵のモデルに?」
「そうなんですぅ。私絵描きなんですけど、こっちの世界に来てしばらく描ける環境になかったから……。できれば手慣らしに少し描きたいので、モデルになってもらえたら嬉しいなって」
「それなら俺みたいなおっさんじゃなく、もっと若くて殿下と並んで絵になる人がいると思うけど……」
部屋に入った途端、特に俺やミュリカが何を言うまでもなく、舞子は直接巧斗と交渉に入った。それに巧斗がすぐに後込みする、が。
「何をおっしゃる! 師匠さんは腰が細くて私のモデルとして理想のスタイルですよ! おまけに大人の色気がある美人さんですし! 王子様との体格差もばっちりですし! それに、何かあったら力になるって言ってくれたじゃないですかぁ」
「そ、それはまあ、確かに言った、けど……」
この女、恐ろしく押しが強い。ミュリカと違う意味で勝てる気がしない。
巧斗もすっかり気圧されて、少したじたじしながら俺の方に視線を向けた。
「……殿下は、彼女のモデルを了承したんですか?」
「あ、ああ、まあな。どうせ暇だったし……」
そこで横からミュリカに肘で小突かれる。ちらりと彼女を見ると、じとりと睨まれた。俺の気のないそぶりの答えが駄目だったらしい。慌てて言葉を付け足す。
「ええと、まあ、俺は巧斗が相手なら構わないし……」
「王子様は、師匠さんが相手だったらモデルになってくれるんですって。だから師匠さんに断られると辛いなぁ」
すかさず舞子のフォローが入った。
「……そうなの? でも俺相手だと……いや、殿下が気にしないならまあいいか……。分かった、やるよ」
「やった! ありがとうございます、師匠さん!」
彼女はまんまと巧斗を丸め込む。そして目を輝かせて、すぐに俺を呼んだ。
「じゃあ王子様、こっち来て師匠さんをお姫様だっこしてくれる?」
「「お姫様だっこ!?」」
思わず巧斗と二人でハモってしまった。男二人が密着するモデルって、そういうことか。
しかし驚く俺たちを余所に、舞子は平然と紙とペンを用意して正面に座った。
「ポーズを変えなければ普通に話とかしてて大丈夫だから。はい、よろしくどうぞ!」
こっちの心の準備ができてないのに勝手にキューを出すな。よろしくどうぞじゃねえよ。
そう文句を言おうとして、けれど隣から眉尻を下げた巧斗におろおろと見上げられて、のどまで出かかった言葉を引っ込めた。
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……ああもう、その表情、くっそ可愛い。俺より一回りも歳上のくせに。
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