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海誓山盟明和暗(不変の誓い)
115:翳桑餓人(三)
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「殆どこの場所を訪れるやつはいないのに、凰黎はどうしてこの石碑のことを知ってたんだ?」
「誰一人訪れなかったわけではない。我々恒凰宮の者だけは、ここに翳冥宮があったことを忘れてはいけないのだ。それゆえ、時折この地に祈りを捧げることもある。阿黎とも幼い頃、二人で共に訪れたものだ」
凰神偉が凰黎の代わりにそう言った。
「そうか……。恒凰宮には感謝している」
涙を堪えるような声で翳黒明が言葉を絞り出す。
「貴公の悔しい思いは分からぬわけではない。色々な事情はあったろうが、肉親を殺し脈々と受け継がれた使命を絶えさせるようなことを、貴公が望んだとも思い難い。私は何かを許す立場にはないが、同じ双宮の宮主として復興には協力を惜しまない」
凰神偉の落ち着いた言葉に対し、翳黒明は何も言わない。
ただ俯き表情を隠したまま、彼が小さく震えていたことだけは煬鳳にも分かった。
翳冥宮の前までやってきた煬鳳たちは、思わず足を止めてしまった。
『クエェ……クェ!』
黒曜がその異常さを察したのか、鳴き声をあげる。
「煬大哥……」
それまで煬鳳たちと交互に手をつなぎ元気に歩いていた凰黎が急に怯えて煬鳳の後ろに張り付いた。煬鳳は小黄を抱き上げると翳冥宮を凝視する。
遠目から見ても翳冥宮は崩れかけ、屋敷の内部が露出している。かつては美しかったであろう翳冥宮も、その姿を想像できないほどには酷い有様だ。既に年月が経ち過ぎて土埃で隠れてしまった部分も多い。
驚くのは百年放置されていたというにもかかわらず、遠くまで届く異様なほどの陰気が噴出していることだ。
これでは誰一人、特に力のない人間などは近寄ることは死に等しい行為であり、この場所を訪れるものがいないのも仕方ないだろう。
「煬鳳。小黄のことは俺たちに任せろ。俺には鉄鉱力士もいるからな」
事態を察した彩藍方が煬鳳に呼び掛ける。『たち』というのは鉄鉱力士のことだろう。煬鳳は小黄の顔を見て「あっちの兄ちゃんと一緒でもいいか?」と尋ねれば、小黄はこくりと頷いた。
彩藍方は、小黄を受け取ると顕現させたばかりの鉄鉱力士に小黄を抱えさせる。
「初めは怖いかもしれないけど、俺よりこいつの方がずっと頑丈だ。俺もちゃんと傍にいるから、煬鳳と凰黎を手伝うと思って大人しくしてくれよ」
「うん、分かった」
小黄に抱えられていた黒曜は名残惜しそうに小黄の頬に頬を寄せ、それから煬鳳のところに舞い戻る。黒曜と煬鳳とが直接つながっている以上、これから先何が起こるか分からない状態で小黄のもとにはいられない。
「翳冥宮全体を陰気が包んでいる。本来は恒凰宮と翳冥宮の双宮の関係と同様に、陽も陰も対となる存在であり、どちらが悪でも正義でもない。しかしひとたび二つの均衡が崩れれば、どちらとて危ういものとなるだろ。いま翳冥宮を包んでいるのは常軌を逸するほどの陰気だ。そしてその中に我々は入らなければならない。ここから先はできるだけ一緒に行動した方が良さそうだ」
鸞快子の言葉にみな頷き、ばらけないように集まる。
「俺があんなことを起こしたからこうなったのか? いや、しかし……それにしたってこれは、異常だ……」
翳黒明ですら言葉を失っており、顔色は蒼白だ。
既に門であったかも分からぬ場所を通り過ぎ、濃くなる陰気に煬鳳は顔をしかめる。
「これは……」
屋敷の中に入った煬鳳たちは絶句した。目の前に広がっているのは折り重なるようにして倒れている白骨たち。その数は数十にもおよび、崩れた壁の向こうまで続いている。
「まさかこれが全部翳冥宮の人々なのか!?」
「いや……。もしここに誰かの死骸があるのなら、それは外から興味本位でやってきた者たちだろう」
驚いた彩藍方は後退ったが、すぐに翳黒明の冷静な答えが返ってきた。
「何故そう断言ができる?」
凰神偉の鋭い言葉にも怯まずに翳黒明はちらりと彼を一瞥する。
「翳冥宮が滅びたあと、魔界の奴らが完全に翳冥宮の人々に成り済ますために、野ざらしになっていた翳冥宮の人たちの死体を利用したんだ。それで、俺は彼らに二度と同じことをさせないように……一人ずつ全て跡形も残らないように灰に帰して風に乗せた」
「……」
魔界で黒曜が言っていたのだ。
『それから暫くしたあと、幸か不幸か一時的に自分を取り戻し、翳冥宮に戻ってきた。そうしたら何故か死んだはずの者たちに成り済ました奴らが翳冥宮にいたってこと』
一度目は大切な弟によって全てを失い、自らもまた弟を手に掛けた。その自責の念から彼は我を忘れ翳冥宮を飛び出した。
二度目は大切な人たちの死体を利用され、今度は自らの手で一人ずつ灰へと返さねばならなくなった彼の気持ちを考えると煬鳳は居たたまれない。とてもまともな精神状態ではいられなかったことだろう。
そのあと彼は本当に狂乱状態に陥ってしまい、黒冥翳魔と呼ばれるようになってしまったのだから。
――そうなると目の前に大量に積もる白骨は何なのか。
「翳冥宮は恒凰宮と共に原始の谷を守る役目を持っていた。それゆえ、万晶鉱を狙う輩は、翳冥宮にその手掛かりがないかと考えるものも多かったのだろう。歴史ある翳冥宮ならば何か金になるものが残っていると考えたのやもしれぬ。普通の神経ならばこのような危険な状態の場所に足を踏み入れることはないが、泥棒崩れの者たちには関係のないことだったのだろうな」
冷たく凰神偉は言い放つ。
「つまり、そういった命を省みない行為をした者たちの成れの果て、ということなのですね」
「恐らくはな」
凰黎の言葉に凰神偉は頷いた。二人がさほどその事実にも驚かないのは、それまでの間に彼ら自身が、大なり小なり近しい噂を耳にしていたからなのかもしれない。
翳冥宮の人々は命を奪われ、そして死体すら奪われた。
翳黒明は彼らを取り戻したが二度と利用させないために灰に帰すしかなかった。
彼らが何故ここまで酷い末路を辿らねばならなかったのか、彼らに非はあったのか?
理由すらなかったとしたら、本当に哀れなことだ。
それに、金目当てに踏み込んで命を落としてしまった、愚かで哀れな盗人たち。
「気を付けろ!」
彩藍方が叫ぶ。はっとして辺りを見回すと、黒いもやのようなものが地面から湧き上がっているのが目に入る。それはだんだんと塊へと変わり、やがて手と足と頭のようなものが認識できるようになった。
「陰気が人の形をとろうとしているのか……?」
もやだったものはゆっくりと人の姿で立ち上がる。それでも未だ見た目はただの『もや』のままだったが、彼らがこちらを見た――と思った瞬間に煬鳳は己がぞわりと総毛立つのを感じた。
「あれはこの場に残る様々な負の感情がこの場に充満する陰気と合わさった影だ。実体を持たぬゆえ大したことはできないはずだが、油断はするな!」
鸞快子の声が響く。
凰黎は彩藍方の方に振り返ると「小黄のことを頼みます!」と叫び、剣を影に向かって放とうとして躊躇した。
「鸞快子! 彼らはもしや翳冥宮の方々なのでは――?」
「だったらどうする?」
凰黎の言葉を待っていたかのように返された鸞快子の言葉。
(図星なのか……?)
煬鳳は直感した。そして敢えて凰黎に気づかせたということは、彼はこのあと凰黎がどう行動するのか試しているのかもしれない。
「もし……もしそうならば。いきなり退治してしまうのは早計ではないでしょうか。もし彼らが何かを考えてここに残っているのなら――っ」
「凰黎!」
咄嗟に凰黎に向かって襲い掛かってきた影の前に煬鳳は躍り出ると、永覇を彼らの前に掲げた。
「こ、これは……」
凰黎が驚きの声をあげる。
四方を影に囲まれているにもかかわらず、何故か影はそれ以上煬鳳たちに近づこうとはせず動きを止めているのだ。
「やっぱり永覇には近づかない! つまり、いま襲い掛かってきたのは翳冥宮の門弟じゃなくて魔界から来た奴らだ!」
剣を掲げたのは殆ど条件反射のようなものだったが、何故彼らが近づいて来ないのか、煬鳳にはその理由がすぐに分かった。
影たちはじわりじわりと後退り、ひれ伏すように霧となって辺りに散ってゆく。
そしてその様子を呆然と目の当たりにした凰黎は、驚きながら口にする。
「なるほど。確かに魔界の皇帝が造らせた剣ならば、魔界の者は恐れ多くて近づこうなどと考えないでしょうね」
「夢中で思わず体が動いたお陰だけど、霊力を使うよりも確実な方法だったな」
「ふふ。煬鳳に助けられてしまいましたね」
凰黎に微笑まれて煬鳳は胸が一杯だ。普段なら飛び出したついでに霊力を使ってしまい、結局凰黎に心配されてしまうところだろう。
実に我ながら良くできたものだった、と心の中で己を褒め称えてやった。
「しかし翳冥宮全体を覆う陰気はまだ消え去ったわけではない」
凰神偉の言葉が無くても、煬鳳たちも気づいてはいる。先ほど現れた影は、確かに魔界の者たちの成れの果てではあったが、彼らが自ら消えたあとも重苦しい気配はまだ続いているのだ。
「誰一人訪れなかったわけではない。我々恒凰宮の者だけは、ここに翳冥宮があったことを忘れてはいけないのだ。それゆえ、時折この地に祈りを捧げることもある。阿黎とも幼い頃、二人で共に訪れたものだ」
凰神偉が凰黎の代わりにそう言った。
「そうか……。恒凰宮には感謝している」
涙を堪えるような声で翳黒明が言葉を絞り出す。
「貴公の悔しい思いは分からぬわけではない。色々な事情はあったろうが、肉親を殺し脈々と受け継がれた使命を絶えさせるようなことを、貴公が望んだとも思い難い。私は何かを許す立場にはないが、同じ双宮の宮主として復興には協力を惜しまない」
凰神偉の落ち着いた言葉に対し、翳黒明は何も言わない。
ただ俯き表情を隠したまま、彼が小さく震えていたことだけは煬鳳にも分かった。
翳冥宮の前までやってきた煬鳳たちは、思わず足を止めてしまった。
『クエェ……クェ!』
黒曜がその異常さを察したのか、鳴き声をあげる。
「煬大哥……」
それまで煬鳳たちと交互に手をつなぎ元気に歩いていた凰黎が急に怯えて煬鳳の後ろに張り付いた。煬鳳は小黄を抱き上げると翳冥宮を凝視する。
遠目から見ても翳冥宮は崩れかけ、屋敷の内部が露出している。かつては美しかったであろう翳冥宮も、その姿を想像できないほどには酷い有様だ。既に年月が経ち過ぎて土埃で隠れてしまった部分も多い。
驚くのは百年放置されていたというにもかかわらず、遠くまで届く異様なほどの陰気が噴出していることだ。
これでは誰一人、特に力のない人間などは近寄ることは死に等しい行為であり、この場所を訪れるものがいないのも仕方ないだろう。
「煬鳳。小黄のことは俺たちに任せろ。俺には鉄鉱力士もいるからな」
事態を察した彩藍方が煬鳳に呼び掛ける。『たち』というのは鉄鉱力士のことだろう。煬鳳は小黄の顔を見て「あっちの兄ちゃんと一緒でもいいか?」と尋ねれば、小黄はこくりと頷いた。
彩藍方は、小黄を受け取ると顕現させたばかりの鉄鉱力士に小黄を抱えさせる。
「初めは怖いかもしれないけど、俺よりこいつの方がずっと頑丈だ。俺もちゃんと傍にいるから、煬鳳と凰黎を手伝うと思って大人しくしてくれよ」
「うん、分かった」
小黄に抱えられていた黒曜は名残惜しそうに小黄の頬に頬を寄せ、それから煬鳳のところに舞い戻る。黒曜と煬鳳とが直接つながっている以上、これから先何が起こるか分からない状態で小黄のもとにはいられない。
「翳冥宮全体を陰気が包んでいる。本来は恒凰宮と翳冥宮の双宮の関係と同様に、陽も陰も対となる存在であり、どちらが悪でも正義でもない。しかしひとたび二つの均衡が崩れれば、どちらとて危ういものとなるだろ。いま翳冥宮を包んでいるのは常軌を逸するほどの陰気だ。そしてその中に我々は入らなければならない。ここから先はできるだけ一緒に行動した方が良さそうだ」
鸞快子の言葉にみな頷き、ばらけないように集まる。
「俺があんなことを起こしたからこうなったのか? いや、しかし……それにしたってこれは、異常だ……」
翳黒明ですら言葉を失っており、顔色は蒼白だ。
既に門であったかも分からぬ場所を通り過ぎ、濃くなる陰気に煬鳳は顔をしかめる。
「これは……」
屋敷の中に入った煬鳳たちは絶句した。目の前に広がっているのは折り重なるようにして倒れている白骨たち。その数は数十にもおよび、崩れた壁の向こうまで続いている。
「まさかこれが全部翳冥宮の人々なのか!?」
「いや……。もしここに誰かの死骸があるのなら、それは外から興味本位でやってきた者たちだろう」
驚いた彩藍方は後退ったが、すぐに翳黒明の冷静な答えが返ってきた。
「何故そう断言ができる?」
凰神偉の鋭い言葉にも怯まずに翳黒明はちらりと彼を一瞥する。
「翳冥宮が滅びたあと、魔界の奴らが完全に翳冥宮の人々に成り済ますために、野ざらしになっていた翳冥宮の人たちの死体を利用したんだ。それで、俺は彼らに二度と同じことをさせないように……一人ずつ全て跡形も残らないように灰に帰して風に乗せた」
「……」
魔界で黒曜が言っていたのだ。
『それから暫くしたあと、幸か不幸か一時的に自分を取り戻し、翳冥宮に戻ってきた。そうしたら何故か死んだはずの者たちに成り済ました奴らが翳冥宮にいたってこと』
一度目は大切な弟によって全てを失い、自らもまた弟を手に掛けた。その自責の念から彼は我を忘れ翳冥宮を飛び出した。
二度目は大切な人たちの死体を利用され、今度は自らの手で一人ずつ灰へと返さねばならなくなった彼の気持ちを考えると煬鳳は居たたまれない。とてもまともな精神状態ではいられなかったことだろう。
そのあと彼は本当に狂乱状態に陥ってしまい、黒冥翳魔と呼ばれるようになってしまったのだから。
――そうなると目の前に大量に積もる白骨は何なのか。
「翳冥宮は恒凰宮と共に原始の谷を守る役目を持っていた。それゆえ、万晶鉱を狙う輩は、翳冥宮にその手掛かりがないかと考えるものも多かったのだろう。歴史ある翳冥宮ならば何か金になるものが残っていると考えたのやもしれぬ。普通の神経ならばこのような危険な状態の場所に足を踏み入れることはないが、泥棒崩れの者たちには関係のないことだったのだろうな」
冷たく凰神偉は言い放つ。
「つまり、そういった命を省みない行為をした者たちの成れの果て、ということなのですね」
「恐らくはな」
凰黎の言葉に凰神偉は頷いた。二人がさほどその事実にも驚かないのは、それまでの間に彼ら自身が、大なり小なり近しい噂を耳にしていたからなのかもしれない。
翳冥宮の人々は命を奪われ、そして死体すら奪われた。
翳黒明は彼らを取り戻したが二度と利用させないために灰に帰すしかなかった。
彼らが何故ここまで酷い末路を辿らねばならなかったのか、彼らに非はあったのか?
理由すらなかったとしたら、本当に哀れなことだ。
それに、金目当てに踏み込んで命を落としてしまった、愚かで哀れな盗人たち。
「気を付けろ!」
彩藍方が叫ぶ。はっとして辺りを見回すと、黒いもやのようなものが地面から湧き上がっているのが目に入る。それはだんだんと塊へと変わり、やがて手と足と頭のようなものが認識できるようになった。
「陰気が人の形をとろうとしているのか……?」
もやだったものはゆっくりと人の姿で立ち上がる。それでも未だ見た目はただの『もや』のままだったが、彼らがこちらを見た――と思った瞬間に煬鳳は己がぞわりと総毛立つのを感じた。
「あれはこの場に残る様々な負の感情がこの場に充満する陰気と合わさった影だ。実体を持たぬゆえ大したことはできないはずだが、油断はするな!」
鸞快子の声が響く。
凰黎は彩藍方の方に振り返ると「小黄のことを頼みます!」と叫び、剣を影に向かって放とうとして躊躇した。
「鸞快子! 彼らはもしや翳冥宮の方々なのでは――?」
「だったらどうする?」
凰黎の言葉を待っていたかのように返された鸞快子の言葉。
(図星なのか……?)
煬鳳は直感した。そして敢えて凰黎に気づかせたということは、彼はこのあと凰黎がどう行動するのか試しているのかもしれない。
「もし……もしそうならば。いきなり退治してしまうのは早計ではないでしょうか。もし彼らが何かを考えてここに残っているのなら――っ」
「凰黎!」
咄嗟に凰黎に向かって襲い掛かってきた影の前に煬鳳は躍り出ると、永覇を彼らの前に掲げた。
「こ、これは……」
凰黎が驚きの声をあげる。
四方を影に囲まれているにもかかわらず、何故か影はそれ以上煬鳳たちに近づこうとはせず動きを止めているのだ。
「やっぱり永覇には近づかない! つまり、いま襲い掛かってきたのは翳冥宮の門弟じゃなくて魔界から来た奴らだ!」
剣を掲げたのは殆ど条件反射のようなものだったが、何故彼らが近づいて来ないのか、煬鳳にはその理由がすぐに分かった。
影たちはじわりじわりと後退り、ひれ伏すように霧となって辺りに散ってゆく。
そしてその様子を呆然と目の当たりにした凰黎は、驚きながら口にする。
「なるほど。確かに魔界の皇帝が造らせた剣ならば、魔界の者は恐れ多くて近づこうなどと考えないでしょうね」
「夢中で思わず体が動いたお陰だけど、霊力を使うよりも確実な方法だったな」
「ふふ。煬鳳に助けられてしまいましたね」
凰黎に微笑まれて煬鳳は胸が一杯だ。普段なら飛び出したついでに霊力を使ってしまい、結局凰黎に心配されてしまうところだろう。
実に我ながら良くできたものだった、と心の中で己を褒め称えてやった。
「しかし翳冥宮全体を覆う陰気はまだ消え去ったわけではない」
凰神偉の言葉が無くても、煬鳳たちも気づいてはいる。先ほど現れた影は、確かに魔界の者たちの成れの果てではあったが、彼らが自ら消えたあとも重苦しい気配はまだ続いているのだ。
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