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それから
10-05:船岡山の山桜
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季節が巡るのは早い。
あれから夏が終わり、秋が来て、そして冬が訪れた。
初めの頃は桜の消えた邸は寂しいね、などと銀や兄達と語らったものだったが、今ではそれもすっかり慣れたものだ。
それに、あれから一度も桜に会っていない訳でもない。
昂明達が頼央の元を訪れる時、桜は決まって出迎えてくれる。そうして、待っていたとばかりに銀の元に駆け寄るのだ。
あれだけ泣いて昂明達の元から離れるのを嫌がった桜だが、今ではすっかり頼央の邸での暮らしにも慣れ、頼央の娘達とも仲良くやっているらしい。箏の稽古やら読み書き、歌合や貝合、毎日語り切れぬほど学んで遊んで……それを話してくれる桜の顔はきらきらとしていた。
裳着を済ませたらそんな顔もおいそれと見られなくなるのかもしれない、そう思うと少しの寂しさも過るのだが。
「桜は随分姫様らしくなったな」
手に持つ枝をくるくると回しながら銀が呟く。衣を被って良くは見えないが、その顔は微笑んでいるように見える。
久しぶりに会った桜の姿を、邸に帰る道すがら思い出す。
裳着もまだだというのに駄々をこね、細長姿で昂明達の前に姿を見せた桜は、刀岐の邸にいた頃よりもずっと姫らしく、昂明から見ても愛らしかった。崖下で彼女を拾ったのがもう遠い昔のことのように思え、なんだか無性に寂しくも感じてしまう。
「最近じゃいっちょ前に歌なんか詠むようになったらしいぜ」
銀の手にある桜の枝には、蕾と共に桜からの文が結び付けられていた。昂明が「なんて書いてあるんだよ」と茶化せば、「まだ読んでいない」と仄かに顔を赤くする。
満更でもない式神の顔を見て、春は近いと思う昂明だった。
『船岡の 雪消待ち侘ぶ 山桜 つもる白さを 面影にして』
――白い雪を見ると、いつだってあなたの事を思い出します。船岡山の山桜は、早くあなたの元に行きたいと願っています。
<了>
あれから夏が終わり、秋が来て、そして冬が訪れた。
初めの頃は桜の消えた邸は寂しいね、などと銀や兄達と語らったものだったが、今ではそれもすっかり慣れたものだ。
それに、あれから一度も桜に会っていない訳でもない。
昂明達が頼央の元を訪れる時、桜は決まって出迎えてくれる。そうして、待っていたとばかりに銀の元に駆け寄るのだ。
あれだけ泣いて昂明達の元から離れるのを嫌がった桜だが、今ではすっかり頼央の邸での暮らしにも慣れ、頼央の娘達とも仲良くやっているらしい。箏の稽古やら読み書き、歌合や貝合、毎日語り切れぬほど学んで遊んで……それを話してくれる桜の顔はきらきらとしていた。
裳着を済ませたらそんな顔もおいそれと見られなくなるのかもしれない、そう思うと少しの寂しさも過るのだが。
「桜は随分姫様らしくなったな」
手に持つ枝をくるくると回しながら銀が呟く。衣を被って良くは見えないが、その顔は微笑んでいるように見える。
久しぶりに会った桜の姿を、邸に帰る道すがら思い出す。
裳着もまだだというのに駄々をこね、細長姿で昂明達の前に姿を見せた桜は、刀岐の邸にいた頃よりもずっと姫らしく、昂明から見ても愛らしかった。崖下で彼女を拾ったのがもう遠い昔のことのように思え、なんだか無性に寂しくも感じてしまう。
「最近じゃいっちょ前に歌なんか詠むようになったらしいぜ」
銀の手にある桜の枝には、蕾と共に桜からの文が結び付けられていた。昂明が「なんて書いてあるんだよ」と茶化せば、「まだ読んでいない」と仄かに顔を赤くする。
満更でもない式神の顔を見て、春は近いと思う昂明だった。
『船岡の 雪消待ち侘ぶ 山桜 つもる白さを 面影にして』
――白い雪を見ると、いつだってあなたの事を思い出します。船岡山の山桜は、早くあなたの元に行きたいと願っています。
<了>
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杵島 灯さま
最後まで読んで下さって、本当に有難うございます・・・!
思いのほか淡々としたお話になってしまったかなと気にしたりしているのですが、
読んでいただける方がいてとても嬉しく思います(*´ェ`*)
昂明は主役だけど銀と桜を見守る立場です。
銀はしっかりものだけど桜と共に精神的に成長したと思います(*´ェ`*)
最後は男としてがんばった!╭( ・ㅂ・)و̑ グッ
きっと将来は美男美女、幸せな夫婦になるに違いありません(*ノωノ)
有難うございました!ヾ(≧▽≦)ノ✨✨
杵島 灯さま
ここまでよんでくださって、有難うございます。゚(゚´Д`゚)゚。
もう本当にクライマックス間近!ですね(*´∀`*)ポッ
なんだかんだ、昼貞さん男前なのにめちゃくちゃ輝く君大好きです(*´ェ`*)💖
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あと一息、お付き合いいただければ幸いです(*´∀`*)有難うございます!
5-6まで拝読しました。
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杵島さま
ここまで読んでくださってありがとうございます😭😭
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