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第51話 ぷちプリン
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俺と、俺を飲み込んだシュメルツェンの身体が輝き、パラメータが交換された事を確認する。
「この状況で≪リプレイス≫を? 一体チェインは何を考えてますの?」
【フルーレティ】の仲間達は俺が錯乱したとでも思っているかもしれないが、一応俺なりの考えがあっての事だ。
但し上手くいくかどうかは五分五分だ。
やがて俺の身体は溶けだし、シュメルツェンと融合して一つになる。
最後に残ったのは───シュメルツェンを消化、吸収しつくして巨大化した俺だった。
「チェイン、これは一体どうなって……」
俺は呆気にとられている仲間達に向けて説明をする。
「一か八かの賭けだったけど上手くいったよ。シュメルツェンと消化力、吸収力、柔軟性等のパラメータを交換してみた。その結果はご覧のとおりさ」
「これはもうどっちが化け物やら……」
「完全に人間をやめてますわね……」
「気持ち悪い」
「悪夢に出てきそう」
仲間達からの評判は散々だが、これはシュメルツェンを一掃するチャンスだ。
俺は周囲の沼に飛び込むと、辺りのシュメルツェンを体表から吸収し尽す。
程なくして最後に残ったのは、さらに山の様に巨大化をした俺の姿だけだった。
仲間達はあんぐりと口を開けたまま俺を見上げる。
「チェイン、それ元に戻れるんですよね……?」
……どうだろう?
それについては全く考えてなかった。
そう思った矢先に≪リプレイス≫の効果が切れ、身体中の汗腺から吸収したシュメルツェンの残骸が噴出する。
俺の身体は見る見る内に萎んでいき、あっという間に元通りだ。
「良かった、ちゃんと元に戻れた」
「まったく、あのまま戻らなかったらどうする気でしたの?」
ルッテが呆れ切った表情で言う。
「まあ結果オーライって事で」
正直何も考えていなかったから他に答えようがない。
それにしても深淵の蠕虫の外皮が編み込まれた俺の漆黒のローブはすごいな。
消化液に浸かっても全く溶けなかったし、俺が巨大化した時も身体のサイズに合わせて伸び続け、破れなかった。
もっともインナーは全滅したんだけど、ローブで全身を覆っている俺には傍目からは分からないしね。
シュメルツェンの討伐も完了し、荷物をまとめて帰り支度を始めた頃にシズハナが違和感に気付いて言った。
「おかしい、まだ魔法珠のファンファーレが流れてこない」
それはつまりまだ戦闘が終わっていない───魔物が残っているという証拠だ。
俺達は再度臨戦態勢に入る。
「シズハナ、魔物の気配は残ってる?」
シズハナは意識を集中し、気配を探る。
「5メートル東、沼の中に何かいる」
マリーニャはシズハナが指を差す方へ進み、沼を覗き込む。
「きゃっ」
マリーニャが沼の中にいる何かと目が合い、驚いて可愛い悲鳴を上げる。
「何がいるんだ? おい、出てこないなら叩き潰すぞ」
プリンが鉄瓜鎚を振り上げて覗き込むと、その迫力に驚いたのか中にいたものが飛び出してきた。
沼から飛び出てきたのは───プリンだった。
「え、あたし?」
しかしそのプリンの身長は120センチ程しかない。
まるでプリンが子供になった様な感じだ。
シュメルツェンは捕食したものの姿をコピーできる。
「きっと、さっきプリンを飲み込んだシュメルツェンの生き残りでしょうね」
「対象を完全に消化はしきれなくても、取り込んだ時点でその姿をコピーする事はできるようになっているという事ですわね」
これは新たな発見だ。
冒険者ギルドに報告をすれば報酬が貰える。
そして世界の魔物図鑑の次期バージョンにはこの情報が追記されるだろう。
「それにしても……」
俺を含めて四人の視線がぷちプリンに集まり、表情が和らぐ。
「しかし可愛いですね。お人形さんみたい」
「うん、可愛い。お持ち帰りしたい」
ぷちプリンはそんな俺達を上目遣いで眺め、仔犬の様に怯える表情を浮かべる。
子供の姿をしているのはもう生命力が殆ど残っていないからであろう。
こうして見るとどこにでもいる普通の女の子だ。
マリーニャ達も母性本能がくすぐられているのか、ぷちプリンを撫でたり抱っこしたりしてあやしている。
「確かに可愛いなこのプリンは」
俺がそう呟いた瞬間だった。
「ぎゃああああああああああ」
突如ぷちプリンの身体が炎上し、断末魔の叫び声を響かせたまま燃え尽きた。
振り向くと、無表情で火の付いた松明を手にしているプリンがいた。
「プリン、あなたなんて事を……」
「むごい……人間のやる事じゃない」
「鬼、いや悪魔が乗り移ったんだ!」
しかしプリンは表情一つ変えずに淡々と答える。
「いや、そいつシュメルツェンの擬態だぞ。しかもあたしを捕食しようとした奴な。あんたらこそ早く正気に戻れ」
テレッテレレー♪
ピロリロリロリ……ロリン♪
【魔法珠】からファンファーレと経験ポイント獲得の音が鳴る。
今回得た経験ポイントは100。
かなりの強敵だった。
「この状況で≪リプレイス≫を? 一体チェインは何を考えてますの?」
【フルーレティ】の仲間達は俺が錯乱したとでも思っているかもしれないが、一応俺なりの考えがあっての事だ。
但し上手くいくかどうかは五分五分だ。
やがて俺の身体は溶けだし、シュメルツェンと融合して一つになる。
最後に残ったのは───シュメルツェンを消化、吸収しつくして巨大化した俺だった。
「チェイン、これは一体どうなって……」
俺は呆気にとられている仲間達に向けて説明をする。
「一か八かの賭けだったけど上手くいったよ。シュメルツェンと消化力、吸収力、柔軟性等のパラメータを交換してみた。その結果はご覧のとおりさ」
「これはもうどっちが化け物やら……」
「完全に人間をやめてますわね……」
「気持ち悪い」
「悪夢に出てきそう」
仲間達からの評判は散々だが、これはシュメルツェンを一掃するチャンスだ。
俺は周囲の沼に飛び込むと、辺りのシュメルツェンを体表から吸収し尽す。
程なくして最後に残ったのは、さらに山の様に巨大化をした俺の姿だけだった。
仲間達はあんぐりと口を開けたまま俺を見上げる。
「チェイン、それ元に戻れるんですよね……?」
……どうだろう?
それについては全く考えてなかった。
そう思った矢先に≪リプレイス≫の効果が切れ、身体中の汗腺から吸収したシュメルツェンの残骸が噴出する。
俺の身体は見る見る内に萎んでいき、あっという間に元通りだ。
「良かった、ちゃんと元に戻れた」
「まったく、あのまま戻らなかったらどうする気でしたの?」
ルッテが呆れ切った表情で言う。
「まあ結果オーライって事で」
正直何も考えていなかったから他に答えようがない。
それにしても深淵の蠕虫の外皮が編み込まれた俺の漆黒のローブはすごいな。
消化液に浸かっても全く溶けなかったし、俺が巨大化した時も身体のサイズに合わせて伸び続け、破れなかった。
もっともインナーは全滅したんだけど、ローブで全身を覆っている俺には傍目からは分からないしね。
シュメルツェンの討伐も完了し、荷物をまとめて帰り支度を始めた頃にシズハナが違和感に気付いて言った。
「おかしい、まだ魔法珠のファンファーレが流れてこない」
それはつまりまだ戦闘が終わっていない───魔物が残っているという証拠だ。
俺達は再度臨戦態勢に入る。
「シズハナ、魔物の気配は残ってる?」
シズハナは意識を集中し、気配を探る。
「5メートル東、沼の中に何かいる」
マリーニャはシズハナが指を差す方へ進み、沼を覗き込む。
「きゃっ」
マリーニャが沼の中にいる何かと目が合い、驚いて可愛い悲鳴を上げる。
「何がいるんだ? おい、出てこないなら叩き潰すぞ」
プリンが鉄瓜鎚を振り上げて覗き込むと、その迫力に驚いたのか中にいたものが飛び出してきた。
沼から飛び出てきたのは───プリンだった。
「え、あたし?」
しかしそのプリンの身長は120センチ程しかない。
まるでプリンが子供になった様な感じだ。
シュメルツェンは捕食したものの姿をコピーできる。
「きっと、さっきプリンを飲み込んだシュメルツェンの生き残りでしょうね」
「対象を完全に消化はしきれなくても、取り込んだ時点でその姿をコピーする事はできるようになっているという事ですわね」
これは新たな発見だ。
冒険者ギルドに報告をすれば報酬が貰える。
そして世界の魔物図鑑の次期バージョンにはこの情報が追記されるだろう。
「それにしても……」
俺を含めて四人の視線がぷちプリンに集まり、表情が和らぐ。
「しかし可愛いですね。お人形さんみたい」
「うん、可愛い。お持ち帰りしたい」
ぷちプリンはそんな俺達を上目遣いで眺め、仔犬の様に怯える表情を浮かべる。
子供の姿をしているのはもう生命力が殆ど残っていないからであろう。
こうして見るとどこにでもいる普通の女の子だ。
マリーニャ達も母性本能がくすぐられているのか、ぷちプリンを撫でたり抱っこしたりしてあやしている。
「確かに可愛いなこのプリンは」
俺がそう呟いた瞬間だった。
「ぎゃああああああああああ」
突如ぷちプリンの身体が炎上し、断末魔の叫び声を響かせたまま燃え尽きた。
振り向くと、無表情で火の付いた松明を手にしているプリンがいた。
「プリン、あなたなんて事を……」
「むごい……人間のやる事じゃない」
「鬼、いや悪魔が乗り移ったんだ!」
しかしプリンは表情一つ変えずに淡々と答える。
「いや、そいつシュメルツェンの擬態だぞ。しかもあたしを捕食しようとした奴な。あんたらこそ早く正気に戻れ」
テレッテレレー♪
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【魔法珠】からファンファーレと経験ポイント獲得の音が鳴る。
今回得た経験ポイントは100。
かなりの強敵だった。
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