パーティを追放された鈺魔導士はパラメータチェンジ魔法を覚えたら誰にも負けなくなった

かにくくり

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第52話 悪魔のいる村

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 シュムクシルの街へ戻ると、俺達はまず浴場へ向かい、身体や衣服にこびりついていたシュメルツェンの残骸をきれいに洗い流した。

 水魔法が使えれば街へ戻る前に身体を洗ったり服を洗濯したりできるんだけど、残念ながらパーティ唯一の魔法剣士であるマリーニャは水魔法を使えない。

 水魔法は一般的には攻撃魔法に分類される。
 鉄砲水を呼び出して敵を流したり、身体が燃え盛っている炎属性の魔物に有効打を与えるのが主な使い方だ。

 攻撃魔法には様々な属性があり、各属性を手広く習得するより、少ない属性に絞って集中的にポイントを振って強化をしていく方が効率がいい。

 その為、マリーニャが習得している攻撃魔法は現時点では≪炎魔法フォイエル≫、≪爆砕魔法ブラスト≫、≪風魔法ウインド≫の三種類だけだ。

 しかし使える魔法の種類が少なすぎるのも考えもので、シュメルツェンの様に一部の属性の魔法しか効果がない魔物が相手だと、最悪の場合手も足も出ずに詰む事がある。

 この戦いの反省を活かし、今後マリーニャが修得する魔法について再検討を行う事にした。


 一息ついた俺達は、妖精フィーのシャミィを通してエルテウス達に今回の魔物騒ぎについて報告をする。
 そしてシャミィがエルテウスからの返答を伝えた。

「そうか、外れだったか。しかしそんなに大量のシュメルツェンがいるとはな。雷魔法が使えれば楽に戦えるんだが───だってさ」

 エルテウスは≪雷魔法ブリッツ≫の使い手だ。
 スライムタイプの魔物は電気をよく通すので、集まっている所に雷を落とすと周囲のスライムにも電気が拡散して一網打尽にできる。

 マリーニャは今後の事を考えてシュメルツェン討伐で得た経験ポイントを消費して≪雷魔法ブリッツ≫を習得する事にした。


 エルテウスへの報告が終わると、今度は冒険者ギルドシュムクシル支部へクエストの結果報告に向かう。

 今回、湿地帯に多くの魔物が生息しているという話だったが、全てシュメルツェンの擬態という事が分かった。
 このように依頼書の内容に誤りがある場合は、基本的にその根源となる魔物を倒せばクエストは達成されたと見なされる。

 俺達はクエストの報酬である金貨20枚を5分割する。
 ひとりあたり金貨4枚でも一般的な冒険者の年収に匹敵する金額であり、一日の稼ぎとしては破格である。

 しかし、俺達の本来の目的は国崩こくほう級モンスターの捜索と討伐だ。

 俺達はこれ以上この町に滞在しても新たな情報は得られないと判断し、はクリムドへ戻る事にした。


◇◇◇◇


 クリムドへ帰ってきた俺達は、ダンガルさんの工房へ足を運ぶ。
 目的はプリンの武器と装備の新調だ。

「おいおい、俺の会心作をもう壊しちまったのかよ」

 ダンガルさんはプリンの漆黒の鎧と三尖両刃刀トライサーフの変わり果てた姿を見て、がっくりと肩を落とす。

「おやっさん本当に悪い。シュメルツェンの消化液には勝てなかったよ。でも、国崩こくほう級モンスターを素材にした部分は無事だよ」

「当たり前だ、そこらに転がってる鉱物とは違うんだぞ。シュメルツェンごときが消化できる訳がないだろう。また作り直してやるから明日の朝またここに来な」

「本当に申し訳ない。宜しく頼むよ」

 俺達はダンガルさんに武器の修理費を払うと、情報探しの為に冒険者ギルドクリムド支部へ向かった。

 中に入ると、俺達に気付いた受付嬢のカテリーさんが声をかけてきた。

「【フルーレティ】の皆さん丁度いいところに。ついさっき上級者向けの新しい依頼が届いたんですが受けてみませんか?」

 上級者向けと言う位だからそこら辺の魔物の討伐ではないはずだ。
 国崩こくほう級モンスターの討伐依頼が出ているのならいう事はない。

「詳しく話を聞かせて下さい」

「それでは奥へどうぞ」

 俺達はカテリーさんに応接室に案内される。

 そこには冒険者ギルドクリムド支部長のゲレナンデ氏が待っていた。

 俺達はソファーに座り、ゲレナンデ氏に話を伺う。

「上級者向けって、どんな依頼なんですか」

「はい。場所はここから南にあるフルーレという小さな村なんですが、そこに巨大な悪魔が現れたとの事で、被害が出る前に討伐の依頼が来ているのです」

「悪魔……ね」

 それだけでは国崩こくほう級モンスターかどうかは分からない。
 俺は皆の意見を聞こうと、仲間達の顔を見る。

「……あれ?」

 しかし、彼女達は一様に押し黙って困惑した表情を覗かせる。

「どうしたの皆?」

 俺の問いかけに、マリーニャは少し間をおいてから問い返す。

「……チェインは私のフルネーム覚えてる?」

「ああ、以前聞いた事があるね。確か、マリーニャ・フォン……フルーレ?」

 フォン・フルーレという姓は、フルーレ出身という意味を持つ。
 この名称の一致は偶然ではなさそうだ。
 そもそも俺はマリーニャの出自についてはよく知らない。
 その姓から、どこかに領地を持つ貴族の身内とも考えた事があったが、本人は貴族出身ではないと言っていた。

「ええ、フルーレ村は私の故郷です。その悪魔というのは恐らく私の……」
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