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植物園2
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近づいてくるその車が網膜に映るや、どんと心臓が締まり、ポンプは高圧になった。車だ、車だ、車だ――。フロントガラスが自動センサーのオレンジの光に照らし出される。運転席には、誰も、いない!
思わず右手が痙攣した。もちろん助手席にも、後部座席にも影はない。まるで幽霊みたいなその黒のSUVはさっきまで俺がしがみついていたのと同じ形の扉の前で停まり、すると何かの作動音がして、鉄の扉がガラガラと動き始めた。
扉が、開く。
右手を後ろへやって学を突き、その強さでもって意志を伝えた。俺は行く。何があっても、何はなくても、この機に俺は行く。
そうとなれば体勢を低くして、肩をごりごりといからせて、目はまっすぐにそのタイヤをとらえたまま、静かに速く、出す足はあと一センチ、二センチ前の地面をつかんで後ろへと追いやり続け、完全なる集中が周囲十メートルを包む。どの一歩の間にも横へ、上へと跳ねるバネは控えており、また、爆発して前へ駆け出す瞬発力も溜まっている。犬のようなしぶとさ、忍耐力、持久力は持ち合わせない。俺の力はこの一瞬を見極めて弾けるためにある。
扉が右へと開ききり、ガタンという余韻とともに、横方向のエネルギーが逃げて散る。車が停止から発進へとシフトする三秒は今朝の鴨より百倍とろく、前のめりになっていた勢いは胸の前へと抜けていきそうだが、油断はしない。二段階ほど落ちた集中力で後ろの学の乾いた冷静さを感じ、その存在をいったん上回るように気を放って心の中で牽制すると、自分のペースを維持した。常に自分を中心に据えていないと宙返りのジャイロも水平を保たない。他へ気を遣ってその交わりと揺れのシーソーを楽しむのが信条ではあるが、いつでも引き戻して、中心はここだ。
車の後ろ、タイヤとタイヤの間の死角をじりじりと同じスピードで進み、やがて地面には、横一直線の扉の溝。そして、車の下からの視界に、先ほど窓から見た植物たちの鉢や垂れた葉、幹が見えてくる。いよいよ入る。どうだ、マナブさん、これはあんたの<枠外>か?
中に入り、屋内の暖かさがこわばった頬を溶かした。線路のような左右のタイヤ痕の真ん中でようやく首を上げると、そこは、やはり先ほど見たとおりの、だだっ広い植物倉庫だった。低い台の上に様々な種類の植物が整然と並び、さながら品評会か見本市といった風情。
と、後ろで再び作動音がして、扉が閉まり始めた。しかし、車が入るとき開いたなら、出て行くときもう一度開くだろう。異物が二匹入ってベルも鳴らず、見たところ床にも植物にも何かが這い回っている様子はない。ならばあとはゆっくり眺めよう。あの石鹸と説明の紙は<人間>の遺品だったが、さてここは何の場所か。
車は時速数キロでのろのろと進み、やがて棚の角地で切り返しを始めた。後ろでひたすら周囲をうかがっていた学がゆっくりと隣に並び、「自動運転、なんだろうな」と言った。
「タイヤ痕もきっかり同じだね」
「俺たちは、あの高速を、蟻が運転してるとでも思ってたんだろうか」
「――してるともしてないとも思わなかった」
「想像力の欠如。でもまあ、蟻のことなんか分かりやしない。それは仕方ない。だがしかし、他のことだって、自分たちのことだって、同じくらい何も知らないんじゃないかと、俺は本気で思う。ここは確かに<枠外>だ。だから分かる。今までの自分が客観的な存在になって、そしてそれが分かる。今まで、保険の約款をろくに読みもせず、コストに見合うか考えもせず、流行りの不安にかきたてられて入る客を馬鹿だ馬鹿だと思っていたが、俺は五十歩百歩だ。月々いくらは払ってしまえば税金みたいなものだが、この損失はそれ以上だ」
「――この損失って?」
「無知の損失だよ。無知のせいで俺には安寧が訪れない。そういうことだ」
「――ふうん」
左右の木を見回しながら学の無知論に相槌をうち、車に追いつかない程度にのろのろ歩いていたら、やはりだんだんと気が抜けて、植物園の守衛にでもなったような気がした。そう、きっと知ってしまえばここだってただの園芸コーナーか何かで、恐ろしいものなど何もないという恐ろしさなのに違いない。ああ恐ろしい、なんて恐ろしい。物悲しい無知を引き連れて名も知らぬ草を見てまわれども、俺の求める未知は現れない。
――未知がないなら、今を楽しむ。
知らない場所、知らないものを眺めて次を待つ。
そうして、切り替えてしまえばいつものように心は落ち着き、それなら何をして遊ぼうかと考え始めるが、上向いた気分は突き抜けず、そのまま静かに峠を越えてゆるく沈んだ。
いつもと、何かが違う。
葉の造形に感嘆したり、その葉脈に世界を変える暗号でも隠れていないかと期待したり、そういった散漫な集中の空気が訪れない。かといって、その代わりにあるのは停滞や倦怠でもなく、ただ何もない、特別に何もない、眠る前に体を横たえた瞬間のようなゆるんだ時間だった。
要するに、この庭園散歩に、俺の心は和んでいる。
こんな自分がいたのかと、しかしそれに驚きも否定もあまりない。もういいか、花の名でも調べながら句でもひねって暮らすのも悪くない人生か、などと、ああ、俺としたことがなんとした間延び。・・・おっと、反論も出てこない。まさか、本当のまさかではあるまいな、このまま<落ち着いて>しまってもいいだなんて、だめだ、そんなことでこの生が終わるわけにはいかない。次の箱、さあ次の箱――。
――キュッ、と小さなブレーキ音がして、車が停まった。そして、ヴィイイインと、それは、窓の開く音。
「おい」
言われる前に体は伏せていた。反射的に、開いた窓の死角になる方へ這う。学の方はそのまま庭の陶器の置き物みたいに固まっているが、さあ何が出る、何が出る――?
これ以上ないほど耳を澄ませ、全神経を車へと向けた。今まで、ついさっきまでこの胸にわき上がっていたような何かが薄れ、徐々に消えてゆく。それはもう思い出せない。速くなりはじめた鼓動が、腕の付け根を疼かせる緊張が、いろいろなものを締め出して俺を支配する。しかし、何かが足りない気がする。どうしてだろう? 獲物の姿が見えないからか? ほんの、つい今さっきまで、俺は何を追っていた――?
「――覚、ゆっくり下がれ」
「・・・え?」
「やつらが、葉を、切っている」
肩をぐいとつかまれて、我に返った。
ああ、これか、と思った。何のことかは分からない。でも、これを待っていた。鼻から息を吸い込めば、学のにおいと、それからほんのわずか、別のものも混じっている。胸が詰まる。たぶん俺が興奮するのはこれなんだ。これでいい、こっちでいい。俺はうなずいてそのまま後ろへ一歩、二歩と下がった。黒い車と、その横の鉢までを、黒い線が結んでいた。
思わず右手が痙攣した。もちろん助手席にも、後部座席にも影はない。まるで幽霊みたいなその黒のSUVはさっきまで俺がしがみついていたのと同じ形の扉の前で停まり、すると何かの作動音がして、鉄の扉がガラガラと動き始めた。
扉が、開く。
右手を後ろへやって学を突き、その強さでもって意志を伝えた。俺は行く。何があっても、何はなくても、この機に俺は行く。
そうとなれば体勢を低くして、肩をごりごりといからせて、目はまっすぐにそのタイヤをとらえたまま、静かに速く、出す足はあと一センチ、二センチ前の地面をつかんで後ろへと追いやり続け、完全なる集中が周囲十メートルを包む。どの一歩の間にも横へ、上へと跳ねるバネは控えており、また、爆発して前へ駆け出す瞬発力も溜まっている。犬のようなしぶとさ、忍耐力、持久力は持ち合わせない。俺の力はこの一瞬を見極めて弾けるためにある。
扉が右へと開ききり、ガタンという余韻とともに、横方向のエネルギーが逃げて散る。車が停止から発進へとシフトする三秒は今朝の鴨より百倍とろく、前のめりになっていた勢いは胸の前へと抜けていきそうだが、油断はしない。二段階ほど落ちた集中力で後ろの学の乾いた冷静さを感じ、その存在をいったん上回るように気を放って心の中で牽制すると、自分のペースを維持した。常に自分を中心に据えていないと宙返りのジャイロも水平を保たない。他へ気を遣ってその交わりと揺れのシーソーを楽しむのが信条ではあるが、いつでも引き戻して、中心はここだ。
車の後ろ、タイヤとタイヤの間の死角をじりじりと同じスピードで進み、やがて地面には、横一直線の扉の溝。そして、車の下からの視界に、先ほど窓から見た植物たちの鉢や垂れた葉、幹が見えてくる。いよいよ入る。どうだ、マナブさん、これはあんたの<枠外>か?
中に入り、屋内の暖かさがこわばった頬を溶かした。線路のような左右のタイヤ痕の真ん中でようやく首を上げると、そこは、やはり先ほど見たとおりの、だだっ広い植物倉庫だった。低い台の上に様々な種類の植物が整然と並び、さながら品評会か見本市といった風情。
と、後ろで再び作動音がして、扉が閉まり始めた。しかし、車が入るとき開いたなら、出て行くときもう一度開くだろう。異物が二匹入ってベルも鳴らず、見たところ床にも植物にも何かが這い回っている様子はない。ならばあとはゆっくり眺めよう。あの石鹸と説明の紙は<人間>の遺品だったが、さてここは何の場所か。
車は時速数キロでのろのろと進み、やがて棚の角地で切り返しを始めた。後ろでひたすら周囲をうかがっていた学がゆっくりと隣に並び、「自動運転、なんだろうな」と言った。
「タイヤ痕もきっかり同じだね」
「俺たちは、あの高速を、蟻が運転してるとでも思ってたんだろうか」
「――してるともしてないとも思わなかった」
「想像力の欠如。でもまあ、蟻のことなんか分かりやしない。それは仕方ない。だがしかし、他のことだって、自分たちのことだって、同じくらい何も知らないんじゃないかと、俺は本気で思う。ここは確かに<枠外>だ。だから分かる。今までの自分が客観的な存在になって、そしてそれが分かる。今まで、保険の約款をろくに読みもせず、コストに見合うか考えもせず、流行りの不安にかきたてられて入る客を馬鹿だ馬鹿だと思っていたが、俺は五十歩百歩だ。月々いくらは払ってしまえば税金みたいなものだが、この損失はそれ以上だ」
「――この損失って?」
「無知の損失だよ。無知のせいで俺には安寧が訪れない。そういうことだ」
「――ふうん」
左右の木を見回しながら学の無知論に相槌をうち、車に追いつかない程度にのろのろ歩いていたら、やはりだんだんと気が抜けて、植物園の守衛にでもなったような気がした。そう、きっと知ってしまえばここだってただの園芸コーナーか何かで、恐ろしいものなど何もないという恐ろしさなのに違いない。ああ恐ろしい、なんて恐ろしい。物悲しい無知を引き連れて名も知らぬ草を見てまわれども、俺の求める未知は現れない。
――未知がないなら、今を楽しむ。
知らない場所、知らないものを眺めて次を待つ。
そうして、切り替えてしまえばいつものように心は落ち着き、それなら何をして遊ぼうかと考え始めるが、上向いた気分は突き抜けず、そのまま静かに峠を越えてゆるく沈んだ。
いつもと、何かが違う。
葉の造形に感嘆したり、その葉脈に世界を変える暗号でも隠れていないかと期待したり、そういった散漫な集中の空気が訪れない。かといって、その代わりにあるのは停滞や倦怠でもなく、ただ何もない、特別に何もない、眠る前に体を横たえた瞬間のようなゆるんだ時間だった。
要するに、この庭園散歩に、俺の心は和んでいる。
こんな自分がいたのかと、しかしそれに驚きも否定もあまりない。もういいか、花の名でも調べながら句でもひねって暮らすのも悪くない人生か、などと、ああ、俺としたことがなんとした間延び。・・・おっと、反論も出てこない。まさか、本当のまさかではあるまいな、このまま<落ち着いて>しまってもいいだなんて、だめだ、そんなことでこの生が終わるわけにはいかない。次の箱、さあ次の箱――。
――キュッ、と小さなブレーキ音がして、車が停まった。そして、ヴィイイインと、それは、窓の開く音。
「おい」
言われる前に体は伏せていた。反射的に、開いた窓の死角になる方へ這う。学の方はそのまま庭の陶器の置き物みたいに固まっているが、さあ何が出る、何が出る――?
これ以上ないほど耳を澄ませ、全神経を車へと向けた。今まで、ついさっきまでこの胸にわき上がっていたような何かが薄れ、徐々に消えてゆく。それはもう思い出せない。速くなりはじめた鼓動が、腕の付け根を疼かせる緊張が、いろいろなものを締め出して俺を支配する。しかし、何かが足りない気がする。どうしてだろう? 獲物の姿が見えないからか? ほんの、つい今さっきまで、俺は何を追っていた――?
「――覚、ゆっくり下がれ」
「・・・え?」
「やつらが、葉を、切っている」
肩をぐいとつかまれて、我に返った。
ああ、これか、と思った。何のことかは分からない。でも、これを待っていた。鼻から息を吸い込めば、学のにおいと、それからほんのわずか、別のものも混じっている。胸が詰まる。たぶん俺が興奮するのはこれなんだ。これでいい、こっちでいい。俺はうなずいてそのまま後ろへ一歩、二歩と下がった。黒い車と、その横の鉢までを、黒い線が結んでいた。
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