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ソラが女子高校生だった頃。標的にされたソラ
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ソラは誰もいなくなった教室で急いで着替を済ませ体育館まで走った。
「今朝から私は走ってばっかり…。」
自分の置かれた境遇に辟易している。
体育館に着くと体育館用シューズに履き替えて、皆が集まっているステージ付近に駆け寄って行った。
女教師は大きな声でハキハキ出席をとっている。
「大嵐さん!…大嵐さんている?」
皆が辺りをキョロキョロ見渡している時、「はい!シュゴ、シュゴ、シュゴ。」と息苦しそうに走りながら返事をした。
ギリギリ間に合ったソラは遅刻せずに済んで安堵している。
「チッ!」
砂城院は舌打ちをした。
でも、体育の授業で顔を隠したまま運動することなど許されるはずがない。
これで大嵐も素顔を晒さなければならないはずだ。
砂城院はほくそ笑んだ。
「どれだけスタイルがよくて豊満なバストの持ち主であろうと、この気品に溢れ美しい顔をしたワタクシに叶うはずがない。
さぁ、早く醜悪な顔をワタクシ達の前で晒しなさい。
そしてワタクシが、みんなの前で外見で人を差別してはいけないわ、大嵐さんだってよく見ればなかなかチャーミングなお顔をしているじゃないって嫌味たらしく言ってあげるのだから。
あんたはワタクシとの超えられない顔面偏差を知り絶望して泣き崩れるの。
あぁん。はやくぅ、はやくぅ、その時がこないかしら。
ワタクシは愉快なオモチャを見つけたのよ。しっかり調教をしたあとは壊すだけのオモチャを。
おまえは壊れたって誰も悲しまない、みんなに蔑まれるブサイクなオモチャ!」
砂城院は人の自尊心を傷つけてエクスタシーを感じるという異常な性癖の持ち主であった。
出席をとった後、女教師を含む生徒達は簡単な自己紹介を済ませた。
体育教師は、グループ分けをするとバスケットボールを行う準備をソラや他の女子生徒に手伝わせていた。
ソラが顔を隠している事について女教師は一切触れず、何事もないかのようにソラに試合を行わせ、ホイッスルを口に咥えながら生徒達と一緒に盛り上がっている。
「信じられない。なぜ大嵐の風貌をこれっぽっちも触れないのよ。これが名門、姫君学院の授業なの?もはや自由な校風だとかそんな次元じゃないわ。
一般常識から大きくかけ離れている!」
砂城院は面食らって、体育を教えている女教師にソラの武装について非難する事が出来なくなっていた。
体育の授業が終わり、次のクラスが使うとの理由でボール以外片付けをせずに済んだソラは体育の授業を受ける前と同様に、駆け足で体育館を飛び出し教室から制服を持って女子トイレの個室に駆け込んだ。
砂城院による妨害を恐れたが、意外な事に何もなかった。
6限の数1の授業がほどなくして終わると、下校の準備をしているソラに砂城院は声をかけた。
「ちょっと大嵐さんと話したい事があるの。
放課後、体育館裏まで来てくれる?」
「えっ?私と何の話をするの?」
「別に大嵐さんを引っ叩くとかそんな乱暴なまねをするつもりは毛頭ないわ。
ただ、なぜテロリストのような酷い格好で顔を隠すか知りたいのよ。
アタクシ、自他ともに認める"しつこい性格"なの。
今日、ここで断ってもまた明日、貴女の顔の秘密を探るわ。」
武装の下、ソラはヘビのように執念深い砂城院の発言で青ざめている。
ソラは思った。
このまま全てを明かしてしまおう。その方がきっと楽になれる。
砂城院だって、きっと理解をしてくれて仲良しの友人になれるかもしれない。
一瞬、そのような考えが頭を過ったが直感的に砂城院に心を許してはいけないと強く感じていた。
着替えを妨害してくるような砂城院に一度でも譲歩してしまえば主従関係が出来上がり、ずっと言いなりにならなければならない。
このピンチを切り抜く為にはどうすればいいか頭を悩ませていた時、ふと、妹のセラを思い出した。
セラ!アンタが私と同じ立場ならどうする?
実家から遠く離れた全寮制の女子校に通うセラに聞こえるはずもない助言を求めた。
(姉貴、逃げようよ!!)
えっ?
セラ?セラの声が聞こえた…?
「黙ってないで答えなさい!貴女、ワタクシを小馬鹿にしているの?」
砂城院の声が聞こえた瞬間、ソラはカバンを抱えて走り出した。
「あっ!?逃げるのね!待ちなさい!」
ソラは妹のセラのような高い身体能力はない。
それでもソラは今、自分ができる精一杯の力で走った。
「シュゴ!シュゴ!シュゴ!シュゴ!」
「待ちなさい!止まりなさい!」
しつこい性格と自認するだけあり、砂城院はソラを追いかけていく。
階段を降り、昇降口で上履きからローファーに履き替えたソラに追いつくと左足の甲を強く踏みつけた。
「キャッ!痛い!」
ソラは絶叫に近い声をあげた。左足の甲に強烈な痛みが走る。
「逃げる貴女が悪いのよ!ちゃんと反省しなさい!さぁ、早くこの場で脱いで顔を見せないな!」
バコッ
砂城院はソラのサングラスに手をかけようとしたが、ソラの背負っていたカバンが砂城院の顔面にクリーンヒットした。
決して狙って行ったカウンター攻撃ではなく、砂城院にサングラスを取られまいと身体をクルッと回転させた時、偶然当たっただけだ。
「うわぁぁぁぁぁん!」
号泣するソラは昇降口を出て、校門をくぐり走って行く。
ボタ…ボタ…
「あのデカパイ女、ワタクシは絶対に許さないから。」
鼻血を止める為、ティッシュで鼻を押さえながら、泣きながら逃げて行くソラを見送った。
「今朝から私は走ってばっかり…。」
自分の置かれた境遇に辟易している。
体育館に着くと体育館用シューズに履き替えて、皆が集まっているステージ付近に駆け寄って行った。
女教師は大きな声でハキハキ出席をとっている。
「大嵐さん!…大嵐さんている?」
皆が辺りをキョロキョロ見渡している時、「はい!シュゴ、シュゴ、シュゴ。」と息苦しそうに走りながら返事をした。
ギリギリ間に合ったソラは遅刻せずに済んで安堵している。
「チッ!」
砂城院は舌打ちをした。
でも、体育の授業で顔を隠したまま運動することなど許されるはずがない。
これで大嵐も素顔を晒さなければならないはずだ。
砂城院はほくそ笑んだ。
「どれだけスタイルがよくて豊満なバストの持ち主であろうと、この気品に溢れ美しい顔をしたワタクシに叶うはずがない。
さぁ、早く醜悪な顔をワタクシ達の前で晒しなさい。
そしてワタクシが、みんなの前で外見で人を差別してはいけないわ、大嵐さんだってよく見ればなかなかチャーミングなお顔をしているじゃないって嫌味たらしく言ってあげるのだから。
あんたはワタクシとの超えられない顔面偏差を知り絶望して泣き崩れるの。
あぁん。はやくぅ、はやくぅ、その時がこないかしら。
ワタクシは愉快なオモチャを見つけたのよ。しっかり調教をしたあとは壊すだけのオモチャを。
おまえは壊れたって誰も悲しまない、みんなに蔑まれるブサイクなオモチャ!」
砂城院は人の自尊心を傷つけてエクスタシーを感じるという異常な性癖の持ち主であった。
出席をとった後、女教師を含む生徒達は簡単な自己紹介を済ませた。
体育教師は、グループ分けをするとバスケットボールを行う準備をソラや他の女子生徒に手伝わせていた。
ソラが顔を隠している事について女教師は一切触れず、何事もないかのようにソラに試合を行わせ、ホイッスルを口に咥えながら生徒達と一緒に盛り上がっている。
「信じられない。なぜ大嵐の風貌をこれっぽっちも触れないのよ。これが名門、姫君学院の授業なの?もはや自由な校風だとかそんな次元じゃないわ。
一般常識から大きくかけ離れている!」
砂城院は面食らって、体育を教えている女教師にソラの武装について非難する事が出来なくなっていた。
体育の授業が終わり、次のクラスが使うとの理由でボール以外片付けをせずに済んだソラは体育の授業を受ける前と同様に、駆け足で体育館を飛び出し教室から制服を持って女子トイレの個室に駆け込んだ。
砂城院による妨害を恐れたが、意外な事に何もなかった。
6限の数1の授業がほどなくして終わると、下校の準備をしているソラに砂城院は声をかけた。
「ちょっと大嵐さんと話したい事があるの。
放課後、体育館裏まで来てくれる?」
「えっ?私と何の話をするの?」
「別に大嵐さんを引っ叩くとかそんな乱暴なまねをするつもりは毛頭ないわ。
ただ、なぜテロリストのような酷い格好で顔を隠すか知りたいのよ。
アタクシ、自他ともに認める"しつこい性格"なの。
今日、ここで断ってもまた明日、貴女の顔の秘密を探るわ。」
武装の下、ソラはヘビのように執念深い砂城院の発言で青ざめている。
ソラは思った。
このまま全てを明かしてしまおう。その方がきっと楽になれる。
砂城院だって、きっと理解をしてくれて仲良しの友人になれるかもしれない。
一瞬、そのような考えが頭を過ったが直感的に砂城院に心を許してはいけないと強く感じていた。
着替えを妨害してくるような砂城院に一度でも譲歩してしまえば主従関係が出来上がり、ずっと言いなりにならなければならない。
このピンチを切り抜く為にはどうすればいいか頭を悩ませていた時、ふと、妹のセラを思い出した。
セラ!アンタが私と同じ立場ならどうする?
実家から遠く離れた全寮制の女子校に通うセラに聞こえるはずもない助言を求めた。
(姉貴、逃げようよ!!)
えっ?
セラ?セラの声が聞こえた…?
「黙ってないで答えなさい!貴女、ワタクシを小馬鹿にしているの?」
砂城院の声が聞こえた瞬間、ソラはカバンを抱えて走り出した。
「あっ!?逃げるのね!待ちなさい!」
ソラは妹のセラのような高い身体能力はない。
それでもソラは今、自分ができる精一杯の力で走った。
「シュゴ!シュゴ!シュゴ!シュゴ!」
「待ちなさい!止まりなさい!」
しつこい性格と自認するだけあり、砂城院はソラを追いかけていく。
階段を降り、昇降口で上履きからローファーに履き替えたソラに追いつくと左足の甲を強く踏みつけた。
「キャッ!痛い!」
ソラは絶叫に近い声をあげた。左足の甲に強烈な痛みが走る。
「逃げる貴女が悪いのよ!ちゃんと反省しなさい!さぁ、早くこの場で脱いで顔を見せないな!」
バコッ
砂城院はソラのサングラスに手をかけようとしたが、ソラの背負っていたカバンが砂城院の顔面にクリーンヒットした。
決して狙って行ったカウンター攻撃ではなく、砂城院にサングラスを取られまいと身体をクルッと回転させた時、偶然当たっただけだ。
「うわぁぁぁぁぁん!」
号泣するソラは昇降口を出て、校門をくぐり走って行く。
ボタ…ボタ…
「あのデカパイ女、ワタクシは絶対に許さないから。」
鼻血を止める為、ティッシュで鼻を押さえながら、泣きながら逃げて行くソラを見送った。
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