107 / 785
第一部 宰相家の居候
223 逆手に取らせて貰います
しおりを挟む
※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
本日の王立植物園食堂ランチ。
・大根ステーキ (ネギ)
・かぼちゃシチュー(鶏肉、ブロッコリー、しめじ、玉ねぎ)
・レーズンスコーン
研究をしているのか、給食担当の管理栄養士をしているのか……以下略。
どうやら私が出した手紙と、ラハデ公爵がキスト室長に宛てた植物園訪問の先触れに関しては、タイムラグがあるようだったので、室長から公爵訪問の話を聞いてすぐに、私は植物園集荷の郵便に乗せて、公爵にナリスヴァーラ城への侵入者の件を伝えておいた。
宛先が近かったり帰り道だったりした場合、集荷してそのまま配達する事もままあると室長から聞いたからだ。
多分、翌朝もう植物園に来るのだからと返事が来る事はなかったけれど、先触れの通りに翌朝やって来たラハデ公爵は、心なしか疲労困憊と言った顔つきだった。
キスト室長が研究員の一人に声をかけて、厨房に薬草茶を淹れて貰ってくるよう命じたくらいである。
「まったく……ユングベリ嬢、昨夜は特大の火矢を撃ち込んでくれたものだな。姉上も知らされていなかったみたいで、それはもう宥めるのが大変だったぞ」
「………あ」
首を傾げたキスト室長の隣で、私は表情を痙攣らせた。
どうやらやっぱり、ナリスヴァーラ城への侵入と拉致計画は、エヴェリーナ妃の逆鱗に触れたらしい。
とっぷり日も暮れてから、どうやって連絡したのかと思ったら、各公爵家にある、王家とのみ繋がる〝転移扉〟を、最小限の魔力を残したまま、手紙だけはすぐに届くように調整されているらしかった。
それもエヴェリーナ妃とラハデ公爵と魔力を合わせる形で、国王達には内緒で空間を繋ぎっぱなしにしているとの事だった。
「手紙程度なら〝扉の守護者〟を頼らずとも何とかなったからな」
明らかな「他言無用」の圧を受け、キスト室長が言いかけた言葉を呑み込んでいた。
私と違ってキスト室長はギーレン在住なワケだから、ラハデ公爵としても念押しは必要と思ったんだろう。
気圧された室長が、逃避するように私を見るので、私は苦笑しつつも、エドヴァルドが狙われたらしい事を室長にも告げた。
「そ…れは……」
「ね、下手をしなくても国際問題ですよね?貴い身分の方にこれ以上愚行を冒させない為にも、こちらの計画も前倒しが必要だろうと、ご相談申し上げたんです。公爵様の植物園ご訪問は、本当に良いタイミングでした」
「そもそもは、其方が姉上からの提案を受け入れると知らせてきたから、あまりこちらに呼びつけてばかりだと不審を買うやも知れんと、情報紙の話にかこつけて、植物園に来るつもりだったのだがな。追加で送られてきた手紙の内容が内容で、知らせた姉上も『可及的速やかにユングベリ嬢と連絡を取れ』と、筆跡が怒りで乱れていたからな。結果的に今日会う事にしておいて良かったと、骨身に染みたわ」
「あ…はは……」
エヴェリーナ妃は聡い。
ギーレンよりも小国でありながら、一度も攻め込ませていないアンジェス国の――人としての倫理観を母親のお腹に置き忘れてきたみたいな――国王陛下の、何が本当に恐ろしいのかを、全てではないにしろ、自国の国王よりも遥かに察している。
命じた側は恐らく一晩の事なら、命令系統に行き違いがあって「ご招待」が手荒になっただけとでも言えば、アンジェス王宮に対して言い訳はたつとでも思っているのだろう。
だけどそれをやったら絶対にフィルバートが「世の中不慮の事故なんぞいくらでもあるだろう」などと言いながら、王宮派遣の護衛騎士経由で〝鷹の眼〟に、子爵令嬢とその母親の暗殺をしれっと指示するに決まっている。
私やエドヴァルドなら「案の一つとして考えた」止まりなところ、躊躇なく殺ってしまうのがフィルバートだ。
私やシャルリーヌは〝蘇芳戦記〟あってこそ、フィルバートの人格破綻っぷりを理解しているものの、恐らく外交上数度しか会った事がない筈の、それも隣国の王妃が薄っすらとにせよ理解しているのだから、もはや彼女が女王になったらどうかと思うくらいだ。
「多分実行されたら、次の日にでも某子爵令嬢とその母親は湖に浮かぶでしょうからね……さすがに今の時期にそれはマズいと、エヴェリーナ妃もご判断されたんだと思いますよ」
「え……」
私の乾いた笑いに、ラハデ公爵もキスト室長も揃って顔を痙攣らせていた。
「そんな事をすればベルトルド陛下は確実に激怒なさって戦争になる……」
「フィルバート陛下はギーレンと正面から事を構えるつもりはないですよ。ないですけど、それって軍事力を楯に頭を押さえつけられて言う事を聞くのとはまた違いますからね。兵力が揃う前に王宮に色仕掛け担当の刺客とか、平然と送り込んでくると思いますよ。大事になる前に上層部だけを狩ってしまえ――とね」
全体戦力で劣っても、レイフ殿下の「特殊部隊」やイデオン公爵家の〝鷹の眼〟を始め、裏戦力を考えたなら、実は互角以上と言っても良いからだ。
「さすがにギーレン王宮が血塗られた城になるのは、エヴェリーナ妃としても避けたいのではないかと……」
個人的好き嫌いは別にして、現国王陛下あってこそのエヴェリーナ妃の今の地位であり、事実上の筆頭公爵家となっているラハデ公爵家の今がある筈だ。
国王本人や子爵令嬢たちは自業自得で済んでも、周りはそうはいかない事をエヴェリーナ妃は分かっているのだ。
決して「大軍で攻めれば良い」では済まない事も。
「それで、どうするつもりなんだ。姉上はとにかく『まず何を置いても其方に連絡をとれ』としか仰っていない。万一の事を考えて、それ以上を書き記せなかったと言うのもあるだろうがな」
「そもそもエヴェリーナ妃仰ってましたよね。国王陛下が子爵令嬢とその母親の下へ通う日を狙って、殿下にはお休みいただいて、私と宰相閣下をお招き下さると。この雑過ぎる計画を逆手にとれって事なんだと思いますよ」
淡々と答える私に、眉を顰めたのはキスト室長だ。
「雑って、ユングベリ嬢……」
「この上なく雑でしょう、キスト室長。大体、どうして大人しく宰相閣下が攫われると思うんです?現時点でさえ、既成事実狙って近付く事すら出来ていないのに」
「……確かに」
「あと、一晩くらいなら誤魔化せると思っているあたりもですけど。普段から大国の数の論理で物事を推し進めている弊害ですよ。一度その論理、木っ端微塵になっておいた方が良いです。どうやらエヴェリーナ妃も後押しして下さるみたいですし」
具体的な案があるのか?と問うラハデ公爵に、私は軽く頷いた。
「エヴェリーナ妃の案と、この『雑な計画』をすり合わせます。エヴェリーナ妃に、宰相閣下の代わりに攫われて下さる『替え玉』を用意して貰って下さい。某子爵令嬢は当然その湖のある街と言うか城に行くんでしょうけど、何か理由を付けて母親と陛下もそこに付き添うよう誘導して貰って下さい。行ってさえしまえば、王都から二時間かかるワケですし、気付いて引き返して来たところで〝転移扉〟の故障が治るのには間に合わないでしょうから」
受け身の態勢で「国王陛下が子爵令嬢とその母親の下へ通う日を狙う」つもりだったなら、この際強制的にこちらからその日を作り出せば良いのだ。
ニセの宰相閣下に「攫われて貰う」事によって。
「ただそうなると、室長に新薬の材料を揃えて頂くのは間に合わないと思うので、今回は殿下と聖女、二人とも睡眠薬で眠らせて貰う形でお願いして貰って下さい。新薬に関しては、エヴェリーナ妃も『結婚式までなら聖女に夢を見させてあげても良い』と仰って下さっていたので、それまでにさらに洗練された薬を作り上げて貰うと言う形でどうでしょうか」
「そ…れは……」
新薬の実験はしたいが、若干の時間的猶予が出来る事にも魅力を感じたキスト室長が、口ごもる。
――これは決して、私が自分の中にある罪悪感を薄めさせるための「引き延ばし」策じゃない。
先に杜撰な動きを見せて、そうせざるを得ないように仕向けたのは、王宮側なのだから。
本日の王立植物園食堂ランチ。
・大根ステーキ (ネギ)
・かぼちゃシチュー(鶏肉、ブロッコリー、しめじ、玉ねぎ)
・レーズンスコーン
研究をしているのか、給食担当の管理栄養士をしているのか……以下略。
どうやら私が出した手紙と、ラハデ公爵がキスト室長に宛てた植物園訪問の先触れに関しては、タイムラグがあるようだったので、室長から公爵訪問の話を聞いてすぐに、私は植物園集荷の郵便に乗せて、公爵にナリスヴァーラ城への侵入者の件を伝えておいた。
宛先が近かったり帰り道だったりした場合、集荷してそのまま配達する事もままあると室長から聞いたからだ。
多分、翌朝もう植物園に来るのだからと返事が来る事はなかったけれど、先触れの通りに翌朝やって来たラハデ公爵は、心なしか疲労困憊と言った顔つきだった。
キスト室長が研究員の一人に声をかけて、厨房に薬草茶を淹れて貰ってくるよう命じたくらいである。
「まったく……ユングベリ嬢、昨夜は特大の火矢を撃ち込んでくれたものだな。姉上も知らされていなかったみたいで、それはもう宥めるのが大変だったぞ」
「………あ」
首を傾げたキスト室長の隣で、私は表情を痙攣らせた。
どうやらやっぱり、ナリスヴァーラ城への侵入と拉致計画は、エヴェリーナ妃の逆鱗に触れたらしい。
とっぷり日も暮れてから、どうやって連絡したのかと思ったら、各公爵家にある、王家とのみ繋がる〝転移扉〟を、最小限の魔力を残したまま、手紙だけはすぐに届くように調整されているらしかった。
それもエヴェリーナ妃とラハデ公爵と魔力を合わせる形で、国王達には内緒で空間を繋ぎっぱなしにしているとの事だった。
「手紙程度なら〝扉の守護者〟を頼らずとも何とかなったからな」
明らかな「他言無用」の圧を受け、キスト室長が言いかけた言葉を呑み込んでいた。
私と違ってキスト室長はギーレン在住なワケだから、ラハデ公爵としても念押しは必要と思ったんだろう。
気圧された室長が、逃避するように私を見るので、私は苦笑しつつも、エドヴァルドが狙われたらしい事を室長にも告げた。
「そ…れは……」
「ね、下手をしなくても国際問題ですよね?貴い身分の方にこれ以上愚行を冒させない為にも、こちらの計画も前倒しが必要だろうと、ご相談申し上げたんです。公爵様の植物園ご訪問は、本当に良いタイミングでした」
「そもそもは、其方が姉上からの提案を受け入れると知らせてきたから、あまりこちらに呼びつけてばかりだと不審を買うやも知れんと、情報紙の話にかこつけて、植物園に来るつもりだったのだがな。追加で送られてきた手紙の内容が内容で、知らせた姉上も『可及的速やかにユングベリ嬢と連絡を取れ』と、筆跡が怒りで乱れていたからな。結果的に今日会う事にしておいて良かったと、骨身に染みたわ」
「あ…はは……」
エヴェリーナ妃は聡い。
ギーレンよりも小国でありながら、一度も攻め込ませていないアンジェス国の――人としての倫理観を母親のお腹に置き忘れてきたみたいな――国王陛下の、何が本当に恐ろしいのかを、全てではないにしろ、自国の国王よりも遥かに察している。
命じた側は恐らく一晩の事なら、命令系統に行き違いがあって「ご招待」が手荒になっただけとでも言えば、アンジェス王宮に対して言い訳はたつとでも思っているのだろう。
だけどそれをやったら絶対にフィルバートが「世の中不慮の事故なんぞいくらでもあるだろう」などと言いながら、王宮派遣の護衛騎士経由で〝鷹の眼〟に、子爵令嬢とその母親の暗殺をしれっと指示するに決まっている。
私やエドヴァルドなら「案の一つとして考えた」止まりなところ、躊躇なく殺ってしまうのがフィルバートだ。
私やシャルリーヌは〝蘇芳戦記〟あってこそ、フィルバートの人格破綻っぷりを理解しているものの、恐らく外交上数度しか会った事がない筈の、それも隣国の王妃が薄っすらとにせよ理解しているのだから、もはや彼女が女王になったらどうかと思うくらいだ。
「多分実行されたら、次の日にでも某子爵令嬢とその母親は湖に浮かぶでしょうからね……さすがに今の時期にそれはマズいと、エヴェリーナ妃もご判断されたんだと思いますよ」
「え……」
私の乾いた笑いに、ラハデ公爵もキスト室長も揃って顔を痙攣らせていた。
「そんな事をすればベルトルド陛下は確実に激怒なさって戦争になる……」
「フィルバート陛下はギーレンと正面から事を構えるつもりはないですよ。ないですけど、それって軍事力を楯に頭を押さえつけられて言う事を聞くのとはまた違いますからね。兵力が揃う前に王宮に色仕掛け担当の刺客とか、平然と送り込んでくると思いますよ。大事になる前に上層部だけを狩ってしまえ――とね」
全体戦力で劣っても、レイフ殿下の「特殊部隊」やイデオン公爵家の〝鷹の眼〟を始め、裏戦力を考えたなら、実は互角以上と言っても良いからだ。
「さすがにギーレン王宮が血塗られた城になるのは、エヴェリーナ妃としても避けたいのではないかと……」
個人的好き嫌いは別にして、現国王陛下あってこそのエヴェリーナ妃の今の地位であり、事実上の筆頭公爵家となっているラハデ公爵家の今がある筈だ。
国王本人や子爵令嬢たちは自業自得で済んでも、周りはそうはいかない事をエヴェリーナ妃は分かっているのだ。
決して「大軍で攻めれば良い」では済まない事も。
「それで、どうするつもりなんだ。姉上はとにかく『まず何を置いても其方に連絡をとれ』としか仰っていない。万一の事を考えて、それ以上を書き記せなかったと言うのもあるだろうがな」
「そもそもエヴェリーナ妃仰ってましたよね。国王陛下が子爵令嬢とその母親の下へ通う日を狙って、殿下にはお休みいただいて、私と宰相閣下をお招き下さると。この雑過ぎる計画を逆手にとれって事なんだと思いますよ」
淡々と答える私に、眉を顰めたのはキスト室長だ。
「雑って、ユングベリ嬢……」
「この上なく雑でしょう、キスト室長。大体、どうして大人しく宰相閣下が攫われると思うんです?現時点でさえ、既成事実狙って近付く事すら出来ていないのに」
「……確かに」
「あと、一晩くらいなら誤魔化せると思っているあたりもですけど。普段から大国の数の論理で物事を推し進めている弊害ですよ。一度その論理、木っ端微塵になっておいた方が良いです。どうやらエヴェリーナ妃も後押しして下さるみたいですし」
具体的な案があるのか?と問うラハデ公爵に、私は軽く頷いた。
「エヴェリーナ妃の案と、この『雑な計画』をすり合わせます。エヴェリーナ妃に、宰相閣下の代わりに攫われて下さる『替え玉』を用意して貰って下さい。某子爵令嬢は当然その湖のある街と言うか城に行くんでしょうけど、何か理由を付けて母親と陛下もそこに付き添うよう誘導して貰って下さい。行ってさえしまえば、王都から二時間かかるワケですし、気付いて引き返して来たところで〝転移扉〟の故障が治るのには間に合わないでしょうから」
受け身の態勢で「国王陛下が子爵令嬢とその母親の下へ通う日を狙う」つもりだったなら、この際強制的にこちらからその日を作り出せば良いのだ。
ニセの宰相閣下に「攫われて貰う」事によって。
「ただそうなると、室長に新薬の材料を揃えて頂くのは間に合わないと思うので、今回は殿下と聖女、二人とも睡眠薬で眠らせて貰う形でお願いして貰って下さい。新薬に関しては、エヴェリーナ妃も『結婚式までなら聖女に夢を見させてあげても良い』と仰って下さっていたので、それまでにさらに洗練された薬を作り上げて貰うと言う形でどうでしょうか」
「そ…れは……」
新薬の実験はしたいが、若干の時間的猶予が出来る事にも魅力を感じたキスト室長が、口ごもる。
――これは決して、私が自分の中にある罪悪感を薄めさせるための「引き延ばし」策じゃない。
先に杜撰な動きを見せて、そうせざるを得ないように仕向けたのは、王宮側なのだから。
1,319
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
事情があってメイドとして働いていますが、実は公爵家の令嬢です。
木山楽斗
恋愛
ラナリアが仕えるバルドリュー伯爵家では、子爵家の令嬢であるメイドが幅を利かせていた。
彼女は貴族の地位を誇示して、平民のメイドを虐げていた。その毒牙は、平民のメイドを庇ったラナリアにも及んだ。
しかし彼女は知らなかった。ラナリアは事情があって伯爵家に仕えている公爵令嬢だったのである。
お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?
水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」
「はぁ?」
静かな食堂の間。
主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。
同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。
いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。
「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」
「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」
父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。
「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」
アリスは家から一度出る決心をする。
それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。
アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。
彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。
「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」
アリスはため息をつく。
「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」
後悔したところでもう遅い。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
継子いじめで糾弾されたけれど、義娘本人は離婚したら私についてくると言っています〜出戻り夫人の商売繁盛記〜
野生のイエネコ
恋愛
後妻として男爵家に嫁いだヴィオラは、継子いじめで糾弾され離婚を申し立てられた。
しかし当の義娘であるシャーロットは、親としてどうしようもない父よりも必要な教育を与えたヴィオラの味方。
義娘を連れて実家の商会に出戻ったヴィオラは、貴族での生活を通じて身につけた知恵で新しい服の開発をし、美形の義娘と息子は服飾モデルとして王都に流行の大旋風を引き起こす。
度々襲来してくる元夫の、借金の申込みやヨリを戻そうなどの言葉を躱しながら、事業に成功していくヴィオラ。
そんな中、伯爵家嫡男が、継子いじめの疑惑でヴィオラに近づいてきて?
※小説家になろうで「離婚したので幸せになります!〜出戻り夫人の商売繁盛記〜」として掲載しています。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。