160 / 813
第一部 宰相家の居候
240 駆け落ちしましょう(1)
しおりを挟む
※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
舞菜に言った言葉がどうであれ、エドベリ王子が眠ったのを確認して、コニー夫人に〝転移扉〟まで案内して貰わないといけないのだから、彼らが夕食をとる間は、私は後宮のサロンにいるより他はない。
そしてこの後はコニー夫人が私のように、血縁者の料理に薬を盛ると言う背徳感と罪悪感に苛まれる事になるんだろう。
「ああ、そうそう」
毎回毎回、さも何気ない事であるかの様にエヴェリーナ妃は口にするけれど、実際はそんな気楽な話だったためしがない。
舞菜が出て行った扉を一顧だにせず、エヴェリーナ妃は片手を上げて、隅に控えていた侍女の一人から、何やら封蝋がされて筒状になった手紙を、こちらに持って来させていた。
「私もコニー様も、食事が済んだらこちらに戻って参りますけれど、とりあえず宰相様がいらしたら、これを渡して頂けるかしら?」
「あ…はい、承知しました」
「ふふ。読めば分かると言っておいて頂戴。貴方が長年、喉から手が出る程に欲していた物だと」
悪戯っ子の様な笑みを一瞬だけ閃かせて、エヴェリーナ妃はじっと私の顔を見つめた。
「あの……?」
「貴女の頭の中には、私に贈ってくれた本の中身があるでしょう?」
突然、脈絡のなさそうな事を口にしたエヴェリーナ妃に、私の眉根が寄った。
「ですから貴女が今した事で、後日私が貴女に何かをお願いする事はなくてよ?」
「!」
これがサスペンスドラマなら、実の妹に薬を盛った事を知られたくなければ…などと脅迫を受けてもおかしくはないところだ。
エヴェリーナ妃がサスペンスドラマを知っている訳はもちろんないけれど、殊、この件で、私を脅迫するような事はしないと。暗にそう言ったのだ。
私はギーレン国内の〝転移扉〟の情報を知った。それがメッツァ辺境伯家の今後の切り札となる事も。
だからお互い様だと。
「エヴェリーナ様……」
「私にはギーレンと言う『国の安定』が残り、コニー様には『息子の地位の安定』が残った。陛下と殿下には、それぞれご自身の今の立場が保証される。何も得ていないようだけれど、何かを失う事もなかった。貴女も、聖女様には今後会えずとも、宰相様は戻って来る。それで割り切るべきね」
エヴェリーナ妃の言っている事は正しい。
多分、苦虫を噛み潰したような表情になっていたと思う。
そんな私の頭の上に、ふわりとコニー夫人の手が置かれた。
「何より、他に誰も恨まないで済むでしょう?ですから私は、これで納得していますよ」
「コニー様……」
他に誰も恨まないで済む。
やったのは、自分なのだから。
「レイナ嬢とシャルリーヌが、ギーレンの王子どちらかにそれぞれ嫁いでくれたら、後宮も楽しそうだったのに、それもある意味、私達にとっては、ままならない事かも知れないですわね、コニー様?」
…エヴェリーナ妃が言うと、場を和ませる冗談には聞こえません。
その上、コニー夫人もクスリと笑っている。
「そうですわね、エヴェリーナ様。そんな未来があっても良かったかも知れませんわね。むしろ一度くらいは、あの子に牽制しておいても良いかも知れません」
さすがこちらも、長年ギーレン王宮で暮らしてはいらっしゃらない。
あら素敵、なんて微笑うエヴェリーナ妃とは、それなりに友好関係が築かれている。
ギーレンの実権は、むしろ後宮にあるのかも知れない。
「さて、そろそろ私達も支度してダイニングに行かなくてはなりませんわね……レイナ嬢は、申し訳ないけれど、終わるまでもう少しこちらにいらして?衛兵には、宰相様がいらしたら、馬車は貴女と同じ様に後宮の中庭に案内するよう言ってありますから」
もうすぐナリスヴァーラ城から、エドヴァルドがここへ来る筈だと、エヴェリーナ妃が言う。
衛兵や使用人達には箝口令を敷いたので、エドヴァルドが来る事は、エドベリ王子には洩れない、と。
「安心して頂戴な。この城の中は、意外とあの話を知って『二人を応援してあげなくちゃ!』なんて盛り上がってる使用人や騎士達が多いのよ。噂の力って怖いわねぇ、今回良い勉強になったわ、本当に」
権力者の無謀に振り回される平民と言う構図は、異世界年齢問わず、反響が大きいだろうと強調し、身分差恋愛は、政略結婚の多い貴族層に刺さるだろうと強調したところが、ものの見事にハマった恰好なのが、今回だ。
そしてギーレン王家は、それを覆せるだけの策を持たなかった。
出来る事は、妃二人がそこに同情して手を貸した事で、批判の矛先を王と王子のみの最低限に留める事と、聖女との婚姻と言うインパクトのある慶事での、噂の上書き。
「あ、安心なさって。ここに運ばせる夕食は、今日の私たちの夕食と同じにするように言ってあっても、誓って何も仕込んでいませんわよ?今回の一件での、私とコニー様の授業料のようなものと思って、晩餐を楽しんで下さいな」
――念のため、エドヴァルドに渡した薬がまだ残っていたら、貸してもらおう。
そう思った私は、きっと悪くない。
「では、また後ほど改めて。ああ、よかったらその〝イラ〟の茶葉、まだ残っているみたいだから、使い切って貰っても構わなくてよ?」
エヴェリーナ妃とコニー夫人も、それぞれの部屋に戻って行き、侍女数名残ってくれているにしろ、私は事実上一人で、しばらくそこに残される事になった。
「よろしければ、私がお淹れ致しましょうか」
溜め息をついて、頭を抱える私を見かねたのか、私をここに案内してくれたベテラン侍女さんが、そんな風に声をかけてくれる。
お願いします、とうっかり顔を上げないまま、ご好意に甘えてしまった。
魔道具が使えない以前に、どうしたってまだ、自分の中で消化しきれていない。
喉だってカラカラだけど、とても自分で淹れる余裕なんてなかった。
サスペンスドラマの登場人物の気持ちが、痛い程分かってきた。
私は犯人にはなれない。
むしろ耐え切れなくて自首しようとして、真犯人に殺される系だ。
エドヴァルドに媚薬を盛ろうとしたトゥーラ・オルセン侯爵令嬢とか、どんな強心臓だったのか。
違う。
その後に起こる事態を聞きさえしなければ良かったのだ。
自分のやった事の結果を最後まで聞く事がなければ、罪悪感なんて持ちようがない。
「はぁぁ……」
より深く頭を抱えこんでしまったせいで、その時私は、後ろから誰かが近付いて来た事に気が付かなかった。
カチャリ、と机の上にティーソーサーとカップが置かれた音がして、ふわりとイチゴの香りが漂ってきた。
「あ、ごめんなさい。ありが――」
慌てて頭を上げた私は、そこでガチッと固まってしまった。
「……エドヴァルド様……」
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
長編をここまで読んで頂いて有難うございます。
第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞も大感謝です。
今までの流れですと次はSide Storyなんですが、話の流れを切る事になってしまうので、今回はそのまま本編続行します!
引き続き宜しくお願いしますm(_ _)m
舞菜に言った言葉がどうであれ、エドベリ王子が眠ったのを確認して、コニー夫人に〝転移扉〟まで案内して貰わないといけないのだから、彼らが夕食をとる間は、私は後宮のサロンにいるより他はない。
そしてこの後はコニー夫人が私のように、血縁者の料理に薬を盛ると言う背徳感と罪悪感に苛まれる事になるんだろう。
「ああ、そうそう」
毎回毎回、さも何気ない事であるかの様にエヴェリーナ妃は口にするけれど、実際はそんな気楽な話だったためしがない。
舞菜が出て行った扉を一顧だにせず、エヴェリーナ妃は片手を上げて、隅に控えていた侍女の一人から、何やら封蝋がされて筒状になった手紙を、こちらに持って来させていた。
「私もコニー様も、食事が済んだらこちらに戻って参りますけれど、とりあえず宰相様がいらしたら、これを渡して頂けるかしら?」
「あ…はい、承知しました」
「ふふ。読めば分かると言っておいて頂戴。貴方が長年、喉から手が出る程に欲していた物だと」
悪戯っ子の様な笑みを一瞬だけ閃かせて、エヴェリーナ妃はじっと私の顔を見つめた。
「あの……?」
「貴女の頭の中には、私に贈ってくれた本の中身があるでしょう?」
突然、脈絡のなさそうな事を口にしたエヴェリーナ妃に、私の眉根が寄った。
「ですから貴女が今した事で、後日私が貴女に何かをお願いする事はなくてよ?」
「!」
これがサスペンスドラマなら、実の妹に薬を盛った事を知られたくなければ…などと脅迫を受けてもおかしくはないところだ。
エヴェリーナ妃がサスペンスドラマを知っている訳はもちろんないけれど、殊、この件で、私を脅迫するような事はしないと。暗にそう言ったのだ。
私はギーレン国内の〝転移扉〟の情報を知った。それがメッツァ辺境伯家の今後の切り札となる事も。
だからお互い様だと。
「エヴェリーナ様……」
「私にはギーレンと言う『国の安定』が残り、コニー様には『息子の地位の安定』が残った。陛下と殿下には、それぞれご自身の今の立場が保証される。何も得ていないようだけれど、何かを失う事もなかった。貴女も、聖女様には今後会えずとも、宰相様は戻って来る。それで割り切るべきね」
エヴェリーナ妃の言っている事は正しい。
多分、苦虫を噛み潰したような表情になっていたと思う。
そんな私の頭の上に、ふわりとコニー夫人の手が置かれた。
「何より、他に誰も恨まないで済むでしょう?ですから私は、これで納得していますよ」
「コニー様……」
他に誰も恨まないで済む。
やったのは、自分なのだから。
「レイナ嬢とシャルリーヌが、ギーレンの王子どちらかにそれぞれ嫁いでくれたら、後宮も楽しそうだったのに、それもある意味、私達にとっては、ままならない事かも知れないですわね、コニー様?」
…エヴェリーナ妃が言うと、場を和ませる冗談には聞こえません。
その上、コニー夫人もクスリと笑っている。
「そうですわね、エヴェリーナ様。そんな未来があっても良かったかも知れませんわね。むしろ一度くらいは、あの子に牽制しておいても良いかも知れません」
さすがこちらも、長年ギーレン王宮で暮らしてはいらっしゃらない。
あら素敵、なんて微笑うエヴェリーナ妃とは、それなりに友好関係が築かれている。
ギーレンの実権は、むしろ後宮にあるのかも知れない。
「さて、そろそろ私達も支度してダイニングに行かなくてはなりませんわね……レイナ嬢は、申し訳ないけれど、終わるまでもう少しこちらにいらして?衛兵には、宰相様がいらしたら、馬車は貴女と同じ様に後宮の中庭に案内するよう言ってありますから」
もうすぐナリスヴァーラ城から、エドヴァルドがここへ来る筈だと、エヴェリーナ妃が言う。
衛兵や使用人達には箝口令を敷いたので、エドヴァルドが来る事は、エドベリ王子には洩れない、と。
「安心して頂戴な。この城の中は、意外とあの話を知って『二人を応援してあげなくちゃ!』なんて盛り上がってる使用人や騎士達が多いのよ。噂の力って怖いわねぇ、今回良い勉強になったわ、本当に」
権力者の無謀に振り回される平民と言う構図は、異世界年齢問わず、反響が大きいだろうと強調し、身分差恋愛は、政略結婚の多い貴族層に刺さるだろうと強調したところが、ものの見事にハマった恰好なのが、今回だ。
そしてギーレン王家は、それを覆せるだけの策を持たなかった。
出来る事は、妃二人がそこに同情して手を貸した事で、批判の矛先を王と王子のみの最低限に留める事と、聖女との婚姻と言うインパクトのある慶事での、噂の上書き。
「あ、安心なさって。ここに運ばせる夕食は、今日の私たちの夕食と同じにするように言ってあっても、誓って何も仕込んでいませんわよ?今回の一件での、私とコニー様の授業料のようなものと思って、晩餐を楽しんで下さいな」
――念のため、エドヴァルドに渡した薬がまだ残っていたら、貸してもらおう。
そう思った私は、きっと悪くない。
「では、また後ほど改めて。ああ、よかったらその〝イラ〟の茶葉、まだ残っているみたいだから、使い切って貰っても構わなくてよ?」
エヴェリーナ妃とコニー夫人も、それぞれの部屋に戻って行き、侍女数名残ってくれているにしろ、私は事実上一人で、しばらくそこに残される事になった。
「よろしければ、私がお淹れ致しましょうか」
溜め息をついて、頭を抱える私を見かねたのか、私をここに案内してくれたベテラン侍女さんが、そんな風に声をかけてくれる。
お願いします、とうっかり顔を上げないまま、ご好意に甘えてしまった。
魔道具が使えない以前に、どうしたってまだ、自分の中で消化しきれていない。
喉だってカラカラだけど、とても自分で淹れる余裕なんてなかった。
サスペンスドラマの登場人物の気持ちが、痛い程分かってきた。
私は犯人にはなれない。
むしろ耐え切れなくて自首しようとして、真犯人に殺される系だ。
エドヴァルドに媚薬を盛ろうとしたトゥーラ・オルセン侯爵令嬢とか、どんな強心臓だったのか。
違う。
その後に起こる事態を聞きさえしなければ良かったのだ。
自分のやった事の結果を最後まで聞く事がなければ、罪悪感なんて持ちようがない。
「はぁぁ……」
より深く頭を抱えこんでしまったせいで、その時私は、後ろから誰かが近付いて来た事に気が付かなかった。
カチャリ、と机の上にティーソーサーとカップが置かれた音がして、ふわりとイチゴの香りが漂ってきた。
「あ、ごめんなさい。ありが――」
慌てて頭を上げた私は、そこでガチッと固まってしまった。
「……エドヴァルド様……」
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
長編をここまで読んで頂いて有難うございます。
第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞も大感謝です。
今までの流れですと次はSide Storyなんですが、話の流れを切る事になってしまうので、今回はそのまま本編続行します!
引き続き宜しくお願いしますm(_ _)m
1,198
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜
平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。
だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。
流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!?
魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。
そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…?
完結済全6話
2025.10〜連載版構想書き溜め中
2025.12 〜現時点10万字越え確定
継子いじめで糾弾されたけれど、義娘本人は離婚したら私についてくると言っています〜出戻り夫人の商売繁盛記〜
野生のイエネコ
恋愛
後妻として男爵家に嫁いだヴィオラは、継子いじめで糾弾され離婚を申し立てられた。
しかし当の義娘であるシャーロットは、親としてどうしようもない父よりも必要な教育を与えたヴィオラの味方。
義娘を連れて実家の商会に出戻ったヴィオラは、貴族での生活を通じて身につけた知恵で新しい服の開発をし、美形の義娘と息子は服飾モデルとして王都に流行の大旋風を引き起こす。
度々襲来してくる元夫の、借金の申込みやヨリを戻そうなどの言葉を躱しながら、事業に成功していくヴィオラ。
そんな中、伯爵家嫡男が、継子いじめの疑惑でヴィオラに近づいてきて?
※小説家になろうで「離婚したので幸せになります!〜出戻り夫人の商売繁盛記〜」として掲載しています。
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
ワザと醜い令嬢をしていた令嬢一家華麗に亡命する
satomi
恋愛
醜く自らに魔法をかけてケルリール王国王太子と婚約をしていた侯爵家令嬢のアメリア=キートウェル。フェルナン=ケルリール王太子から醜いという理由で婚約破棄を言い渡されました。
もう王太子は能無しですし、ケルリール王国から一家で亡命してしまう事にしちゃいます!
【完結・全3話】不細工だと捨てられましたが、貴方の代わりに呪いを受けていました。もう代わりは辞めます。呪いの処理はご自身で!
酒本 アズサ
恋愛
「お前のような不細工な婚約者がいるなんて恥ずかしいんだよ。今頃婚約破棄の書状がお前の家に届いているだろうさ」
年頃の男女が集められた王家主催のお茶会でそう言ったのは、幼い頃からの婚約者セザール様。
確かに私は見た目がよくない、血色は悪く、肌も髪もかさついている上、目も落ちくぼんでみっともない。
だけどこれはあの日呪われたセザール様を助けたい一心で、身代わりになる魔導具を使った結果なのに。
当時は私に申し訳なさそうにしながらも感謝していたのに、時と共に忘れてしまわれたのですね。
結局婚約破棄されてしまった私は、抱き続けていた恋心と共に身代わりの魔導具も捨てます。
当然呪いは本来の標的に向かいますからね?
日に日に本来の美しさを取り戻す私とは対照的に、セザール様は……。
恩を忘れた愚かな婚約者には同情しません!
『有能すぎる王太子秘書官、馬鹿がいいと言われ婚約破棄されましたが、国を賢者にして去ります』
しおしお
恋愛
王太子の秘書官として、陰で国政を支えてきたアヴェンタドール。
どれほど杜撰な政策案でも整え、形にし、成果へ導いてきたのは彼女だった。
しかし王太子エリシオンは、その功績に気づくことなく、
「女は馬鹿なくらいがいい」
という傲慢な理由で婚約破棄を言い渡す。
出しゃばりすぎる女は、妃に相応しくない――
そう断じられ、王宮から追い出された彼女を待っていたのは、
さらに危険な第二王子の婚約話と、国家を揺るがす陰謀だった。
王太子は無能さを露呈し、
第二王子は野心のために手段を選ばない。
そして隣国と帝国の影が、静かに国を包囲していく。
ならば――
関わらないために、関わるしかない。
アヴェンタドールは王国を救うため、
政治の最前線に立つことを選ぶ。
だがそれは、権力を欲したからではない。
国を“賢く”して、
自分がいなくても回るようにするため。
有能すぎたがゆえに切り捨てられた一人の女性が、
ざまぁの先で選んだのは、復讐でも栄光でもない、
静かな勝利だった。
---
お姉さまに婚約者を奪われたけど、私は辺境伯と結ばれた~無知なお姉さまは辺境伯の地位の高さを知らない~
マルローネ
恋愛
サイドル王国の子爵家の次女であるテレーズは、長女のマリアに婚約者のラゴウ伯爵を奪われた。
その後、テレーズは辺境伯カインとの婚約が成立するが、マリアやラゴウは所詮は地方領主だとしてバカにし続ける。
しかし、無知な彼らは知らなかったのだ。西の国境線を領地としている辺境伯カインの地位の高さを……。
貴族としての基本的な知識が不足している二人にテレーズは失笑するのだった。
そしてその無知さは取り返しのつかない事態を招くことになる──。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。