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第二部 宰相閣下の謹慎事情
408 王女様のお茶会(3)
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※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
ギーレンに発つ前に〝鷹の眼〟イザクが考案していた毒の万能無効化薬は、それからナシオとシーグの手が入って、本日現在更に効果がパワーアップしていた。
初作当時は、無色透明無味無臭な為、効いているのかどうかを確認する術がなかった筈が、王宮に戻る前にそっとシーグから渡された時には、一滴垂らして、毒が入っていれば色が変わると説明されるまでに改良が重ねられていた。
たとえモノが何であれ、改良が重ねられていくのは悪い事ではないんだけど、複雑な気分もちょっとある。
とりあえずは、ミルテ王女が手づから淹れた紅茶が、侍女の手で目の前に置かれた後、参加者達の自己紹介のどさくさ紛れで、数滴カップに垂らしてみた。
小さな小瓶を袖から手のひらに落として、サッと注いでまた隠す――ギーレンでエヴェリーナ妃に指導されたテクニックがこんなところで活かされるとか、更に複雑な気分だ。
そしてこの段階では色は変わらなかったので、特に私からも口出しはする事なく、ミルテ王女が自ら一口目に口をつけたところで、お茶会は開始された。
(あ……良い香り……美味し……)
ギーレンで飲んだ〝イラ〟入りの紅茶とはまた違った、花とフルーツの香りが鼻腔をくすぐる。
「テオお祖父様、いかがでしょうか?」
皆がそれぞれ一口ないしは、もう少し口にしたところで、ミルテ王女がおずおずと口を開いた。
「うむ……初めて口にする味の様に思うが……?」
「この茶葉は、以前にお祖父様がいらした頃にはまだなくて、つい最近納入されるようになったんです」
「なるほどな。新たな配合で、商品として完成させたと言う事か」
「はい……いずれは、お兄様とフランカお義姉様との婚姻後の祝賀会でお出ししたくて」
そう言って、頬を染める美少女。
私には全く百合の趣味はないけれど、ゲームの事とは言え、ミラン王太子が監禁エンドに走ってしまう気持ちがうっかり理解出来そうになってしまった……。
「と言うと、王女の発案でこの紅茶を作らせたのか?」
「はい!あ、でもお母様や、お義姉様のご実家ハールマン侯爵家のご家族の皆様と配合を相談して……あちこちお願いしてようやく、サビーノの工房で定期的な販売を引き受けて頂けるようになったんです。今はまだ、お兄様の一声で王宮内でのみ出されているのですけれど、今後、他家の方々とのお茶会や、他国の方との昼食会や晩餐会でお出し出来る味と思われますか……?」
そう言えば、日本ではないけれど、北欧スウェーデンの次期王となる王女の成婚にあたって、王室からの依頼で引出物としてブレンドされた紅茶の話は聞いた事がある。
もちろん、ミルテ王女は純粋に兄の結婚を祝いたくて、自分に出来る事を考えた末の事なんだろうけど、イメージとしては近いような気がした。
「うむ、味は良いと思うぞ。ただ正直なところ、コーヒーよりも紅茶が根付いている他国では埋もれてしまう味かも知れん」
さすがテオドル大公は、味を褒めつつも、無意味に王女に追従するような事はしなかった。
味は良いが、ただそれだけ――要はそう言ったのだ。
一瞬、シュンとしかかったミルテ王女に「だがな?」と、すぐにフォローを入れた。
「兄の成婚の祝いに王女が配合を考えて指示した――この話は使えるな。王宮が開発に携わった紅茶と聞けば、その価値は跳ね上がる。そして、その前提で公の場で出されたとして、現状、充分に評価される味であろうよ」
謳い文句次第で、充分に「使える」味。
そんなテオドル大公の評価には、私も賛成出来ると内心で頷いた。
「謙遜したり恥ずかしがったりせずに、経緯を詳らかにするが良い。それが当日上手くいく近道と思うぞ。おお、何なら殿下とフランカ嬢との婚姻の儀の前くらいに、この娘のユングベリ商会を通して、茶葉の話を他国の列席者にさりげなく流させても良いぞ?――な?」
「⁉」
ただ、言葉に出さず頷いていた途中で突然話を振られて、うっかり「はい⁉」と、声を上げそうになってしまった。
…ギリギリ耐えたけど。
参加者一同から一斉に視線を向けられて、慌てて背筋を再度伸ばした。
「え…ええ。今の時点で、ユングベリ商会はギーレンとアンジェスに販路を持っていますし、ここバリエンダールに関しては、ジーノ・フォサーティ卿が王都商業ギルドに口利きをして下さいまして、鋭意交渉中ですわ。結果次第では隣国サレステーデにも進出は出来るかと。それと近々、ベルィフの方にも伝手が出来る予定ですので――お望みであれば、ある程度は」
ベルィフにおいでー、なんて軽ーく言われた某ギルド長に、積極的に関わろうとは思っていなかったけど、どうやら王女様の出方次第では、そうも言ってられなくなってきたかも知れない。
(大公サマ……っ!)
相手が大公殿下でなければ、ひと睨みするなり足を踏むなりしたかったところだ。
「ただ、私が各国に口利きをするとなりますと、商会ですから、近い将来の取引が前提となります。安定供給が可能か、そもそも他国に販売される意図がおありか、あるとすればどこまでを購買層として考えるか……その辺りを、お考え頂く必要が出て来るかと」
「ああ、そうか。あくまで婚姻の儀の為の商品で、終わった後はもう作らないとなれば、そう大々的な事は出来んわな」
キョトンとするミルテ王女に説明する事も兼ねて、テオドル大公がそう呟いてくれた。
私も、そこに頷いて言葉を重ねる。
「私としては、婚姻の儀の後も定期的な生産、販売をされて、売り上げの一部を王女様の個人資産とされるなり、国内のどこかに寄付されるなり、他の産業支援に使われるなりしても良いと思いますけれど、そこまでいくと内政干渉ですし、国王陛下や王太子殿下とご相談されると良いかと思います。その上で当商会を使って頂けると言うのであれば、喜んでご協力申し上げたく思います」
婚姻の儀に絡めての、紅茶新ブランド開発プロジェクト。
進める、進めないはミルテ王女自身の判断。
私は、あくまで選択肢を出しただけだ。
「まあまあ、王女もそのように難しい顔をせずとも良いわ。殿下とフランカ嬢の婚姻の儀とて、今すぐではない。相談は早めにすべきだろうが、考えるのはそれからでも良かろうよ」
考え込んでしまったミルテ王女を宥めるように、テオドル大公が微笑った。
「そ…そうですね、今回はお祖父様も、国の大切なご用事でいらしていると聞きました。お話が全部終わられた後にでも、兄か父に相談するようにします!」
皆が、ほのぼのとした表情でミルテ王女を見守っていたけれど、婚姻の儀の話を連発されたフランカ・ハールマン侯爵令嬢だけは、身の置き場がないと言わんばかりに、顔を赤らめていた。
あ、あの!…と、話題を変えたかったのか、私の方へと視線を向けて来る。
「王太子殿下との縁組云々の話は、不安に苛まれていた私を見た周りの者が色々と勘繰ってしまったみたいで……申し訳ありませんでしたわ」
「ああ、いえいえ、どうかお気になさらないで下さい!特に実害があった訳でもございませんでしたから」
「お話を伺っていると、建前でなく、商会を経営されておいでなのが分かりますわ。それに、ご婚約されておいでと伺えば、尚のことそのドレスも納得致しました。私の家でも取引出来るようなお品があるようでしたら、お詫びにぜひ取引させて下さい。――良いですわよね、お母様?」
「構いませんよ、フランカ。ユングベリ嬢、いつでもハールマン侯爵家にいらっしゃって下さいませ。門戸は開けておきますわ」
娘の「お願い」に、母親である侯爵夫人も二つ返事で頷いていた。
「有難うございます。では、いずれ是非伺わせて下さいませ」
本気か社交辞令かは、追々判断していくしかないだろう。
ここは、場を不快にしない事が全てだ。
「皆様、お代わりをお入れしますね。コーヒーが宜しければ、別に用意をさせますので仰って――」
仰って下さいませ、そう言ってミルテ王女が立ち上がろうとした時――その騒ぎは起きた。
「よりによって、今日、今とはな……」
怒号を聞いたテオドル大公が眉を顰めている。
どうやら、順調なお茶会はここまでだったようです。
ギーレンに発つ前に〝鷹の眼〟イザクが考案していた毒の万能無効化薬は、それからナシオとシーグの手が入って、本日現在更に効果がパワーアップしていた。
初作当時は、無色透明無味無臭な為、効いているのかどうかを確認する術がなかった筈が、王宮に戻る前にそっとシーグから渡された時には、一滴垂らして、毒が入っていれば色が変わると説明されるまでに改良が重ねられていた。
たとえモノが何であれ、改良が重ねられていくのは悪い事ではないんだけど、複雑な気分もちょっとある。
とりあえずは、ミルテ王女が手づから淹れた紅茶が、侍女の手で目の前に置かれた後、参加者達の自己紹介のどさくさ紛れで、数滴カップに垂らしてみた。
小さな小瓶を袖から手のひらに落として、サッと注いでまた隠す――ギーレンでエヴェリーナ妃に指導されたテクニックがこんなところで活かされるとか、更に複雑な気分だ。
そしてこの段階では色は変わらなかったので、特に私からも口出しはする事なく、ミルテ王女が自ら一口目に口をつけたところで、お茶会は開始された。
(あ……良い香り……美味し……)
ギーレンで飲んだ〝イラ〟入りの紅茶とはまた違った、花とフルーツの香りが鼻腔をくすぐる。
「テオお祖父様、いかがでしょうか?」
皆がそれぞれ一口ないしは、もう少し口にしたところで、ミルテ王女がおずおずと口を開いた。
「うむ……初めて口にする味の様に思うが……?」
「この茶葉は、以前にお祖父様がいらした頃にはまだなくて、つい最近納入されるようになったんです」
「なるほどな。新たな配合で、商品として完成させたと言う事か」
「はい……いずれは、お兄様とフランカお義姉様との婚姻後の祝賀会でお出ししたくて」
そう言って、頬を染める美少女。
私には全く百合の趣味はないけれど、ゲームの事とは言え、ミラン王太子が監禁エンドに走ってしまう気持ちがうっかり理解出来そうになってしまった……。
「と言うと、王女の発案でこの紅茶を作らせたのか?」
「はい!あ、でもお母様や、お義姉様のご実家ハールマン侯爵家のご家族の皆様と配合を相談して……あちこちお願いしてようやく、サビーノの工房で定期的な販売を引き受けて頂けるようになったんです。今はまだ、お兄様の一声で王宮内でのみ出されているのですけれど、今後、他家の方々とのお茶会や、他国の方との昼食会や晩餐会でお出し出来る味と思われますか……?」
そう言えば、日本ではないけれど、北欧スウェーデンの次期王となる王女の成婚にあたって、王室からの依頼で引出物としてブレンドされた紅茶の話は聞いた事がある。
もちろん、ミルテ王女は純粋に兄の結婚を祝いたくて、自分に出来る事を考えた末の事なんだろうけど、イメージとしては近いような気がした。
「うむ、味は良いと思うぞ。ただ正直なところ、コーヒーよりも紅茶が根付いている他国では埋もれてしまう味かも知れん」
さすがテオドル大公は、味を褒めつつも、無意味に王女に追従するような事はしなかった。
味は良いが、ただそれだけ――要はそう言ったのだ。
一瞬、シュンとしかかったミルテ王女に「だがな?」と、すぐにフォローを入れた。
「兄の成婚の祝いに王女が配合を考えて指示した――この話は使えるな。王宮が開発に携わった紅茶と聞けば、その価値は跳ね上がる。そして、その前提で公の場で出されたとして、現状、充分に評価される味であろうよ」
謳い文句次第で、充分に「使える」味。
そんなテオドル大公の評価には、私も賛成出来ると内心で頷いた。
「謙遜したり恥ずかしがったりせずに、経緯を詳らかにするが良い。それが当日上手くいく近道と思うぞ。おお、何なら殿下とフランカ嬢との婚姻の儀の前くらいに、この娘のユングベリ商会を通して、茶葉の話を他国の列席者にさりげなく流させても良いぞ?――な?」
「⁉」
ただ、言葉に出さず頷いていた途中で突然話を振られて、うっかり「はい⁉」と、声を上げそうになってしまった。
…ギリギリ耐えたけど。
参加者一同から一斉に視線を向けられて、慌てて背筋を再度伸ばした。
「え…ええ。今の時点で、ユングベリ商会はギーレンとアンジェスに販路を持っていますし、ここバリエンダールに関しては、ジーノ・フォサーティ卿が王都商業ギルドに口利きをして下さいまして、鋭意交渉中ですわ。結果次第では隣国サレステーデにも進出は出来るかと。それと近々、ベルィフの方にも伝手が出来る予定ですので――お望みであれば、ある程度は」
ベルィフにおいでー、なんて軽ーく言われた某ギルド長に、積極的に関わろうとは思っていなかったけど、どうやら王女様の出方次第では、そうも言ってられなくなってきたかも知れない。
(大公サマ……っ!)
相手が大公殿下でなければ、ひと睨みするなり足を踏むなりしたかったところだ。
「ただ、私が各国に口利きをするとなりますと、商会ですから、近い将来の取引が前提となります。安定供給が可能か、そもそも他国に販売される意図がおありか、あるとすればどこまでを購買層として考えるか……その辺りを、お考え頂く必要が出て来るかと」
「ああ、そうか。あくまで婚姻の儀の為の商品で、終わった後はもう作らないとなれば、そう大々的な事は出来んわな」
キョトンとするミルテ王女に説明する事も兼ねて、テオドル大公がそう呟いてくれた。
私も、そこに頷いて言葉を重ねる。
「私としては、婚姻の儀の後も定期的な生産、販売をされて、売り上げの一部を王女様の個人資産とされるなり、国内のどこかに寄付されるなり、他の産業支援に使われるなりしても良いと思いますけれど、そこまでいくと内政干渉ですし、国王陛下や王太子殿下とご相談されると良いかと思います。その上で当商会を使って頂けると言うのであれば、喜んでご協力申し上げたく思います」
婚姻の儀に絡めての、紅茶新ブランド開発プロジェクト。
進める、進めないはミルテ王女自身の判断。
私は、あくまで選択肢を出しただけだ。
「まあまあ、王女もそのように難しい顔をせずとも良いわ。殿下とフランカ嬢の婚姻の儀とて、今すぐではない。相談は早めにすべきだろうが、考えるのはそれからでも良かろうよ」
考え込んでしまったミルテ王女を宥めるように、テオドル大公が微笑った。
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皆が、ほのぼのとした表情でミルテ王女を見守っていたけれど、婚姻の儀の話を連発されたフランカ・ハールマン侯爵令嬢だけは、身の置き場がないと言わんばかりに、顔を赤らめていた。
あ、あの!…と、話題を変えたかったのか、私の方へと視線を向けて来る。
「王太子殿下との縁組云々の話は、不安に苛まれていた私を見た周りの者が色々と勘繰ってしまったみたいで……申し訳ありませんでしたわ」
「ああ、いえいえ、どうかお気になさらないで下さい!特に実害があった訳でもございませんでしたから」
「お話を伺っていると、建前でなく、商会を経営されておいでなのが分かりますわ。それに、ご婚約されておいでと伺えば、尚のことそのドレスも納得致しました。私の家でも取引出来るようなお品があるようでしたら、お詫びにぜひ取引させて下さい。――良いですわよね、お母様?」
「構いませんよ、フランカ。ユングベリ嬢、いつでもハールマン侯爵家にいらっしゃって下さいませ。門戸は開けておきますわ」
娘の「お願い」に、母親である侯爵夫人も二つ返事で頷いていた。
「有難うございます。では、いずれ是非伺わせて下さいませ」
本気か社交辞令かは、追々判断していくしかないだろう。
ここは、場を不快にしない事が全てだ。
「皆様、お代わりをお入れしますね。コーヒーが宜しければ、別に用意をさせますので仰って――」
仰って下さいませ、そう言ってミルテ王女が立ち上がろうとした時――その騒ぎは起きた。
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