570 / 785
第三部 宰相閣下の婚約者
627 絶対零度の晩餐会~食堂の間②~
しおりを挟む
「……あら?」
そこでふと、エリィ義母様が何かを思い出した――と言う仕種を見せた。
「そう言えば……コンティオラ公爵夫人、邸宅の護衛の一人が内通者かもとお聞きになって、思ったほどに驚かれていないのは何故かを伺っても?」
「!」
言われてみればただ一人、私とエリィ義母様以外で驚いていなかったかも知れない。
「フォルシアン公爵夫人……」
コンティオラ公爵夫人は、まさかエリィ義母様からそれを聞かれるとは思っていなかったのかも知れない。
驚いたようにこちらを凝視していた。
「愛しい人、どう言うことかな?」
イル義父様に聞かれたエリィ義母様は、片手を頬にあてたまま、その時のことを思い出そうとしていた。
「今申し上げた通りですわ、あなた。と言うのもレイナちゃんの護衛が内通者を見たと言う話をした時、私も夫人も馬車の中にいてその話を聞いていなかったんですもの」
「そうなのかい?いや、でも――」
「ええ、そうは言っても何の話をしていたのか、気にはなりましたから、周りに誰もいないところで私一人でレイナちゃんに確認をしましたのよ?いずれにしても、コンティオラ公爵夫人が話を知る機会はなかった筈……と思いまして」
エリィ義母様の言葉を受けたコンティオラ公爵が「……ヒルダ?」と、夫人に声をかけている。
「あ……母上、もしかして」
そこで声を上げたのは、意外にもヒース君だった。
答えの代わりに、コンティオラ公爵夫人はビクリと身体を震わせた。
「その護衛……もしやウリッセだったのではないですか?」
「……ヒース」
「そのお表情は、図星ですね」
名前だけを呼んで、その先を答えない――答えられなかったコンティオラ公爵夫人に、ヒース君は母の苦悩を察した様に頷いていた。
どうやらコンティオラ公爵の方も、その名前には心当たりがあったらしく「ヒース、どういう意味だ?」と息子に問いかけていた。
「父上、ウリッセは確か、母上のエモニエ侯爵令嬢時代の乳母の息子……でしたよね?」
「ああ、そうだ。ヒルダが母以上に母と慕い、我がコンティオラ公爵家に嫁ぐ際にも共に来る筈だった。その前に病気で亡くなってしまったが……」
「だからその息子が、母の遺志を汲んで護衛として付き従ってきた。今の邸宅で唯一、エモニエ侯爵家からこの邸宅に入った者……でしたでしょう?」
何でも、エモニエ侯爵家の中でさえ、ナルディーニ侯爵家に買収される使用人が散見されたため、いっそ誰も連れてこない方が――と言ったレベルでほとんど信用がなかったらしいのだ。
「母が内通者がいると聞かされて、心当たりが浮かんだ末に口を閉ざす方を選んだと言うなら、相手はウリッセしか考えられません。ああ、父上、僕――いえ私は、そんなやましいことを思ったりはしていませんから。ウリッセの周辺で何かあったのではないかと思って、それを確かめようと思われたのでは?と言うことなんですよ」
話の途中でコンティオラ公爵の眉間に皺が寄ったことに気が付いて、ヒース君は慌てて母親の「不貞疑惑」を否定していた。
実の息子がそんなことを疑っているなどと、コンティオラ公爵も夫人も思いたくはないだろうからだ。
「ウリッセの周辺……」
「父上はお聞きになったことはなかったですか?私は、まだ学園入学前の小さかった頃に、ウリッセから直接話を聞いたことがありますよ。彼の母親、つまり母上の乳母はバリエンダールの北にある少数民族の血を引いていると。迫害の末にアンジェスの地を踏んだ移民で、だいぶ苦労して生計を立てていたらしいですよ?」
「え」
うっかり声を洩らしてしまったのは、私だ。
見ればエドヴァルドもちょっと眉根を寄せている。
「再婚したばかりの先代エモニエ侯爵が、当時、夫人に気を遣ってあまり母上に接することが出来ないからと、雇われたことで恩を感じている彼女なら、陰に日向に母上を支えてくれるのでは、と乳母になってくれるよう頼んだと聞いています」
迫害された少数民族の血を引く乳母は、見知らぬ土地で自分の居場所を作り出すために、乳母と言う役目に心血を注いだそうだ。
ナルディーニ侯爵家に目を付けられ始めた頃は、この乳母が、あの手この手で接触を遠ざけたりしていたため、コンティオラ公爵家との縁組が決まった時には、真っ先に同行の打診もあったほどだと言う。
コンティオラ公爵家への輿入れを楽しみにしていたと言う乳母。
だが彼女自身はそれを見ることは叶わず、己の忠誠を息子へと託した。
エモニエ侯爵家から唯一付き従って来たと言う護衛・ウリッセ。
コンティオラ公爵夫人が信頼を置くのは無理からぬ話だった。
万一その彼に不審な動きが見えたのだとしたら……まずは自分で確かめたかったのかも知れない。
何かよからぬことに手を貸してしまっているのだとしたら、乳母のためにも、止めるのは自分でなくてはならない、と。
「……乳母の出自のことは、先代エモニエ侯爵から聞いていた」
知らなかったのか?と息子に問われたコンティオラ公爵は、やんわりとそれを否定した。
「コンティオラ公爵家は国の外交を束ねる家。いずれどこからか、彼女の出自を論ってくる者が出るかも知れない、と。バリエンダールにおいて北方遊牧民族に対する差別や圧力が和らいだのは、つい最近と言っても良いくらいの話だから、まだその偏見は随所に残っていると思った方が良いと言われていた」
イデオン公爵家にも、バルトリがいる。
私はチラとエドヴァルドを見上げたけど、彼は無言で頷いただけだった。
もしかしたら、バルトリを雇うにあたって、同じような危惧はあったのかも知れなかった。
「エモニエ侯爵領は、自領の茶葉も有名だが、バリエンダールから仕入れる茶葉に関してもある程度の強みがあった。だから乳母の出自を取り沙汰されたところで、何とでも言えると先代侯爵は考えていたようだし、乳母自身の仕事ぶりも評価をしていたから、こちらへの同行も推挙していた。だが、それでも公爵夫人の乳母となれば、あることないこと言い募る者は出ると――まあ、具体的にはナルディーニ侯爵家が文句を言ってきてもおかしくはないと思って、事情を明かしてくれていた」
どうやら先代エモニエ侯爵、後妻の手綱を上手く取れずに実の娘とギクシャクしていたらしい代わりに、何とかその周囲を固めることで、侯爵なりの愛情を示そうとしていたようだった。
「ただ、乳母はこちらに来る前に亡くなっていたし、ウリッセのことをこれまでとやかく言う者はいなかった。親はどうであれ、ウリッセ自身はアンジェス生まれのアンジェス育ちだ。公爵邸内で素性を知る者すら減りつつあった筈なんだが……」
バリエンダール、北方遊牧民族、茶葉。
何となくイヤな繋がりを感じて、私がこめかみをぐりぐりと揉み解している間に、淡々と息子の問いかけに答えていたコンティオラ公爵は、その視線を己の妻へと向けた。
「ヒルダ……私では、貴女の憂いを分かち合うことは出来ないのだろうか」
「あなた……」
「マリセラの縁組の件で、希望を通してやれなかったことはすまないと思う。だからと言って、私が貴女やマリセラを蔑ろにしているわけではない。ない……つもりだった」
むしろ甘すぎるくらいだ、と横でポツリと呟いているヒース君のそれは、父親へのフォローのつもりなんだろうか。
「今はもう、己一人の胸に抱えておける事柄ではないことは分かっているね、ヒルダ?……話してくれないか」
決して無理強いをしているわけではないにせよ、それは黙秘を拒む声色ではあった。
コンティオラ公爵夫人は、覚悟を決めたように顔を上げた。
そこでふと、エリィ義母様が何かを思い出した――と言う仕種を見せた。
「そう言えば……コンティオラ公爵夫人、邸宅の護衛の一人が内通者かもとお聞きになって、思ったほどに驚かれていないのは何故かを伺っても?」
「!」
言われてみればただ一人、私とエリィ義母様以外で驚いていなかったかも知れない。
「フォルシアン公爵夫人……」
コンティオラ公爵夫人は、まさかエリィ義母様からそれを聞かれるとは思っていなかったのかも知れない。
驚いたようにこちらを凝視していた。
「愛しい人、どう言うことかな?」
イル義父様に聞かれたエリィ義母様は、片手を頬にあてたまま、その時のことを思い出そうとしていた。
「今申し上げた通りですわ、あなた。と言うのもレイナちゃんの護衛が内通者を見たと言う話をした時、私も夫人も馬車の中にいてその話を聞いていなかったんですもの」
「そうなのかい?いや、でも――」
「ええ、そうは言っても何の話をしていたのか、気にはなりましたから、周りに誰もいないところで私一人でレイナちゃんに確認をしましたのよ?いずれにしても、コンティオラ公爵夫人が話を知る機会はなかった筈……と思いまして」
エリィ義母様の言葉を受けたコンティオラ公爵が「……ヒルダ?」と、夫人に声をかけている。
「あ……母上、もしかして」
そこで声を上げたのは、意外にもヒース君だった。
答えの代わりに、コンティオラ公爵夫人はビクリと身体を震わせた。
「その護衛……もしやウリッセだったのではないですか?」
「……ヒース」
「そのお表情は、図星ですね」
名前だけを呼んで、その先を答えない――答えられなかったコンティオラ公爵夫人に、ヒース君は母の苦悩を察した様に頷いていた。
どうやらコンティオラ公爵の方も、その名前には心当たりがあったらしく「ヒース、どういう意味だ?」と息子に問いかけていた。
「父上、ウリッセは確か、母上のエモニエ侯爵令嬢時代の乳母の息子……でしたよね?」
「ああ、そうだ。ヒルダが母以上に母と慕い、我がコンティオラ公爵家に嫁ぐ際にも共に来る筈だった。その前に病気で亡くなってしまったが……」
「だからその息子が、母の遺志を汲んで護衛として付き従ってきた。今の邸宅で唯一、エモニエ侯爵家からこの邸宅に入った者……でしたでしょう?」
何でも、エモニエ侯爵家の中でさえ、ナルディーニ侯爵家に買収される使用人が散見されたため、いっそ誰も連れてこない方が――と言ったレベルでほとんど信用がなかったらしいのだ。
「母が内通者がいると聞かされて、心当たりが浮かんだ末に口を閉ざす方を選んだと言うなら、相手はウリッセしか考えられません。ああ、父上、僕――いえ私は、そんなやましいことを思ったりはしていませんから。ウリッセの周辺で何かあったのではないかと思って、それを確かめようと思われたのでは?と言うことなんですよ」
話の途中でコンティオラ公爵の眉間に皺が寄ったことに気が付いて、ヒース君は慌てて母親の「不貞疑惑」を否定していた。
実の息子がそんなことを疑っているなどと、コンティオラ公爵も夫人も思いたくはないだろうからだ。
「ウリッセの周辺……」
「父上はお聞きになったことはなかったですか?私は、まだ学園入学前の小さかった頃に、ウリッセから直接話を聞いたことがありますよ。彼の母親、つまり母上の乳母はバリエンダールの北にある少数民族の血を引いていると。迫害の末にアンジェスの地を踏んだ移民で、だいぶ苦労して生計を立てていたらしいですよ?」
「え」
うっかり声を洩らしてしまったのは、私だ。
見ればエドヴァルドもちょっと眉根を寄せている。
「再婚したばかりの先代エモニエ侯爵が、当時、夫人に気を遣ってあまり母上に接することが出来ないからと、雇われたことで恩を感じている彼女なら、陰に日向に母上を支えてくれるのでは、と乳母になってくれるよう頼んだと聞いています」
迫害された少数民族の血を引く乳母は、見知らぬ土地で自分の居場所を作り出すために、乳母と言う役目に心血を注いだそうだ。
ナルディーニ侯爵家に目を付けられ始めた頃は、この乳母が、あの手この手で接触を遠ざけたりしていたため、コンティオラ公爵家との縁組が決まった時には、真っ先に同行の打診もあったほどだと言う。
コンティオラ公爵家への輿入れを楽しみにしていたと言う乳母。
だが彼女自身はそれを見ることは叶わず、己の忠誠を息子へと託した。
エモニエ侯爵家から唯一付き従って来たと言う護衛・ウリッセ。
コンティオラ公爵夫人が信頼を置くのは無理からぬ話だった。
万一その彼に不審な動きが見えたのだとしたら……まずは自分で確かめたかったのかも知れない。
何かよからぬことに手を貸してしまっているのだとしたら、乳母のためにも、止めるのは自分でなくてはならない、と。
「……乳母の出自のことは、先代エモニエ侯爵から聞いていた」
知らなかったのか?と息子に問われたコンティオラ公爵は、やんわりとそれを否定した。
「コンティオラ公爵家は国の外交を束ねる家。いずれどこからか、彼女の出自を論ってくる者が出るかも知れない、と。バリエンダールにおいて北方遊牧民族に対する差別や圧力が和らいだのは、つい最近と言っても良いくらいの話だから、まだその偏見は随所に残っていると思った方が良いと言われていた」
イデオン公爵家にも、バルトリがいる。
私はチラとエドヴァルドを見上げたけど、彼は無言で頷いただけだった。
もしかしたら、バルトリを雇うにあたって、同じような危惧はあったのかも知れなかった。
「エモニエ侯爵領は、自領の茶葉も有名だが、バリエンダールから仕入れる茶葉に関してもある程度の強みがあった。だから乳母の出自を取り沙汰されたところで、何とでも言えると先代侯爵は考えていたようだし、乳母自身の仕事ぶりも評価をしていたから、こちらへの同行も推挙していた。だが、それでも公爵夫人の乳母となれば、あることないこと言い募る者は出ると――まあ、具体的にはナルディーニ侯爵家が文句を言ってきてもおかしくはないと思って、事情を明かしてくれていた」
どうやら先代エモニエ侯爵、後妻の手綱を上手く取れずに実の娘とギクシャクしていたらしい代わりに、何とかその周囲を固めることで、侯爵なりの愛情を示そうとしていたようだった。
「ただ、乳母はこちらに来る前に亡くなっていたし、ウリッセのことをこれまでとやかく言う者はいなかった。親はどうであれ、ウリッセ自身はアンジェス生まれのアンジェス育ちだ。公爵邸内で素性を知る者すら減りつつあった筈なんだが……」
バリエンダール、北方遊牧民族、茶葉。
何となくイヤな繋がりを感じて、私がこめかみをぐりぐりと揉み解している間に、淡々と息子の問いかけに答えていたコンティオラ公爵は、その視線を己の妻へと向けた。
「ヒルダ……私では、貴女の憂いを分かち合うことは出来ないのだろうか」
「あなた……」
「マリセラの縁組の件で、希望を通してやれなかったことはすまないと思う。だからと言って、私が貴女やマリセラを蔑ろにしているわけではない。ない……つもりだった」
むしろ甘すぎるくらいだ、と横でポツリと呟いているヒース君のそれは、父親へのフォローのつもりなんだろうか。
「今はもう、己一人の胸に抱えておける事柄ではないことは分かっているね、ヒルダ?……話してくれないか」
決して無理強いをしているわけではないにせよ、それは黙秘を拒む声色ではあった。
コンティオラ公爵夫人は、覚悟を決めたように顔を上げた。
1,035
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
事情があってメイドとして働いていますが、実は公爵家の令嬢です。
木山楽斗
恋愛
ラナリアが仕えるバルドリュー伯爵家では、子爵家の令嬢であるメイドが幅を利かせていた。
彼女は貴族の地位を誇示して、平民のメイドを虐げていた。その毒牙は、平民のメイドを庇ったラナリアにも及んだ。
しかし彼女は知らなかった。ラナリアは事情があって伯爵家に仕えている公爵令嬢だったのである。
お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?
水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」
「はぁ?」
静かな食堂の間。
主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。
同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。
いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。
「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」
「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」
父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。
「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」
アリスは家から一度出る決心をする。
それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。
アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。
彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。
「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」
アリスはため息をつく。
「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」
後悔したところでもう遅い。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
継子いじめで糾弾されたけれど、義娘本人は離婚したら私についてくると言っています〜出戻り夫人の商売繁盛記〜
野生のイエネコ
恋愛
後妻として男爵家に嫁いだヴィオラは、継子いじめで糾弾され離婚を申し立てられた。
しかし当の義娘であるシャーロットは、親としてどうしようもない父よりも必要な教育を与えたヴィオラの味方。
義娘を連れて実家の商会に出戻ったヴィオラは、貴族での生活を通じて身につけた知恵で新しい服の開発をし、美形の義娘と息子は服飾モデルとして王都に流行の大旋風を引き起こす。
度々襲来してくる元夫の、借金の申込みやヨリを戻そうなどの言葉を躱しながら、事業に成功していくヴィオラ。
そんな中、伯爵家嫡男が、継子いじめの疑惑でヴィオラに近づいてきて?
※小説家になろうで「離婚したので幸せになります!〜出戻り夫人の商売繁盛記〜」として掲載しています。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。