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第三部 宰相閣下の婚約者
735 断罪の茶会(11)
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以前フィトが国内の農家から譲り受けてきた魔道具は、農地を荒らす害獣を吹き飛ばすための風魔法を込めると言う話だった。
高価な魔道具になると、更に隠形の仕組みが追加されているとかどうとか。
私からすると、壁にしろ罠にしろ隠形自体が意味を成していないので、ニセ壁は見えないし、罠に関しては剝き出しで見えていて、隠形がかかっているのかどうかさえ不明だ。
ある一定の角度からだけ稼働後も触れられるとかで、本人までもが風で吹き飛ぶことはないそうだから、ヴェンツェン管理部長もそれを踏まえて動いていると言うことなんだろうけど。
静かに近付いて、床の魔道具から斜め後方の位置に立ち止まった管理部長は、今度は手にしていた小さな板を何もない空間――私には見えないけれどニセ壁――に向かって、スッと掲げた。
「⁉」
その瞬間、目を見開いたのはシャルリーヌだ。
「壁……が……」
「え?」
「あ、えっと、何だろう……昔のフィルム映画の映写機を想像すればいいのかな? 向こうに映写機があって、それによって映し出されていた映像が板で部分的に遮られた――そんな感じ?」
シャルリーヌの説明は、認識阻害の魔道具における仕組みを端的に、分かりやすく私に教えてくれた気がした。
なるほど、ニセ壁を全部消し去りたいわけじゃないから、板で遮った。そんな感覚なのか。
それはそれで魔力を遮る特殊な板とかなんだろうか。
「壁は全部は消えてない?」
リファちゃんが手紙を運ぶ時の、小さくなる手紙入れもそうだけど、管理部のやることは相当に何でもありと言うか……とにかく魔道具がやれることの限界に常に挑戦しているような気がする。
確認する私に「そうね」と、シャルリーヌは頷いた。
「真ん中あたりだけが少し欠けて……向こう側にも招待客がいるのが見えるわ」
「ああ……」
さっきの国王陛下の合図で管理部長がニセ壁を一部遮断した形になり、私には元から見えていた、おかっぱワカメを始めとする隔離されていた彼らが、こちらの広間にいる全員の視界にも映ることになったのだ。
「な……っ⁉」
――当然、ナルディーニ侯爵(父)にも。
驚いて立ち上がりかけて、再度椅子に頽れてしまったのは多分に痺れ薬の影響が残っているからだろう。
ただしその時呻いたその声は周囲にも届いていて、カロッジェ・ナルディーニ侯爵令息の「父上⁉」と言う反応を呼び起こすのには充分だったようだ。
「ふむ……向こうは少し効果が薄れてきたか……?」
そんなことを呟きながら、周囲の状況には目もくれず列席者を見回したり手元で何か書き込んだりしているガールシン医局長。こちらはこちらで、ハッキリ言ってコワイです。
「レイナ、多分アレは気にしちゃダメなのよ」
私が医局長を見て顔を痙攣らせていたからか、シャルリーヌがいっそ清々しいくらいにバッサリと切り捨てている。
だよねー……としか、もはや私にも言えなかった。
「……っ、このような……」
察するに親の心子知らず?
こちらが医局長の所業に呆れている間も、恐らくは怒鳴りたくても怒鳴れなかったらしいナルディーニ侯爵が、国王陛下と息子との間で視線をさまよわせながら、身体をふるわせて呻いていた。
「この期に及んで『何の真似だ』などと、馬鹿なことは聞くまいな、ナルディーニ侯爵?」
いえ、それ多分ナルディーニ侯爵が言わんとしていたコトな気がします、陛下。
もちろん、その虫けらを見ているかの様な目からすれば、分かっていて口にしているんでしょうけれども。
「まあ、公の場で『父上』などと叫んでいるあたり、そもそも侯爵家後継者として大丈夫なのかと思わなくも――ああ、今回捕らえられているのだから大丈夫じゃなかったな」
「……っ‼」
国王陛下はナルディーニ家を煽りに煽っているのはもちろんのこと、既にカロッジェ・ナルディーニ侯爵令息を次期ナルディーニ侯爵として認めるつもりはないのだと、それは断言をしていた。
高位貴族であればあるほど、その言い回しを理解出来ないはずがない。
静まり返る広間の中、皆の視線がナルディーニ侯爵に集中していた。
「ちなみにあちら側のテーブルを何故隔離しているかと問われれば、既に高等法院案件として裁判にかけられることが決まっている連中だから、と答えておこうか。ああ、だからと言ってこちら側の面子が全員無罪だとも言っていないぞ? あくまで先に馬脚を露して、次期法院長を引っ張り出していると言うだけの違いだからな」
高等法院のクロヴィス・オノレは、子爵とは言え実際には旧グゼリ家の伯爵位を固辞している経緯がある。
そのうえ高等法院の次期法院長の座がほぼ約束されていることは、王宮勤めの官吏や領主の地位を持つ貴族、その直系嫡嗣の間では既に知られている。
つまりは自らの爵位をもって圧力をかけるなどと言うことは不可能だと、国王陛下は言っているのだ。
「正直、今回の騒動がただ商会間で起きたことなのであれば、冷酷と言われようとも放置しておいたろうがな。貴族には貴族の、商売人には商売人のルールとテリトリーがある」
あれもこれもと口も手も出して、どれも中途半端になってしまうくらいなら、しかるべき者に委ねる。
政変によって激減した人材で国家運営を行うために、当時第三王子だったフィルバートと既に宰相だったエドヴァルドとで舵を振り切ったように、私には見えた。
王都商業ギルドにおけるギルド長の権限や五公爵会議の在り方など、政変以前は有名無実、何ならもっと王が強権をふるっていた時代だった。それも理不尽な強権を。
今はそれこそ上層部で戦略を立てて、戦術を現場に委ねている。
だからこそ、そのシステムを壊す者への処罰がより重くなり、結果として皆の目には先代以上に王の強権を強調しているかのように映る。
王族と呼べる人間の少なさ、屋台骨の危うさをフィルバートの特異性を全面に出すことで覆い隠しているのだ。
王は口を出さないのではなく、出せない。
ハッキリ言えば商業ギルドにまで関わっている暇がない。
そのことを悟られないように、よりドラスティックに貴族の側を裁く。
……エンタテインメント性が高すぎることだけは、多分に性格の問題があるだろうけど。
「中には商会の経営者もいるが、ここにいるのは皆、領地を持ち、民に責任を持つ貴族だ。高位か下位かはこの際どうでもいい。領地の主が私欲に走ったと言うことこそ、今、私が問うていることだ」
「私欲……」
「不満か、エモニエ侯爵」
「い……いえ、その……」
「事の発端は、アレンカ・エモニエ先代侯爵夫人が先代侯爵の没後、己の置かれた境遇を覆すべく動き出していたことを、侯爵家として放置していたところにある。関わりあいになりたくなかったと言うのも充分に個人の意思だろう。人ひとり養うのだってタダではない。私ならとっととバリエンダールの実家に送り返しただろうな。何せ領主にはその権限があるのだから」
「……っ」
王の叱責にエモニエ侯爵が唇を噛んだのは、果たして痺れを止めたいのか異論があるが故なのか。
「放置したが故に暗躍を許し、食わせていくのに無駄に領民の税を消費した。実際に夫人と手を組んで動いたのがナルディーニ侯爵にしろ、それを許した結果が、今のこの状況だ。充分に参加資格はあるだろうが」
何もしなかった罪。
国王陛下はエモニエ侯爵に改めてそれを突きつけていた。
実は意外にたちが悪いぞ? ――と。
「ち、父上! どうして何も仰らないのですか⁉ 我が侯爵家が――」
考えてみれば、ナルディーニ侯爵令息側からにしたって、さっきまでニセ壁は存在していた。
自分の父親もとびっきりの〝痺れ茶〟を飲まされているなどと思っていないのだ。
そしてさすがに自国の国王に対しては自分からは何も言えないため、この場の当然の流れとして、父親をせっついた。
「ふむ、時間の経過と共にまずは言語機能から回復するのか……」
ガールシン医局長の独り言は、実は状況の解説でもあった。
向こうのテーブルに居並ぶ面々は、こちらよりも早い段階で〝痺れ茶〟を口にさせられている。
なるほど痺れが取れ始めるのも先と言うことなんだろう。
「父上!」
無反応、と言うよりも反応の出来ない父・ナルディーニ侯爵を苛立たしく思ったのか、息子の方はついに、それでも渾身の力をこめた――と言った態で、両手でテーブルを叩いて立ち上がった。
まさか父親のテーブルに詰め寄るつもりなのか。
そんなところで意地と気力を振り絞らなくても良いと思うんだけど。
止めるべきか、止めざるべきか。
果たして固唾を呑んだのは、誰だったのだろうか――。
高価な魔道具になると、更に隠形の仕組みが追加されているとかどうとか。
私からすると、壁にしろ罠にしろ隠形自体が意味を成していないので、ニセ壁は見えないし、罠に関しては剝き出しで見えていて、隠形がかかっているのかどうかさえ不明だ。
ある一定の角度からだけ稼働後も触れられるとかで、本人までもが風で吹き飛ぶことはないそうだから、ヴェンツェン管理部長もそれを踏まえて動いていると言うことなんだろうけど。
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「⁉」
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「壁……が……」
「え?」
「あ、えっと、何だろう……昔のフィルム映画の映写機を想像すればいいのかな? 向こうに映写機があって、それによって映し出されていた映像が板で部分的に遮られた――そんな感じ?」
シャルリーヌの説明は、認識阻害の魔道具における仕組みを端的に、分かりやすく私に教えてくれた気がした。
なるほど、ニセ壁を全部消し去りたいわけじゃないから、板で遮った。そんな感覚なのか。
それはそれで魔力を遮る特殊な板とかなんだろうか。
「壁は全部は消えてない?」
リファちゃんが手紙を運ぶ時の、小さくなる手紙入れもそうだけど、管理部のやることは相当に何でもありと言うか……とにかく魔道具がやれることの限界に常に挑戦しているような気がする。
確認する私に「そうね」と、シャルリーヌは頷いた。
「真ん中あたりだけが少し欠けて……向こう側にも招待客がいるのが見えるわ」
「ああ……」
さっきの国王陛下の合図で管理部長がニセ壁を一部遮断した形になり、私には元から見えていた、おかっぱワカメを始めとする隔離されていた彼らが、こちらの広間にいる全員の視界にも映ることになったのだ。
「な……っ⁉」
――当然、ナルディーニ侯爵(父)にも。
驚いて立ち上がりかけて、再度椅子に頽れてしまったのは多分に痺れ薬の影響が残っているからだろう。
ただしその時呻いたその声は周囲にも届いていて、カロッジェ・ナルディーニ侯爵令息の「父上⁉」と言う反応を呼び起こすのには充分だったようだ。
「ふむ……向こうは少し効果が薄れてきたか……?」
そんなことを呟きながら、周囲の状況には目もくれず列席者を見回したり手元で何か書き込んだりしているガールシン医局長。こちらはこちらで、ハッキリ言ってコワイです。
「レイナ、多分アレは気にしちゃダメなのよ」
私が医局長を見て顔を痙攣らせていたからか、シャルリーヌがいっそ清々しいくらいにバッサリと切り捨てている。
だよねー……としか、もはや私にも言えなかった。
「……っ、このような……」
察するに親の心子知らず?
こちらが医局長の所業に呆れている間も、恐らくは怒鳴りたくても怒鳴れなかったらしいナルディーニ侯爵が、国王陛下と息子との間で視線をさまよわせながら、身体をふるわせて呻いていた。
「この期に及んで『何の真似だ』などと、馬鹿なことは聞くまいな、ナルディーニ侯爵?」
いえ、それ多分ナルディーニ侯爵が言わんとしていたコトな気がします、陛下。
もちろん、その虫けらを見ているかの様な目からすれば、分かっていて口にしているんでしょうけれども。
「まあ、公の場で『父上』などと叫んでいるあたり、そもそも侯爵家後継者として大丈夫なのかと思わなくも――ああ、今回捕らえられているのだから大丈夫じゃなかったな」
「……っ‼」
国王陛下はナルディーニ家を煽りに煽っているのはもちろんのこと、既にカロッジェ・ナルディーニ侯爵令息を次期ナルディーニ侯爵として認めるつもりはないのだと、それは断言をしていた。
高位貴族であればあるほど、その言い回しを理解出来ないはずがない。
静まり返る広間の中、皆の視線がナルディーニ侯爵に集中していた。
「ちなみにあちら側のテーブルを何故隔離しているかと問われれば、既に高等法院案件として裁判にかけられることが決まっている連中だから、と答えておこうか。ああ、だからと言ってこちら側の面子が全員無罪だとも言っていないぞ? あくまで先に馬脚を露して、次期法院長を引っ張り出していると言うだけの違いだからな」
高等法院のクロヴィス・オノレは、子爵とは言え実際には旧グゼリ家の伯爵位を固辞している経緯がある。
そのうえ高等法院の次期法院長の座がほぼ約束されていることは、王宮勤めの官吏や領主の地位を持つ貴族、その直系嫡嗣の間では既に知られている。
つまりは自らの爵位をもって圧力をかけるなどと言うことは不可能だと、国王陛下は言っているのだ。
「正直、今回の騒動がただ商会間で起きたことなのであれば、冷酷と言われようとも放置しておいたろうがな。貴族には貴族の、商売人には商売人のルールとテリトリーがある」
あれもこれもと口も手も出して、どれも中途半端になってしまうくらいなら、しかるべき者に委ねる。
政変によって激減した人材で国家運営を行うために、当時第三王子だったフィルバートと既に宰相だったエドヴァルドとで舵を振り切ったように、私には見えた。
王都商業ギルドにおけるギルド長の権限や五公爵会議の在り方など、政変以前は有名無実、何ならもっと王が強権をふるっていた時代だった。それも理不尽な強権を。
今はそれこそ上層部で戦略を立てて、戦術を現場に委ねている。
だからこそ、そのシステムを壊す者への処罰がより重くなり、結果として皆の目には先代以上に王の強権を強調しているかのように映る。
王族と呼べる人間の少なさ、屋台骨の危うさをフィルバートの特異性を全面に出すことで覆い隠しているのだ。
王は口を出さないのではなく、出せない。
ハッキリ言えば商業ギルドにまで関わっている暇がない。
そのことを悟られないように、よりドラスティックに貴族の側を裁く。
……エンタテインメント性が高すぎることだけは、多分に性格の問題があるだろうけど。
「中には商会の経営者もいるが、ここにいるのは皆、領地を持ち、民に責任を持つ貴族だ。高位か下位かはこの際どうでもいい。領地の主が私欲に走ったと言うことこそ、今、私が問うていることだ」
「私欲……」
「不満か、エモニエ侯爵」
「い……いえ、その……」
「事の発端は、アレンカ・エモニエ先代侯爵夫人が先代侯爵の没後、己の置かれた境遇を覆すべく動き出していたことを、侯爵家として放置していたところにある。関わりあいになりたくなかったと言うのも充分に個人の意思だろう。人ひとり養うのだってタダではない。私ならとっととバリエンダールの実家に送り返しただろうな。何せ領主にはその権限があるのだから」
「……っ」
王の叱責にエモニエ侯爵が唇を噛んだのは、果たして痺れを止めたいのか異論があるが故なのか。
「放置したが故に暗躍を許し、食わせていくのに無駄に領民の税を消費した。実際に夫人と手を組んで動いたのがナルディーニ侯爵にしろ、それを許した結果が、今のこの状況だ。充分に参加資格はあるだろうが」
何もしなかった罪。
国王陛下はエモニエ侯爵に改めてそれを突きつけていた。
実は意外にたちが悪いぞ? ――と。
「ち、父上! どうして何も仰らないのですか⁉ 我が侯爵家が――」
考えてみれば、ナルディーニ侯爵令息側からにしたって、さっきまでニセ壁は存在していた。
自分の父親もとびっきりの〝痺れ茶〟を飲まされているなどと思っていないのだ。
そしてさすがに自国の国王に対しては自分からは何も言えないため、この場の当然の流れとして、父親をせっついた。
「ふむ、時間の経過と共にまずは言語機能から回復するのか……」
ガールシン医局長の独り言は、実は状況の解説でもあった。
向こうのテーブルに居並ぶ面々は、こちらよりも早い段階で〝痺れ茶〟を口にさせられている。
なるほど痺れが取れ始めるのも先と言うことなんだろう。
「父上!」
無反応、と言うよりも反応の出来ない父・ナルディーニ侯爵を苛立たしく思ったのか、息子の方はついに、それでも渾身の力をこめた――と言った態で、両手でテーブルを叩いて立ち上がった。
まさか父親のテーブルに詰め寄るつもりなのか。
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