クラス転移したひきこもり、僕だけシステムがゲームと同じなんですが・・・ログアウトしたら地球に帰れるみたいです

こたろう文庫

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「お話を聞かせていただきありがとうございました。ロンデル子爵も数日したら来られると思いますので、その時に改めて先程の話をしてください」

「子爵が来られるのですか?」

「はい。今こちらに向かっている最中です。それでは、しばらくの間学院に出入りさせていただきたいので許可をください。目的は先程触れたとおり、クロウトという者が、孤児院にちょっかいを掛けている犯人か確認する為です」

「わかりました。許可します。一つ提案なのですが、よろしければ生徒の訓練を見て、何かアドバイスをしていただけないでしょうか?臨時の教官としてです」

「以前少しお見せしましたが、僕の戦い方は特殊なので、あまり勉強にはならないと思いますよ」

「騎士団長に訓練を見てもらったというだけで、生徒達には刺激になります。教えることに気が乗らないのであれば、見学しているだけでも構いませんよ」

「…………。一つ許可というか、黙認してもらえれば、その提案を受けてもいいです。クロウト君を間近で見るのには悪くないとも思いますので」
悩んだ結果、訓練をつけるという名目でクロウトに近づくのも悪くはないと結論付ける。
そこのクラスだけを見るわけにもいかなくなるのがネックなだけだ。

「なんでしょうか?」

「クロウト君には恥をかいてもらいます。何度もクラスメイトの前で魔法を失敗させますが、それでもよろしければ他の生徒にはちゃんとアドバイスをしますよ。僕のアドバイスが教えた子に対して有益かどうかは別の話ですが……」

「……ご家族であるロンデル子爵もこちらに向かっているという話ですので、私は黙認します。大事になった場合には、あなたに臨時教官を任せた責は負いますが、この件に関しては知らなかったことにしますがよろしいですか?」

「もちろん構いませんよ」

「それでは、実技の担当をされている先生に紹介します。ちょうどクロウト君がいるクラスが訓練している時間ですので、そちらに案内します」


学院長に案内されて第二訓練場にやってくる。
「マリエール学院長、どうされましたか?」
僕達が訓練場に入ったことに気付いた教員が、こちらに駆けてきて、学院長に聞く。

「こちら、第1騎士団団長のクオンさんです。他の任務で魔法都市に滞在するということでしたが、空いている時間に生徒の訓練の様子を見て頂けることになりました。今日はこのクラスの訓練を見ていただこうと思っています」
学院長が僕を紹介して、経緯を説明する。

「騎士団長様に訓練を見ていただけるなんて、生徒達も喜びます。私は火魔法をメインに四属性の基本訓練を担当していますセルイドといいます。私に遠慮は不要ですので、気になるところがあればなんでも仰ってください」

「わかりました。セルイド先生にはいつも通り教育をしてもらって、気になることがあれば口を挟みます」

「よろしくお願いします。全員集合!」
セルイド先生の号令で、生徒達がサッと集まり整列する。
この辺りから教育がなされているようだ。

「第1騎士団団長のクオンさんが訓練を見てくれることになった。こんな機会は滅多にない。これまでの訓練の成果を遺憾なく発揮するように」

「「「はい」」」
生徒達を鑑定して名前を確認していき、クロウトを見つける。
それから、知っている顔を発見する。知っているといっても、少し話をした程度だけど……。

「訓練に戻れ」
セルイド先生の一言で解散して訓練が再開される。

「歳はバラバラなんですね」
僕は気になったことをセルイド先生に聞く。

「ここにいる生徒は皆4年目になるのですが、決まった年齢で入学するわけではありません」

「セルイド先生は、ずっとこのクラスの実習を担当しているんですか?」

「いえ、私は3年生から5年生までを担当しています。他の学年の生徒の教育をする時もありますが、主担当の先生は別にいます」
セルイド先生に事件のことを聞いても、学院長から聞いたこと以上のことは知らなそうだな。

「そうなんですね。今は、あの的に魔法を当てる訓練ですか?」
生徒達は10センチほどの金属の的目掛けて魔法を放っているが、ほとんどは外れている。

「はい。簡単そうに見えて、まだ魔法スキルを獲得したばかりの生徒達には難しいものです。よろしければ騎士団長様も参加してみますか?」
的は大体20メートルくらい先にあるのだから、魔法の扱いに長けた人であっても簡単ではないだろう。

「そうですね。では、ファイアーボール!」

ドドドドド!!
セルイド先生とは生徒達から離れて話していた為、僕と的の距離は50メートル以上あったが、僕の放った20発の火球は全て的に命中し、こちらに生徒達の注目が集まる。

「………………。私でもここから当てることは出来ますが、あれだけの数を同時にコントロールすることは出来ません。流石としか言いようがありませんね」
セルイド先生はしばらく口を開けて放心状態になっていたが、はっ!と我に返った後、冷静に分析する。
セルイド先生の提案のおかげで、いい具合に注目を浴びることが出来たな。

「的は動いていないですからね。このくらい出来ないと、もしもの時に護衛対象まで一緒に焼いてしまいますよ」
僕の場合は、集中が乱れなければ狙った所に寸分狂いなく飛んでいくからな。この距離を外すようになったらゲーマー失格だ。


セルイド先生が指導をする為に生徒達の方に行き、話し相手がいなくなってしまったので、僕も動き始めることにする。

クロウトに恥をかいてもらう前に、まずはもう少し当時の話を聞くか。彼がこのクラスにいたのはラッキーだったな。
全く知らない相手よりは話をしやすいし、別件で聞きたいこともある。

「やあ、アルト。久しぶりだね。少し向こうで話をしないか?」
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