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王国 脱出編

逃亡者、一狩りいく

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「お兄ちゃん、私もボアと戦うんですか?」

「うん、いつでも僕が守ってあげれるとは限らないからね、少しでもレベル上げとこう」
ミアは怖そうにしている
「大丈夫だよ。僕が一緒にいるから、ミアが危ない目に合うことはないよ」

「うん。頑張るね」

僕達は森に入っていく

「ボアを探しながら食べられる木の実とかキノコも探そうか。毒があっても僕がわかるから」

「はい、ゆっくりいきましょうね」
ミアはちょっと震えてるな

「ゆっくり行こうか。はい」
僕はミアに手を差し出す
「うん」
ミアと手を繋いで森を歩く。これじゃただの散歩だね
ミアはとても嬉しそうだ

「あそこにキノコがあるよ」
ミアが指を指す
「あれは毒キノコみたいだね。僕の改変スキルで毒は消せるから獲っちゃおうか」
僕は毒を消してから収納にいれる
「これは村の人には出せないね、村の人は毒があるって知ってると思うし」
「うん、あっ!あれは?」
「このキノコは毒がないね。食べれるみたいだ。お手柄だね」
僕はミアの頭を撫でる
「わーい」

僕達はこんな感じでワイワイしながらキノコと木の実、薬草もあったので集めていく。

この日はボアが見つかることはなく帰ることにした

僕は離れに行く前に村長に木の実をわたす。どうやらキノコは食べないそうだ。まあどれが毒なのか鑑定がなかったら食べてみないとわからないもんな

「ただいま」
帰ると姉弟が疲れたのか寝ていた

「寝かしといてあげましょう」
「そうだね。」

しばらくするとカルロさんが夕食を持ってきてくれた。

「木の実をとってきてくれたみたいでありがとうございます。畑仕事も手伝ってもらってますし助かってます」

「いえ、このくらいしか出来ませんから」
 

ルイがご飯の匂いを嗅いだからか起きてくる
「おはよう。ちょうどご飯だよ。ルカも起こしてもらっていい?」
起こそうか迷ってたけどルイが起きたならルカも起こした方がいいと思いルイに任せる。

「お姉ちゃん、起きて。」

「うーん、あとすこし。むにゃむにゃ」 
ルカは寝ぼけているな
「ご飯だよ、食べないと無くなっちゃうよ」

「ご飯!………おはよう…ございます」
ご飯と聞いてガバッと起きたルカは恥ずかしそうに下を向く
「ご飯にしようか」

「はい…」

僕達はご飯を食べる。

「村長が畑仕事のことお礼言ってたよ」

「喜んでもらえたならよかったです。ハイトさん達は何してたんですか?」

「森で食料を探してたんだ。そうだ、ルカはキノコ食べる?」

「えっ!食べませんよ。まだ死にたくないです」

「そう…なんだね」
そういえば城の食糧庫にもキノコは無かったな。
こっちの人はキノコを食べる習慣は無いみたいだ

「ハイトさんキノコ食べるつもりですか?」
なんて答えるべきか
「いや、食べないよ。森で見かけたから聞いてみただけ」

「そうなんですね、食べようとしてるんじゃなくてよかったです」
うん、今度隠れて食べよう。ミアは鑑定のこと知ってるし誘うか。

次の日もミアと森へ向かう

「今日はちゃんとボアを探そうか、レベル上げたいしね」
「うん」

昨日と違い森の奥まで入っていく。昨日みたいに森の入り口であれだけ騒いでたら見つからないからね

森の奥に進むと獣を見つける。猪に見えるけどあれがボアをかな…

「まずは僕が一人で行くからミアはそこで見てて」

「…うん。」
あれ、なんかミアの顔が困惑してるな、不安なんだろう

僕はボアの後ろからゆっくりと近づいて近くの石を頭に叩きつける。
ボアは倒れる。うん、死んでるな

僕はボアを収納に入れる。
流石に一頭だけじゃレベルは上がらないか…

「ミアもういいよ、次の獲物を探そうか」
結構簡単だったし、これでミアも安心だろう。
「うん」
あれ、あんまり安心してないな…なんでだろう?

辺りを探してるとまたボアを見つける。さっきより少し大きいからもしかしたらさっきのは子供のボアだったのかも。
僕はさっきと同じように後ろから近づくが、気付かれて突進される。僕はまともに食らうが…
「痛いけど怪我はしてないな」
ステータスを見てもHPはほとんど減ってなかった。
興奮するボアに正面から石を叩きつける。
ボアが倒れたので収納に入れる。

まだレベルは上がらないか…

「お兄ちゃん、大丈夫?怪我してない?」

「大丈夫だよ。少し痛かっただけで怪我してないよ」

「よかった…」

「でも、まだレベルは上がらなかったよ」

ミアは呆れたような顔をする

「お兄ちゃん、やっぱり勘違いしてたんだね」

「えっ?」

「あれボアじゃないよ。ボアはあんなに小さくないし簡単に倒せないよ」

僕は驚愕する。だってボアのことちゃんと村長に確認したら猪みたいな風貌を言ってたのに…村長に騙された、恥ずかしい

僕はボアと思ってたものを収納にから取り出して鑑定する

猪の死体
頭に傷がある猪の死体。
新鮮

…猪だった

「猪だったね。恥ずかしい、勘違いしてたよ」

「猪も美味しいですよ。…レベルは上がりませんけど」

「そうなの?いっぱい倒せば上がらないの?」

「お兄ちゃんは知らないと思いますけど、レベルは魔物を倒さないと上がりませんよ。こういった森にも魔物はいますが、大体はダンジョンにいるみたいです」

「ダンジョンなんてあるんだね、じゃあレベル上げは諦めて獣を狩ろうか。猪の他にも何かいるかな?」

「あとはうさぎとか鳥かな…」
うーん、なんかうさぎは抵抗があるな
「僕の中ではうさぎってペットなんだよね。ちょっと抵抗あるし引き続き猪を探そうか」

「うん」

僕はそのあと猪を2頭狩って収納にいれる

「なんで村の人は猪を狩らないんだろう?多少危険があるけど、狩れないことはないと思うんだけど」

「猪じゃなくてボアに出会ってしまったら助からないからですよ」

「そっか、結構狩れたしそろそろ帰ろうか」

「そうですね、貴重な肉がいっぱいです」

「ミアも猪を捌くことって出来ないよね?」

「うん、出来ないよ」

「じゃあそれは村の人にお願いしようか」

「うん。肉は貴重だし喜んでやってくれると思うよ」

僕達は村長の所に行って猪を渡す。スキルの事は話せないし流石に全部は出せないから1頭だけ渡す。ちゃんと台車に乗せてある。…台車は森に入る前に借りておいた。収納使ってたから誤魔化す為だけにしか使ってないけど…。

「たまたま猪を見つけました。村のみんなで食べてください。僕達は捌くこと出来ませんのでそれはお願いします」

「これは!ありがとうございます。猪の肉なんていつぶりでしょうか!カルロ、村の人を集めておきなさい、今日は宴会だ」

「すぐに行ってきます」
カルロさんは外に走っていった。すごくいい顔してたな。

「僕達は離れにもどって休んできます」

「準備が出来たら呼びに行きますね」

離れで休んでいると宴の準備が出来たと呼ばれて向かうと、今回の功労者として村長が僕達を村の人達に紹介する

「今日の猪は危険を冒してここにいるハイト達が狩ってきてくれた。今日は歓迎の宴だ!みんな楽しむように」
村長に挨拶するように目配せされる

「僕はハイト。こっちが妹のミアで、あっちの姉弟がルカとルイです。盗賊に襲われてこの村に逃げてきました。今は村長の所にお世話になってます。猪は僕達を受け入れてくださったみなさまへのお礼の気持として受け取ってください」
村の人たちから歓迎の拍手をもらう。

僕はコソッと収納から城で盗んだ酒を取り出してみんなに振る舞う。宴は夜遅くまで続いた。

「お兄ちゃん、起きて…、起きてってば」
「うーん…まだ飲めるよ…むにゃ」
「もう、しょうがないなぁ」

僕は起きると離れで寝ていた。
あれ、いつ帰ってきたっけ?

「お兄ちゃん、やっと起きたね。昨日は広場で寝ちゃったのをルカとルイに手伝ってもらってここまで運んだんだよ」
ミアは少し怒っている

「ゴメン…なさい。以後気をつけます」
僕はルカとルイにも謝る

お酒を飲むのは控えることにしよう。
僕は心に強く失敗を刻むことにした。
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