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奔走編

逃亡者、犯人を見つける

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女王様が広場にエルフを集める

伏せていたはずの女王が元気になって全員を広場に集めたのだから犯人は内心ビクビクしているだろう。
だけど、女王の指示には逆らえないようで里にいるエルフは全員広場に集まった。

長老が一人一人鑑定をしていく。

僕も気になることがあったので、気付かれないように鑑定をする。

そして、少なくても関わっているエルフは見つけた。
長老はそのエルフを鑑定したようだけど、次のエルフの鑑定に向かう

そのエルフは長老が次に行った事に安堵している

これはエルフの事だし、出来る事なら僕は裏方に回ってあまり関わらない方がいいと思ってたんだけど…

「長老、少しいいですか?」

僕は長老を呼び、皆から離れる

「どうしましたか?」

「これがあのエルフのステータスですけど、長老が鑑定したステータスとは違いますか?」
僕はあのエルフのステータスを紙に書いて長老に渡す

「…………ハイト様も鑑定が使えたのですね」
僕は残念に思う

「ええ、言ってませんでしたね。鑑定は使えます。それで違いはありましたか?」

「……ないですな」
僕の危惧していた事は当たってしまったようだ。

「そうですか。気づかなかった……訳ではないですよね?」

「はい。ハイトさんはどうされるつもりですか?」

「どうもしませんよ。初めに話した通り僕はエミルフル様を送り届けに来ただけで、エルフをどうこうするつもりはありません。。魔王城の行き方を聞きに来たというのもありますけどね」

「そうですか」

「でも、エミルを…エミルフル様にやった事は良くなかったと思いますよ。まだ4歳の赤ん坊を殺そうとしたのは……なんで死んだことにしたんですか?」

僕は女王様が異端だと知った時に、長老はどっちなんだろうと思っていた。結果的には長老も他のエルフと同じだったわけだけど。
エルフのことなので、里に引き篭もろうとも、外と交流を持とうとも正直どっちでもいい。
それで人族とか獣人とかの他人を巻き込まないのであれば関わるつもりはない。
でも、その為に赤ん坊を殺すのは良くないと思った。
実際には誘拐させたようだけど、盗賊に誘拐させるということは殺すよりも酷い末路を辿る可能性もあるだろう。

「他の種族をこの里に招こうとしている女王様のお考えを変えることは難しかったので、止まってもらう為には強行にでるしかありませんでした。エミルフル様を死んだ事にしたのは殺すことを躊躇したからです」

「盗賊に渡せば同じだと思いますけど?場合によっては死ぬよりも酷い事になったかもしれない」

「盗賊に渡した訳ではないのです。森の外の街道近くに魔物避けをして置いておいたのです。街道を通った人族に拾ってもらうのを期待していました。盗賊に拾われてしまったようですが……」
長老の言うことを信じるならば、エミルのことも少しは考えていたということか。
まあ、母親から無理に引き離した時点で許された行為ではないと思うけどね

「今回の件はエルフの総意って事でいいですか?女王以外は皆知っていたと?」

「知っていたのは一部だ。しかし、女王様の思想に反対していたのは、私の知る限りでは全てのエルフになりますな」

「そうですか。この件の責任者は長老ですか?それとも他のエルフですか?」

「責任者は私だな。さっきのエルフには私からスキルを使うように頼んだ」

「それならなんで僕に協力を頼んだんですか?」

「鑑定を使えるのを知らなかったから、気づかれないと思っていた。正直に言うと犯人を見つけるのを期待していたのではなく、人族も巻き込み大事になってしまっているから、最後まで見届けてもらって、我々が敵対する意志がない事をわかってもらおうと思っただけだ。女王が殺されるくらいならと、エミルフル様をあなたに預けるのを期待したというのもありますが……」

「そうですか、わかりました。僕はこの後、現女王を殺さずに他のエルフを女王に出来ないか試してみるつもりです。成功した場合には現女王は僕が里の外に連れ出します。なので今回の件は無かったことにしましょう。そちらの勝手な都合で帝国を振り回した事も僕が伝えなければ問題ないでしょう。なのでそちらの誰が次の女王になるかはわかりませんが、今回の誘拐の件を利用して人族に戦争を仕掛けるような事にはならないように長老には動いて欲しいです」

「わかりました。その提案を受けます。私にとっても願ってもないことです」

「なら、とりあえず長老には広場に戻って鑑定の続きをしてもらいますか。その後、女王を移せるか試してみます。成功したら新しい女王と話をさせてもらえますか?」

「わかりました。手配します」

その後、長老は残りのエルフを鑑定していく。
実際のところこれはやってもやらなくてもいいことだ。途中までやってしまったから、疑われないように残りもやるだけだ。

そして、鑑定が終わった後にまた女王の部屋に集まる。

部屋には女王と長老、僕とミアだけだ。エミルもいるけど寝ている

「エミルを死んだことにした犯人は見つかりましたか?」
女王様は長老に聞く

「いえ…それは……」
長老は答えに迷う。当然だ。犯人は自分なのだから

「どうしましたか?」
女王様は長老の様子を訝しむ

「犯人は分かりましたが、女王様にとって知るのはショックが大きいと思います。それでも聞きますか?」
代わりに僕が答える

「……教えてもらえますか」
聞くと判断したのであれば教えてもいいか

「実行犯は別ですが、画策したのはこの長老ですよ」

「…………え?」
女王様は信じられないようだ

「女王様申し訳ありません。全ては私の致すところです」

「…なんでこんな事をしたの?」

「言わなくてもお分かりでしょう。我々は女王様の命令には従うしかありません。しかし女王様の思想には共感出来なかったのです」

「そうですか」

「他の者は私に従っただけですので、罰であれば私にお願いします」
長老は罰を求める

「いえ、私がいけなかったのでしょう。本当に皆の事を考えていたのであれば、他の種族との交流を持つと言うべきではありませんでした」

「…………。」
長老は黙り込む。
僕の勝手な想像だけど、長老は罰を受けたいのではないだろうか?
悪い事をしたという認識はあるのだから、罰せられた方が心の整理がつくのだろう

「とりあえず、その辺りのことは後にしてもらってもいいですか?あなたが女王をすることは、あなたにとっても他のエルフにとっても良いことはなさそうですので、女王を他のエルフに移せるかとりあえず試させてください」

罰の事は後で2人で決めてくれればいい。
僕は他のエルフに女王を移す話をさせてもらうことにする
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