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8.遭遇
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お弁当も食べ終わり、そろそろ教室に戻ろうと歩いていると、宮之阪先輩に出会った。
「こんにちは、逢坂君、伊達君」
「宮之阪先輩、こんにちは」
「…こんにちは」
「二人でお昼だったのかな?」
「あ、はい。中庭で食べてたんです」
「そうなんだ…。あ、伊達君ちょっと話があるんだけど」
「あ、じゃあ僕先に教室行ってるね。先輩、失礼します」
お辞儀をしてその場を後にすると、後ろで伊達君が何やら先輩に話してる声が聞こえた。会長から話があるって、伊達君優秀なんだな~。
教室に向かう廊下で、ヒロインが前から歩いてきた。
(やっぱりカワイイな~)
って思っていたら、何かにつまずいて盛大に転んでしまった。
「いった~…」
振り返って転んだ辺りを見るも、廊下には何も無かった。幸いなことに、周りに誰もいなかったので恥ずかしい思いはしなくて済んだ。
「誰も見てなくて良かった~」
立ち上がり、汚れたズボンをパンパンと叩くと、肩をポンと叩かれた。振り向くと、伊集院先輩だった。
「あ、伊集院先輩こんにちは」
「おう。…なんだ逢坂、汚れてるぞ?」
「はは、ちょっとこけちゃって」
「怪我は?」
「あ、大丈夫です!」
「…擦りむいてる。こっち来て」
「あっ…」
先輩は僕のお弁当箱の袋を拾い、僕の手を掴んで歩き出した。着いた先は保健室だった。
「せんせ~いる~?って不在かよ」
「先輩?」
「手当するから座って」
「は、はい」
椅子に座ると、先輩は慣れた手つき傷口を洗い流し、消毒液に浸されたコットンをピンセットで取り出し、僕の掌にトントンと当てた。
「染みない?」
「大丈夫です」
「一応貼っとくな」
擦り傷の上にガーゼをテープで留めてくれた。
「あ、ありがとうございます」
「ん」
お礼を言うと、ちょうどチャイムがなった。
「ぎりぎりだったな。もう転ぶなよ」
「気をつけます」
「じゃあな」
また先輩は僕の頭を二度ポンポンとして去って行った。僕ってそんなに子供っぽいのかなぁ~…。
「あ!教室戻らなきゃ!」
急いで教室に戻ると、伊達君が教室の前に立っていた。
「逢坂!教室にいないから心配した」
「あ、ごめんね。ちょっとこけちゃって保健室行ってたらぎりぎりになっちゃって」
「怪我…」
「お~い二人とも席に着け~」
「「あ、はい!」」
先生に怒られ慌てて席に着く。僕のせいで伊達君まで怒られて申し訳なかったな…。
授業が終わると、伊達君が急いで僕の席に来た。
「さっきの話だけど、怪我したのか?」
「あ、ちょっと掌を擦りむいただけだよ」
ガーゼを貼った掌を見せると、眉尻を少し下げた。
「俺があいつに捕まってなかったら…」
「たまたま通りかかった伊集院先輩が保健室に連れて行ってくれて、わざわざ手当してくれたんだ。大した事なかったんだけどね」
伊達君は、今度は、眉根を寄せた。
あれ?僕、何か気に障る事言ったかな?
「コホッ…大した怪我じゃなくて良かったよ」
「心配してくれてありがとう」
お礼を言うと、伊達君は照れた顔で「お大事に」と、自分の席に戻った。大した事無い擦り傷なのに、優しい伊達君だなぁ。
「こんにちは、逢坂君、伊達君」
「宮之阪先輩、こんにちは」
「…こんにちは」
「二人でお昼だったのかな?」
「あ、はい。中庭で食べてたんです」
「そうなんだ…。あ、伊達君ちょっと話があるんだけど」
「あ、じゃあ僕先に教室行ってるね。先輩、失礼します」
お辞儀をしてその場を後にすると、後ろで伊達君が何やら先輩に話してる声が聞こえた。会長から話があるって、伊達君優秀なんだな~。
教室に向かう廊下で、ヒロインが前から歩いてきた。
(やっぱりカワイイな~)
って思っていたら、何かにつまずいて盛大に転んでしまった。
「いった~…」
振り返って転んだ辺りを見るも、廊下には何も無かった。幸いなことに、周りに誰もいなかったので恥ずかしい思いはしなくて済んだ。
「誰も見てなくて良かった~」
立ち上がり、汚れたズボンをパンパンと叩くと、肩をポンと叩かれた。振り向くと、伊集院先輩だった。
「あ、伊集院先輩こんにちは」
「おう。…なんだ逢坂、汚れてるぞ?」
「はは、ちょっとこけちゃって」
「怪我は?」
「あ、大丈夫です!」
「…擦りむいてる。こっち来て」
「あっ…」
先輩は僕のお弁当箱の袋を拾い、僕の手を掴んで歩き出した。着いた先は保健室だった。
「せんせ~いる~?って不在かよ」
「先輩?」
「手当するから座って」
「は、はい」
椅子に座ると、先輩は慣れた手つき傷口を洗い流し、消毒液に浸されたコットンをピンセットで取り出し、僕の掌にトントンと当てた。
「染みない?」
「大丈夫です」
「一応貼っとくな」
擦り傷の上にガーゼをテープで留めてくれた。
「あ、ありがとうございます」
「ん」
お礼を言うと、ちょうどチャイムがなった。
「ぎりぎりだったな。もう転ぶなよ」
「気をつけます」
「じゃあな」
また先輩は僕の頭を二度ポンポンとして去って行った。僕ってそんなに子供っぽいのかなぁ~…。
「あ!教室戻らなきゃ!」
急いで教室に戻ると、伊達君が教室の前に立っていた。
「逢坂!教室にいないから心配した」
「あ、ごめんね。ちょっとこけちゃって保健室行ってたらぎりぎりになっちゃって」
「怪我…」
「お~い二人とも席に着け~」
「「あ、はい!」」
先生に怒られ慌てて席に着く。僕のせいで伊達君まで怒られて申し訳なかったな…。
授業が終わると、伊達君が急いで僕の席に来た。
「さっきの話だけど、怪我したのか?」
「あ、ちょっと掌を擦りむいただけだよ」
ガーゼを貼った掌を見せると、眉尻を少し下げた。
「俺があいつに捕まってなかったら…」
「たまたま通りかかった伊集院先輩が保健室に連れて行ってくれて、わざわざ手当してくれたんだ。大した事なかったんだけどね」
伊達君は、今度は、眉根を寄せた。
あれ?僕、何か気に障る事言ったかな?
「コホッ…大した怪我じゃなくて良かったよ」
「心配してくれてありがとう」
お礼を言うと、伊達君は照れた顔で「お大事に」と、自分の席に戻った。大した事無い擦り傷なのに、優しい伊達君だなぁ。
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