4 / 18
04 勇者の手紙(二)
×××××××××××××××××××××××××××××××
《勇者の従者》
魔王討伐に付き従う、勇者の補助役。大抵、法術士である神官、攻も守もこなせる武官、治癒術の使える白魔術士、精霊と通づる精霊術士が選ばれる。
魔王に対することができるのは勇者のみなので、その他の折衝、交渉、露払いをこなすことが役目。
×××××××××××××××××××××××××××××××
親愛なるエーファへ
現在、ルッキスの宿でこれを書いています。そういえば、無理矢理拉致されて魔獣の山の中に放置された修行から十年立つんですね。人生であの三ヶ月ほど死んだ日々はないので、魔王討伐など昼飯前です。いえ、油断はしませんが。気を抜いた瞬間どこからか師匠が岩を投げてきそうで、常に臨戦態勢を保っています。あのジジイこそ真の魔王だと思います。
エーファが手紙を書いてくれるお陰で、遠く離れた地でもあまり寂しさは感じません。目覚めのボディプレスがないのは物足りないけれど、なんとか起きています。それから、忙しい君の手を煩わせるのも悪いので、魔窟を片付けていただくのは謹んで辞退します、と言っておきます。エロ本なんて隠していません。屋根裏にも壁の中にもベッドの下にも隠してないので破壊するまで家捜しするのはやめてくださいお願いします泣くぞ。
届けてくれた酒も、ありがとう。大事に飲む。薬のことだけれど、予備があれば二日酔いの薬をまた送ってください。町や村へ寄るたびに、そこの有力者から酒宴に招かれて少し辟易ぎみなんだ。……だから俺は一人で旅に出たかったっつうのにクソ。
エーファがお訊ねの王国通信の写真についてですが、お察しの通り、あれは俺ではありません。写真が撮られたとき、俺はすでに王都から南の街に到着していたから。多分、対外的に格好をつけるために似たような人物を身代わりにしたんじゃないかな? ご苦労様だね。華々しく出発して欲しかったんだろうが、いい加減面倒なのでとっとと城抜け出したあとでした。
ついでだからギルドで二、三簡単な依頼をこなしながら進んでいたんだが、二つ目の街を通過したときにお仲間さんに追いつかれた。現在一緒に移動中。ウゼエ。マジウゼエ。あいつらいるだけで目立つのなんの。こっそり魔王んとこまで行ってさっくり殺ってトンズラするつもりが、あいつらのせいでいちいち足止め食らってスピードが落ちたわ。マジウゼエ。無駄に美男美女、ぜってぇ職業間違ってるし。
面倒なので一言で紹介してやる。神官は鬼畜眼鏡のストーカー。武官は硬派なロリコン。巫女は僕っ子で不思議っ子の二重苦。魔女はクールな天然ボケ。
………………エーファが激励するまでもなくすでに死亡フラグが立っているような気がするのは俺だけか。
一人で旅したい…………。
村に帰れた野郎共がうらやましい、が、ここでもう一度言っておく。戸締まりはきちんとしろ。前言を撤回するが、手加減しなくていい。人がいない間に怪しい行動をするやつらは剪定鋏でちょん切っていい。俺が許可する。特にロゲールは帰ったら風車小屋の裏に呼び出してやるから覚悟しておけと伝えてくれ。
王都でのことは、俺が色々話してやるよ。
あといちいち勇者に(笑)つけてんじゃねぇ。
風の月一日 (あいつら絶対撒いてやる……)クロードより
あなたにおすすめの小説
〖完結〗旦那様が私を殺そうとしました。
藍川みいな
恋愛
私は今、この世でたった一人の愛する旦那様に殺されそうになっている。いや……もう私は殺されるだろう。
どうして、こんなことになってしまったんだろう……。
私はただ、旦那様を愛していただけなのに……。
そして私は旦那様の手で、首を絞められ意識を手放した……
はずだった。
目を覚ますと、何故か15歳の姿に戻っていた。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全11話で完結になります。
我慢しないことにした結果
宝月 蓮
恋愛
メアリー、ワイアット、クレアは幼馴染。いつも三人で過ごすことが多い。しかしクレアがわがままを言うせいで、いつもメアリーは我慢を強いられていた。更に、メアリーはワイアットに好意を寄せていたが色々なことが重なりワイアットはわがままなクレアと婚約することになってしまう。失意の中、欲望に忠実なクレアの更なるわがままで追い詰められていくメアリー。そんなメアリーを救ったのは、兄達の友人であるアレクサンダー。アレクサンダーはメアリーに、もう我慢しなくて良い、思いの全てを吐き出してごらんと優しく包み込んでくれた。メアリーはそんなアレクサンダーに惹かれていく。
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
片思いの貴方に何度も告白したけど断られ続けてきた
アリス
恋愛
幼馴染で学生の頃から、ずっと好きだった人。
高校生くらいから何十回も告白した。
全て「好きなの」
「ごめん、断る」
その繰り返しだった。
だけど彼は優しいから、時々、ご飯を食べに行ったり、デートはしてくれる。
紛らわしいと思う。
彼に好きな人がいるわけではない。
まだそれなら諦めがつく。
彼はカイル=クレシア23歳
イケメンでモテる。
私はアリア=ナターシャ20歳
普通で人には可愛い方だと言われた。
そんなある日
私が20歳になった時だった。
両親が見合い話を持ってきた。
最後の告白をしようと思った。
ダメなら見合いをすると言った。
その見合い相手に溺愛される。
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
俺の可愛い幼馴染
SHIN
恋愛
俺に微笑みかける少女の後ろで、泣きそうな顔でこちらを見ているのは、可愛い可愛い幼馴染。
ある日二人だけの秘密の場所で彼女に告げられたのは……。
連載の気分転換に執筆しているので鈍いです。おおらかな気分で読んでくれると嬉しいです。
感想もご自由にどうぞ。
ただし、作者は木綿豆腐メンタルです。