罰として醜い辺境伯との婚約を命じられましたが、むしろ望むところです! ~私が聖女と同じ力があるからと復縁を迫っても、もう遅い~

上下左右

文字の大きさ
28 / 38
第三章

第三章 ~『ヴェルスタンとの決着』~


 それは、まるで地獄のような光景だった。

 霧がかった早朝の街に、突如として獣の咆哮が響く。気づけば、森の奥から魔物の影が押し寄せていた。

 鋭い牙と爪、血走った眼。狼の群れが、一目散に街を目指しており、その数は十を優に超えていた。

「きゃああああっ!」
「子供を抱えて逃げろ!」
「家の中に入れ、早く!」

 警報の鐘がなり、それに呼応するように人々の叫びが飛び交う。混乱が街に広がる中、それでも、被害は最小限に抑えられていた。

 その理由は、ただ一つ。

「陣形を崩すな! 市街地に入る前に、叩き伏せろ!」
「前衛、盾を構えろ! 後衛は魔術の準備を!」

 銀色の甲冑が朝日を弾く。訓練された兵たちが、まるで予定されていたかのように隊列を組んでいた。

 それは、シュトラール辺境領が誇る精鋭部隊。クラウスの指揮下にある守備軍だった。

 市門前の広場にて、兵たちは狼の群れと真正面から激突していた。

 槍が唸られ、火球が飛び、盾が衝撃を吸収する。魔物たちは狂ったように襲いかかるが、そのたびに鋼の壁に阻まれ、次々と地に伏していく。

 やがて、後方から一騎の馬が駆けつける。誰もがその姿を見て息を呑んだ。

「クラウス閣下だ!」

 馬上から部下を見下ろすクラウス。後ろにはエリスの姿もあった。

「報告を頼む」
「魔物の群れが森から突如現れました。負傷者は出ていますが死者はゼロ。市民は避難済みです」
「さすがだな」

 クラウスは兵士に賞賛を送り、馬を降りて自ら前線へと歩みを進める。エリスもその後ろを付いていく。

「クラウス様、あの狼の魔物、おかしくありませんか?」
「理性を感じられないな」

 狼たちの顔に怒りや恐怖はない。まるで何かに突き動かされたような狂気を滲ませている。

「ただの魔物の襲撃ではありませんね。誰かが意図的に仕向けたものだとすると……」
「犯人はあいつだろうな」
「また、あの人ですか」
「間違いなくな」

 二人の間に流れる沈黙は、呆れに近い疑念だった。その疑いの確証を得るために、クラウスは視線を巡らせる。

 そして目に入ってきたのは、見覚えのある若い男だ。街の防衛に加わっていた彼は、兜を小脇に抱え、どこか気まずそうに俯いている。

 クラウスたちはゆっくりと彼に近づく。

「確か、君は近衛兵だったな?」
「は、はい……」
「教えてくれ。今回の騒動はヴェルスタンが関係しているのか?」

 クラウスは確信めいた問いを投げかける。すると彼は気まずそうに黙り込む。

「上官を売るのは気が引けるか?」
「そ、それは……」
「だが君が本当に仕えているのはヴェルスタンではない。王家であり、その国で暮らす民たちのはずだ」
「――――ッ」

 その一言に、近衛兵の目が揺れる。

 数秒の沈黙ののち、彼はぎゅっと拳を握って決心する。

「たぶん、あれは……ヴェルスタンさんの仕業です」
「やはりな」

 クラウスの顔に緊張が走る。

「説明してくれ。あいつは何をした?」
「ヴェルスタンさんは魔物の理性を奪い、命尽きるまで狂わせる暴走の魔術が扱えるんです」

 驚愕の能力を聞かされクラウスは息を飲む。そんな中、エリスが疑問を挟む。

「なぜあなたはヴェルスタン様の魔術をご存知なのですか?」

 魔術は秘匿するもの。特にヴェルスタンのようなタイプの人間が、意味もなく部下に能力を開示するはずがない。

「アストレア殿下の命令で、ヴェルスタンさんが力を使う場面に居合わせまして……」
「なるほど。王子に命じられたなら、さすがのヴェルスタン様も隠してはおけませんでしたか……」

 アストレアの傍には護衛もいただろう。人払いもできないため、披露せざるを得なかったのだ。

「止める方法もあるんですよね?」
「ヴェルスタンさんが魔術を解除すれば、暴走した魔物が正気を取り戻します」
「なら次の問題は、ヴェルスタン様の居場所ですね」
「それなら分かります」
「本当ですか!」
「あの魔術を使うと、独特の黒い霧が生じますから」

 クラウスとエリスが森に目を凝らすと、うっすらとだが、黒ずんだ霧が漂っていた。

「あそこだな……」
「間違いありませんね。あの霧……魔力を帯びています」

 エリスの声には、確信とわずかな緊張が混じっていた。

 クラウスはゆっくりと腰の剣に手を添え、鷹のような鋭い目つきで前を見据える。

「霧の向こうに、ヴェルスタンがいる」
「山道を登るなら馬より徒歩で行くべきですね」
「エリス、まさか君も……」
「危険なのは百も承知です。ただ私は役に立ちますよ」
「それはそうだが……」
「それに街にいるより、クラウス様の傍にいた方が安全ですから」
「まったく。君には勝てないな……」

 押し切られる形でクラウスは、エリスの同伴を認め、共に森の中へ進むと決める。部下にそれを伝えると敬礼と共に見送られた。

 二人は山道に足を踏み入れる。枝葉を掻き分け、足元の根に注意を払いながら慎重に進むと、突然、前方の茂みが大きく揺れる。

 直後、黒くて大きな影が飛び出してくる。現れたのは熊の魔物で、口元からは泡混じりの唸り声が漏れており、理性は完全に失われていた。

「離れていろ」

 クラウスはそう言い残すと、素早く抜刀し、地面を蹴った。

 重たい音と共に、クマの巨体が崩れ落ちる。その間、わずか数秒だった。

「すごい。動きすら見えなかったです」
「こう見えても将軍だからな」

 クラウスは剣を納めるが、呼吸一つ乱していない。

 エリスはそっとクマに近寄り、手をかざす。淡い光が指先から漏れ出し、魔物の額に触れる。

 次の瞬間、クマの濁った目に理性が宿る。鼻先をふるふると震わせ、起き上がると、のそのそと森の奥へ帰っていく。

「どうやら暴走の魔術を無力化できるようですね。確かめた甲斐がありました」
「……魔物が急に暴れる危険もある。ほどほどにな」
「大丈夫ですよ。なにせ護衛のクラウス様がいますから」
「ま、まぁな」

 信頼されていることが嬉しくて、クラウスの口角が僅かに上る。

 そのまま二人は森を歩き出す。

 やがて、黒い霧の発生地へとたどり着く。周囲の木々までもが黒ずみ、空気が重く沈んでいた。

「これが例の霧か……」
「魔物にかけられていた暴走魔術も解けましたし、おそらく私なら消せるはずです」

 エリスが恐る恐る手を伸ばす。指先が霧に触れた瞬間、シュウッという音と共に霧散していく。

「やっぱり効果ありですね……ただこれで問題解決とまではいかないですが……」
「発生源を断たない限り、またすぐに戻るからな」

 完全な決着のためには魔術の使い手であるヴェルスタンを止めるしかない。そう再認識した二人は、さらに深く森の中へと足を踏み入れる。

 やがて、歪な笑みを浮かべるヴェルスタンを発見する。黒い霧が彼の周囲から絶え間なく噴き出しており、じわじわと地面を這うように広がっている。

 クラウスとエリスに気づいたヴェルスタンは忌々しそうに眉を吊り上げる。

「……貴様らか」
「もう逃げ場はないぞ、ヴェルスタン」
「逃げるつもりもない。ここまできたら戦うしかないだろう」

 意外な返答にクラウスは驚く。逃げ出すとばかり思っていたからだ。

「私に勝てるとでも?」
「五分の条件では無理だろうな。だが私が死ねば、魔術は解除されない。狂った魔物どもに理性を取り戻すには、私を生け捕りにする必要がある」

 クラウスの目が細まる。だがヴェルスタンは気にせず言葉を続ける。

「それに加えて、クラウス。貴様には足手まといがいる。守りながらでは、さすがの貴様でも苦戦するだろう?」

 エリスを蔑むような目で見据えると、ヴェルスタンが彼女に向かって駆け出す。

「連れてきたのは失敗だったな、クラウス!」
「くっ!」

 クラウスが身を翻して間に割り込む。剣と剣がぶつかり、重い衝撃音が響いた。だがその直後、エリスが素早くヴェルスタンの側面にまわり込み、手をかざす。

「私は守られるだけの女じゃありません!」

 エリスの掌から淡い光の波動が走る。ヴェルスタンの周囲から漏れていた黒い霧が消え去り、遠くから魔物の声が届く。

「貴様、何をした!」
「あなたの魔術を解除しました」
「なにっ!」
「これで魔物たちは理性を取り戻します。つまり、クラウス様が加減する理由もなくなったということです」

 その言葉が嘘でないと、ヴェルスタンは直感で理解する。切り札を失い、彼の顔が絶望に染まる。

「足手纏いという言葉訂正しよう……むしろ貴様さえいなければ……」

 思い返すと、ヴェルスタンの計画はすべてエリスによって打ち砕かれていた。真の強敵はクラウスよりもむしろエリスだったのだと悟る。

「ヴェルスタン、大人しく投降しろ」
「近づくなっ! 私は王家からの使者で、この国の特権階級なのだぞ!」

 言葉は震え、声がうわずる。もはや威厳も威圧もない。

「……今までは、そうかもしれんな。だがこれからは違う。ヴェルスタン。君はもう終わりだ」

 その言葉は、断罪だった。

 ヴェルスタンは顔を引きつらせると、怒気に晒されて逃げ出した。

「う、うわああっ!」

 葉を踏みしめ、枝を折りながら、ただ前だけを見て走る。

 だが焦りは失敗を生む。足元の根に絡まり、バランスを崩して膝から地面に倒れ込む。泥にまみれ、衣服が破れ、息が荒くなる中、彼の瞳に涙が浮かぶ。

「くそっ、どうして私がこんな目に……」

 絶望の声を漏らす。すると、その声を待っていたかのように、森の奥から人影が姿を現す。

 緋色の外套を纏い、精悍な顔立ちをしている銀髪の男は見間違うはずもない。彼の上官であるアストレアだった。

「で、殿下! 助けにきてくれたのですね!」

 感謝を伝えるが、アストレアは笑わない。その瞳は冷えきっており、情けも憐れみも、浮かんでいない。

「で、殿下……」

 アストレアは無言のまま、剣の柄に手を伸ばす。

「ま、待ってください、殿下! 私は! 忠義を——」

 その言葉の続きを、剣が遮る。シュッと風を裂く音と共に、鋭い閃光が走ると、ヴェルスタンの体に、細く深い線が走った。

 数秒の沈黙の後、その身体は、ぐらりと傾き、音もなく地に崩れ落ちた。

 血の香りがじわりと広がっていく。

 それでもアストレアの表情は変わらない。むしろ、すべてが予定通りであるかのように、ゆっくりと剣を収めた。

「……終わったな」

 その声は誰に向けたものでもない。森の空気に溶け込むように発せられるが、その声を聞いていた者がいた。

「アストレア!」

 ヴェルスタンを追いかけてきたクラウスは、アストレアを見つけると、怒気をはらんだ声を発する。彼の後ろには、エリスの姿もあった。

「……久しいな、クラウス」

 アストレアの声は柔らかい。しかし、その唇に浮かぶ笑みは、底知れない不気味さが滲んでいる。

「アストレア、事情を説明してもらおうか」
「事情も何も私はただ部下を粛清しただけだ」
「……殺したのか?」
「まさか。まだ息はある。私はこの程度の男のために手を汚したりはせん」

 アストレアは気を失ったヴェルスタンを抱えると、そのまま踵を返す。その背中にエリスが声をかけた。

「……どうして、アストレア様は先回りできたのでしょうか?」

 その疑問に彼は足を止める。ただ無言なのは変わらない。エリスの続く言葉を待つ。

「もしかしてヴェルスタン様の居場所を把握していたのではありませんか?」

 その疑問が図星なのか、アストレアの眉がピクリと動く。

 エリスは気にせず推理を続ける。

「きっとクラウス様との戦いを影で覗き見していたのですよね? もしヴェルスタン様が勝てば良し、負ければ自分の手で始末すればいい。そういう考えだったのではありませんか?」

 エリスの詰問に、アストレアはようやく無表情を崩す。眉尻を釣り上げ、彼女を見据えた。

「次期国王となる私を侮辱するつもりか?」
「あなたがなると、まだ決まったわけではないでしょう。第一王子様もいますし、それに何よりクラウス様もいます」
「ふん、血筋と優秀さを計算に入れれば、次の王は私で決まりだ。就任した暁には、記念の式典で貴様を処刑してやるからな。楽しみにしておけ」
「妄想は叶ってから口にしてくださいね、二番目に過ぎない王子様」

 二人の視線が交差する。火花を散らした後、アストレアは鼻を鳴らして森の中へと消えていくのだった。
感想 5

あなたにおすすめの小説

追放された悪役令嬢、規格外魔力でもふもふ聖獣を手懐け隣国の王子に溺愛される

黒崎隼人
ファンタジー
「ようやく、この息苦しい生活から解放される!」 無実の罪で婚約破棄され、国外追放を言い渡された公爵令嬢エレオノーラ。しかし彼女は、悲しむどころか心の中で歓喜の声をあげていた。完璧な淑女の仮面の下に隠していたのは、国一番と謳われた祖母譲りの規格外な魔力。追放先の「魔の森」で力を解放した彼女の周りには、伝説の聖獣グリフォンをはじめ、可愛いもふもふ達が次々と集まってきて……!? 自由気ままなスローライフを満喫する元悪役令嬢と、彼女のありのままの姿に惹かれた「氷の王子」。二人の出会いが、やがて二つの国の運命を大きく動かすことになる。 窮屈な世界から解き放たれた少女が、本当の自分と最高の幸せを見つける、溺愛と逆転の異世界ファンタジー、ここに開幕!

偽聖女の汚名を着せられ婚約破棄された元聖女ですが、『結界魔法』がことのほか便利なので魔獣の森でもふもふスローライフ始めます!

南田 此仁@書籍発売中
恋愛
「システィーナ、今この場をもっておまえとの婚約を破棄する!」  パーティー会場で高らかに上がった声は、数瞬前まで婚約者だった王太子のもの。  王太子は続けて言う。  システィーナの妹こそが本物の聖女であり、システィーナは聖女を騙った罪人であると。  突然婚約者と聖女の肩書きを失ったシスティーナは、国外追放を言い渡されて故郷をも失うこととなった。  馬車も従者もなく、ただ一人自分を信じてついてきてくれた護衛騎士のダーナンとともに馬に乗って城を出る。  目指すは西の隣国。  八日間の旅を経て、国境の門を出た。しかし国外に出てもなお、見届け人たちは後をついてくる。  魔獣の森を迂回しようと進路を変えた瞬間。ついに彼らは剣を手に、こちらへと向かってきた。 「まずいな、このままじゃ追いつかれる……!」  多勢に無勢。  窮地のシスティーナは叫ぶ。 「魔獣の森に入って! 私の考えが正しければ、たぶん大丈夫だから!」 ■この三連休で完結します。14000文字程度の短編です。

追放された聖女ですが、辺境で幸せにお務めをしています  〜追放の主犯の姉は、聖女の務めに耐えられず破滅しました〜

ゆうき
恋愛
幼い頃から聖女として酷使され、家族にも愛されなかったベル。 双子の姉に婚約者を奪われ、ついには「聖女の務めを放棄し、姉に押し付けた」という濡れ衣を着せられ、危険な辺境へ追放されてしまう。 ――こんな地獄から解放されるなら、どこへでも行く。 しかし、辿り着いた地でベルを待っていたのは、温かい歓迎と、人々の優しさだった。 中でも辺境伯で騎士団長のリオネルは、厳つい姿とは裏腹に穏やかで優しく、ベルを大切にしてくれた。 一方、王都では姉が聖女の務めに追い詰められ、次第に破綻していく。 さらに、リオネルの隠された秘密と、辺境を覆う瘴気の謎が、ベルの運命を大きく揺るがす――。 ☆全四十六話。予約投稿済みです。タイトルを変えました。前タイトル『婚約破棄に追放? 謹んでお受けいたしますので、もう放っておいてください』☆

偽聖女と蔑まれた私、冷酷と噂の氷の公爵様に「見つけ出した、私の運命」と囚われました 〜荒れ果てた領地を力で満たしたら、とろけるほど溺愛されて

放浪人
恋愛
「君は偽物の聖女だ」——その一言で、私、リリアーナの人生は転落した。 持っていたのは「植物を少しだけ元気にする」という地味な力。華やかな治癒魔法を使う本物の聖女イザベラ様の登場で、私は偽物として王都から追放されることになった。 行き場もなく絶望する私の前に現れたのは、「氷の公爵」と人々から恐れられるアレクシス様。 冷たく美しい彼は、なぜか私を自身の領地へ連れて行くと言う。 たどり着いたのは、呪われていると噂されるほど荒れ果てた土地。 でも、私は諦めなかった。私にできる、たった一つの力で、この地を緑で満たしてみせる。 ひたむきに頑張るうち、氷のように冷たかったはずのアレクシス様が、少しずつ私にだけ優しさを見せてくれるように。 「リリアーナ、君は私のものだ」 ——彼の瞳に宿る熱い独占欲に気づいた時、私たちの運命は大きく動き出す。

【完結】無能な聖女はいらないと婚約破棄され、追放されたので自由に生きようと思います

くろいゆき
恋愛
辺境伯令嬢レイチェルは学園の卒業パーティーでイラリオ王子から、婚約破棄を告げられ、国外追放を言い渡されてしまう。 レイチェルは一言も言い返さないまま、パーティー会場から姿を消した。 邪魔者がいなくなったと我が世の春を謳歌するイラリオと新たな婚約者ヒメナ。 しかし、レイチェルが国からいなくなり、不可解な事態が起き始めるのだった。 章を分けるとかえって、ややこしいとの御指摘を受け、章分けを基に戻しました。 どうやら、作者がメダパニ状態だったようです。 表紙イラストはイラストAC様から、お借りしています。

婚約破棄された「無能」聖女、拾った子犬が伝説の神獣だったので、辺境で極上もふもふライフを満喫します。~捨てた国が滅びそう?知りません~

ソラ
ファンタジー
「エリアナ、貴様との婚約を破棄し、この国から追放する!」 聖女としての魔力を使い果たし、無能と蔑まれた公爵令嬢エリアナ。 妹に婚約者を奪われ、身一つで北の最果て、凍てつく「死の森」へと捨てられる。 寒さに震え死を覚悟した彼女が出会ったのは、雪に埋もれていた一匹の小さなしっぽ。 「……ひとりぼっちなの? 大丈夫、私が温めてあげるわ」 最後の手向けに、残されたわずかな浄化の力を注いだエリアナ。 だが、その子犬の正体は――数千年の眠りから目覚めた、世界を滅ぼす伝説の神獣『フェンリル』だった! ヒロインの淹れるお茶に癒やされ、ヒロインのブラッシングにうっとり。 最強の神獣は、彼女を守るためだけに辺境を「極上の聖域」へと作り替えていく。 一方、本物の聖女(結界維持役)を失った王国では、災厄が次々と降り注ぎ、崩壊の危機を迎えていた。 今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくる王子たち。 けれど、エリアナの膝の上には、甘えん坊の神獣様(執着心MAX)が陣取っていて――。 「聖女の仕事? いえ、今は神獣様とのお昼寝の方が忙しいので」 無自覚チートな聖女と、彼女にだけはデレデレな神獣様による、逆転溺愛スローライフが幕を開ける!

偽りの断罪で追放された悪役令嬢ですが、実は「豊穣の聖女」でした。辺境を開拓していたら、氷の辺境伯様からの溺愛が止まりません!

黒崎隼人
ファンタジー
「お前のような女が聖女であるはずがない!」 婚約者の王子に、身に覚えのない罪で断罪され、婚約破棄を言い渡された公爵令嬢セレスティナ。 罰として与えられたのは、冷酷非情と噂される「氷の辺境伯」への降嫁だった。 それは事実上の追放。実家にも見放され、全てを失った――はずだった。 しかし、窮屈な王宮から解放された彼女は、前世で培った知識を武器に、雪と氷に閉ざされた大地で新たな一歩を踏み出す。 「どんな場所でも、私は生きていける」 打ち捨てられた温室で土に触れた時、彼女の中に眠る「豊穣の聖女」の力が目覚め始める。 これは、不遇の令嬢が自らの力で運命を切り開き、不器用な辺境伯の凍てついた心を溶かし、やがて世界一の愛を手に入れるまでの、奇跡と感動の逆転ラブストーリー。 国を捨てた王子と偽りの聖女への、最高のざまぁをあなたに。

辺境は独自路線で進みます! ~見下され搾取され続けるのは御免なので~

紫月 由良
恋愛
 辺境に領地を持つマリエ・オリオール伯爵令嬢は、貴族学院の食堂で婚約者であるジョルジュ・ミラボーから婚約破棄をつきつけられた。二人の仲は険悪で修復不可能だったこともあり、マリエは快諾すると学院を早退して婚約者の家に向かい、その日のうちに婚約が破棄された。辺境=田舎者という風潮によって居心地が悪くなっていたため、これを機に学院を退学して領地に引き籠ることにした。  魔法契約によりオリオール伯爵家やフォートレル辺境伯家は国から離反できないが、関わり合いを最低限にして独自路線を歩むことに――。   ※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています