黒魔術と性奴隷と ~闇の治療魔術師奇譚~

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第3章 魔導要塞の攻防

第37話 ニンジン

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 それは見た目は普通のニンジンだ。強いて違いを上げるなら、非常に艶のある朱色をしていて葉っぱの緑はより濃い。違いというよりは単に普通より品質がよさそうだと言った方が良いか。リリカが手塩にかけて栽培したというのは伊達ではなさそうだ。

 だが、ただ単に丁寧に育てただけではない。手にすると見た目以上にずしりとした重量感があることにリアムは気付いた。

「・・・意外と重いんだな。」
「でしょ?栄養を沢山詰め込んだからだと思います!」

「しかし、どうやったんだ?確か、単に肥料の濃度を濃くするだけでは、作物は腐っちゃうんだっただろ?」
「はい。もう本当に苦労しました。いろいろ考えたんですが、最終的に野菜の食べる部分に高濃度に栄養が溜まるためには、っていうところから分析して、根っこに栄養が溜まる仕組み、根っこに栄養を運ぶ仕組み、土から栄養を吸収する仕組み、・・・で土と肥料の濃度、ていう感じで植物の内側から外側に向かって、魔術操作の工夫と、かける範囲を広げる実験を繰り返しました。」

 「これ見てください」といって誇らしげに渡された自由帳(自家製の紙で仕上げた白紙の魔導書)には、既に数百ページにわたってびっしりと観察結果と分析方法、その分析の結果、結果を受けて考案した魔術の術式が書き込まれていた。

「・・・・!!」

 リアムはパラパラとページをめくってみて、これはとんでもないものだと思った。自家製で紙を作れるようになってから、リリカには魔術の研究をしたら必ず魔導書に仕上げるつもりで必ず書き残すように、と言ってきた。

 実際ここ数ヶ月の間、リリカが空き時間に熱心に自由帳を広げて一生懸命書きこんだりしているを見てはいた。時折、リアムが書き上げた魔導書(テクスト相当)を広げて、参考にしながら自由帳に筆を走らせることもみかけていた。

 (そういえば、「ご主人様の書いた魔導書の方が分かりやすくて参考になる。」とか言ってた時もあったな。) リリカの自由帳は、最初の方こそ素人臭い拙さが目立つものだったが、段々書き方やまとめ方が工夫されていって、100ページ目を超えるあたりからは、本物の魔導書にも引けを取らない理路整然とした内容に変貌している。書き方が洗練されると、考えもまとめやすくなったようでそこからは技術的な進歩も目覚ましいようだった。

「そうか・・・。ここまでの積み重ねを経てできたニンジンとは驚きだな。よし、ともかく試食してみようか。だがやはり注意深くするに越したことはない。自由帳の内容の通りにやったってんなら、ニンジンの生命活動にまで魔術で深く干渉したみたいだからな、これは見た目はニンジンだが、もはや全く別の何かと思って警戒はしたほうが良い。」
「多分、毒とかはないと思うんですけども。」
「ま、少しずつ食べるようにしようということだ。そうだな、生と火を通したものと1品ずつ少量作ってみよう。」

 リアムは、そのニンジンをひとかけ切り、短冊状に刻み、同じく刻んだキャベツやピーマン、玉ねぎなどと和え、レモン汁と自家製ドレッシングをかけてサラダを作った。

 リリカは、ブロック状に切ったニンジンにバターを加えて煮込み、塩コショウと砂糖を加えてグラッセを作った。

「・・・・・・」

 小皿に盛ったものを眺める二人。量はごく少量。お菓子ではないのでおやつというのは変だが、量的にはごくおやつ程度だ。

「調理した感じでは特に異常ないように思いました。」
「うん、普通にうまそうだな。」

「リリカから毒味してみますね。」

 そういうとリリカはサラダのニンジンを少し口に入れた。

「・・・!ご主人様、すごく味わいが深いです!!ただのサラダなのに。グラッセも食べてみます。」

 (はむっ、モゴモゴ)

「あ、甘くてとっても美味しいです!」
「リ、リリカ、本当に試しなんだからもう少し慎重にだな。」
「そんなこと言ってもこんなにおいしいの食べないなんてもったいないですよ。」
「後でどうなっても知らないぞ。どれ、じゃあ俺も・・・、うめぇ!」

「ほら、ご主人様だって!」
「いや、味がうまいからって安全かどうかは別・・・、だが、うま!・・・これはうまい!!」

 あんなに警戒していたのに二人ともあっという間に完食してしまった。

「・・・思わず食ってしまった。」
「ですね。」

「ま、あれだけ美味いとな・・・。仕方ない、なんかあったときは俺が治療魔術で何とかする。とりあえず明日になっても何ともなければ、これはとてもすごい作物ということが確認できるだろう。」
「はい!」

 ニンジンは4分の1使っただけだが、とりあえずそれは食べずに保管することにして、その日は普通に過ごした。



 その日の夜、ご褒美の時間のリアムは不思議といつもより元気だった。

「ご・・・、ご主人様!今日はいつもよりミルクが多い気がします。」
「あ、ああ!リリカ、リリカ!!(ピュッピュ)」

 ベッドでのリアムの腰使いがいつもより攻撃的で、リリカは官能の嵐に飲まれ続けた。最後もまるで胎内に津波が押し寄せるような感覚でリアムのミルクを受け止め、ご褒美を堪能しつくすリリカだった。リリカもいつも以上にたかまるものがあり、両手と両足てリアムをかき抱き、中も搾り取るようにリアムの幹を締め付けるのだった。

 もつれ合った二人はあはあと荒い息をしてベッドに沈み込む。(い、いつもより元気があふれて気持ちいいって感じだった・・)覆いかぶさるリアムの髪を撫でながらリリカは心の中で思った。

 苦労を重ねたが、リリカの農魔術は成功したようだ。(これ、きっと今日のニンジンのおかげよね?ニンジンのひとかけらで、こんなに効果があるならショウガとかニンニクとか、健康にいいのや精力がつく作物に手を広げれば・・・!) 襲い来る睡魔に揉まれながら、リリカは夢を膨らませ、夢の中に旅立っていくのだった。
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