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第3章 魔導要塞の攻防
第43話 ★サンドゴーレムの群れ
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なんか、更新遅くなった割に見せ場にかける回です。エロくもないし・・────もうしわけない。
────────────
土人形の試作をしたあくる日、リリカが外の様子を伺ってみると、家の周りがとんでもないことになっていた。
「ご、ご主人様―!」
「どうした?」
「外が穴だらけになってます!」
幸い畑は無事だが、家の周りの平地のいたるところに1メートルクラスの深い穴が幾つも掘られている。そして穴の周りにはたたき固められた土の塊が並べられている。
「ほほう、随分と仕事したようだな。」
「あの、これってもしかして昨日の?」
「もしかしなくても、昨日造った土人形の仕業だよ。ほら、あそこ見てみろ。」
リアムが並んであけられている穴の一番遠くを指さすと、そこには昨日の小さな土人形が盛った土をぺたぺた叩いて土の塊を造っている最中だった。
「す、すごい。一晩中ずっと作業してたんですね。畑が無事でよかった。。」
「まあ、畑の方は掘り返さないように掘り進める向きを調整したからな。」
「そうだったんですね。良かった。リリカはそこまで気にしてませんでした。」
土人形は一晩かけて、5体ほどの自分より大きな分身をこさえていた。
「それにしても、こんなに大変な作業を続けてるのに、疲れたりとかしないんですね。」
「生き物じゃないからな。あれはあくまで念力で土をああいう形にまとめ上げて動かしてるに過ぎないから、当然疲労とかそういうのは関係ない。魔石のエネルギーが持つ限りずっと動くよ。」
「確かにそうですよね。」
ひと穴は大体深さ1メートル、直径1メートルほどの大きさだ。人間がこんな穴を掘ろうと思えばひと穴でも相当の重労働だ。それをこの小さな土人形は5つも掘り、そして分身ともいえる土の塊を造ったのだ。
魔石のエネルギーは切れないのかと思うかもしれないが、小さいとはいえその魔石に込められた全魔力を攻撃魔法として行使すれば、建物数棟を爆破するくらいのことはできる。
「なるほどぉ。それに比べれば確かに5つ穴を掘るエネルギーの方がずっと小さそうですね。」
リアムの説明を聞いて、リリカも魔石の蓄積魔力の大きさについて納得したようだ。
「そう。だからこのまま動かし続ければあと数日、ほおっておくだけで土人形が合わせて20体くらいはできると思うよ。」
「すごく便利ですね。リリカ、もっと早くこの術を使えるようになれば良かったです。」
「まあ便利ではあるが、作るのも相応に大変だけどな。魔法陣の術式を教えたからわかってると思うけど、制御命令をきちんと作るのが非常に大変だ。」
「・・・そういえばそうでした。」
穴を掘って、掘った土で土人形を作る。そんな単純な命令だけでも、リアムから説明を受けた魔法陣の文字列は複雑かつ長大なもので、リリカは一応理解はできたが、自分で作るのは無理そうに思えたのだ。
この制御命令は、現実世界でのコンピュータプログラムに似る。経験者ならプログラムのコーディングによるソフトウェア開発がいかに大変な労力を要するかは想像できるだろう。加えてリアム達の世界は、情報技術など全く洗練されていない未発達な世界なので、その大変さは現実世界以上だ。
「ともかく、動かす部分は俺が作ってやるから、リリカは土人形に何をさせたいか詳しく教えてくれ。」
「分かりました。」
リリカは気楽に考えていたのだが、その作業は大変なものだった。いつ水をやるのか?虫よけは?リリカの考える農魔術はどのタイミングで使うのか?
そもそもリリカがニンジン栽培で成功させた栄養濃縮栽培の農魔術は、単一の魔術ではなく、作物の生育状況や天候、気温に応じて複雑な微調整をしており、リアムがまずそれを理解しないことには作りようがなく、理解する段階だけでも至難だった。
正直なところ、まだ術名もないその農魔術の複雑さはリアムですら未だかつて見たこともない複雑な術体系であった。その術理をリアムが理解するまでに実に3日もかかったほどである。
(ま、まさかこの俺が術理を理解するだけでここまで手こずるとは・・・)
通常一日で数冊の魔導書を造作もなく読破するリアムにとって、たった一つの術の理解にここまでの時間を要したのは初めてのことで、ちょっぴり彼のプライドはぐらついた。それとともにリリカの成長ぶりを評価せざるを得ない。
リリカも人に理解できるように説明するために、頭の中を整理するのは容易ではなく・・、その数日間、二人は食事と家事以外のほとんどの時間を費やすことになった。しかし、リアムが付きっきりの二人の時間は、リリカにとっては目くるめくような幸せな時間だった。
ちなみに毎夜しっかり交尾もしていた。紙に書きなぐった魔法陣の出来損ないに埋もれながら。
そして────ようやく魔法陣が完成し、刻印を済ませた魔石が出来上がった。
「・・・うむむ。リリカ・・、正直ここまでの規模の魔術を創っていたとは思わなかった。悔しいが農魔術については、俺の能力をはるかに越えてると言わざるを得んな。」
「そ、そんな。リリカはご主人様の奴隷ですよ?ご主人様を超えることなんかあるわけ・・」
「いや、お前毎日畑仕事に精出しつつ、どうやったらもっといいものができるかとか考え続けてきたんだろ?しかもそういう農民は普通魔術に触れることはないんだが、奇跡的にリリカは魔術にも精通してしまった。多分リリカは今、この世で誰も踏み入れたことのない魔術の領域を切り拓いているよ。」
「え、えぇ・・。そぅかなぁ(テレ///)」
基本的にリアムは褒め上手だが、そこまで褒められたことはなく、嬉し恥しなリリカだった。
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土人形の試作をしたあくる日、リリカが外の様子を伺ってみると、家の周りがとんでもないことになっていた。
「ご、ご主人様―!」
「どうした?」
「外が穴だらけになってます!」
幸い畑は無事だが、家の周りの平地のいたるところに1メートルクラスの深い穴が幾つも掘られている。そして穴の周りにはたたき固められた土の塊が並べられている。
「ほほう、随分と仕事したようだな。」
「あの、これってもしかして昨日の?」
「もしかしなくても、昨日造った土人形の仕業だよ。ほら、あそこ見てみろ。」
リアムが並んであけられている穴の一番遠くを指さすと、そこには昨日の小さな土人形が盛った土をぺたぺた叩いて土の塊を造っている最中だった。
「す、すごい。一晩中ずっと作業してたんですね。畑が無事でよかった。。」
「まあ、畑の方は掘り返さないように掘り進める向きを調整したからな。」
「そうだったんですね。良かった。リリカはそこまで気にしてませんでした。」
土人形は一晩かけて、5体ほどの自分より大きな分身をこさえていた。
「それにしても、こんなに大変な作業を続けてるのに、疲れたりとかしないんですね。」
「生き物じゃないからな。あれはあくまで念力で土をああいう形にまとめ上げて動かしてるに過ぎないから、当然疲労とかそういうのは関係ない。魔石のエネルギーが持つ限りずっと動くよ。」
「確かにそうですよね。」
ひと穴は大体深さ1メートル、直径1メートルほどの大きさだ。人間がこんな穴を掘ろうと思えばひと穴でも相当の重労働だ。それをこの小さな土人形は5つも掘り、そして分身ともいえる土の塊を造ったのだ。
魔石のエネルギーは切れないのかと思うかもしれないが、小さいとはいえその魔石に込められた全魔力を攻撃魔法として行使すれば、建物数棟を爆破するくらいのことはできる。
「なるほどぉ。それに比べれば確かに5つ穴を掘るエネルギーの方がずっと小さそうですね。」
リアムの説明を聞いて、リリカも魔石の蓄積魔力の大きさについて納得したようだ。
「そう。だからこのまま動かし続ければあと数日、ほおっておくだけで土人形が合わせて20体くらいはできると思うよ。」
「すごく便利ですね。リリカ、もっと早くこの術を使えるようになれば良かったです。」
「まあ便利ではあるが、作るのも相応に大変だけどな。魔法陣の術式を教えたからわかってると思うけど、制御命令をきちんと作るのが非常に大変だ。」
「・・・そういえばそうでした。」
穴を掘って、掘った土で土人形を作る。そんな単純な命令だけでも、リアムから説明を受けた魔法陣の文字列は複雑かつ長大なもので、リリカは一応理解はできたが、自分で作るのは無理そうに思えたのだ。
この制御命令は、現実世界でのコンピュータプログラムに似る。経験者ならプログラムのコーディングによるソフトウェア開発がいかに大変な労力を要するかは想像できるだろう。加えてリアム達の世界は、情報技術など全く洗練されていない未発達な世界なので、その大変さは現実世界以上だ。
「ともかく、動かす部分は俺が作ってやるから、リリカは土人形に何をさせたいか詳しく教えてくれ。」
「分かりました。」
リリカは気楽に考えていたのだが、その作業は大変なものだった。いつ水をやるのか?虫よけは?リリカの考える農魔術はどのタイミングで使うのか?
そもそもリリカがニンジン栽培で成功させた栄養濃縮栽培の農魔術は、単一の魔術ではなく、作物の生育状況や天候、気温に応じて複雑な微調整をしており、リアムがまずそれを理解しないことには作りようがなく、理解する段階だけでも至難だった。
正直なところ、まだ術名もないその農魔術の複雑さはリアムですら未だかつて見たこともない複雑な術体系であった。その術理をリアムが理解するまでに実に3日もかかったほどである。
(ま、まさかこの俺が術理を理解するだけでここまで手こずるとは・・・)
通常一日で数冊の魔導書を造作もなく読破するリアムにとって、たった一つの術の理解にここまでの時間を要したのは初めてのことで、ちょっぴり彼のプライドはぐらついた。それとともにリリカの成長ぶりを評価せざるを得ない。
リリカも人に理解できるように説明するために、頭の中を整理するのは容易ではなく・・、その数日間、二人は食事と家事以外のほとんどの時間を費やすことになった。しかし、リアムが付きっきりの二人の時間は、リリカにとっては目くるめくような幸せな時間だった。
ちなみに毎夜しっかり交尾もしていた。紙に書きなぐった魔法陣の出来損ないに埋もれながら。
そして────ようやく魔法陣が完成し、刻印を済ませた魔石が出来上がった。
「・・・うむむ。リリカ・・、正直ここまでの規模の魔術を創っていたとは思わなかった。悔しいが農魔術については、俺の能力をはるかに越えてると言わざるを得んな。」
「そ、そんな。リリカはご主人様の奴隷ですよ?ご主人様を超えることなんかあるわけ・・」
「いや、お前毎日畑仕事に精出しつつ、どうやったらもっといいものができるかとか考え続けてきたんだろ?しかもそういう農民は普通魔術に触れることはないんだが、奇跡的にリリカは魔術にも精通してしまった。多分リリカは今、この世で誰も踏み入れたことのない魔術の領域を切り拓いているよ。」
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