黒魔術と性奴隷と ~闇の治療魔術師奇譚~

ベータ

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第1部 第1章 黒ヒーラーと少女奴隷(エロなし)

第1話 黒き治療魔術師、リアム

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 今は無人島となったアロン島。リアムはその海岸を気ままに歩いていた。リアム・アシュリー、金髪碧眼のスマートな体型の美青年、24歳。医療魔術師(ヒーラー)として天才的な技術を持つリアムは、かつての名声を捨て、この島に隠遁しようとしていた。(そう、もうお気づきと思うが、この世界はいわゆる剣と魔法のファンタジー世界である。)

 アロン島は、港湾都市エルチェリータから小舟で15分もあれば行ける小さな島である。以前は貴族が別荘を建て、島ごと所有していた。しかし一ヵ月ほど前、所有者の貴族が没落し、財政難に陥ったところを、リアムが島ごと買い取ったのだった。

 リアムは、世間が羨むような成功者の一人だった。貧民街の生まれであったが、生まれつき高い魔力を持っていた。5歳の時、施しに回る修道士長の目に止まり、修道院に引き取られた。そこで治療魔術師(ヒーラー)としての訓練を受けたリアムは、目覚ましい成長を遂げた。治療魔術といってもその種類は様々ある。傷を治す術が一般的ではあるが、病気の治療や毒などの解毒処置も治療魔法の中にはある。こうした病気治療や解毒については、病気や毒の種類、患部によって施術方法が異なり、特化した技能が必要なため、治療魔術師の中でも限られた者しかできなかった。

 しかし才能を開花させたリアムは、不治の病とされた患者の命を次々に救い、その評判は貴族だけでなく、王族にまで広まったのであった。王女が患った奇病の治療や政争で毒殺されかけた宰相の解毒など、リアムの治療魔術は王国の中枢の要人を次々に救った。本来私有財産を放棄し、神に奉仕するはずの修道士であるが、気付けばひとかどの貴族に匹敵する富をリアムは得ていた。そんな出世街道をひた走っていたはずのリアムであるが、今、彼は身分を捨てて修道院から出奔し、このアロン島で隠遁しようとしているのである。

 その背景には修道院組織内のいざこざがあった。聖者の集団といわれる修道院の僧侶たちもまた、人の子である。たかだか24歳の若輩修道士があっという間に出世する光景を妬ましく思う修道士は少なくなかったのだ。

 一方でリアムもまた人の子である。元々信心深いから修道士となったのではなかった。治療魔術の才能があったことが入信のきっかけであった。出家することで、食うに困る生活から飯の食える安定した生活を得ることができた。高貴な人々の治療による報酬は当然ほしかった。しかし受け取ると周りから厳しく批判をされた。また名が売れると様々な高貴な美女に近づく機会が増えた。それもまた厳しく批判を受けることとなった。周りは、リアムを妬ましく思う修道士たちである。きっかけさえあれば、リアムは簡単に槍玉にあげられた。

 実は、何度か患者として診た美女と関係を持ったことはあった。病の治療を受けるには、お布施を払える財力が要る。彼女らは貴族や裕福な商人の娘だったりした。リアムの容姿にときめき、悩ましい病を治療してもらえると必ずそのあとは、寝室をともにするとかそういう展開になった。それらのうちの何回かが修道院にばれてしまったのだ。関係を持った後の彼女らは面倒くさかった。プライドの高い人種なのである。彼がうまく情事を隠しおおせたと思っても、彼女らの独占欲や嫉妬、リアムを自分の思い通りにできない不満、などからの行動が、しばしば彼の隠ぺい工作にほころびを生じさせた。

「修道士は禁欲を第一とし、神の教えを説き、社会に奉仕することが使命」

 そんな言葉を何度聞かされたであろう。そんな折、一つの事件が発覚し、たちどころに修道院内でのリアムの立場は危うくなった。治療と称し、リアムが患者に黒魔術を施していた、といううわさがまことしやかに語られるようになったのだ。

 「またか…」とリアムは思った。俺をねたむ連中が、また俺を陥れようというのだ。よかろう、そろそろ潮時だ。そんなに俺が邪魔なら退いてやろうではないか。俺ももう我慢の生活はしない。これからは、俺は俺のやりたいことをやる。邪法の探求も肉欲の満足も、心ゆくまで極めてやろう。禁書を買いあさり、俺の欲望を満足させる性奴隷を調教してやる。

 この人目に触れぬ島は、俺の城、俺の国だ。ここならば何をやっても許される。どこまでも己の欲望に忠実に生きてやる。端麗な顔が、血走った欲望をたたえた笑顔に歪んだ。

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初めまして。
小説執筆初心者のベータです。
今後ともよろしくお願いいたします。

本作、いかにもダークファンタジーな感じで始まりましたが、
話が進むと、多分拍子抜けするほど、
ほのぼの系(但しエロはしっかり)になると思います。

とはいえ、モラルハザード全開で突っ走ろうと思いますので、
苦手な方はご注意ください。
無理だったら、静かにウィンドウを閉じていただいて構いません。
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