黒魔術と性奴隷と ~闇の治療魔術師奇譚~

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第4章 リリカのお勉強

第32話 ★石の果実(中)

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 昼食を終えると二人は、以前焼き物の焼成に使用した、台所の普段使わない釜に、粘土玉をセットした。

「リリカ。これから俺は約6時間、ぶっ通しでイグニスヒールを使い続ける。とは言え、水分補給とか、身体の維持のために最低限のことはしないといけない。こまごまとお前にサポートしてもらわないと難しいだろう。」
「何をしたら良いですか?」

「一応術を使いながらでも話をすることはできるからな。水くれとかいろいろ言うんで、そういうのを頼む。後は、一時的に俺の術を引き継いでもらう必要があるかもしれない。」
「引き継ぐって、どうしたら良いんですか?」
「俺の代わりに術に必要な魔力を送り込むんだ。魔術のいちばん難しいのは、立ち上げの段階だ。そこをクリアしてしまえば、術の維持のための魔力供給源の交代は、そこまで難しくはない。ま、ちょっと練習してみよう。」

 リアムはそういうと、勝手口から庭に出て、おもむろに体内の魔力を滾らせていった。

「リリカ、そばに来い。」
「は、はい。」

 リアムの全身に満遍なく魔力が充実し、身体が若干発光しているように見える。

「ここまでは、お前にもできてもらわんといけない。水桶で紙片に念力を集中させた時の要領でやってみろ。ただし、全身の魔力を覚醒させるつもりでだ。」
「はい!」

 水桶に紙片を浮かべて動かす訓練のとき、両手のひらに意識を集中させるとジワッと力が集まる感覚があった。その時のことを思い浮かべながら、リリカは全身に意識を向け、魔力を充実させるイメージをしてみる。

 全身、というのが意外に難しい。頭のてっぺんのことを考えると、つま先がお留守になる、そういえばお腹は?腕は?などと、少し手間取ったが、次第にこつをつかみ、身体全体がビリビリとくるような感覚を得る。それは、魔力強化トレーニングでリアムと抱き合って魔力を受け入れたときの感覚と似ていた。

「ようし。良いぞ。そんな感じだ。」

 (結構辛い・・・)と、リリカは思った。物凄く体力を使う状態だ。たとえるなら、短距離走を全速力で走っている最中のような。そんなリリカを横目にリアムは、先ほどから魔力を滾らせた状態を維持している。表情一つ変えない余裕の姿はさすがだ。

「なかなか、辛いだろう?」
「だ、大丈夫です。」
「魔力の出し方に慣れていないと難しいがな。では、この全身の魔力を両腕に、・・・左半身は左手に、右半身は右手に移動させるイメージで集中させてみろ。」

 そういいながらリアムは魔力を両腕に徐々に移動させていく。両腕に宿る魔力の濃度がみるみるうちに濃くなり、放つ光が強力になった。

 リリカもリアムの中の力の動きを五感で感じ取り、自分の身体でまねしてみる。これもかなり難しい、魔力の移動は魔力を発動させるときよりもコントロールが難しかった。身体のいろんなところから制御できない魔力が胡散霧消していくのがわかる。何とか腕に魔力の移動をしたときには、エネルギーの総量がかなり少なくなってしまった。

「まあ、最初はそんなもんだ。維持したまま見ておけよ。いよいよ術を発動する。」

 リアムは、印を結び、呪文を唱え、両手の魔力を決められたとおりに調整し、魔導書の手順に従って術式を実行していった。

「舞い上がれ、癒しの炎。イグニスヒール!」

 螺旋を描き、火柱が上がる。ガーゴイル飛行以来の、リリカが目の当たりにする、リアムの本格的な魔術だ。火柱は消えることなく火勢を維持している。

「よく観察しろよ。俺の身体からあの火柱へ向けて、魔力が流れ込み、一部が炎に変わっているのがわかるはずだ。目に魔力を宿らせるイメージで見てみろ。分かるはずだ。」
「・・・・・・み、見えました。ご主人様の身体から出た力が、火柱を取り囲むように一旦円を描いて、火柱へ向けて渦を巻くように集中する感じですかね?」

 目に魔力を集中、というのは初めてやったが、なるほど魔力が宿るものがとても見えやすくなる。

「なかなか筋が良いぞ。さあ、俺の隣に来い。俺が火柱へ送る魔力を断つから、同じ要領でお前が魔力を送り込んでみろ。1分維持できれば上出来だ。」

 自信がなかった。リリカは今でも息も絶え絶えの状態だ。しかしリアムは容赦なく、魔力を断つ。

「渡したぞ。」
「は、はい!・・・はぅっ!!」

 リリカが魔力を送る番になったとたん、全身の力が吸い込まれていくような感覚が彼女を襲った。

気持ちが悪い。

 読者にわかるように例えるなら学校の長い朝礼で貧血で倒れる生徒のような状態だ。火勢が一気に弱くなる。維持しようと懸命にがんばるが、力が入らない。10秒前後で火柱は消えてしまった。

「あ、あぁ」
「10秒か・・・。難しすぎたかな。この術をいきなり引き継がせるのは無理があったかもしれん。」
「すみません。(シュン)」
「気にするな。今回は俺一人で何とかやってみる。」

 これは、リアムが魔術初心者のリリカに過度の期待をしたところに無理があるのだが、ご主人様の力になれなかったという結果は、リリカをがっかりさせた。

だが、落ち込んでもいられない。いよいよリアムは精霊石の試作に取り掛かる。

------------------
・・・初のエロシーン皆無の回を作ってしまいました。
本当は前後半のつもりが、3回に分けることになってしまったし、構成力不足です。
タイトルに★を付けました。エロシーンなしの記号です。(普通エロありに記号つけるもんだと思うけど。)
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