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第5章 結界と侵入者
第42話 黒い法衣
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黒い法衣の男──
間違いない、その男こそ憎きカリスマヒーラー、リアム・アシュリー。
そのキーワードが操作の手がかりになり、さらにいくつかの情報をアーネスト神父にもたらした。その男は、港湾都市エルチェリータから王都ルティスにかけて、随所で開かれた闇の饗宴、サバトに出没していたことが分かった。
黒い法衣の男がサバトで何をしていたのか、重要な手がかりが隠されているとアーネストは思い、探らせたが、なかなか難航した。サバトは邪教徒集団の宴であり、明るみに出れば関係者はすべて処刑される。聞き込みを行わせても、処刑を恐れてサバトの件については、皆口をつぐむのだ。
埒があかないと判断したアーネストは、金の力を使うことにした。間者に金貨を持たせて(金貨の持ち逃げを恐れるアーネストはこの方法を使いたくはなかった)、関係者と目されるものに金をちらつかせ、秘密は守ると丸め込めつつ、いくつか供述を取った。
ちなみにアーネストの回復魔術の腕前は、三流と言うのもおこがましいレベルだが、こういう手はずにかけては、彼は凄腕である。敬虔な修道士長が聞いてあきれる裏の姿だ。供述を取った後は、別の傭兵に秘密をしゃべった関係者を始末させる。与えた金貨は回収する。後は、なじみのパラディン(世間的には信用ある聖職者だが、いろいろと一緒に仕事ができるアーネストの仲間)と口裏を合わせ、邪教徒を発見し神罰の鉄槌を食らわせたと喧伝すれば、自分の手柄としても有益だ。
その情報によれば、黒い法衣の男は闇取引される黒魔術の魔導書を盛んに買いあさっていたらしい。アーネストにとってそれは満足のいく情報だった。
修道院を辞したリアムが、アロン島に住み着いただけであれば、罪に問うことは難しい。それでも何かしらの罪をでっち上げて断罪することは、可能だと彼は考えているが、苦しいこじ付けをしなければならない辛さは否めない。
しかし、黒魔術の魔導書を買い集めていたとあらば、それだけで処刑するに充分な罪状である。それならば、リアムの所在を見つけ次第、捕らえることができる。
サバト関連とは別に、こんな情報も得られた。奴隷商人からの話だ。リアムは奴隷を買ったらしい。農家の口減らしで売られた少女を性奴隷にする目的で。これは大した情報ではなさそうだ。
性奴隷といっても、それ用に売られている奴隷に手をつけず、安い子供奴隷を買ったらしい。
貴族や富豪の令嬢と散々密通したリアム。治療魔法の腕では、大いに修道院の功績を挙げた一方で、不倫のゴタゴタは関係貴族に修道院への恨みを残す事にもなった。
その男が、今度は1●歳の少女に手を出すなどとは、なんというゲスの極みぶりだ。しかし、既に世間から姿をくらましている男の倫理的なスキャンダルねたなどあっても使いようもない。アーネストは、特段この情報には興味を示さなかった。
どうせ家事労働などにこき使い、気の向くままに犯して、というところだろう。もしかしたらレイプの勢いで殺してしまっていてもおかしくないが・・・、例えそうだとしてもアーネストからすると、どうでもいい話だった。
むしろそういう妄想を膨らませて、俺もやってみたいな、などと思うような男だ。
「黒い法衣の男」の筋からの情報が一通り出揃ったところで、アーネスト神父は部下の修道士にある書状を持たせ、とある所に使いに遣った。
翌日、礼拝堂の奥の隠し小部屋に3人のガラの悪そうな連中がやってきた。
ドルゴス。体長は2メートルを超える巨漢。モーニングスターを振り回すその男の戦いぶりは、戦場の鬼神と言われている。
フィリップ。栗色の髪を撫で付け横分けにした、ひょろ長い青年。ドルゴスとは対照的な体格だ。弓の名手で、バルティス屈指のスナイパーだ。
セラフィーナ。赤毛のロングヘアーを後ろで束ねて流す女剣士。女ながら、戦慣れした猛者として国内でよく知られている。
3人はいずれも冒険者ギルドのメンバーである。この世界では、しばしば国境外から侵入する魔物や亜人種がおり、彼らを撃退する戦士たちは冒険者と呼ばれている。彼らは同業者組合であるギルドを結成しており、主に人外種とのいざこざに対して、現地の人々の依頼に対応してこれらと戦う。
戦の依頼はクエストと呼ばれ、ギルドの事務局が依頼を管理し、名乗りを上げたメンバーに対し、対応者を選考し、当たらせる。
アーネストは冒険者ギルドに掛け合い、リアム捕縛のための要員を用立てたのだ。ただ、彼は曲がりなりにも聖職者であり、自らがギルドの事務所へ赴き、クエストの依頼をするのは憚られたため、このような形となった。
任務は簡潔だ。アロン島にいると思われるかつてのヒーラー、リアム・アシュリーを捉える事。
その頃、アロン島では、燃え盛る炎を前に黒い法衣を着た人物が立っていた。魔法の炎は窯の中に送り込まれ、灼熱の空間を作っている。
っと、法衣の中から少女が顔を出す。
「ご主人様、やっぱりリリカの予想通り、この方が二人でイグニスヒールをするより効率がいいでしょ?」
「・・・確かにな。だが、お前がめちゃめちゃ楽しそうなのが気に食わん。効率が目的か、ベタベタが目的かどっちだよ?」
「えへへへー♪両方です!」
黒い法衣の中に裸のリアムとリリカが寄り添ってくるまり、リリカがリアムに魔力を送りつつ、リアムがイグニスヒールで魔石を焼いていた。
「ご主人様のこの上着、とても具合がいいですね。リリカ、トレンチコート作ったけどこっちの方が、中で動きやすくていいです。」
「そうだな。エルチェリータで変装用に使ったきり忘れてたからな。」
「んふふー。リリカ、このやり方だったら魔石いくらでも作れる気がします!」
そう言って、リアムの胸板で顔をスリスリするリリカ。
「こらこら、黒魔術は大変なものなんだぞ。そんなフワフワした気持ちでやるもんじゃ・・・あぉっ!」
リアムは、突然大切な袋をやわやわと揉みしだかれ、悲鳴をあげるのだった。
アーネスト神父さん、くだんの黒い法衣の男は、屋外で相当レベルの高いプレイをしてますよ。
--------------
うまく作れるか、おっかなびっくり、ストーリーを動かしてます。
間違いない、その男こそ憎きカリスマヒーラー、リアム・アシュリー。
そのキーワードが操作の手がかりになり、さらにいくつかの情報をアーネスト神父にもたらした。その男は、港湾都市エルチェリータから王都ルティスにかけて、随所で開かれた闇の饗宴、サバトに出没していたことが分かった。
黒い法衣の男がサバトで何をしていたのか、重要な手がかりが隠されているとアーネストは思い、探らせたが、なかなか難航した。サバトは邪教徒集団の宴であり、明るみに出れば関係者はすべて処刑される。聞き込みを行わせても、処刑を恐れてサバトの件については、皆口をつぐむのだ。
埒があかないと判断したアーネストは、金の力を使うことにした。間者に金貨を持たせて(金貨の持ち逃げを恐れるアーネストはこの方法を使いたくはなかった)、関係者と目されるものに金をちらつかせ、秘密は守ると丸め込めつつ、いくつか供述を取った。
ちなみにアーネストの回復魔術の腕前は、三流と言うのもおこがましいレベルだが、こういう手はずにかけては、彼は凄腕である。敬虔な修道士長が聞いてあきれる裏の姿だ。供述を取った後は、別の傭兵に秘密をしゃべった関係者を始末させる。与えた金貨は回収する。後は、なじみのパラディン(世間的には信用ある聖職者だが、いろいろと一緒に仕事ができるアーネストの仲間)と口裏を合わせ、邪教徒を発見し神罰の鉄槌を食らわせたと喧伝すれば、自分の手柄としても有益だ。
その情報によれば、黒い法衣の男は闇取引される黒魔術の魔導書を盛んに買いあさっていたらしい。アーネストにとってそれは満足のいく情報だった。
修道院を辞したリアムが、アロン島に住み着いただけであれば、罪に問うことは難しい。それでも何かしらの罪をでっち上げて断罪することは、可能だと彼は考えているが、苦しいこじ付けをしなければならない辛さは否めない。
しかし、黒魔術の魔導書を買い集めていたとあらば、それだけで処刑するに充分な罪状である。それならば、リアムの所在を見つけ次第、捕らえることができる。
サバト関連とは別に、こんな情報も得られた。奴隷商人からの話だ。リアムは奴隷を買ったらしい。農家の口減らしで売られた少女を性奴隷にする目的で。これは大した情報ではなさそうだ。
性奴隷といっても、それ用に売られている奴隷に手をつけず、安い子供奴隷を買ったらしい。
貴族や富豪の令嬢と散々密通したリアム。治療魔法の腕では、大いに修道院の功績を挙げた一方で、不倫のゴタゴタは関係貴族に修道院への恨みを残す事にもなった。
その男が、今度は1●歳の少女に手を出すなどとは、なんというゲスの極みぶりだ。しかし、既に世間から姿をくらましている男の倫理的なスキャンダルねたなどあっても使いようもない。アーネストは、特段この情報には興味を示さなかった。
どうせ家事労働などにこき使い、気の向くままに犯して、というところだろう。もしかしたらレイプの勢いで殺してしまっていてもおかしくないが・・・、例えそうだとしてもアーネストからすると、どうでもいい話だった。
むしろそういう妄想を膨らませて、俺もやってみたいな、などと思うような男だ。
「黒い法衣の男」の筋からの情報が一通り出揃ったところで、アーネスト神父は部下の修道士にある書状を持たせ、とある所に使いに遣った。
翌日、礼拝堂の奥の隠し小部屋に3人のガラの悪そうな連中がやってきた。
ドルゴス。体長は2メートルを超える巨漢。モーニングスターを振り回すその男の戦いぶりは、戦場の鬼神と言われている。
フィリップ。栗色の髪を撫で付け横分けにした、ひょろ長い青年。ドルゴスとは対照的な体格だ。弓の名手で、バルティス屈指のスナイパーだ。
セラフィーナ。赤毛のロングヘアーを後ろで束ねて流す女剣士。女ながら、戦慣れした猛者として国内でよく知られている。
3人はいずれも冒険者ギルドのメンバーである。この世界では、しばしば国境外から侵入する魔物や亜人種がおり、彼らを撃退する戦士たちは冒険者と呼ばれている。彼らは同業者組合であるギルドを結成しており、主に人外種とのいざこざに対して、現地の人々の依頼に対応してこれらと戦う。
戦の依頼はクエストと呼ばれ、ギルドの事務局が依頼を管理し、名乗りを上げたメンバーに対し、対応者を選考し、当たらせる。
アーネストは冒険者ギルドに掛け合い、リアム捕縛のための要員を用立てたのだ。ただ、彼は曲がりなりにも聖職者であり、自らがギルドの事務所へ赴き、クエストの依頼をするのは憚られたため、このような形となった。
任務は簡潔だ。アロン島にいると思われるかつてのヒーラー、リアム・アシュリーを捉える事。
その頃、アロン島では、燃え盛る炎を前に黒い法衣を着た人物が立っていた。魔法の炎は窯の中に送り込まれ、灼熱の空間を作っている。
っと、法衣の中から少女が顔を出す。
「ご主人様、やっぱりリリカの予想通り、この方が二人でイグニスヒールをするより効率がいいでしょ?」
「・・・確かにな。だが、お前がめちゃめちゃ楽しそうなのが気に食わん。効率が目的か、ベタベタが目的かどっちだよ?」
「えへへへー♪両方です!」
黒い法衣の中に裸のリアムとリリカが寄り添ってくるまり、リリカがリアムに魔力を送りつつ、リアムがイグニスヒールで魔石を焼いていた。
「ご主人様のこの上着、とても具合がいいですね。リリカ、トレンチコート作ったけどこっちの方が、中で動きやすくていいです。」
「そうだな。エルチェリータで変装用に使ったきり忘れてたからな。」
「んふふー。リリカ、このやり方だったら魔石いくらでも作れる気がします!」
そう言って、リアムの胸板で顔をスリスリするリリカ。
「こらこら、黒魔術は大変なものなんだぞ。そんなフワフワした気持ちでやるもんじゃ・・・あぉっ!」
リアムは、突然大切な袋をやわやわと揉みしだかれ、悲鳴をあげるのだった。
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うまく作れるか、おっかなびっくり、ストーリーを動かしてます。
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