黒魔術と性奴隷と ~闇の治療魔術師奇譚~

ベータ

文字の大きさ
51 / 123
第5章 結界と侵入者

第46話 ★結界魔術の試運転(前編)

しおりを挟む
 昼下がりになって、リアムはリリカを庭に連れ出した。最近だとこの時間帯で魔石を焼いていたのだが、今日はその準備はしていない。庭にある立派な栗の木の下に並んで座る。

「ご主人様、今日は魔石作らないんですね。」
「ああ、百個も作ったからな。当分はもう作らなくていいだろう。川底から粘土取ってくるのもなかなか骨が折れるしな。元々、魔石を沢山作ったのは、この島を外敵から守るためだ。」

「外敵って。誰か攻めてくるんですか?」
「お前は知らないと思うが、エルチェリータにいた頃、俺には敵が結構多くてな。今も俺をよく思っていない連中がかなりいる。彼らが俺をとらえようとすることは充分あり得るんだ。」

「え、捕らえられたら・・・、ど、どうなるんですか?」
「多分処刑だな。禁止されている黒魔術の魔導書の保有量だけでも、無期懲役レベルだし、俺がいた修道院の上層部は、そもそも俺の存在そのものが気に入らないらしいからな。」

(あの魔導書って持ってたらいけないものだったんだ。)

「それって、私も同罪ですよね?」
「お前か?お前は自分で言わなきゃ大丈夫だ。奴隷の身分だし、学校にも行ったことのない女の子が、まさか魔導書を読んでるなんて、誰も思わないだろうからな。安心しろ。もし俺がつかまったとしても、リリカが俺に教えられて魔導書を読んでいた事なんか決して話したりしないよ。」
「・・・分かりました。でも、リリカのことは良いです。ご主人様は、絶対つかまっちゃだめです!」

 リアムの腕にしがみついて、リリカは語気を強めた。処刑という言葉を聞いて青ざめている。自分のご主人様が、そんな危ない立場だとは知らなかった。そんなリリカを見ながら、リアムはちょっと意地悪なことを言う。

「・・・俺が捕まったら、お前はきっと奴隷から解放されるぞ?それはそれで、リリカにとっては悪くなくないか?」

 リリカの目に涙が溜まりだした。(やべ、泣かした。)

「ダメです!何で、何でそんな事いうんですか?リリカは、ご主人様とずっと一緒にいたいのにぃ。」

 リリカがしゃくりあげ始めたので、リアムはあわてて抱き寄せて、髪を撫でながら続けた。

「悪い悪い。泣くなよ。俺もリリカとは絶対離れたくない。言ったろ?好きだって。」
「ほんと?」
「ああ、本当だ。」

 そっと口付けをすると、リリカはリアムの首に腕を回して応じた。すると・・・、(!?)リアムが何かをリリカの首にかけた。

「ご主人様、これは?」
「作った魔石でペンダントにしてみた。意外と綺麗だろう?」

 赤い釉薬で表面を仕上げたそのペンダントは、ビー玉程度の大きさの小さな魔石だった。その表面には、複雑な文字が刻印されている。

「綺麗・・・。え、リリカがもらっていいんですか?何か模様がついてますね。」
「呪印という特殊な魔力発動装置だ。お前が勉強するにはまだちょっと早い。この魔石に念を込めるとマジックシールドと言う魔術が発動するようにしてある。」
「あ、それって畑で使ってた奴ですか?」
「そうそれ。虫除けにな。一定の空間に物理障壁を張って、外からの進入を許さなくする防御魔術だ。」

 結界魔術としては最高水準を誇るが、消費魔力量が多すぎて、島の防御に常時発動し続けようとすると、魔石(当初検討したときは精霊石)がいくつあっても足りないため、使用を諦めた術だ。元々戦闘用の魔術で、数秒~数分の間の攻防戦の補助に用いる意図で開発された術である。そもそも、何ヶ月とか何年とかの長期間、かけ続けるには原理的に無理があった。

 だが、リリカがピンチになって、難を逃れる間だけ発動すると言う事なら、魔石一つでも事足りる。まずはリリカが自分で身を守るすべを持つ事、を考えたのだ。もし、侵入者にリリカを人質にとられたら、間違いなく詰むとリアムは考えている。

「もし、外から来た誰かに襲われそうになったら、こいつに念を込めるんだ。誰もお前に触れる事はできなくなる。」
「リリカの事を守ってくれる道具は嬉しいですけど、リリカはご主人様が心配です。」

「俺が一番危なくなるのは、リリカが人質に取られた時だ。」
「その時は、ご主人様がリリカを置いて・・・」
「おい!それは言っちゃダメだ。今、リリカは俺と離れたくないと言ったじゃないか。俺もお前を置いて逃げたりなんかしない。」
「・・・あたし、奴隷なのに。」
「俺はもう、そうは思ってない。」
「ご主人様。」
「だから、お前が自分で自分の身を守れないといけない。危なくなったら、このペンダントで身を守るんだ。今から使い方を教えるからな。」

「ありがとうございます。ご主人様が、リリカのことまで真剣に考えててくれて、すごく嬉しいです。

あ、でも別に明日誰かが来るってわけじゃないですもんね!これは、もしもの備えですよね。」


「まあな。だが、そのもしもは必ず訪れると思った方がいい。だから何もない今のうちに、しっかり準備しておかないとな。」
「はい!」

 赤い魔石のペンダントは、リリカが初めて好きな人からもらうプレゼントだった。防御用のアイテムなのは分かってるけど、それは立派なアクセサリーのプレゼント。(一生大切にしよう!)首にかけたそれをリリカは両手で握りしめた。

------------
原稿ギリギリでした。
どこかおかしなところがあるかもです。すみません。
今回はエロの入る余地がなかったですね。
しおりを挟む
感想 83

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

ブラック企業を退職したら、極上マッサージに蕩ける日々が待ってました。

イセヤ レキ
恋愛
ブラック企業に勤める赤羽(あかばね)陽葵(ひまり)は、ある夜、退職を決意する。 きっかけは、雑居ビルのとあるマッサージ店。 そのマッサージ店の恰幅が良く朗らかな女性オーナーに新たな職場を紹介されるが、そこには無口で無表情な男の店長がいて……? ※ストーリー構成上、導入部だけシリアスです。 ※他サイトにも掲載しています。

拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました

星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎ 王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝―― 路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。 熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。 「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」 甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。 よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、 気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて―― しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!? 「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」 年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。 ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...