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第5章 結界と侵入者
第46話 ★結界魔術の試運転(前編)
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昼下がりになって、リアムはリリカを庭に連れ出した。最近だとこの時間帯で魔石を焼いていたのだが、今日はその準備はしていない。庭にある立派な栗の木の下に並んで座る。
「ご主人様、今日は魔石作らないんですね。」
「ああ、百個も作ったからな。当分はもう作らなくていいだろう。川底から粘土取ってくるのもなかなか骨が折れるしな。元々、魔石を沢山作ったのは、この島を外敵から守るためだ。」
「外敵って。誰か攻めてくるんですか?」
「お前は知らないと思うが、エルチェリータにいた頃、俺には敵が結構多くてな。今も俺をよく思っていない連中がかなりいる。彼らが俺をとらえようとすることは充分あり得るんだ。」
「え、捕らえられたら・・・、ど、どうなるんですか?」
「多分処刑だな。禁止されている黒魔術の魔導書の保有量だけでも、無期懲役レベルだし、俺がいた修道院の上層部は、そもそも俺の存在そのものが気に入らないらしいからな。」
(あの魔導書って持ってたらいけないものだったんだ。)
「それって、私も同罪ですよね?」
「お前か?お前は自分で言わなきゃ大丈夫だ。奴隷の身分だし、学校にも行ったことのない女の子が、まさか魔導書を読んでるなんて、誰も思わないだろうからな。安心しろ。もし俺がつかまったとしても、リリカが俺に教えられて魔導書を読んでいた事なんか決して話したりしないよ。」
「・・・分かりました。でも、リリカのことは良いです。ご主人様は、絶対つかまっちゃだめです!」
リアムの腕にしがみついて、リリカは語気を強めた。処刑という言葉を聞いて青ざめている。自分のご主人様が、そんな危ない立場だとは知らなかった。そんなリリカを見ながら、リアムはちょっと意地悪なことを言う。
「・・・俺が捕まったら、お前はきっと奴隷から解放されるぞ?それはそれで、リリカにとっては悪くなくないか?」
リリカの目に涙が溜まりだした。(やべ、泣かした。)
「ダメです!何で、何でそんな事いうんですか?リリカは、ご主人様とずっと一緒にいたいのにぃ。」
リリカがしゃくりあげ始めたので、リアムはあわてて抱き寄せて、髪を撫でながら続けた。
「悪い悪い。泣くなよ。俺もリリカとは絶対離れたくない。言ったろ?好きだって。」
「ほんと?」
「ああ、本当だ。」
そっと口付けをすると、リリカはリアムの首に腕を回して応じた。すると・・・、(!?)リアムが何かをリリカの首にかけた。
「ご主人様、これは?」
「作った魔石でペンダントにしてみた。意外と綺麗だろう?」
赤い釉薬で表面を仕上げたそのペンダントは、ビー玉程度の大きさの小さな魔石だった。その表面には、複雑な文字が刻印されている。
「綺麗・・・。え、リリカがもらっていいんですか?何か模様がついてますね。」
「呪印という特殊な魔力発動装置だ。お前が勉強するにはまだちょっと早い。この魔石に念を込めるとマジックシールドと言う魔術が発動するようにしてある。」
「あ、それって畑で使ってた奴ですか?」
「そうそれ。虫除けにな。一定の空間に物理障壁を張って、外からの進入を許さなくする防御魔術だ。」
結界魔術としては最高水準を誇るが、消費魔力量が多すぎて、島の防御に常時発動し続けようとすると、魔石(当初検討したときは精霊石)がいくつあっても足りないため、使用を諦めた術だ。元々戦闘用の魔術で、数秒~数分の間の攻防戦の補助に用いる意図で開発された術である。そもそも、何ヶ月とか何年とかの長期間、かけ続けるには原理的に無理があった。
だが、リリカがピンチになって、難を逃れる間だけ発動すると言う事なら、魔石一つでも事足りる。まずはリリカが自分で身を守るすべを持つ事、を考えたのだ。もし、侵入者にリリカを人質にとられたら、間違いなく詰むとリアムは考えている。
「もし、外から来た誰かに襲われそうになったら、こいつに念を込めるんだ。誰もお前に触れる事はできなくなる。」
「リリカの事を守ってくれる道具は嬉しいですけど、リリカはご主人様が心配です。」
「俺が一番危なくなるのは、リリカが人質に取られた時だ。」
「その時は、ご主人様がリリカを置いて・・・」
「おい!それは言っちゃダメだ。今、リリカは俺と離れたくないと言ったじゃないか。俺もお前を置いて逃げたりなんかしない。」
「・・・あたし、奴隷なのに。」
「俺はもう、そうは思ってない。」
「ご主人様。」
「だから、お前が自分で自分の身を守れないといけない。危なくなったら、このペンダントで身を守るんだ。今から使い方を教えるからな。」
「ありがとうございます。ご主人様が、リリカのことまで真剣に考えててくれて、すごく嬉しいです。
あ、でも別に明日誰かが来るってわけじゃないですもんね!これは、もしもの備えですよね。」
「まあな。だが、そのもしもは必ず訪れると思った方がいい。だから何もない今のうちに、しっかり準備しておかないとな。」
「はい!」
赤い魔石のペンダントは、リリカが初めて好きな人からもらうプレゼントだった。防御用のアイテムなのは分かってるけど、それは立派なアクセサリーのプレゼント。(一生大切にしよう!)首にかけたそれをリリカは両手で握りしめた。
------------
原稿ギリギリでした。
どこかおかしなところがあるかもです。すみません。
今回はエロの入る余地がなかったですね。
「ご主人様、今日は魔石作らないんですね。」
「ああ、百個も作ったからな。当分はもう作らなくていいだろう。川底から粘土取ってくるのもなかなか骨が折れるしな。元々、魔石を沢山作ったのは、この島を外敵から守るためだ。」
「外敵って。誰か攻めてくるんですか?」
「お前は知らないと思うが、エルチェリータにいた頃、俺には敵が結構多くてな。今も俺をよく思っていない連中がかなりいる。彼らが俺をとらえようとすることは充分あり得るんだ。」
「え、捕らえられたら・・・、ど、どうなるんですか?」
「多分処刑だな。禁止されている黒魔術の魔導書の保有量だけでも、無期懲役レベルだし、俺がいた修道院の上層部は、そもそも俺の存在そのものが気に入らないらしいからな。」
(あの魔導書って持ってたらいけないものだったんだ。)
「それって、私も同罪ですよね?」
「お前か?お前は自分で言わなきゃ大丈夫だ。奴隷の身分だし、学校にも行ったことのない女の子が、まさか魔導書を読んでるなんて、誰も思わないだろうからな。安心しろ。もし俺がつかまったとしても、リリカが俺に教えられて魔導書を読んでいた事なんか決して話したりしないよ。」
「・・・分かりました。でも、リリカのことは良いです。ご主人様は、絶対つかまっちゃだめです!」
リアムの腕にしがみついて、リリカは語気を強めた。処刑という言葉を聞いて青ざめている。自分のご主人様が、そんな危ない立場だとは知らなかった。そんなリリカを見ながら、リアムはちょっと意地悪なことを言う。
「・・・俺が捕まったら、お前はきっと奴隷から解放されるぞ?それはそれで、リリカにとっては悪くなくないか?」
リリカの目に涙が溜まりだした。(やべ、泣かした。)
「ダメです!何で、何でそんな事いうんですか?リリカは、ご主人様とずっと一緒にいたいのにぃ。」
リリカがしゃくりあげ始めたので、リアムはあわてて抱き寄せて、髪を撫でながら続けた。
「悪い悪い。泣くなよ。俺もリリカとは絶対離れたくない。言ったろ?好きだって。」
「ほんと?」
「ああ、本当だ。」
そっと口付けをすると、リリカはリアムの首に腕を回して応じた。すると・・・、(!?)リアムが何かをリリカの首にかけた。
「ご主人様、これは?」
「作った魔石でペンダントにしてみた。意外と綺麗だろう?」
赤い釉薬で表面を仕上げたそのペンダントは、ビー玉程度の大きさの小さな魔石だった。その表面には、複雑な文字が刻印されている。
「綺麗・・・。え、リリカがもらっていいんですか?何か模様がついてますね。」
「呪印という特殊な魔力発動装置だ。お前が勉強するにはまだちょっと早い。この魔石に念を込めるとマジックシールドと言う魔術が発動するようにしてある。」
「あ、それって畑で使ってた奴ですか?」
「そうそれ。虫除けにな。一定の空間に物理障壁を張って、外からの進入を許さなくする防御魔術だ。」
結界魔術としては最高水準を誇るが、消費魔力量が多すぎて、島の防御に常時発動し続けようとすると、魔石(当初検討したときは精霊石)がいくつあっても足りないため、使用を諦めた術だ。元々戦闘用の魔術で、数秒~数分の間の攻防戦の補助に用いる意図で開発された術である。そもそも、何ヶ月とか何年とかの長期間、かけ続けるには原理的に無理があった。
だが、リリカがピンチになって、難を逃れる間だけ発動すると言う事なら、魔石一つでも事足りる。まずはリリカが自分で身を守るすべを持つ事、を考えたのだ。もし、侵入者にリリカを人質にとられたら、間違いなく詰むとリアムは考えている。
「もし、外から来た誰かに襲われそうになったら、こいつに念を込めるんだ。誰もお前に触れる事はできなくなる。」
「リリカの事を守ってくれる道具は嬉しいですけど、リリカはご主人様が心配です。」
「俺が一番危なくなるのは、リリカが人質に取られた時だ。」
「その時は、ご主人様がリリカを置いて・・・」
「おい!それは言っちゃダメだ。今、リリカは俺と離れたくないと言ったじゃないか。俺もお前を置いて逃げたりなんかしない。」
「・・・あたし、奴隷なのに。」
「俺はもう、そうは思ってない。」
「ご主人様。」
「だから、お前が自分で自分の身を守れないといけない。危なくなったら、このペンダントで身を守るんだ。今から使い方を教えるからな。」
「ありがとうございます。ご主人様が、リリカのことまで真剣に考えててくれて、すごく嬉しいです。
あ、でも別に明日誰かが来るってわけじゃないですもんね!これは、もしもの備えですよね。」
「まあな。だが、そのもしもは必ず訪れると思った方がいい。だから何もない今のうちに、しっかり準備しておかないとな。」
「はい!」
赤い魔石のペンダントは、リリカが初めて好きな人からもらうプレゼントだった。防御用のアイテムなのは分かってるけど、それは立派なアクセサリーのプレゼント。(一生大切にしよう!)首にかけたそれをリリカは両手で握りしめた。
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原稿ギリギリでした。
どこかおかしなところがあるかもです。すみません。
今回はエロの入る余地がなかったですね。
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